運動部に入りたかったけど、スポ根主人公はキツ過ぎる。又は。転生桜木in陵南高校 作:いちごケーキ
原作:SLAM DUNK
タグ:オリ主 憑依 性転換 男体化 SLAM DUNK スラムダンク 男体化
将来の事を考えるなら、三井襲撃が防げるかどうかも分からない以上、湘北以外の学校に行ったほうがいいよねって事で受験勉強をしつつ、桜木軍団に入れ替わりがバレないか戦々恐々とする日々。
バスケ部のわだくんとマブダチになって、目指せ!陵南高校バスケ部!!(続きません)
私はそこそこ平凡な大学生だと思う。
ハイキューやウマ娘みたいなスポ根アニメが大好きなのも普通だし、カフェ巡りが趣味な所は超普通。
変わった所は、カフェ巡りの為なら30km位は徒歩で移動する所位。
結果的に一般的な大学生よりは体力付いた思う。けど運動部所属の人なら余裕だろうし、平均よりは上かなって程度。
今日は奮発して、2000円のちょっとお高めのランチセットを食べに行く日だ。
辺鄙なところにあるから一時間居座っても客が私以外居ないのもよくある店で、何で潰れてないか分からない。味はとても美味しいけど。私の予想は、店主が地主で趣味の店。
天気予報によると気温が39度だけど、片道10km位の距離だから歩けなくはない。頭痛と吐き気が止まらんけど、冷房の効いたカフェに入ればすぐ治るハズ。
少し休憩しよう。目の前の日陰で一休みだ。こんな暑い日は、日陰が涼しくて気持ち良い。後2kmで着くけど、少し眠くなってきたから5分だけ休憩しよう。
「……知らない天井だ。」
私調べでは、このセリフを一度言って見たい人は凄く多い。使える場面なんて来る訳ないって思ってたけど、まさか使える場面が来るなんて。
というか、何で私はここに居るんだ。まさか熱中症で倒れて搬送されたのか?
最近暑くて、散歩から帰った後は水と塩を摂取しないと目眩がヤバかったけど、まさか倒れる所まで行く位ヤバかったとは。
ちゃんと散歩中にアクエリ飲んでたのに!途中で無くなったけど…それが駄目だったのかもしれない。もしくは気温が高すぎたのかも。次から36度以上の時は、歩くのをなるべく控えようかな。
入院は初めてだけど、確か起きたらナースコールを押すルールだった筈。違うかもだけど、何もない部屋でボーっとしてるのも嫌だし、とりま押してみる。
「桜木さん、目が覚めたんですね!意識が回復して良かったです!」
「え……?いや、松田ですけど………?」
入院患者の名前間違えるとか、ナース適当過ぎるだろ。美人だから許すけどさ。まあ、美人じゃなくても態々文句まで付けないけど。
ていうか、桜木さん誰だよ。SLAM DUNKの主人公の名前しやがって、羨ましいぞ!いや目立ちそうだから、その名字が欲しいかって言われたら要らないけど。
「結果を見るに重度の記憶障害ですね。幸い日常生活は問題無く送れそうですが……いつ記憶が戻るかと聞かれましても、今の医学では分かりません。」
あー、これは二次創作で死ぬほど読んだ成り代わりだ。多分、有り得ないけど。名探偵コナンでも「どんなに有り得ないと思っても、最後に残ったのが真実だ」とか言ってたし現実だろうな。…夢じゃ無いよね?
