魔法少女リリカルなのはStrikerS 七課の剣銃士   作:ヒアデス

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第38話 本部防衛戦(終)

「スバル……あなたたち、いったいスバルに何を……」

 

 意識のないスバルを黒いトランクに容れようとしている二人のナンバーズを見て、ギンガは呆然と彼女らに問いかける。

 それを見て――

 

「やべっ――」

 

「ちっ、トーレ姉がいなくなったからってダラダラしてるから」

 

 ぶるぶる肩を震わせるギンガを前に、ウェンディは急いでライディングボードに繋がっているトランクにスバルを容れ、ノーヴェは新たな獲物を捕まえようと飛び出し、拳を振り上げる。

 しかし、その直後――

 

スバルになにしたって言ってんのよおおおおーー!!

 

 ギンガが吼えた瞬間、彼女の左手に填められているリボルバーナックルが四発ものカートリッジを吐き出し、彼女の足元にナンバーズのものと同じ、幾何学的な模様の《(テンプレート)》が浮かぶ。

 その真上でギンガは渦巻き状に集まった空気を纏わせた左腕を振るい、その渦と拳をノーヴェのどてっ腹に直接叩きつけた。

 

「――ぐああああっ!!」

 

 その攻撃をまともに受けて、ノーヴェは鈍いうめき声をあげながら後ろに弾き飛ばされる。ウェンディは「ノーヴェ!」と叫びながら相方と敵に目をやり、そして見た。

 相棒を吹き飛ばした敵の目が金色に変わっているのを。

 

――ノーヴェや上の姉貴たちと同じ“金色の瞳”と強力なIS(スキル)。これがあたしたち(ナンバーズ)より先に造られた『タイプゼロ』の力と真の姿――。

 

「ウェンディ! そいつを持ってとっとと逃げろ! こいつを片づけてあたしも追いかける!」

 

「ノーヴェ! でもこんな奴ノーヴェ一人じゃ――」

 

「あたしは大丈夫だ! せめてセカンドだけでも連れて帰らねえと――」

 

うだうだ言ってないで、スバルを返せえええええーーっ!!

 

 つんざくような叫び声を放ちながら、ギンガはローラーで滑走してウェンディに迫ろうとする。

 ノーヴェは(かかと)部分のジェットを噴射させてギンガの前に現れ、右脚を蹴り上げる。だが、ギンガもまた自らの右脚を上げて相手の脚に蹴りをぶつける。

 その結果、ギンガのブーツ(ブリッツキャリバー)にひびを入れながらも、ノーヴェのブーツ(ジェットエッジ)は爆発を起こし、彼女の体ははるか後方まで飛ばされた。

 それを見てギンガは妙な響きの掛け声を漏らしながら右腕を掲げ、その声を渦巻き状の衝撃波に変えながら自らの腕に纏わせ、ノーヴェに狙いを定める。が――

 

「ぐうぅ……」

「っ――」

 

 愛妹(スバル)と瓜二つの敵が呻いているのを見た瞬間、倒れていたスバルとノーヴェの顔がだぶり、ギンガは思わず動きを止める。

 その隙を突くように――

 

「IS《エリアルレイヴ》――はあああああっ!!」

 

 ウェンディは板状のライディングボードを持ち上げ、その先端から桜色の砲撃を放つ。ギンガは即座に防御魔法を張って受け止めるものの、砲撃を相殺しきれずシールドが砕け、今度はギンガが後ろに吹き飛ばされた。

 砲撃を受けた脇腹からは赤い血とともに、火花を放つコードと機械部分(フレーム)が露出していた。

 

「――ノーヴェ、今っす!」

 

「でかした! 引き上げるぞ!!」

 

 砂塵の向こうでウェンディは宙に浮かべたライディングボードに乗り、ノーヴェも背中を向けて反対側に足を踏み出す。

 それを見て――

 

「待て――待ちなさいっ!」

 

