フリーレンと忘れられし時の勇者   作:エクソダス

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第11話

「フリーレン様、シュタルク様が……」

「……寝ているね」

 

 

 シュタルクが呪いにかかった、壁を背に眠っている。

 リンクはしゃがんでそれを見つめる。

 フリーレンはザインに問う。

 

 

「一時的にでも目覚めさせられないの?」

「今使える魔法だけじゃ五秒間目覚めさせるのが限界だ」

「ないのと同じですね」

 

 

 困ったように言うフェルン。

 すると、突然オカリナの笛の音が聞こえ始める。

 

 

「リンク様?」

「……これでよし」

 

 

 彼が吹いたのは『時の逆さ歌』時間の流れを遅くする特殊な笛の音。

 

 

(多分、呪いがかかるまでには時間が必要、これで少しでも遅く出来れば)

 

 

 リンクは吹き終えた後、口を開く。

 

 

「三人も、眠くなったら寝ても良いよ。僕がどうにかするから」

「リンク様?」

「大丈夫、寝ないのは慣れてるから」

 

 

 オカリナをしまうリンク。フリーレンは首を傾げる。

 

 

「相変わらず、手慣れてるね。でも、寝ないのは慣れてるって、徹夜得意だっけ?」

「うん、得意だよ……三日だけならね」

 

 

 その顔には、どこか影がある。

 

 

「……リンク様、ちゃんと寝てくださいね」

「ちゃんと寝るよ、三日後に月が落ちなければ」

「リンクってたまに変なこというよね」

「とにかく、急いだ方が良さそうだな」

 

 

 □ □ □

 

 

 原因を追跡していたら夜になった。

 フェルンは小休止だと言って眠り、起きなくなった。

 

 

「フェルンが起きない。小休止だって言ったのに……」

「フェルンも寝ちまったか」

「これは、いよいよまずいね」

 

 

 深刻そうに話すフリーレンとザイン。

 リンクは特に反応なく、木によりかかって座りぽけーっとしている。

 

 

「……リンク、お前も大丈夫か?」

「眠れない・三日の永遠・繰り返す・迫り来る月・顔怖い」

「何言ってんだ?」

「時の勇者、心の俳句」

 

 

 芯がありそうで無さそうなリンクの声に、ザインはため息を漏らす。

 そんな話をした後、シュタルクとフェルンを結界で守り、歩を進める。

 

 

「もう少しだ、反応が近い」

 

 

 少し歩いた後、ザインの言葉にリンクは警戒心を強める。

 

 

「……そう、じゃあザイン、リンク、魔物が出たら起こしてね」

「え?」

 

 

 フリーレンはそう告げた後、パタリと地面に倒れた。

 眠ってしまったらしい。

 

 

「……フリーレン、五秒じゃどうしようもねえだろ」

「仕方ないよ、とりあえずこの辺りに寝かせておこう」

 

 

 リンクはタルでも持ち上げるように担ぎ上げ、木陰に投げる。

 

 

「扱い雑すぎるだろ、いくら何でも……」

「大丈夫、彼女はきっと投げるだけで敵を倒せる」

「何言ってんの?」

 

 

 ザインとくだらない話をしていると、

 

 

 ――ドゴオオォォォンッ!

 

 

 突如、かなり近距離から轟音が鳴り響いた。

 ザインはすぐさま身構える。

 

 

「っ! 近いぞ!」

「わかってる、行こう」

 

 

 リンクは無表情に言った後、移動速度を上げる。

 

 

「ふっふっふっふっふっふっ」

 

 

 でんぐり返しで、だが。

 ざざざざざ――ッと地面を抉りながら、ものすごい速度でザインをおいていく。

 

 

「うおっはやっ! でんぐり返しってそんな早いもんだっけか!?」

 

 

 ザインの突っ込みはすぐに遠くなり、聞こえなくなった。

 

 

 □ □ □

 

 

 

「見つけた」

 

 

 一人になったリンクは、ようやく呪いの源と思われる魔物を発見。

 大型の花の魔物、葉っぱを触手にして戦っているようだ。

 

 

「?」

 

 

 しかし、リンクが想定していない事があった。

 既に誰か戦っている。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 少女くらいだろうか、槍を持って魔物のツルを捌いている。

 

 

「っ!」

 

 

 瞬間、その少女が弾かれて尻餅をついた。

 ここぞとばかりにツルが彼女を仕留めにかかる。

 

 

 ――シュッ。

 

 

 だが、それを容易くやらせるほどリンクも甘くはない。

 即座に少女の前に立ち、ツルを払う。

 

 

「よっと」

 

 

 その後、すぐさま武器を弓矢に切り替え、炎の矢を魔物目掛けて射る。

 その刹那、魔物は隅々まで燃え上がり、撃破に成功。

 

 

「思ったより早く終わった、ね、だいじょう……?」

 

 

 少女の安否を確認するべく、リンクは振り向く。

 だが、彼女は人間では無かった。

 

 

「え……」

「ん、ゾーラ族?」

 

 

 リンクは恐れない、何故なら会話が通じる種族だからだ。

 赤い鱗に奇妙な肌、見たことがない種類だが、間違いなくそうだった。

 