「へえー、そうなんですか……家とか貯金通帳の場所とか分からないんで、そのへんどうにかなりませんか?」
状況を整理しよう。私は中学三年生の赤髪リーゼントの桜木花道らしいから、多分SLAM DUNKの主人公に成り代わってるんだろう。この成り代わりのメリットは、やって見たかったバスケが出来る事と、身長が伸びた所だな。
身長低いのが一番コンプレックスだったし、もし中学時代に逆行出来たら運動部入りたいとか妄想してたし、この肉体がSLAM DUNKの主人公なら過去の自分より明らか才能あるだろうし、これは大きな利点だ。
もし私がNBAに行けたとしたら、平凡な会社員より絶対楽しいと思う。そもそもアメリカに移住したいと思ってたし、丁度良い。
付き纏うデメリットは、家族に多分二度と会えないのと、時代が変わってるのと、スマホが無い事と、家事を自分でやらなきゃ行けない事と、喧嘩を売られそうな所か。
向こうの私が死んでたら、お父さんもお母さんも妹も悲しむな。多分。1番良いのは、向こうにもう1人の私が何事もなく存在してるって状況。
ここにいる私は誰だよって話になるけど、自分はオリジナルで、向こうに居るのはドッペルゲンガーって考えればまだマシ。それはそれで気分悪いけど、一生会わないドッペルゲンガーがいてもそんなにデメリット無いし。
最悪なのは、桜木花道と私の精神が入れ替わってる状況だ。桜木じゃ大学卒業出来ないだろうし、家族に迷惑かかりまくりのルートだ……二度と会えないだろうし、考えても分かんないし、どうしようも無いけど。
うん……起きた事を嘆いても仕方ない!とりあえず他のデメリットは、面倒な家事を自分でやらなきゃ行けないとかもある。
留学する為に、一応最低限の家事を練習しておいて良かった。してなかったら詰んでたかも。
火事場のバカ力で頑張ってどうにかなるかもだけど、こんな緊急時にそんな所まで頑張りたくない。
それに桜木は喧嘩しまくってたから、私も喧嘩売られそう。やだなぁ。人を殴りたいなんて大喧嘩したって早々思わないし、思っても実行したことないのに、不良と喧嘩なんて荷が重過ぎる。
他にも原作桜木みたいな根性出せるのかとか、性別変わってるのとかも面倒。
まあ原作の桜木の活躍を知ってる人がいる訳じゃないし、私のせいで全国行けなくてもバレないだろ。今後に期待な1年って評価で良いし。
家の場所の紹介とかは市役所の人がどうにかしてくれた。
そして記憶喪失以外の問題は無いらしいので、何かあったら直ぐ病院へって言われた後直ぐ退院した。
多分私の貯金は有限だろうし、記憶喪失というより憑依の弊害だと思うし、遊べる物がなくて暇過ぎるからとっとと退院するに限る。
どうでもいいけど、話す時の一人称は俺に変えた。中高生の男が私はキモいだろうし。
そんな事より、現状困るのは桜木軍団への対処。
見舞いに来てくれた時に記憶喪失の話はしたけど、性格が変わり過ぎてるだろうから仲良く出来る自信がない。
でもこの人達が居ないと三井襲撃の時に廃部になっちゃうし、不良のレッテルが貼られている状況で新しく友達を作れる自信が無いし、昏睡してた数日間毎日来てくれたらしいし、やっぱいい奴らなんだよな……。
うん、学校生活ボッチは嫌だし。頑張って仲良くしたい。
「花道ィ〜、退院祝いにパチンコ行こうぜ。」
「無理!俺はバスケ用のバッシュ買いたいから、金欠なんだよ。」
「ハァ?花道がバスケすんの?」
「辞めとけよ、1週間で飽きるから。」
「そもそもお前に、バッシュ買う金なんて貯めらんねーよ。」
『なーっハッハッハ!!』
桜木花道ならここでキレて頭突きするだろうけど、私は正当防衛でもないのに攻撃できない。私的にはヤンキーと話すだけで怖いのに、私がヤンキーしなきゃいけないなんて最悪。
今の私より身長低くても、見た目からしてやべぇし。これ友達してるの無理かも。てか今の私こいつらよりヤバいのかよ嫌だ。急いでなんとかしよ。
「あー……えっと、うっせぇなー頑張るっての。俺こっからパチンコ行かねぇで貯めるし……。」
「いやいや、お前にゃムリムリ。」
「桜木が何日パチンコ我慢するか掛けようぜ!俺3日!」
「俺も。」
「2日かな。」
「今日だろ。」
