魔王と魔王   作:一般龍人族

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https://syosetu.org/novel/266786/3.html
これの完成版兼新連載
ハジメの性格が悪い&キショい感じになってるのでファンは要注意ね。

所々追記と修正があったから一応再投稿。 


アナザーセカイ2019

この本によれば…………。

 

普通の高校生、南雲ハジメ。彼は異世界トータスに転移してオルクス迷宮の奈落に落ち、力を手にして最低最悪の魔王になる未来が待っていた。

 

 アナザーライダーの力さえも手に入れ、悪行を尽くす彼の前に立ちはだかるのは仮面ライダー達。激闘の末に勝利するのは果たしてどちらなのか…………それは未来のお話…………。

 

…………ん? お前は誰なんだ、ウォズなのか、って?

 

…………ふふっ。

 

…………さて、語り部の私は一体誰なのでしょうね?

 

さあ、物語の始まりです。

 

私の正体も、物語が進めばいずれ分かる……かもしれませんね。

 

 

「よぉキモオタ!」

 

 南雲ハジメは机が大きく振動したことにより居眠りから目覚めた。

 

 顔を上げた彼の前にはニヤついた顔をしている檜山大介がいた。その後ろには彼の友人である中野信治、斎藤良樹、近藤礼一がいた。

 

「今日も遅刻ギリでホームルーム前から居眠りかよ? 俺たちはいつも真面目に授業受けてんのに良いご身分だなぁ、おい?」

 

(…………檜山か…………)

 

 寝ていたところを起こされた上に、檜山に絡まれてハジメは一気に苛立ち、内心で舌打ちをした。

 

「どうせ、ネットでエロ画像でも漁ってたんじゃねェのか? そんなんするくらいなら授業中起きろよなあ」

 

檜山はこうしてハジメに毎朝いわゆるダル絡みをしてくる。暴力や窃盗といった危害を加えられたことはないが、こうしてダル絡みをされるのは鬱陶しい。折角ぐっすりと安眠をしていたというのに。

 

 それにキモオタと呼ぶが、身だしなみや言動は見苦しくない。髪は短めに切り揃えているし寝癖もない。どもらずに受け答えはちゃんとしてる。大人しいが、いわゆる陰キャではないだろう。その辺の奴らと一緒にしないで欲しい。

 

 それこそ、自分よりキモオタみたいな見た目をしてるやつがいるだろうに。よく分からない奴らだ。

 

 だが、こういうのは適当に流してさっさと場を収めておくに限る。そうすればまた寝られるのだから。

 

「いや〜、あはは……その通りだね、うん……」

 

ハジメは苦笑いしながらそう言った。

 

(あ〜、めんどくさ……)

 

しかし場を流すためとはいえ、なぜこんなやつのご機嫌取りをしなければならないのかともハジメは思っていた。

 

「言うことはそれだけかよ? へらへら笑っとけばそれで済むと思ってんのか? 随分と舐めた野郎だなあ、おい」

 

(…………さっさと席に戻れよ…………寝れないだろ…………)

 

 尚もハジメに絡もうとしてくる檜山に再び内心で舌打ちするハジメ。

 

「ちょっと檜山くん!」

 

 そんな時、一人の女子が檜山に注意する。

 

「ああ? 何…………し、白崎さん!?」

 

「あんまりそう言うこと言うのは良く無いよ。南雲くんが困るでしょう?」

 

「アッハイ、スイマセン……」

 

注意されてそそくさと檜山は引き下がった。

 

「南雲くんおはよう。今日もギリギリだったよね? もっと早く来ようよ」

 

「ああ……うん……おはよう、白崎さん……まあ……そうだね……」

 

 檜山に注意し、ハジメに話しかける女子の名前は白崎香織。

 

 腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳は優しげであり、スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

しばらくして、香織の後ろから三人の男女がやって来る。

 

「……おはよう、南雲くん。今日も相変わらずなのね」

 

「香織、また彼の世話を焼いてるのかい?」

 

「飽きねェもんだな。そんなやる気の無いやつに何言っても無駄だと思うぞ?」

 

一人目の女子は八重樫雫。

 

香織の友人である。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークで切れ長の目は鋭い。

 

 172センチメートルという女子の中でも高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気を持つ。

 

彼女の実家は剣道場を営んでおり、雫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという猛者である。雑誌の取材を受けることもしばしばあり、ファンもいる。

 

次に香織に声を掛けたのが天之河光輝。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能だ。

 

 顔立ちは整っており、光沢のある茶髪と優しげな瞳、180センチメートル近い高身長に細身ながら引き締まった体をしている。

 

 小学生の頃から八重樫道場に通う門下生で、雫と同じく全国クラスの猛者だ。雫とは幼馴染である。

 

 最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎。光輝の友人だ。短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、190センチメートルの身長という大柄な体格を持つ。

 

 龍太郎はハジメのように学校に来ても寝てばかりのやる気がなさそうな人間はあまり好まない。現に今も、ハジメに呆れた視線を向けている。

 

