魔法少女リリカルなのはStrikerS 七課の剣銃士 作:ヒアデス
レツヤ【3700】アリシア【3200】
「うおおおおおおぉぉぉ!!」
「ブラマジフェイトキターーー!!!」
「フェイト! フェイトっ!! フェ・イ・ト!!!」
『よくやってくれたわアリシアー!!』
露出の高い衣装を着た、長い金髪のキャラクター――【
店長も立ち上がりながら雄叫びを上げており、さすがに実況どころではなくリホは両耳を塞いで
『やっと静かになった〜〜、失礼しました。【チヴィットリニス】と【アルフ】をベンチに送る代わりに、ついに現れました! アリシアのデッキに眠る最強の
「【
今の【
それを理解した瞬間、オレの頬に冷たい汗が流れる。対してアリシアは【ルーテシア】を指さし告げた。
「行けっ【フェイト】! ――“プラズマバーニング”!!」
攻撃力が2300しかない【ルーテシア】はなすすべなく普段の本人から想像できない悲鳴を上げながら消滅し、オレの
この状態のままもし【フェイト】に
「ブラマジフェイトちゃんの攻撃、“プラズマバーニング”キター!!」
「フェイト! フェイト!! L・O・V・E・フェ・イ・ト!!」
『いいわよフェイトー!! そのままやっちゃなさーい!!』
【フェイト】の活躍を見て、観客たちとアリシアの母親はつんざくほどの歓声を上げる。
まるでヒーローショーの悪役やってる気分だな。フェイトさん人気すぎだろ。あとあの母親、アリシアと【フェイト】の応援ばっかで解説として役に立ってねぇ。
「リバースカードを一枚伏せ、ターン終了! 次はレツヤのターンだよ。それとも
アリシアは小馬鹿にしたような笑みとともにポーズまで取る。それを見て観客の何人かも失笑を漏らした。
――あんなキャラと相手に負けた上にそんな醜態晒してたまるかよ!
「オレのターン、ドロー」
ちっ、守備キャラですらない。
「オレは伏せカードを二枚置き、ターン終了する」
壁キャラを出すこともできずターンを回すオレに、アリシアはにんまりとした笑みを向ける。
「威勢のわりに
「なに――!?」
「いでよ、かつて数多の犯罪者達を震え上がらせた黒髪の嘱託魔導師――【雷光少女プレシアちゃん】!」
【雷光少女プレシアちゃん】レベル6→4 AT1800/DF1500
アリシアの前にヒラヒラした服を着た黒髪ポニーテールの女の子が現れる……ってあれ、もしかして子供時代の店長か?
「いけ【プレシアちゃん】! サンダーウィップ!!」
主の命令とともに【プレシア】が振り下ろした電撃を帯びた鞭を叩きつけられ、【守備局員】は短い呻きを残しながら消失した。
『おおっと、本来はキャラを一体リリースして召喚しなければならないだけあって強いですねー! ……ところで、アリシアが召喚した【雷光少女プレシアちゃん】について解説さんから何かありませんか?』
『……できればちゃん付けはやめてほしいわ』
マイクを向け意地悪そうに尋ねるリホに、
「よそ見してる暇はないよ! 【
「――っ!」
恐れていた通り、がら空きになったオレに向かって【フェイト】が雷光を帯びた杖を向けてくる。オレはすぐに伏せているカードを開き――
「
カードを裏返した瞬間、オレの前に透明な鏡が張られ【フェイト】が放った攻撃を
だが、アリシアはすぐに伏せカードを掴み――
「こっちもトラップ発動、【スケアクロウ】。
アリシア LP3200→2700
向こうのトラップが発動した瞬間、アリシアに似ても似つかない
当然
「危ない危ない。油断してたよ。バトルフェイズが終了しちゃったから私はこれでターン終了。でも、【フェイト】の攻撃を跳ね返す策も失敗しちゃったね。そろそろ本当に降参したら♪」
確かに絶体絶命だ。
あっちには攻撃力1800と攻撃力3100ものキャラがいるっつうのに、こっちのキャラは全滅してがら空き状態。このままだと次のターンに【プレシア】と【フェイト】の二体の攻撃を受けて敗北しちまう。しかもその後はこの街にいる間ずっとアリシアを姉呼びする罰ゲーム付きだ。
『さあ、泣いても笑ってもここが正念場! レツヤ君はこのまま【
『逆転なんて無理だと思うけど。それよりちゃん付けだけは本当にやめて』
実況と解説(?)の漫才が響くが、そんなもん聞いてる暇はねえ。このドローで逆転できなければアウトだ。神様でもカードでもいい。オレに力を与えてくれ!