『なーっはっはっは!』
「あははは…また明日なぁー…。」
「おーよ。」
「へいへい。」
「頑張れよー、俺3日に掛けたんだそー!」
私がパチンコなんて無駄遣いする訳ない。てか高校受験の勉強なんて昔過ぎるんだから、ヒーヒー言いながら勉強しないと行けないのに。
あー時間なさすぎ!筋力とか維持しつつ過去問解かないといけないのに。湘北高校はノー勉でも入れそうだけど、進学コースとかあればそっち入りたいし……そもそも私なら、湘北以外もアリかも。
「……変な花道。」
「記憶喪失ってやべぇな。」
「こころなしか、頭が良くなった様に見える。」
「明日も花道、パチ来んのかな……。」
未来のNBA選手、桜木花道の自宅にお邪魔する。ちょっとドキドキしながら入ったけど、ボロくて汚いしパソコンも無い。まあ仕方ないけど。
……とりあえず明日の学校の準備しなきゃ、教科書ボロボロだったらどうしよう……新品同様の見た目だよ、学校持ってかなかったの?ノートすら無い買いに行かなきゃ……いや金ないし裏紙で……髪ヤバい、坊主とリーゼントの究極の二択に……飾ってあるの桜木花道の父親かな……もう死んでるんだっけ……。
気付いたら夜ご飯が完成してた。いつもより上手くできたっぽいのに、全然美味しくない。私と桜木だと味覚が違うからかも。
誰も見てないから足組んで食べちゃおう……こんな格好で食べててるのバレたら大体いつも怒られるのに。お米にマヨネーズかけてもいいんだよね……一人で食べると、静かでつまんない。
考えたくない。知らない事にしたい。運良く天才になれたのに悲しいのは、親不孝だからとかじゃなくて、私が寂しいだけだってこと。
感傷的になってても、朝が来れば学校がある。マジで私は中学校に通う訳なの?コナン君よりマシだけど、中学校に通う大学生ってありえない。まあ当然普通に来たけどね。
「…なんで桜木がこんな時間に?」
「さあ…。」
授業が始まる前になんとか桜木花道の席が見つかった。一時間目は歴史の授業。聞いてると私の頃と大体同じで安心したけど、内容が薄過ぎ。まあここは底辺ヤンキー中学だろうから真面目に聞いても仕方ないし、明日から内職しよっと。でも受験用の問題集なんて絶対持ってないし、図書室とかで探さなきゃ。
すっごい気まずい休み時間が始まるかと思いきや、強張った顔の若そうな先生に、別室でテストを受けろと言われた。
桜木は毎回確実に中間テストの日はパチンコに行ってたから成績が付けられないけど、今受ければ付けられるからとか。私がやった事になってるのかソレを!恥ずかしい!!ついつい手で顔面を抑えながら先生と別室に向かう。
中学校の勉強なんて殆ど忘れてたけど、ヤンキー学校だからか凄く簡単だった。3回見直ししても半分以上時間残ってるから困って、内申点なんて既に終わってるから突っ伏して寝ようとすると、先生が次のテストを受けさせてくれた。かなり簡単だから休憩なしで全教科終わらせた。あー気まずい。
「これで終了で。次のテストはありますか?」
「いや、ああ……待て!」
サクッと全教科終わったから教室に帰ろうとすると、明らかに困惑してるって顔の先生に呼ばれる。もしかして答え丸覚えしたとか思われてるかも。桜木が数学満点とかあり得ないって事かな、私もそう思うし。
「お前凄い頑張ってたんだな。学年五本の指に入る点数だ!」
「ああ……まあ天才ですから………?」
「……まあそうだな。でも教科書しっかり読んでなきゃ出来ないだろ!いつもみたいにパチンコ打ってんだと思ってたよ。」
それ正解。桜木花道はパチンコ打ってただろうね。まあ訂正する意味無いし、どうせ受験で使うし、焼け石だけど印象上げときたいから言わないけど。あやふやな記憶程度で学年五本の指に入るとかヤバいなホントに、先生めっちゃ喜んでるし。
「し、知らないっすよ。まあ強豪校でバスケしたいんで、受験の為に勉強したんじゃ……?」
「そういえばこの間お前、バスケ部に難癖付けに来てたよな。真面目にやれば上手くなるなって思ってたけど、まさか大会終わってから始めるなんてなぁ。
……いや、今からでも遅くない!今から勉強すれば、これなら確実に強豪校に行ける。」
何でバスケ部に桜木が難癖つけたんだろう?
