シュラハトくん見逃して 作:私貴方私(Y-ou@so-soなフリー)
同時に発動された殺意が2人の間で相殺される。
引き抜かれた杖剣がニヒツの答えだった。
『
「おい!! 俺が教えた魔法でいきなり攻撃してくんじゃねぇ。俺以外の人間に絶対撃つなよ。あっという間にパクられて広まっちまうからなこの魔法」
「嘘つき。お前は『
『
騎士ニヒツは『
正確には自分から離れる放出系の魔法が空中で離散してしまうため使えない。
本人はそれを悩みとして何度もフリーレンに相談してきた。
『
そのはずだった。
「ふふふ、そうだぜ。これ『いや違うな。お前のそれは照射できるゾルトラークを短い射程に限定し、術者との繋がりを強化することで魔力パスを維持しているだけだ』 ……おいおい、自己解決しちゃうのかよ。ライトセイバーみたいでかっこいいだろ?まあ、中身はまったくの別物だが」
会話の間も『
『
「おいおい、会話中くらい攻撃を止めてくれよ。俺の話を聞いて損はないぜ」
『
「お前は嘘つきだ」
『
冷たい鋭い視線がニヒツを刺す。
ニヒツは生きた心地はしなかった。
それもそうだろう。
この視線を受けて生き残った魔族はいない。
それは魔王であろうと例外はない。
『
ニヒツにとって、魔族と同じ扱いは心外である。しかし、この場はその方が都合が良い。
『
「そうだぜフリーレン。俺は嘘つきの裏切り者だ。お前も無駄に長生きしてるんだから『裏切り者』や『嘘つきの詐欺師』なんて慣れてるだろ?だからな。俺に何故ヒンメルを殺したか聞いても意味ないぜ?また嘘を吐くだけだからな」
言葉に意味なんてない。
ましてや裏切り者との会話ほど意味のないものはない。
『魔族と和平を結ぶこと』と同じくらい愚かな行為だ。
「なんでヒンメルを殺したの?」
「…」
それでも問わずにはいられない。
「…答えて」
だって仲間だったのだから。
「どうしてだろうな。フリーレンはどう思う?」
魔力が高まる。
ニヒツから斬撃の様に『
それをフリーレンは再び『
「フリーレンはどうして俺がヒンメルを殺したと思う?お前の推理を聞かせてくれよ」
「……」
相殺の頻度がどんどん増える。
『
『
ニヒツの『
もはや『
近付かれると押し負ける。
「へぇ、おしゃべりする余裕もない感じか。平時ならともかく戦闘中は常に冷静な老魔法使い様が随分取り乱してるな」
『試作飛行魔法』で離した距離をニヒツの『跳躍魔法』によって一瞬で詰められる。
どちらも魔族の『飛行魔法』を解析する際、2人で作り出した魔法だ。
フリーレンの目の前に、『
この世界においては、『
無名の大魔族クヴァールを早期に討伐できたことで、歴史は大きく変わっていたのだ。
『
そのため、人類が80年の月日をかけ、血眼になって改良した『
しかし、魔法研究における最高峰の2人である。
そんな便利な魔法を改良しない訳がない。
『
と
『
2人の技術競争は『人類の80年』を超え、数世紀先の領域に至っている。
ニヒツの魔法は受け流され、フリーレンに届かなかった。
それは奇しくもニヒツの知る世界線にて人類が開発した『
六角の小さな防御魔法がフリーレンの周りに現れては消える。
全ての『
「へぇ、『
ニヒツの声に驚きという感情はなかった。
『フリーレンなら当然使える』
彼はそんなふうに考えているのだろう。
「『六角構造体複合防御魔法』の魔法理論は既にあった。お前と戦うなら絶対に必要だと思ったからね。移動中に完成させたんだよ」
フリーレンは冷静だ。
感情が怒りの中にあっても、別の思考を冷静に行う。
そうでなければ三日三晩泣き続けるような真似はできない。
フリーレンは杖を構え直す。
いつでも『防御魔法』は展開できる。
あとはニヒツを叩きのめすだけだ。
「俺が『
『
突如、足元が炸裂し、フリーレンの死角から『
それと同時に前方からもニヒツの『
挟み撃ちにあったフリーレンは咄嗟に防御魔法を全方位展開する。
大丈夫。『
フリーレンの予測した通り、間に合った防御魔法は正常に攻撃を防いだ。
はずだった。
「んっ!?」
何かがフリーレンの肩を貫く。
防御魔法は変わらず全方位に向けて守りを固めている。
魔力にもまだ余裕がある。
防御魔法の内側にいるにも関わらず、フリーレンは攻撃を受けたのだ。
防御魔法を展開しながら、空を飛び回る。
その間にも防御魔法を維持するため、魔力はどんどん消費されていく。
『
