レイヴンの火、ルビコンの解放者、コーラルリリース。
三つの選択肢を終えた強化人間C4-621または独立傭兵レイヴンは四度目の覚醒を果たす。
だがそこで待っていたのは開拓惑星ルビコン3の戦果ではなかった。
621にとって未知の勢力が悪意を持ってうごめき、地球に災いを齎す複数の世界観が交錯するスーパーロボット大戦の世界だったのだ!

AC6側のネタバレ要素があります。読み進めるにあたりご注意ください。

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今度は621がよそ様にお邪魔するお話です。


四度目はスーパーロボット大戦だったC4-621

『メインシステム、戦闘モード起動』

 

 何度も何度も繰り返し聞いたCOMの音声に、意識が明瞭とし始める。

 彼の遺志を継いで星を焼き。

 人とコーラルの共生の可能性を求めて遺志に背き。

 三度目の選択肢としてコーラルリリースのトリガーを引き。

 そして、今度は……

 その全ての道で焼かれた脳でも失いたくないと、失ってから感じる誰かを失い続けて、あるいは自ら手に掛けて、そして今度は?

 自分の身体と神経接続された機体──アーマードコア(AC)・LOADER 4が、高熱源反応を探知して、未知の何かが接近中であることを告げる。

 

「?」

 

 おかしい。終わらせて、また始まる時、傭兵支援システムを騙るオールマインドとハンドラーの声が自分を迎えるはずだ。

 それが、どうして、もう戦闘が始まろうとしている?

 個体としては第四世代の強化人間C4-621または独立傭兵レイヴン、G13と呼ばれるソレは、さざ波ほどの動揺を覚える。

 それでもこちらを捕獲しようとしていた、白い甲虫型のメカに対して遅滞なく反応できたのは、数限りない戦いを乗り越えてきた経験が三度の繰り返しを経ても色あせることなく、621の血肉になっているからだ。

 

 MTサイズの白い甲虫に向けて絶妙な間合いを見切り、LOADER 4の左腕に装備されたパルスブレードが起動し、容赦なく両断する。ただし621の想定に対してコンマ数秒、機体の挙動は遅れた。

 白い甲虫──アンノウンは一機だけでなく、LOADER 4のレーダーは複数の機影が速度を上げながらこちらを包囲しつつあるのを、621に伝える。

 

「……」

 

 これまでの繰り返しとは違う始まり方は、621にささやかな動揺をもたらしたが、そればかりでなく自分が足場のない宇宙空間に居ることも、その一因を担っていた。

 どんな道を選んだとしても、次に目覚める時に宇宙空間だったことはない。我が家も同然だったガレージの中だった。

 なにか自分の理解の及ばない事態が起きていることだけは理解し、621はなにより自身の生存を優先する。不測の事態を予測することは、もう十分に慣れている。そう教えられ、実践してきたのだから。

 

 宇宙空間での機体の挙動と自身の操縦に未知の部分はあるが、右手のアサルトライフル、右肩の四連ミサイルの残弾はまるまると残っている。

 ある意味でLOADER 4は最も慣れ親しんだ機体だ。最初に与えられた機体であり、多くのミッションをこなしてきた。今となっては性能に物足りない部分があるのは否めないが、この程度の窮地を乗り越えられない道理はない。

 

 アンノウン、後にメギロートと呼ばれる無人機だと判明するそれに向かい、621はアサルトブーストによって機体を一気に加速させ、距離を詰める。

 見る間に迫る両機の間で、三機のメギロートは破壊ないしはダメージを与えた上での鹵獲に切り替えて、サークル・レーザーを三方向からLOADER 4へと発射する。

 

 まったく同じタイミングで異なる方向から発射されたそれらを、アサルトブーストの解除による急減速と、細かな姿勢制御によって機体に掠らせることもなく回避し、敵機の内二機をマルチロック終了と同時に、四連ミサイルを発射。

 ミサイル発射の反動で機体が揺れる中、重力が存在せず容易く姿勢の変わる機体の操作に、すでに順応しつつある621は機体のモノアイで三機目を正面に捕捉。

 宇宙空間での戦闘に対する適応を、621は急速に終えつつあった。

 

 両前肢を広げてこちらへと突撃してくるメギロートの単調な動きに、正確に狙いを合わせてアサルトライフルの弾丸をフルオートで叩き込む。

 パルスブレードの手応えからして、平均的なMTよりは頑丈だが、四脚MTやACに比べて脆弱なのはもう分かっていた。アサルトライフルの銃弾は、一発目を皮切りにメギロートの頭部を中心に乱打して機能停止から爆発へと追い込む。