 

(なるほど、この子がファイが言ってた子か)

 

 

 そうリンクが納得していると、

 

 

「リン、ク?」

 

 

 赤いゾーラ族の少女が、リンクの名を呼んだ。

 否、正確には目の前の少年ではない()()()()なのだろう。

 リンクはくすりと笑い、言った。

 

 

「僕は、君の知る勇者ではないよ」

 

 

 □ □ □

 

 

 ザインが来るまで、リンクと少女は話すことにした。

 彼女の名はミファーと言い、気がついたらこの場所にいたらしい。

 

 

「さて、ミファー、だっけ。君はゾーラ族で間違いない?」

「あ、はい。ゾーラ族です」

 

 

 まずは確認のため、質問をいくつかすることにした。

 リンクは退魔の剣を取り出し、見せる。

 

 

「じゃあ、これは?」

「それは……マスターソード?」

 

 

 ミファーは目を見開く、当然の反応だ。

 この剣は認められた勇者にしか使えない、伝説の剣なのだから。

 

 

「どうして貴方がそれを……」

「時の勇者ってわかる?」

「えっと……確か、過去にルト姫と賢者の方、と共にハイラルを救ったと聞いています」

「それが僕」

「?????」

 

 

 ミファーがとても目を丸くしている。

 

 

「要するに、僕は貴方の知るリンクではないんだ」

「そう、なんですね……」

 

 

 ミファーはなんとなく悲しげな顔をしていた。

 

 

「……時の勇者を知っているなら、未来の方の時間か」

「え、なんですか?」

「いや、なにも。それにしても不思議。ゾーラの姫なのにすごく礼儀正しいんだね」

「ふふっ、ルト姫はおてんばだったと聞かされています。貴方からしたらそうかも知れませんね」

 

 

 くすくすと嬉しそうに笑うミファー。

 

 

「ねえ、君から水の賢者の力を感じたんだけど、それは何故かわかる?」

「あっ、一応神獣ヴァ・ルッタを使役できる、えっと、英傑……っていってもわかりませんよね」

「まあ、詳しくはないね」

「とにかく、それでだと思います。多分私が死んだ後は……水の賢者の称号を弟が引き継いだと思うので、血筋的に近いんだと思います」

「ふーん」

 

 

 リンクは様々な質問をした後、立ち上がる。

 

 

「色々わかったよ、ありがとう」

 

 

 彼女は近くの村の惨状を知り、いても立ってもいられなかったらしい。

 

 

「それにしても……昔のリンクみたい」

 

 

 つい、ミファーはそう呟く。

 目の前の少年が自分の知るリンクで無いことを理解してなお、彼に面影を感じていた。

 

 

「そんなに似てる?」

「はい、とっても」

「そっ、悪いね、君の知る勇者じゃなくて」

「い、いやっ! そう言う意味で言ったんじゃ」

 

 

 ミファーが慌てていると、リンクがある提案をした。

 

 

「ねえ、身寄り無いんなら、うちのパーティー来ない? 今人手がほしいんだ」

「え、パーティー?」

 

 

 ミファーは驚いた後、考える。

 リンクは話を続ける。

 

 

「今、うちのヒーラーがお姉さんがパーティーにいないって嘆いてて、どうかな? ゾーラ族は長寿でしょ?」

「……すいません、あの、わたし十代です」

 

 

 苦笑しながら、考えを纏めるミファー。

 

 

「時の勇者様に期待されるほど、あんまり実力には自信が……」

「そんなに難しく考える必要ないよ。同じ世界の出身同士、もう少しお話しよ?」

「えと、ならお言葉に甘えて……」

 

 

 ミファーは控えめに頷き、槍を抱えた。

 承諾したのは、なんとなく信用できると思ったからだ。

 

 

(この人の目……すごくリンクに似ている……)

 

 

 幼馴染みが、頭の後ろを駆け巡ったからだ。

 すると、ふと脳裏を駆け巡る事があった。

 

 

「あ、あのっ。そういえば……」

「?」

「時の勇者様も、食べるのですか?」

「食べる? 何を?」

 

 

 リンクは言っている意味がわからず、首を傾げる。

 

 

「えっと、岩とか……」

「え?」

 

 

 リンクが珍しく目を見開き、驚く。

 

 

「僕、ゴロン族に見えてるのかな?」

「い、いえっ! そうじゃなくて! 私の知るリンクは結構何でも、魔物とか岩とかも普通に食べる人だったので」

「……そうなの?」

 

 

 リンクは絶句した後、考え込む。

 

 

(そんな野蛮な勇者が、あれ、それならマスターソードをピッケル扱いしたり、盾で飛ぶとか言う話って……嘘じゃない?)

 

 

 たしか、その勇者は英傑と呼ばれていたらしい。

 つまり、ミファーのいう人物と、マスターソードをピッケル代わりにした勇者は同一人物?

 考えた後、リンクは呟く。

 

 

「……どんな人なんだ、英傑の勇者」

 

 




https://kakuyomu.jp/works/2912051604221811034

悪役令嬢もの、こっちもぜひ…!みて…!
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