 脇腹から走る激痛をこらえながらギンガは二人を追おうとする。

 だが――

 

『The main body was. The system rests(本体全損。システムダウン)』

 

 その声とともにブリッツキャリバーのローラー部分が砕け落ち、ギンガは勢い余って前のめりに倒れ込む。

 そこになのはとチンク、ティアナが駆けつけてきて、床に伏せているギンガと荒れ果てた現場、そしてリボルバーナックルを嵌めたまま千切れ落ちた右腕を見て……

 

「間に合わなかったか――」

 

 スバルがさらわれた事と姉妹が犯した凶行を知り、チンクは強く唇を噛みしめる。

 奥から響く二つのジェット音。ギンガ以外ではとても追いつけない。

 しかし、今のギンガとブリッツキャリバーでは……

 

――あの時、レツヤを止めず一緒にトーレを追っていれば――。

 

「畜生――ちくしょおおおおおっ!!」

 

 ギンガは涙を流しながら叫び、床を思い切り何度も殴りつける。

 そんなギンガを何も言うことはできず、なのはたちは苦渋の思いでナンバーズを追うも、彼女たちやスバルの姿はもうどこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

 一方、機動六課の隊舎の上でも……。

 

 

「ひどい……」

 

 燃え盛る隊舎を見て、キャロは悲痛なつぶやきを漏らす。それにエリオとルーテシアも無言で同意する。

 そこで隊舎から飛行()型ガジェットが浮かび上がり、その上に乗るポニーテール状の茶髪のナンバーズと、バインドをかけられた状態で彼女の傍に倒れている金髪の少女が目に飛び込んだ。

 

「――ヴィヴィオっ」

 

 それを見た途端、エリオの脳裏に“あの日”の光景がよみがえった。

 突然屋敷を訪れ自分をどこかに連れていこうとした白衣の男と黒服たち、『プロジェクトF』という言葉を聞いた途端あっさり抵抗をやめ自分を差し出した両親。

 

 それらを思い出してエリオは強く唇を噛み――。

 

「ストラーダ――フォルムツヴァイ!」

『Düsenform!』

 

 彼の得物、ストラーダはそう答えながら穂先の手前から複数の噴射口を出す。

 それを見て――

 

「エリオ君――」

「……まさか」

 

 キャロは後ろを振り返り、ルーテシアも旋空王の上から声をかける。

 エリオは立ち上がりながら――

 

「キャロ、ルーテシア、フォローをお願い!」

 

 そう言うや、エリオは躊躇なくフリードリヒから飛び降り、空中に身を投げだす。

 レツヤと違い、エリオは飛行魔法が使えないはず。だが――

 

『Explosion!』

 

 声とともにストラーダは数発のカートリッジを吐き出す。

 相棒を手に握りながらエリオは叫んだ。

 

「ブースト!」

 

 その命令に『Start!』と応えながら、ストラーダは噴射口から炎を吹き出し、主たる少年とともにガジェットの上に立つディエチに向かって飛びこんだ。

 ディエチは瞬時に巨大な狙撃砲を構え、躊躇なく砲撃を放つ。

 エリオとストラーダは一度動きを止め、真横に動いて砲撃を躱し、再びディエチに穂先を向ける。だが、その後ろに二本の光刀を持つ茶髪のナンバーズ――ディードが現れ、

 

「エリオ君、危ない!」

「――」

 

 キャロは甲高い叫びを放ち、ルーテシアはディードを撃とうと掌を向ける。

 だが突然、ルーテシアの体に緑色のバインドが巻きつき、集まりかけた魔力素は空中に溶けていく。

 

 その隙にエリオはディードに斬りかけられ、真下の海へ叩き落とされた。

 たまらず「エリオくん!」と叫ぶキャロとフリード、旋空王にも緑色のバインドが現れ、巻き付いてきた。

 その後ろから――

 

「メガーヌ様のお嬢様と竜召喚士……ちょうどいいところに」

 