 

 マルチロックしたメギロートの内、かろうじて直撃に耐えた一機が内蔵したミサイルで反撃を試みるのを、クイックブーストによる瞬間的な加速とクイックターンによる鋭い切り替えしを織り交ぜた動きで翻弄し、再びパルスブレードの一閃で終わらせる。

 補給と修理の宛も無い以上、弾薬の消費は出来るだけ避けたいという意識が、最後の一手を選ばせた。

 宇宙での戦いはあの星で経験した戦いよりも、より全方位に注意を向け、三次元的な動きを試みるべきだ、と621の思考の一部は新しい戦い方を模索し始めていた。

 

 とはいえこれからどうしたものか、と強化手術の影響で脳を焼かれ、情緒の大部分を失った621なりに途方に暮れていると、機体のレーダーが離れた場所での戦闘をキャッチする。

 先ほどのメギロートだろうか? 自分と同様に誰かがメギロートと戦っているとして、最も可能性が高いのはこの宇宙で目覚める前に戦っていた彼か、あるいは共に戦っていた彼女か。

 

 考えたところで何も分からない、と621は戦闘の発生している宙域へと向けて、機体を加速させる。レーダーの反応からして、戦闘はさきほどのものより大きな規模で行われている。

 邪魔が入ることもなく最短距離を進む621は、機体が新たに感知した反応にわずかに脳波を動かした。

 新たに捉えたのは、コーラルの反応だ。あの惑星ルビコン3で発見され、半世紀以上前から多くの人々の運命を捕らえて離さなかった謎多き新物質。

 

 コーラルは宇宙空間などの特定の条件下で一定の量を超えると、指数関数的に増殖する特性を有する。それが、こうして移動中も広がる様子がないのを見るに、機体のジェネレーターとして使われているのだろう。

 コーラルをジェネレーターとして搭載しているのは、かつてルビコン調査技研と呼ばれた組織の開発したC兵器群の特徴だ。621は多くのC兵器を破壊してきたが、その中でこちらに来る可能性があるのは……

 

「……」

 

 621の予想は少なからず当たっていた。既に戦闘によって大部分が破壊されているが、先ほどのメギロートがまだ十機以上残り、二体のC兵器を鹵獲ないしは破壊しようと襲い掛かっている。

 コーラルの反応を示している機体は、二機あった。一機は可変機構を備えた白い機体SOL 644、もう一機はコーラルを用いた武装で固めた赤い有人機体HAL 826。

 どちらも621にとっては見覚えのある機体だ。きっと乗っているパイロットも621の知っている者達だろう。621が自らの感覚に従い、選んだ道の果てで対峙し、自ら手に掛けた彼ら。

 

『……レイヴン? レイヴンですか? 私の声が届いていますか?』

 

 SOL 644から通常の電波などとは異なり、621の脳深部に埋め込まれたコーラル管理デバイスを通じて交信が成り立ち、女性の声が届く。

 かつてルビコニアンのエアと名乗った彼女は、Cパルス変異波形と呼ばれる存在で、コーラルの中に発生したイレギュラーな精神体だ。旧世代の強化手術を受け、かつ致死量のコーラルを浴びた621だからこそ交信が可能な存在である。

 袂を分かって殺し合った時の機体を操るエアの声は、心なしか嬉しそうだ。

 

「621、その機体に乗っているのはお前なのか」

 

 残るもう一機、コーラルの色に染まったようなACからは、老境に差し掛かった男性の落ち着き払った声が通信越しに聞こえてくる。

 かつて保管されていた621を買い取り、ルビコンでの仕事を任せていた飼い主であり、雇い主だったハンドラー・ウォルターがパイロットを務めている。HAL 826もまたかつて621が自ら手を掛けた際に、ウォルターが乗っていた機体だ。

 そして三度目の戦いの時もある者の手に掛かり、破壊されていたのを621は目撃している。

 

 エアもウォルターも621にとって、最も縁の深い相手であり、何度も失ってからようやく失いたくないと気付いた存在だ。

 果たして二人に621のようにこれまで辿ってきた道の記憶があるのか、あるにせよないにせよ、ウォルター達は621を敵と判断するのか、味方と判断するのか。

 

