蛍の何気ない朝   作:けとあいす


原作:原神
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蛍(主人公)のとある一日の始まりです。
時系列的には塵歌壺入手前。
割とテイワットに来たばかりのころ。

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はじめまして

二次創作を書くにあたり、蛍の解像度を高めるために書きました。
あまり書きなれていないので、読みにくい文章になっているかと思いますが容赦願います。

※蛍が主人公な世界線です。


蛍の何気ない朝

ひたすらに走って前を行く影を追いかけている。

逃げていく素振りもないのに離れていくその影は何度声をかけても決してこちらを振り向くことはなく、こちらから何度手を伸ばしても届かず、むしろどんどん離れていくようにさえ感じる。

 

息が切れても声が枯れても構うものかと追いかける。

 

追いかけて、追いかけて、追いかけて

 

その影は次第に小さくなり、その全身が伸ばした手の指の隙間から見えるほどに小さくなってしまったあたりで影が向かう先の光がその影を包み、影は次第に視界から消えようとする。

 

 ほたる

 

ようやく聞こえた自分を呼ぶ声に対して伸ばした手はやはり空を切る。

そこで視界はまばゆい光に包まれ、ひたすら走り続けて疲れ切った体は突如として重力に負けたかのように横たわった感覚に変わる。

 

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まぶしさに慣らすように少しずつ目を開ければ 昨夜何とか見つけた宿屋の窓から見える外の景色。

隣にはようやく見慣れるようになった幸せそうに眠るパイモンの姿。

ちょうどこの時期らしくそこまで強い熱を持たない陽の光はそろそろいつもの起床時間であるを知らせてくれていた。

何か夢を見ていたような気もするけれどそれがどんな夢であったかは既に分からなくなっている。

決して楽しい夢ではなかったのだろうな、というのは分かるけれども、楽しくないものをあえて思い出そうとも思わなかった。

ただ、ベッドから身を起こそうとする気力があまり湧かないのもまた確かで。

 

それでも習慣で体を動かそうとパイモンを起こさぬようにかぶっていた毛布からそっと抜け出し、凝り固まった身体をうーんと天井に向けて伸ばす。

そうするとぼんやりしていた頭が少し働いて様々な感覚が頭に届くようになる。

最初に感じたのは体中が汗で湿った感覚だった。

着ているパジャマも少し体に張り付いている気がする。

昨日遅くまで冒険をしてしまったためか、身体には少し疲れが残ってるような気もする。

面倒に感じがらもこのまま活動するのにも抵抗感があるため、シャワーを浴びる支度をする。せめての抵抗とばかりに髪を濡らさぬようにタオルで巻き、張り付くパジャマを籠に入れて一糸まとわぬ姿でシャワー室に入る。

 

鏡に映る自身の見目は美しい部類に入る自覚はある。そのあたりの感覚はテイワットでもほとんど変わらないようで、ひそかに安心した部分でもある。根本の感覚、感性が現地の人と全く異なる世界での居心地の悪さと言ったらなかったと遠い過去の経験から知っていた。その点、テイワットは居心地がよく友人も多くできたことに安堵もしている。偶々長居することになった世界がテイワットでよかったと思う。

大きな傷跡の有無だったり、肌の状態に問題ないことを確認して身体の汗を軽く流す程度にシャワーを浴びながら考えるのは昨日のこと。

 

昨日は少し欲張って冒険者教会で少し多めの依頼を受けてしまった。そのせいで帰りも遅くなって宿屋に入れたのも宿の主人が受付を閉めようとする直前に駆け込んだようなものだった。そのおかげで昨日冒険者協会で受け取った報酬はちょっとした量なモラになった。

もしかしたら今日ぐらいは少しのんびりしてもいいかもしれない。

パイモンもぐっすり眠っているし(いつものことだけど)、きっと一日ぐらい休みの日を設けたって昨日の頑張りを思えばかまわないでしょ。

自分に言い訳をして今日はのんびりと街中を周って過ごすと決めたら疲れもシャワーのお湯と一緒に流れていくような気がして気分が上がっていくのを感じる。

 

汗を流し終えて服を着てしまえば、今度考えるのは朝食のことだ。とはいえ、宿の部屋には台所もなく、作るにしても買うにしても外に出る必要がある。作り置きの料理があるからそれでもいいかと、新しく何かを準備することはやめた。面倒になったとも言う。

 

パイモンが起きるまでに外に出るための身支度を整えることにする。

テイワットの人間ではないこの身体はどういったわけか時間の経過を忘れたかのように成長することも老いることもない。成長しないこの身体を少し恨めしく思うこともあるけれども、あまり手入れをしなくても美しさをある程度維持できているのにはありがたいと感じる。だからと言って外に出かけるのに何もせずに出かけられるほど、女の子を捨てているわけではない。普段から肌の健康を守る程度のしているし、まして、今日は街中を歩いて回るのだから、簡単に目立たぬ程度とはいえ化粧をして出かけるのは女の子の嗜みだろう。

鏡台の前に座って、使い慣れた化粧道具で化粧を初めてしばらく経って、ある程度仕上がったころにパイモンが起きだす気配を感じる。

 

「おはよぅ...」

「おはよう、朝ごはん支度するからテーブルで待ってて」

 

言いながら、化粧を終え、朝食の支度をする。

その様子を見ながらパイモンは座って待っているのだけど、何かを感じたのか、たずねてくる。

 

「なぁ、蛍、今日はなんだか機嫌がよさそうだな?何かいいことでもあったのか?」

 

あまり自分ではそういった感情を外に出している自覚もなかったし、私の中ではそういった人の感情の機微に疎いと思っていたパイモンからそういったことが問われるのは意外でもあったけれど、そういったことは心のうちにとどめ、少し意地悪をしてみることにする。

 

 

「なんでだと思う?」

「そんなの言ってくれなきゃわっかんないぞ。」

 

朝食の支度を終えて、頭を抱えて悩むパイモンの正面に向かうようにして座る。

 

「あ!今日の朝食を少し豪勢にしたから機嫌がいいんだろ!いつもよりも品数が多いもんな!」

 

確かに品数は普段よりも少しだけ多く用意したけれども、予想通りの答えが返ってきたことに内心ほくそ笑みつつ、用意したセリフを演技がかったように言う。

 

「残念、はずれ。悲しいわ、パイモンはいつも食べ物のことばかり考えていてほかの事には目も向けてくれないのね」

「むっかぁ、なんだよ、わかんないって言ってるだろ!」

「まぁ、いっか、ご飯が冷めちゃうよ。さ、食べよ」

「えぇ、なんだよ、気になるじゃんかよぉ」

 

そう言いながら食欲に負けたのか、もやもやしながら一緒に食事を始めるパイモンをにやにやしながら眺める。

きっと何を言われても楽しく過ごせそうだな、とパイモンとの一日を想像しながら食事を勧める。

 

食事を終えればすぐに支度を終えて、外に出る。

今日もきっと楽しくて、美しい世界を見れるだろうと期待して。

 

 




兄がいないことへの不安だったり、ちゃんと女の子な部分が強い蛍がかわいくて好きだよねって、自己満足的なやつでした。
(自己満足のために投稿するので、今度読者向けに改善されるか不明)

パイモンに少し機嫌が良いのがばれてちょっと悔しい蛍とか、せっかくお化粧したのに気付いてくれなくて少しむくれ気味な蛍かめっちゃ見たい、かわいい、好き。

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