「オレのターン…………ドロー!」
躊躇する自分を叱り飛ばしながら
「今ドローしたばかりの【敏腕秘書アストン】を召喚!」
【敏腕秘書アストン】レベル3 AT1300/DF1000
『おおっ、イケメンメガネ秘書さん登場! レツヤ君グッジョブ!! でも、【プレシアちゃん】と【フェイト】が相手じゃ壁にしかなりませんね~。アリシアー、1ターンだけ攻撃中止ってわけにいかない?』
「イヤです~。次でほんとに強いの引いちゃうかもしれないし、
『もう好きに呼んで……』
勝った気でいるアリシアと実況どもが騒がしい。あいつらは無視して――
「魔法カード【ライフボトル】、このカードによってベンチにいるレベル4以下のキャラをフィールドに戻すことができる」
『「えっ?」』
アリシアとリホが間の抜けた声を返した直後、一度倒された【武装隊長ギャレット】がフィールドに戻ってくる。が、こいつらじゃあの二体には到底敵わない。
「【ギャレット】と【アストン】を素材として、レベル7のキャラクターをジャンクション召喚――主と仲間の声に応えて現れよ、【剣銃士レツヤ】!」
宣言した直後、【ギャレット】と【アストン】が粒子となって渦上の輪を作り、その下から剣と銃をそれぞれ片手に持った男の姿が現れる――自分を少年と表現するのは恥ずかしいのでこう呼ばせてもらおう――。
【剣銃士レツヤ】レベル7 AT2400/DF2000
「【レツヤ】で【プレシア】を攻撃、行けっ!」
オレの命令に【レツヤ】は頷き、【プレシア】に斬りかかる。【プレシア】は鞭を構えるもあえなく鞭ごと剣で断ち切られ、アリシアのLPも【2100】まで下がる。
だが――
「かかった! 【プレシアちゃん】がベンチに送られたことで【フェイト】の攻撃力はさらに300アップする! レツヤのバトルフェイズが終わったから、私のターン。【
【
攻撃力を上げた【フェイト】はおびただしい光を放つ杖を構え、【レツヤ】に向ける。が――
「
「えっ、いいの? レツヤ気前がいい! …………ってあれ? ベンチにいるキャラが戻るってことは……」
恐る恐る付け足すアリシアにオレは笑みを返しながら頷く。
「そう。【フェイト】に力を与えていた【リニス】、【アルフ】、【プレシア】も
【
『おおっと! ベンチからキャラが戻ってきたため、【フェイト】の攻撃力が元に戻っています。これで【レツヤ】との攻撃力の差はわずか“100”! これはもしかして――』
「オレのターン! 手札から魔法カード【託された意思】を発動。ベンチにいるキャラの数×100を【レツヤ】の攻撃力に加える!」
「えっ!? 今まで私が倒したキャラは……えーとっ……」
アリシアは空いた右手の指を折りながら必死に記憶をたどる。その答えが【レツヤ】の攻撃力の増加として現れた。
【剣銃士レツヤ】AT2400→3100
『攻撃力3100――なんと、【レツヤ】の攻撃力が700アップして【フェイト】の攻撃力を上回りました!』
「いけっ【レツヤ】! “ヴァリアブルキャノン”」
レツヤが構えた銃から放たれた橙色の魔力弾が【フェイト】の胸を撃ち抜き、彼女は静かに消滅する。キャラとはいえ、娘の断末魔や悲鳴は撮りたくなかったようだな。
アリシア LP2100→1500
「さらに【レツヤ】の特殊能力『居合抜き』、攻撃力を1000下げる代わりにもう一度攻撃できる。
【剣銃士レツヤ】AT3100→2100
オレの命令に応え、【レツヤ】は刀の柄を握りながら突貫する。それを前に――
「ちょっ――分かった! もう降参するから!!」
アリシアが降参しながら両手で身体を庇った瞬間、【レツヤ】はぴたっと刀を止める。
ほんとによくできた技術だな。ミッドの技術が使われてないなんて信じられん。
アリシア LP1500→0
RETSUYA WIN!