 621はそれに迷うよりも、彼にとってエアとウォルターが敵だと判断していないことを示す為に動く。

 LOADER 4の接近に反応したメギロートが向きを変えるのに先んじ、発射された四連ミサイルが襲い掛かる。適性距離の外から発射されたミサイルはメギロートに回避されたが、動きを誘導する為に発射したものだ。

 

 回避行動を取ったメギロートの動きを見切り、その上を取った621が、ロックオンよりも速くアサルトライフルを発射し、銃弾の雨がメギロートの装甲を砕く。

 動きの鈍るメギロートに向けて機体を加速させ、重量を乗せた蹴りを砕けた装甲を目印に叩き込む。抗う力のないメギロートは蹴り飛ばされた衝撃で爆発し、その照り返しを浴びて赤く染まるLOADER 4を、エアとウォルターは固唾を飲んで見守っていた。

 

『それがあなたの意思なのですね、レイヴン』

 

「ひとまずこの場では共闘だな、621」

 

 二人の声に安堵の響きが大きかったのは、621の戦闘能力の凄まじさを最も間近で見てきた二人だからだろう。そして何より、二人とも621とは戦いたくなかったに違いない。

 残る六機のメギロートに対し、戦意を取り戻したSOL 644とHAL 826は負けるわけもなかった。

 彼らはこの時点で知る由もないが、メギロートは銀河の大国ゼ・バルマリィ帝国の主力兵器であり、大抵の惑星はメギロートだけで制圧可能な高性能機だ。

 

 LOADER 4やSOL 644、HAL 826も恒星間航行可能な文明の産物とはいえ、不慣れな宇宙空間で見る間にメギロートを全滅させた手練は、機体とパイロットの戦闘能力の高さと連携の巧みさを証明している。

 エアのみ一度だけ621と共に戦ったが、それ以前にも多くのミッションをこなしてきた621を見守り、オペレーターとしてサポートしてきた二人は、ある意味では621にとって、最良の僚機だった。

 

 621が駆けつけてからあっという間にメギロートを撃破した後、LOADER 4、SOL 644、HAL 826はそれぞれが三角形の頂点を描くような位置で、お互いを見ていた。

 エアにもウォルターにもお互いに対して、少なくない警戒心が残っている。

 三度の繰り返しの中でエアはウォルターの人となりを知ったが、彼の目的に対する忌避感と嫌悪感があり、ウォルターにとってもエアは惨劇の根源の可能性がある。

 場合によってはこの場で更なる戦いが起きても、おかしくない状況なのだった。

 

『レイヴン、あなたはどこまで覚えていますか? 私は覚えています。ルビコンの全てが燃やされたことも、人とコーラルの可能性が守られたことも、あなたとコーラルリリースのトリガーを引いたことも』

 

「621、俺は……お前が俺の依頼を果たしてくれたことに礼を言いたい。他の道をお前が歩んだことも分かっているが、それがお前の意思による選択ならば、それでいい。お前が自分の感覚に従った結果ならば、俺はそれを受け入れる」

 

 621に打ち倒された記憶もあるというのに、エアもウォルターも憎しみや恨みは抱いていないようだった。621は二人からの通信にほんの少し胸の奥がざわめくのを感じたが、それがなんであるか、621には分からなかった。あるいは忘れてしまっていた。

 二人に答えるべく621は通信機能を起動して、脳波を読み取ったツールが通信文を書き上げる。

 

 621もまた三度の繰り返しの記憶を保持し、今は二人と敵対する意思がない事、どうしてこうなっているのかは分からない事。

 そしてこれまで何度も袂を別ってきたが、今度こそは二人を失いたくない事を、ほんの少しだけ取り戻した情緒に突き動かされて、乏しい語彙で必死に伝える。

 

 どれだけ621の言葉が二人に届いたのかは分からない。分からないが、621の姿を見た時の二人の反応がなによりも雄弁に語っていたかもしれない。

 何を今更と怒る方が普通なのかもしれない。だが、エアとウォルターは少なくとも621に敵意や害意を向けることはしなかった。

 

『私もあなたとはもう戦いたくありません。それにあなたが私を選んでくれたことを覚えている。同朋達の声も遠いこの場所で、私にはそれだけで十分です』

 

 この場に存在するコーラルはエアとSOL 644、HAL 826のジェネレーターに封入されたコーラルだけだ。この状況では爆発的な増殖を危惧する必要もないだろう。

 ウォルターにとっては人生と命を賭けて果たすべきコーラルの完全焼却による、宇宙規模の災害を防ぐという目的が、変則的に果たされている状況だ。

 そのお陰で彼に多少の精神的余裕があるのも、最悪の事態に陥らなかったのに、少なからず影響はあったろう。

 