あ、そういえばバスケ部のわだくん事件の話あったね。途中で対戦するんだっけな、後で彼が怪我するんだったような気がする。あんま覚えてない。
マンガちゃんと読んでおきゃ良かった。まだアニメしか見てないんだよな、映画一生見れないじゃん。まあ見てても原作通りにするなんて無理だろうけど。
原作花道と言動が確実に違うし、原作に書かれてる所完璧に真似するなんて無理だし、書かれてないとこなんてさっぱり分からんしなあ。
「ありがとうっす……出来る範囲で頑張ります。まー勉強以前に、受験する学校決めたり、参考書買う金貯めないと行けないんすけど……金ないんでマジでパチンコ行けないんですよ!」
「そうか……そうかお前親が………先生が参考書を買ってやろう!!勉強も放課後見てやる!!」
パチンコ行かない宣言で好感度アップ狙ったけど、めっちゃ感動してんじゃん。泣いてるし。不良と捨て猫かよおかしいだろ、どんだけ感動したんだよ。ありがたいけど流石に悪い、参考書って結構高かったハズだし。
「いいっすよ流石に。他人に奢ってもらうの悪いんで。いや……勉強は見てほしいっすけど。」
「いや息子もお前の才能を認めてるんだ、勿体ないってな。二人でうちの中学初の陵南合格者になるんだ!」
先生の息子バスケ部だったのか、先生に迷惑かけまくってるじゃん…いや成り代わって喜ぶ人もいるってのはある意味マシか。不良の桜木軍団とは距離置くしかないなコレ。
頭叩けば治るかもとか言われてボコられそうな気がして怖いし、アニメの桜木軍団も割と好きだったし、病院まで来て面倒見てくれたりして、やっぱなんやかんやいい奴らで好きだったけど、やっぱ進学先の方が大事だし。
……あれ湘北受験じゃなくなるの確定?まあ三井襲撃とかで詰むのもヤダし、原作厳守に人生かけらんないし、しゃーない。
「ありがとうございます!……ちなみに陵南高校の偏差値ってどれ位なんですか?」
「66だ。今の学力は測れてないけど後8ヶ月もあるから、一緒に頑張ろうな。」
66ってヤバいって、ちゃんと中学生やってた時より高いじゃん無理。でも先生からしたら急激に自力で学力伸びてる訳だし、説明付けられないよこれ。まあ最悪落ちても学力自体は上がってるだろうし、無料参考書と講師はめっちゃ欲しいから頑張ろっかな。
「……頑張ります。ちなみに落ちた場合の保険は、どの学校とかってあります?」
「……監督不在の翔陽か、選手層の薄すぎる湘北あたりだな。本当は海南大付属も受験させたいが……私立だから学費が、な。最後まで一緒に頑張ろうな。」
私は転生翌日から、大学受験の時より必死に勉強する羽目になった。転生物のテンプレから外れすぎ、何だこれ。
まあ強豪バスケ部に入れないのも嫌だけど、そもそも原作より根性なさそうな私だとバスケで大成できるか相当怪しいから勉強もしっかりしないといけない。偏差値40代の翔陽高校には行きたくないし、桜木軍団とは疎遠になったから湘北高校だと三井襲撃を防げないかも。
ある意味SLAM DUNKファンの中で凄く有名な、バスケ部の小田君と仲良くなれたのは驚いた。先生の家で、先生の息子の竜と一緒に勉強する事になってから色々あったけど、今は相棒とか呼び合えそう。
最初は敵視されまくってけど、一緒に頭が真っ白になるまで勉強したり、息抜きにバスケを教えて貰ってたら早々に許されてた。
小田親子に記憶喪失の事を話したら、本当はバスケがやりたかったけど不良仲間にずっと言い出せなくて、一緒にサボってるフリしながら必死に勉強したけど上手くいかず、頭を打った拍子に不良だった事を忘れたんだろうって解釈されたのもデカそう。
絶対違うけど他の理由も無いし、忙しいから放置してたら数日で学校中に広まった。家族が居ない桜木は不良仲間しか居場所がなかったのかもとか、環境が良ければ真面目な奴だったんだろうな可哀想にとかと一緒に。
都合は良いけど居心地悪い噂が爆発的に流布した辺りで、どことなくギクシャクしてた桜木軍団とは完全に疎遠になった。ファンとしては残念だし、面白い奴らだったから居なくなっちゃうとつまんないけど、ぶっちゃけビビってたからほっとした。