 その声にキャロとルーテシアは縛られたまま、後ろを振り返る。

 そこには他のナンバーズと同じボディースーツの上にズボンを履いた茶髪のナンバーズが浮いていた。その格好と髪型からぱっと見は男の子に見える。

 その隣にディードも現れ……。

 

「“Fの遺産”たるあの少年とあなたたちも捕獲するように命令されています。おとなしく一緒に来てください。抵抗すれば、その間にあの子が溺れ死んでしまいますが」

 

 エリオが落ちた海を指しながら冷酷に告げる彼女に、ルーテシアは顔を硬くする。

 この状態で戦うのは困難だし、バインドを破壊できたとしても戦っている間にエリオが溺死してしまう。

 どうするべきか、ルーテシアは必死に考えをめぐらす。その一方……。

 

「なんで……なんでこんなこと……」

 

 ふいにキャロの口からそんな言葉が漏れる。その上にある大きな紫色の瞳からは涙も溢れていた。

 

「……」

「……」

「キャロ……」

 

 ディードとオットーは冷たい目を向け、ルーテシアは小さくその名を呼び――そして目を見張った。

 キャロの足元から桃色の召喚陣が浮かび、彼女を包み込むように広がっていくのが見えたからだ。

 キャロはその上で……。

 

「竜魂……召喚」

 

 つぶやくように唱えると、海の上に同じ形の――しかし、キャロの下に浮かんでいるものよりはるかに大きな召喚陣が現れた。

 その中からおびただしい紅蓮の炎が吹き上がる。その上でキャロは叫んだ。

 

“ヴォルテーール”!!

 

 その叫びに……小さな主の呼び声に応えるように、炎の中から黒と赤の(うろこ)に覆われた15m以上の巨竜がせり上がってくる。それを見て、オットーもディードもディエチも、ルーテシアも唖然と目を見開いた。

 

 

 これこそキャロが従える二騎目の召喚竜にして最大の切り札――『ヴォルテール』。

 キャロの故郷『アルザス』において、『大地の守護者』として畏敬され、キャロがかの地から追放された“原因”となった竜である。

 

 

「壊さないで……私たちの居場所を――」

 

 キャロが口を開くとともに、ヴォルテールは二対の翼を大きく広げ、三つの火球を浮かべる。

 それを見た瞬間――

 

「ディード、急いでここから離脱! ディエチも陛下を連れて急いでここから離れて――」

 

 口調を乱し、オットーは慌ただしく口角泡を飛ばしながらまくしたてる。

 それを前にしながら――

 

「私たちが過ごしてきた場所を――こわさないでええええええっ!!」

 

 キャロが涙ながらに叫んだ瞬間、ヴォルテールの前に浮かぶ火球はすさまじい熱線となって空中に放たれ、そこに浮かぶガジェットの群れを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

「――ぐあっ!」

 

 空中でトーレと切り結びながらも、一瞬の隙を突かれ、胴に一筋の傷が入れられる。刃についた血を払い落としながら、トーレは笑みを漏らした。

 

「空中戦に慣れていないようだな。飛行魔法が使えたのは驚きだが、空での戦い方を知らなければどうという事はない。一度陸で勝てたからといって空でも勝てると思ったのか」

 

 忠告めいた指摘に悔しさのこもった呻きを漏らしかける。

 あいつの言うとおりだ。空は飛べても姿勢の制御や飛ぶのに必要な魔力の維持、それ以上に足の下がスカスカという感触が気になって戦いに集中できない。さっきの戦いもトーレたちが一方的に引いただけで、勝ったわけじゃないしな。

 そんな力があってなんで――。

 

「なんでそんな強いのに、スカリエッティってやつに従ってる? お前たちくらいの力があれば、あんな奴の言いなりにならなくたって好きなように生きられるだろう!」

 

 そう言うと、トーレはむっと顔をしかめて。

 