「この状況で争うのは愚かな選択肢だろう。そしてお前が621の言っていた幻聴、火種か。アーキバスの再教育センター送りにされた結果、火種の姿を見えるようになるとは皮肉なことだ」

 

 それはウォルターの遺志に背いて、人とコーラルの共生を目指した道での話だ。今のウォルターの肉体がどうなっているのか、621には分からなかったが、話しぶりからして、どうやら、SOL 644をコントロールするエアが見えているらしい。

 

『ウォルター。私は、今でもあなたの目的を受け入れることはできませんが、この場での戦いは選ぶ意思はありません。

 繰り返しの果てにルビコンではないこの場所で目覚めたことは、何かしらの意味があるように思えます。そして、ここでなら私達は銃を向け合わずに済むかもしれないのですから』

 

 エアは今ならウォルターとも交信できるのかもしれなかったが、それは621とだけの特別にしたかったから、機体に備わった通信機能を利用して、システム音声を利用する形でウォルターに自分の意思を告げる。

 

「……そうだな。冷静さを欠いていたか。エア、先ほどの発言を訂正する。お前は……621の友人なのだろう」

 

『……はい。私はレイヴンの友人です』

 

 どうやらこの場での戦闘を回避できたと判断した621は、かつてのようにウォルターに次の行動について指示を仰いだ。ルビコンと違い地盤も後ろ盾も無い以上、ウォルターにも方策はないかもしれない、とまで考えが及んでいない。

 

「こちらに来た時、俺以外にもカーラとチャティが居た。まずはカーラ達と合流を目指す。拠点代わりにするには大きすぎるが、とりあえず機体と体を休められる場所はある」

 

 それだけでも大きな前進だ。本質がコーラルのエアはともかく、強化人間とは言え621もウォルターも肉体の休息や睡眠、食事が必要だ。機体も今はまだ万全に近いが、整備が必要になるのもそう遠い話ではない。

 ウォルターのHAL 826に先導される形でその場を離れた621達は、周囲に漂う隕石群を抜けて進んでゆく。幸い、メギロートによる新たな襲撃を受けることはなかった。

 

「少なくとも俺達の目覚めたこの宙域がルビコン周辺星系でないのは確かだ。星系図や恒星からして、それは間違いない。これはまだ確証の得られていない、信じがたい推測だが……ここは」

 

『待ってください、ウォルター。前方で戦闘を確認。先ほどのアンノウンの他にも無人機らしい機体と、それに生物? こんな生物が宇宙には存在するのですか?』

 

 LOADER 4は進行方向に、全長二十キロメートルを巨大な恒星間入植船ザイレムと、ザイレムにたかる蠅のように飛び回るメギロートとハリネズミめいた無人機ガロイカ、そして黄色い目玉を備えたヒトデや直角貝の化け物達を捕捉した。

 メギロート、ガロイカ、化け物ことインベーダー達はお互いに敵対している様子で、ザイレムへの攻撃よりも先に、お互いの数を減らすべく戦っている。

 

 ザイレムも防衛システムが起動して、無人機のKITEが何機か出撃し、砲台も稼働して青白い光の奔流を放っている。

 そしてザイレムの周囲を飛び回っているのは、それらだけではなかった。

 

両手両肩の全てをミサイル系でそろえたAC『FULL COURSE』。

 

「来たね、ビジター。やっぱりあんたもこっちに来ていたか。アンタとは色々あったが、今は害虫退治に勤しもうじゃないか」

 

 軽タンクの脚部にバズーカ、グレネード、ミサイルを持ったAC『CIRCUS』。

 

「機体に問題は無さそうだが、お前自身はどうだ、ビジター。俺とボスは問題ない。ビジターが協力してくれるのなら、敵対勢力の排除は難しくないだろう」

 

 複数の企業が製造にかかわったヒロイックなデザインのAC『STEEL HAZE ORTUS』。

 

「君との巡り合わせがこうまで不思議なものとなるとは、夢にも思わなかったが、今は再会を喜ぶとしよう。また肩を並べて戦えて嬉しく思うよ、戦友」

 

 この三機のパイロットもまた621にとってかかわり深く、殺し合った経験のある人々だった。

 エアとウォルターのようにここでは戦わずに済むかもしれない、と甘い期待を抱く程度に情緒の戻っていた621は、数に押されているザイレム側に手を貸すべく、巡航モードを解除する。