私が元々の桜木花道じゃないのに気付ける可能性があるのは、多分桜木軍団だけだし。一段落ついたらありがとうって一言くらい、話せると嬉しいんだけど。
これで、私の人生を掛けている受験が終了した。偏差値だけ考えるならC判定になるまで頑張れたけど、1・2年生の時の内申点が最悪だから本当に分からない。もし俺も竜も落ちちゃったら、一緒に湘北に行こうぜとかって話して気を紛らわせる。
多分竜は原作では湘北に進学してなかったと思うし、そもそも原作とか以前に竜は落ちても私立に行けるんだけどな。まあ湘北もそんなに弱くないし、私と一緒にバスケをするのは楽しそうって事らしいし、そうなっちゃったら竜の彼女の葉子さんも付いてくるらしい。
マンモス校の湘北高校は、幅広い偏差値から選べるみたいだから大学受験に悪影響はなさそうだけど、そんな適当な決め方でいいのか?うーん……昔の私も近い所受けて受かった学校って決めてたし、そんなものかも。まあ途中から私が竜と葉子さんの勉強も見たりしてたし、多分原作より学力伸びてるだろうからいっか。
携帯電話の電源を入れると、隣のクラスの水戸洋平からメールが届いていて、ビビりながら開くと体育館裏に居るから会おうって連絡だった。今問題起こすのはヤバいけど、ずっと会わないのも悪いしどうしようって竜に言ったら、遠くから見張っててくれるって言うから、怖いけど会ってみる事にした。
「こうやって会うの、久しぶりだな。まさか花道がここまで勉強するとはなぁ。」
『うんうん。』
私が桜木集団の全員と同時に顔を合わせたのは、半年より前の少しだけだった。ワザとではないけど、私は親友の桜木花道では無いので一方的に気まずい。クラスで大体敬語を使ってたから、思考が前と全く違うってのはもう隠せないし。
「本当に久しぶり。その、皆は元気にしてた?」
「コイツらが風邪引くってマジで思う?まあ桜木が居ねえからあんま楽しくなかったけど。」
「てか志望校陵南ってマジ?」
「俺らぜってぇ受かんねぇよ。」
「水戸ならワンチャンあるけどな。」
付いてきてくれる可能性あったのか、原作主人公の人徳すっげえ……男限定っぽいけど。あーあ、コイツらと話せる機会はもうほとんど無いのか、やっぱいいヤツらっぽいし残念。やっぱり、ちゃんと話しておけば良かったかな。
……いや、少しでも受かる確率上げる為には話せなかったし、偽桜木ってバレる危険もあるからやっぱ無理だったけど。
「んーお前らの事、あんま詳しくねぇから分からん。第一志望が陵南ってのはマジ。」
「ありえねぇ……。」
「受かる可能性あんの?」
「偏差値だけでならC判定だからOKだけど、内申点が悪すぎるからどうだろうな。受かんなくてもしゃーないレベル。」
「C判定……?偏差値66の高校に花道が……??」
「俺E判定だったのに……。」
「いやC判定ってOKなのか?」
「そっか……ちなみに落ちたらどうすんのよ。」
「落ちたら湘北高校の大学受験コースを二次募集で受ける。バスケ部の監督がすげえらしいし、自宅から通える範囲の公立で考えたら実質一択だった。」
「……普通に教えてくれるんだな。安心したぜ。」
「花道が俺らの事避けてるせいで水戸の機嫌が最悪だった。駅前のラーメン奢れ。」
「餃子も追加な。」
「てか貸してた3000円返せ。」
そりゃ桜木花道の別人格だって思われてるんだから、急に避け始めたのバレたらビビるだろうって事位、私も分かってたんだけど……受験の為だったし、本人じゃないってバレたくないし、こっそり会って許してもらうなんて上手く出来ないし、そんな時間そもそも無いからどうしようもなかったんだよ。マジで。
「あー……悪い。焼け石に水だけど、少しでも内申点稼ぐ為に不良のお前らから離れてたんだよ。薄々避けてるのバレてそうだなって思ってたけど……やっぱバレてた?」
「それは分かるさ。……実は俺も陵南希望にしてたんだよ。」
「水戸まで陵南かよー、寂しくなるな。」