「ああ……おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。まあ自分でやってることだからさ、仕方ないとは一応思ってるよ」

 

「分かっているのなら直すべきなんじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのもどうかと思う。なまけてる生活をちゃんと改善すべきだ。日頃から授業中に寝るのは良くない。というか、寝てるのはいつも君だけなんだぞ」

 

「全くだ。俺だって勉強は苦手だが、授業中は起きて板書ぐらいは取ってる。寝るんだったら休み時間にしたらどうだ?」

 

(知らないよそんなこと……天之河と坂上は一々うるさいな……)

 

 周りが起きてるからなんだというんだ。そんなの知ったことじゃない。勝手にやってれば良いだろう。

 

「まあ……2人の言い方はちょっとキツいけど、一理はあると思うわ。こう言ってくれてるし、せめて午前中くらいは起きてみたら?」

 

(八重樫雫……この人も顔はタイプだが、こうして注意してくるのが正直気に入らない)

 

 3人とも全員直せと言ってくる。だがそんなつもりは毛頭ない。“趣味の合間に人生“、それが自身の座右の銘だからだ。自分が寝ようが徹夜でゲームしようがそれは自身の勝手だし、他人にどうこう言われる謂れ筋合いはない。放っておいてもらいたいのだ。一々構われるのは鬱陶しい。

 

(…………本当にこいつら目の前から消えて欲しい。ぐちぐちうるさいし、目障りすぎるんだけど)

 

内心で光輝達に毒突くハジメ。小さく足をゆすり始めた。

 

(……が、とはいえ)

 

 ハジメは香織へ視線を向ける。可愛らしい顔立ちが目に入った。

 

(白崎は別にいてもいいかな。顔自体はタイプだし。それにもしもこの人が僕のことが好きで、告白してくるなら付き合ってやらないこともないしね。というか、絶対好きでしょ僕のこと。普段から話しかけてくれるし)

 

 次に雫へ視線を向ける。凛々しい顔立ちが目に入った。

 

(八重樫も一応タイプだからなー……居てもいいかな)

 

もしも朝から絡んでくるのが、白崎香織と八重樫雫のような美人二人だけだったらまだ気分は良い。それに実はこの二人、やはり年齢故というべきか胸が結構発育している。そう言う意味でも目の保養になる。

 

 体育の時間に走っている時、それはまあ凄かった。擬音をつけるならブルンブルンと、上下に揺れるものなのだから。その上体操服を着ているから身体のラインがはっきりと分かるため、胸が余計に際立つ。

 

それで世話になった男子はいるだろう。更に運動後の汗で服が透けて下着が見えたこともあり、それで世話になったりもしてるはずだ。かくいう自分も少し世話になった。

 

(消えるなら、まあ天之河と坂上かな。ああ、それと檜山達も消えて欲しいや。…………あーあ、漫画みたいな力があればすぐに消せるのに)

 

 自分にとって目障りなものを消す力が欲しいが、無いものねだりをすることしか出来ない。リアルというのは何処までもクソだと思っていた時————。

 

————力が欲しいか?

 

「………………?」

 

 何処からか声が聞こえた。周囲を見渡してみるが、声の主らしき人物は誰もいない。少なくとも、目の前にいる光輝では無い。

 

————自分に立ち塞がるもの、気に入らないものを全て潰せる、そんな力が。

 

(…………力…………)

 

 気のせいかと思ったが、再び声が聞こえた。ハジメはそんな声の主に囁かれた言葉の一部を心の中で呟く。

 

————お前が望みさえすれば、これ程までに素晴らしい力が手に入る。

 

 その言葉が聞こえた時、脳内にビジョンが浮かんだ。

 

 それは、様々な異形達が戦う姿。圧倒的な力で、立ちはだかる敵を捩じ伏せている。

 

 先の声を信じるなら、こんな力が自分に? まさか、なんて思うが先程の光景がやけにリアルだった為に、半信半疑となっていた。

 

「なっ、何だ!?」

 

 その時、光輝の素っ頓狂な声が聞こえた。その声の原因はすぐに分かった。

 

 彼の足元に光り輝く魔法陣があったからだ。やがてそれは巨大化し、教室全体に広がる。その場にいた誰もが、その光景に動揺し驚愕していた。

 

 ハジメもまた同様だった。その場から動けずにいた。でもそんな中で、頭の中で先程の声の言葉を思い出した。

 

 立ち塞がるものを潰せる力。

 

 気に入らないものを潰せる力。

 

 素晴らしい力。

 

 そこで、ハジメは思った。

 

 この魔法陣が晴れた後には異世界が広がっていて、自身はとてつもない力を手にできるのではないか、と。

 

 余りにも突飛な発想だ。それでも少しばかり期待してしまう。あの時聞こえた声と、異形達のあの光景、そして、この魔法陣。突飛な発想をするには充分な出来事が短時間で起こっているのだ。

 

————少年よ、お前は王だ。

 

 また、さっきの声が聞こえてきた。

 

————全てを手にする世界最強の王だ。 

 

