イベントストーリー『孤星』のネタバレが多分に含まれますのでお気を付けください。
誤字脱字があれば本当に申し訳ないです。
ここでも書きますがイベントストーリー『孤星』のネタバレが多分に含まれます。お気を付けください。
「トリマウンツ市民の皆様へ、クルビア副大統領のジャクソンより申し上げます。
おそらく多くの方々は・・・」
昨日から宿泊しているホテルに備え付けられているテレビをつけるとちょうど生放送なのだろう。チャンネルを変えてはみたがどの局のチャンネルも映し出されているのは副大統領による演説ばかり。
彼女はその映像をラジオにしながらタブレットを取り出し、昨日の夜に安売りをしていたため買った硬いーケットを食べ始めた。
「さて、今から半月後、その中でも指折りの素晴らしい成果を一つ、お目にかける予定です。
半月後の発表、その時が・・・」
「クルビア新時代への第一歩となるでしょう。」
「テラの新時代への第一歩になるかもしれないね。」
そう、テレビからの声にかぶせるように言った彼女のタブレットには『ホライズンアーク計画』の文字とともに何かの設計図であろうものが映し出されていた。
朝食を食べ終え、服でも着替えようかと考えていた彼女だったが、突如として携帯から彼女を呼ぶ声が鳴り響いた。画面を見た彼女は映し出された相手の名前を見てため息をつく。だが無視をするわけにもいかない相手だ。彼女は気だるげに通話開始のマークをタップした。
「・・・はい。今は休暇中なので仕事の話は休暇が終わってからしていただきたいのですが。
ええ、申請したときに書いた通り観光です。はい、昨日にはトリマウンツには着いていましたが。ん? 数日後に副大統領の護衛ですか? その日だと当然まだ休暇中のはずですよね。1か月はとりましたから。損はさせない? 何を言って・・・」
ーライン生命への視察のタイミングでだ。頼めないか?ー
「ライン生命への視察のタイミングで、ですね? 分かりました、お受けします。ですがその後は、
分かってる? 好きにするといい? 助かりますが、こうも思い通りにいくと後が怖くなりますね。もしかして休暇後にとんでもない仕事が待っていたりします?」
ーバカンス中の人物にこれからの仕事は言えないだろう?ー
「いいでしょう。受けたからにはしっかりとこなしますよ。あ、特別手当はもちろんつきますよね。」
ーああ、もちろんつけさせてもらう。
こう言っては何だが君たちの相手は本当に疲れるな。あの大とー
「それについてはお静かにお願いします。」
ーそうだったな。すまないが癖でね。それでは護衛の仕事の方はきっちりと頼んだぞ。
アトラ、いや、クレセア・ライトー
それを最後に通話は切られた。
「観光に来ただけだったのだけれど。面倒ごとを押し付けられたかな。」
彼女はある場所に向かうために急いで身支度を始めた。
「こんにちは、ミス・アトラ 来てくださってありがとうございます。休暇中にもかかわらず護衛の仕事を頼んでしまうとは申し訳ないです。」
「いえ、気にしないでください。ジャクソン副大統領。この程度のことならいつでも彼にお伝えになってください。次は私ではないかもしれませんが、我々のうちの誰かが素早く任につきますので。」
「ありがとうございます。あなたを呼び出させてもらったのは他でもない、国防部の者たちに動きがあるようで。
今日もこの後、ブレイク大佐が面会に来られるようなのです。」
「ブレイク大佐・・・彼ですか。事に及ぶことは当然ないでしょうが私も同席いたしましょうか?」
「いえ、それには及びません。あなたの考えの通り彼は私の説得のために来るだけでしょう。それに応じることはできませんが。
絶対兵器という存在は世界の情勢を大きく変えてしまう。それを開戦を訴える声を上げ、その声が多きなりつつある彼ら、冷静でなくなっている者たちが持つべきものではない。私たちはそう考えていますから。」
「そうですね、ところで話は変わりますが十三区の件はどうなっているのですか?」
「あそこは完全に国防部が包囲していて許可されたものでなければ入れない状況になっていますね。ですが、あなたであれば許可証などなくとも入れるだろうと考えていますが。」
「そうですか、では、」
「ええ、言っていただいて構いません。もし何かあれば我々の方でどうとでもしましょう。それでは彼との面会に行ってきます。失礼しますね。ミス・アトラもお気をつけて。」