「オレの勝ちだな。約束だ、うまい昼飯を頼むぜ」
「それはいいけど――くやしい!! 初めてプレイする子に負けるなんて~〜!!」
アリシアはばたばた手を振りながら叫ぶ。それを見て観客たちから笑い声が漏れる中、リホがマイクを持ちながら告げた。
『アリシアVSレツヤ君のデュエルは、熱戦の末レツヤ君の勝利に終わりました! 手に汗握る攻防に逆転に次ぐ逆転、久しぶりにカードアニメを見た気分ですよー。プレシアさんもデュエルと実況の場を貸していただいてありがとうございます。解説としては役に立ちませんでしたけど』
『いいわよ。アリシアが楽しんでる姿も見られたわけだし。ところで、さっきのゲームはちゃんと撮ってあるわよね?』
店長の問いにリホは親指と人差し指で丸を作りながら頷く。
『それはもうバッチリ♪ もう【UZURIPO CHANNEL】で配信している上に今後いつでも観られるようにするつもりですから、プレシアさんも視聴者の皆さんもチャンネルを通して何度でも観てください。高評価とチャンネル登録もよろしく! レツヤ君もアリシアもお疲れさまでした~♪』
自身の動画チャンネルのPRを交えてリホが締めくくった――その時。
「プレシア店長、営業時間中に一体何をしているんでしょうか?」
氷のように冷え切った声がアリーナに響き、オレたちも観客もそちらに眼を向ける。
そこには店のロゴが入ったエプロンを着、短い薄茶色の髪をすっぽり覆うほど大きな帽子を被った店員が笑みを浮かべながら立っていた。額にびきびきと血管を浮かび上がらせながら。
彼女を見て、店長は顔を青くしながら、
「リ、リニス……ええとこれは、お店と
「私には仕事をさぼってゲームの観戦をしているようにしか見えませんでしたが……アリシアも今日はシフトから外れてるから遊ぶのは構いませんが、お母様の奇行を止めるぐらいはしてほしいですね」
「いやぁ、久しぶりに健斗たちが来たことだし、初めて来る子たちにもママを紹介した方がいいかなと思って。ママがいた方がデュエルも盛り上がるし。ねえリホ――っていない!」
がらんと空いた自身の隣を見ながらアリシアは素っ頓狂な声を上げる。あの人ならリニスって人が現れた瞬間に姿を消したぞ。
と内心でツッコむオレをよそに、リニスさんは御神さんたちに向かって頭を下げ――
「お久しぶりです、健斗、アインス。私たちは“所用”を済ませてきますので、健斗とアインスは七課の子たちを休憩室まで案内していてください。少ししたら私たちもそちらに行けると思いますから」
「ああ、待っているよ」
そんな会話を交わしてからリニスさんはプレシアさんとアリシアを引きずるようにどこかへ連れて行く。それを眺めてから御神さんたちの案内で休憩室とやらに向かうことになった。