 エアとウォルターも621の考えに異論はなく、同調した様子で621を止めず、各々の機体を加速させる。

 

「621、行くぞ。ザイレムを襲っているアンノウンを殲滅する」

 

『シンダー・カーラ、チャティ・スティック、ラスティ、彼らもこちらに来ていたのですね』

 

 621達はたった三機だが、しかし、惑星ルビコンにおいては一騎当千に値する三機だ。未知の機動兵器と生物兵器を相手にしても、このミッションを無事に完遂するだろう。

 エアとウォルターはわずかな陰りもない、満月のような確信を持っていた。

 ただ、次の瞬間に聞こえてきた大音声と大出力のビームには、驚きを隠しきれなかったが。

 

「ゲッタアアアアーーーービイィイーーーーーム!!!」

 

 621達がやってきたのとはまた別の方角から発射された、緑色の超高出力、圧縮されたゲッター線の奔流が無数のインベーダーと少数のメギロートなどをまとめて吹き飛ばす。

 ルビコンの空と宇宙を封鎖していた衛星砲を思わせるとんでもない一撃が、機動兵器単機の放ったものだと知ったら、彼らはもっと驚いたことだろう。

 

 悪鬼羅刹か悪魔か、真っ赤な上半身から蝙蝠のような黒い翼を広げ、馬鹿げたサイズの大鎌を手にした全高五十五メートルにも達する巨大な機動兵器が、五番目の勢力として乱入してきた。

 常識外れの速度に常識外れの機動、強化人間でも耐えられるか怪しい挙動を見せる機体が、真ゲッター1と呼ばれているのを621達は知らない。

 

「へ、インベーダー野郎どもだけじゃなく、バルマーにゲストの連中までいやがる。それに……」

 

「大きいな。バルマーの旗艦ほどではないが、二十キロメートルはある。インベーダー達と戦っているのは、あの船の艦載機だとして、モビルスーツか?」

 

「それにしちゃあ、連邦ともジオンとも違う見た目だな。アナハイムの隠し玉だとしても、どうも違和感がある。モビルスーツらしくねえ」

 

 真ゲッター1のパイロット流竜馬、神隼人、車弁慶がザイレムで行われている戦闘を見て、ひとまずの感想を漏らす中、彼らの次の行動を決定したのは真ゲッター1のメインパイロットを務める竜馬だった。

 

「戦ってみりゃわかるこった。インベーダー共は皆殺し、バルマーとゲストはぶっ潰す。あの人型の連中についちゃあ、初めましての挨拶をして攻撃してくるようなら敵、挨拶を返して来たら敵じゃねえ」

 

「野蛮だが合理的だな。あちらの機体群にしても、バルマー連中と敵対しているのなら、地球と共闘する可能性は考えられる」

 

 隼人の瞳は冷徹な光のまま、621達が味方として有用な戦力となり得るのか、それとも新たな敵となるのか、思考し続けているのが伺えた。

 

「アステロイドベルトで遭遇したのは、今度こそ良い宇宙人だったって、そういうオチになるなら歓迎だ。敵ばっかり増えているからな」

 

 弁慶は好戦的な竜馬、冷徹な隼人とバランスを取るようにして前向きな意見だ。だが、それも無理のないことだ。現在、地球にやってくる宇宙人はことごとく敵対的であり、いい加減、味方になってくれる宇宙人の一人や二人、地球人なら欲しくなってくる。

 

『レイヴン、これまで交戦してきた惑星封鎖機構の特務機体やC兵器とも異なる未知の兵器です。……非常にユニークな外見をしていますが、極めて強力な兵器と推測されます』

 

「621、あのアンノウンに対して、今は様子見に徹しろ。少なくともこちらよりも、無人機や化け物を優先している様子だ」

 

「……」

 

 信頼するオペレーターであるエアとウォルターからの指示に従い、621は真ゲッター1がインベーダーを優先して攻撃しているのを確認し、メギロートとガロイカの排除に動く。

 竜馬達ゲッターチームの所属している、地球帝国軍独立遊撃部隊『ガイアセイバーズ』本隊が到着する前に、ザイレムを襲う三勢力を撃退できれば、Sランク相当の評価を得られるだろう。

 621、エア、ウォルター、カーラ、チャティ、ラスティ達は意図せずして訪れたこの世界で、スーパーロボット大戦という世界の洗礼をようやく受け始めるのだった。


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