「お気遣いありがとうございます。それでは。」
その言葉を最後にアトラ、いや、クレセア・ライトは十三区に向かって歩き始めた。
オペレーター アトラスについて 記録1
6152,31メートル これは過去に観測されたテラの高さのことだが、私たちには、私と姉さんにはそれ以上の意味を持つ数字でもあった。
ライト夫妻わたしたちの父と母が最期に記録した高度なのだ。そのあとなのか、その時なのか、それはわからないが父と母は帰らぬ人となった。
父と母が亡くなった後、私たちはヤラおばさんに引き取られた。親戚でもなかった、ただの私たちの父と母を支援する一人だった彼女がなぜ私たちを引き取ろうと思ったのかは未だに分からない。
ヤラおばさんに引き取られてからは私と姉さんの生活は大きく変わっていった。あの事件が起こってから姉さんは空に関する研究を始めた。両親が生きていたころから姉さんと私は空に関する様々なことを父と母から教わっていた。私はあまり興味がなかったが、姉さんは目を輝かせながら両親の話を聞いていた。そのあと、姉さんが私に楽しそうに空の話をしてくれるのが私は好きだった。姉さんから教わるだけでなく意見を聞かれるようになってからは私も空について勉強するようになった。私の付け焼刃のような稚拙な意見を姉さんは真剣に考えてくれて、私の理解が深まるにつれ議論が白熱するときもあった。いつも負かされていたのは私だったが。だが、私にとってあの時間はとても大切なもので、楽しい記憶として心の大事な部分にしまってある。
私と姉さんにとって空とは楽しいものであったはずだった。しかし、事件が起こってから空は私にとって恐ろしいものに変わり、姉さんにとって執着するものになった。ヤラおばさんに引き取られてからの姉さんの研究は何かにとりつかれているようで、両親の残した研究資料を見ながら自室に何日もこもる時もあった。幼いながらにその当時の私は姉さんが両親にとらわれてしまったのではないかと心配した。自分が空の秘密を解き明かさなければという使命のようなものを自らに刻み込んでしまったのではと。それは当たっていたのかもしれない。だが、それだけではないということを知ることができた。姉さんは時々、昔のように空について話をしてくれた。もしかしたらこの星の空は私たちを閉じ込めているかもしれないということ、それを超えた先に何かがあるのかもしれないということ、様々なことを話してくれた。だが、その時私が注目していたのは話の内容ではなくそれを語る姉さんの姿だった。目を輝かせながら話す姉さんの姿は、昔の純粋に空を楽しむ姉さんのままで、それが私は嬉しくて、その姉さんの姿が両親を失ってからは無気力で失意に沈んでいた私を救い上げた。
それからだ、私が姉さんのために具体的に何かしたいと思ったのは。
ここからはつまらないかもしれないが私の話になる。姉さんを支えたいと思った最初は私も研究自体を手伝いと思っていた。しかし、話を聞けば聞くほど姉さんと私の知識の差に愕然とするばかり、これでは力になれないと思って勉強を始めたのが経営学だ。研究には当然お金がいるだろうと思って始めたものだった。経営に関する本を読んだり、ヤラおばさんに聞いたりといろいろしてみたが、やはりこれも合わなかった。ほかにも様々なことに挑戦はしてみたがどれも合わずに辞めてしまった。そんな中、唯一私に合ったものが体を動かすことであった。引き取ってくれたヤラおばさんは昔はスタントを自らこなす大女優であったため一から十まで指導を受けることができた。姉さんを物理的な障害から守りたいとそんな話をすればヤラおばさんの指導の内容が変わった。格闘術などの訓練はなんでそんなことまで知ってるのということまで教えてもらった。当時はリアリティを出すために本物を習っていたという話を信じていたが、ヤラおばさんについても含めて様々なことを知った今は、よくあんなことまで教えてくれたなと思っている。
そこから、今の仕事に至るまでにも紆余曲折あるのだが、また今度話すことにしよう。ドクター
書いては投稿をしているので完全不定期更新です。もしもし次話も読んでやってもいいかなと思われたら気長に待っていただけると幸いです。
読んでいただきありがとうございました!