「ずりーぞお前ら!頭良いからってよお。」
「ええーっ?!マジかぁ。」
ええ、水戸頭良すぎだよ!授業サボってのパチンコ通いなんて、ろくに勉強してないだろうに受かりそうなのか。私だったら絶対受からないわ羨ましい……そういえばブレイン担当だったっけ。ここにいるのが偽桜木じゃなきゃ素直に応援出来たのかな?……はあ。
「なんだよ……俺が来るのやっぱ嫌なのか?」
「嫌っつうか……万が一俺が落ちてて水戸だけ受かってたら複雑な気分だってだけ。まーそれでも合格祝いに焼肉位は奢ってやるけどよ、入院してた時も色々持ってきてもらったし。あ、当然食べ放題にしろよ!」
金しばらく本当になかったけど、父親の死亡保険かなんかが毎月入ってくるから、パチンコとかを一切辞めたら意外と溜まった。甘い物食いたいけど、この時代のケーキ全然美味しくねえし、自作は時間かかるからな。
「水戸だけ合格とか意味ねー!」
「それじゃどうせ水戸も湘北じゃん。」
「俺らは湘北第一志望だし、その方がいーや。」
「いやそれなら水戸は湘南行けよ、折角の合格が勿体ねぇよ。」
「行かねーよ。花道も居ねえのにエリート学校とか行かねぇ、絶対つまんねーし。」
「ほんとにそれで良いのか……?水戸と仲良かった桜木の記憶とかを俺は持ってない訳じゃん。性格とかも明らか別人だし、そんな事で決めない方がいいんじゃねぇの?陵南の方が湘北より偏差値高いし、そっちが受かったならそっち行けよ。」
「いやいや。誤魔化すのヘッタクソな所とか、意外と内向的な所とかまんまだし……記憶なくした代わりで頭良くなっただけだろ。」
やっぱり悪い事したな、すっげえ悲しそうな顔させちゃったよ。てかまさか性格全く違うって、全く気付かれてないとは思わなかった。実は他人の女が入ってるんだけどな。まあこんな風に考えてたら早々気付かないだろうし、お互い傷付かなくて大体ハッピーでしょ。まあ桜木本人はバットエンドだけど。
そういえば昔私の事を、知力を上げて身体能力を滅茶苦茶下げた桜木花道みたいだとか言った人いたなあ。ひでえ言い草だろって思ってちょっと覚えてたけど言ったの誰だったっけ?まあアニメ見ながら私も、私がもうちょい馬鹿だったら同じ事してそうだって、しょっちゅう思ってたけど。
あれって冗談じゃなくて、マジで私、桜木花道に似てたのかも……?
「……ふうん、そうなのか?……水戸が良いなら、まあいいのかな。別に俺はどうしても水戸に一緒に来て欲しいとかじゃねーけど、お前らとバカやるの楽しそうだって思ってた……。来た所でまったく困んないっつうか……」
「水戸だけの合格祝いにならなきゃいいけどな。」
「そしたら花道残念会に変更だな。」
「それ結局、全員湘北になるじゃん。」
『なーっはっは!』
「いやそれなら水戸は湘南だろ、折角の合格が勿体ない。」
「ねーよ。花道も居ねえのにエリート学校とか行かねぇ、絶対つまんねーし。」
「まじか。俺の責任超重大じゃん。」
「ダイジョーブ、桜木がマジで受かるのなんて期待してねぇから。」
「ふざけんな期待しろや!」
面倒見ようと気にかけてくれた事とか、ホントは私に対してじゃないんだけど嬉しかったし、急に転生だの憑依だのでワケわかんない時、桜木軍団にバレたくないって気持ちで取り繕えたっていうか。
合格の為に切り捨てちゃったし、私とじゃ仲良くできないと思ってたんだけど。
なんだ、意外と普通に話せるんじゃん。その内違和感膨らむかもしれないけど、もしもとか考えても仕方ないし、本人同様仲良くなれればいいなって事で良いや。
もし桜木花道に憑依できるとしたらなりたいですか?
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なりたい
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なりたくない
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三井ならなりたい