 その言葉に、高揚感を覚えざるを得ない。

 

 王。最強。世界最強の王。

 

————異世界で待っているぞ。

 

 その間にも、徐々に魔法陣の光は強くなっていた。

 

————南雲ハジメよ。

 

「皆! 教師から出て————!」

 

 視界が真っ白に塗りつぶされる前に聞こえたのは、謎の声と、教師の愛子の避難を促す言葉だった。

 

 しばらくして、ハジメは瞑っていた目を見開く。そこは、先程までいた教室では無かった。

 

「ようこそトータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ」

 

 老人の声が聞こえたのは、すぐのことだった。

 

 この時、予測が出来ていた者はいたのだろうか。一人の少年の心に秘めていた小さくて、身勝手な憎悪が、やがては世界を揺るがすほどの途轍もない悪意となることを。

 

 最悪の魔王が誕生するのは、そう遠くない未来の話である。

 

 

 戦いの始まりは平和の終わり。

 

 つまり今の街は戦場と化しているので、平和ではないということらしい。

 

「だあああああっ!」

 

 色がマゼンタでライダーという文字が嵌め込まれている仮面の人物がいた。その名も仮面ライダージオウだ。

 

 ジカンギレードをガーディアンやらマスカレイドドーパントやらのいわゆる戦闘員怪人に向けて振るう。当然、その攻撃力に耐えきれることなんてなく纏めて爆散。

 

「でやああああっ!」「ふんっ!」「はああああっ!」

 

 掛け声が3人分ほど聞こえる。仮面ライダーゲイツ、仮面ライダーウォズ、仮面ライダーツクヨミだ。彼らもそれぞれ怪人を倒していた。

 

 戦いは終わった。つまり、平和は戻った。

 

「とりあえず片付けられたな」

 

「うん……」

 

 ゲイツからの呼びかけに頷くジオウ。

 

「ここ連日、このような事態ばかりだね」

 

 ウォズがそう言った。

 

 この数日間、町に歴代の仮面ライダーが戦った怪人が出現し、人々を襲う事件が発生していた。

 

 とはいえ出現する怪人は雑魚ばかりなので、早く倒すことはできていた。

 

「一体誰が怪人を出現させてるのかしら……」

 

「探している犯人は俺のことか?」

 

 ツクヨミが呟いた時、後ろから声が聞こえた。

 

そこには、黒いローブとフードで身体と頭を覆っているいかにもな人物がいた。

 

「そろそろ良いタイミングかと思って現れてやったぞ?」

 

 声からして男、かと思われる。

 

「お前は……!?」

 

「この世界では初めましてだな、常磐ソウゴ、仮面ライダージオウ。それと最初に言っておくと俺はタイムジャッカーではない。時の力を持ってはいるがな」

 

「この世界? タイムジャッカーじゃない? じゃあお前は……!」

 

「そうだな……世界の裏で暗躍をする者……とだけ言っておこうか」

 

 男は自身をそう名乗った。

 

「突然だが、今からお前には異世界へと行ってもらう。そこでは狂った神によって異なる種族が争っており、その上お前がかつて戦ったアナザーライダーの力を持つ者……魔王がいる。お前はその魔王と狂った神から……世界と民を守れるかな?」

 

「異世界……? 何を言ってるんだ! オーマジオウのウォッチが消えたのもお前の仕業か!?」

 

 ジオウは男に問い詰める。

 

 実は数日前、オーマジオウライドォッチが突如として消失したのだ。

 

 その犯人を男では無いかとジオウは疑う。

 

「質問は受け付けてはいない。ひとまずはここでお別れだ、常磐ソウゴ」

 

『DECADE……!』

 

 男は黒い懐中時計のリューズを押す。それの正体はアナザーディケイドライドウォッチ。

 

 それが押された瞬間、大きな黒い渦が発生する。その渦は強風を発生させてブラックホールのようにジオウ達を吸い込もうとする。

 

「くっ……! まずい……!」

 

 必死に抵抗しようとするジオウだが、渦の勢いは増すばかり。

 

 そして、地面が足から離れ渦に吸い込まれるのはすぐのことだった。

 

「ジオウ!」「我が魔王!」「ソウゴ!」

 

 他3人が手を伸ばそうとするが、地面から足が離れ、渦に吸い込まれた。

 

黒い男はその光景を見届けた後、霧散して行方をくらました。

 

「へぇ…………」

 

 建物の屋上から、事態の一部始終を眺めていた者がいた。

 

「面白いことになりそうだ」

 

 男は、後ろに出現した銀幕に向けて歩き出す。その手にシアンの銃を持って。

 

「………………」

 

 同じく、一部始終を見ていた者は、首にかけていた二眼レフカメラで撮影した写真を見つめていた。

 

 写真に映るのは、仮面ライダージオウと異形が対峙している姿だった。

 

 彼も、振り返って銀幕の中へと姿を消した。

 

 戦いへの幕は、開かれた。

そろそろソウゴくんの話を見せろって人〜!

  • は〜い!
  • ハジメの話を続けろ〜!
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