そしてついに、フリーレンは『飛行魔法』を解除した。
『
「セキュリティホールってやつだよフリーレン。六角形の構造体を複数組み合わせた防御方式は確かに優れた防御魔法だ。
二本の杖剣を振り払い、ニヒツがフリーレンへ向かって歩いてくる。
もうすぐ戦士の間合いだ。
そこまで近づかれた場合、フリーレンに勝ち目はなくなる。
「でもな。
「そう」
フリーレンは静かに答える。
そして、ゆっくりと杖を構える。
「まだやるのか?この間合いだと」
フリーレンの魔法が8つに分かれる。
これはとある魔族を討伐する際に、解析した『魔法をより効率よく運用するための魔法』だ。
8つに分かれた魔力塊が裏切り者の周りを囲む。
そして、
八方向からの『
「はぁ!?ファンネルかよ」
ニヒツは咄嗟に体を捻り、それを回避する。
人体では通常できない方向への回避も試みる。
しかし、
「その状態からも動かせるのか!?」
『
つまり、貫通魔法を振り回すことによる面攻撃。
奇しくもニヒツが使っていた『
無理な挙動に耐えきれず、『
だが、その一瞬で十分だった。
ニヒツは四肢を切断され、バラバラに崩れ落ちる。
もはや動くことなど不可能。
戦闘は終わったのだ。
「容赦ねぇな。フリーレン」
「なんでヒンメルを殺したの?」
「あのクソイケメンに嫉妬したから」
「嘘」
「ハイターの酒癖が酷いから」
「嘘」
「師匠のしごきが嫌になったから」
「嘘」
「ヒンメルのことが好きだから」
「…嘘」
「フリーレンのことが好きだから」
「……嘘」
「勇者の富と名声が欲しいから」
「それは嘘」
「……フリーレン。『嘘を見抜く魔法』なんて持ってたのかよ。こりゃ無駄にお話しない方がいいなぁ。隠し事が苦手な俺は全部フリーレン様の卑劣な魔法で喋っちまいそうだ」
「話さないとこのまま殺す」
「『真実を喋らせる魔法』は知らないらしいな。フリーレン、お前はそういうの向いてないよ」
ニヒツの頭部、そのすぐ隣の地面に大きな穴が空く。
しかし、ニヒツは微塵も動揺を見せない。
「魔法ではフリーレンには敵わず。剣ではヒンメルに敵わず。盾としてはアイゼン師匠に勝てない。支援や治癒でハイターに勝てるわけもない。やっぱり俺は中途半端だったな」
「ニヒツ、答えろ」
「でもな。俺にはもう一つ特技があるんだよ。『遠隔操作魔法』だ」
その言葉と同時に、ニヒツの鎧が力なく地面に倒れる。
鎧の中には……
先ほどまで感じていたニヒツの魔力も感じない。
「逃げられたか」
これまで感じられたニヒツの魔力を全く感じない。
完全に手がかりを失った。
「何が『魔力を隠すのが苦手だ』だ。めちゃくちゃうまいじゃないか」
残された鎧の残骸を眺め、あたりの魔力を探るが、どこにも見当たらない。
「これじゃ埒が開かない。ハイターとアイゼンの協力がいる。ヒンメルなら…」
『ヒンメルならどうする?』
……。
答えは分かっている。
フリーレンはハイターたちと合流するため、村のある方角へ向かった。
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1位.【魔法少女はここにいる】 〜たまたま声をかけた女の子が勝手に魔法少女に変身して悪の組織と闘い始めた時のマスコットの気持ちを述べよ〜
2位.うちの弟は転生者らしい
3位.100日後に死ぬシュティレ
カタカタ。
「イッタカ?」
バラバラになった鎧が独りでに組み上がる。
足が、胴体が、腕が、そして最後に兜を頭部の辺りに置く。
「まさか既に死んでるのに死んだふりを使うことになるとはな。パーツをフリーレンに持ってかれなくて良かったぜ」
鎧についた泥を落とし、魔力を偽装したまま目的地を目指して歩き出す。
今回、文字通り泥を被ってでも一芝居打つことになった元凶へ。
「それにしても尋問前に四肢断裂なんてフリーレン容赦無さすぎるだろ。普通のやつはそれで死ぬぞ」
フリーレンのあまりにも余裕がない表情を思い出す。
『ヒンメルの死を体験する』
これが最後のピースだった。
「これでもう少しヒンメルのことを意識してくれれば良いんだが……それももう俺には関係ないことだな」
ニヒツに残された時間は短い。
ヒンメル達へのお節介はこれが最後になるだろう。
「後はうまくやってくれよ。生臭僧侶」
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