「先ほどのチンクと私の話を聞いていなかったようだな。私たちナンバーズは生みの親(ドクター)の命令に従うようにプログラムされている。我々のような兵器にはそれ以外に生きる道などない」

 

「わかっていないのはお前らの方だ! チンクがオレたちといっしょに戦ってるのもドクターのプログラムなのかよ? それ以外に生きる道がないって、あいつが今まで誰とどう暮らしているのか知ってて言ってるのか!」

 

「っ――」

 

 その問いにトーレは大きく目を見張り、言葉を止める。

 「それは」とこぼしてから何か言いかけたところで――。

 

「レツヤ、危ない!」

 

 その声とともにフェイトさんが飛んできて、大剣型のバルディッシュでセッテが飛ばしてきたブレードを叩き落とした。

 セッテは新たなブレードを両手に持ちながら、トーレの横につく。

 

「トーレ、敵の言葉に耳を傾けないように。訓練中、あなたが私に言っていたことですよ」

 

「ああ、すまない。助かった」

 

 トーレは謝りながらオレたちに向き直る。そんな彼女らを見上げながらフェイトさんは叫んだ。

 

「スカリエッティはどこにいる!? なんでこんな事件を起こす?」

 

 その問いに構わずセッテはブレードを向けようとするが、対照的にトーレはあっさり返事を返した。

 

「お望みでしたらすぐにでもご案内します。理由はその後ドクターにお聞きください」

 

「もちろん、あなたたちが我々やドクターに協力してくれるのならですが」

 

 そんな条件を口にするセッテを、フェイトさんは鋭く睨んで――

 

「奴は最悪の犯罪者だ――誰があんな男に」

 

 その言葉にトーレは悲しげな顔を見せながら言った。

 

「悲しいことを言わないでください。我々と同様、あなたやエリオという少年にとってもドクターは“生みの親”といっていい方ですよ」

 

「プレシア・テスタロッサがあなたを造ることができたのも、ドクターが組み立てたプロジェクトFの基礎があってこそ――」

 

「――黙れ!!」

 

 フェイトさんは怒声を上げてセッテの言葉をかき消す。それを見て「仕方ありませんね」と零しながらセッテは再びブレードを構える。

 だが、ふいに空の一部が真っ赤に染まったのが目に映り、オレたちもトーレたちもそちらに横目を向け、そして思わず固まった。

 そこからは本部近くからでもはっきり見えるくらい巨大な火柱が上がっていたからだ。しかもあの場所は――。

 

「機動六課――まさかルーテシアたち――」

 

「あれはヴォルテールの……まさか――」

 

 フェイトさんも隊舎の方を見ながらつぶやく。一方、相手の方からは何の反応も返ってこず、まさかと思って見ると彼女たちは忽然とかき消えていた。

 しまったと思うオレとフェイトさんの脳裏にあいつらの声が響く。

 

《近いうちに、姉妹の誰かがあなた方とお会いすることになると思います。その後にでもゆっくりお話しします》

 

《ああ、それとひとつだけ忠告を……ミカミという“愚王の複製”ですが、彼はもうあなた方の役に立たないかもしれません。あなたの母君と姉上たちが人質に取られていますから》

 

「――!? それはどういう――」

 

 彼女たちがいたところへ問いを飛ばすフェイトさんだったが、返事が返ってくることはなく、オレたちはただ六課から噴き上がる火柱とがそれが収まっていくのをただ見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

『メガーヌさま~、《器》は無事確保しました~♪ もうそこに用はありませんから、今すぐ引き上げてくださ~い♪』

 

 ふいに頭上に現れたモニターとそこに浮かぶ眼鏡をかけた茶髪の女を見て、メガーヌとはやて、レジアスとオーリスもそちらを見上げる。首元についている“Ⅳ”のプレートと服装から見て、彼女もナンバーズだろう。

 彼女の言葉を聞いて、メガーヌははやてとレジアスたちを見、はあっと溜息をつきながら言った。

 

「クアットロの言う通り、今日はもう引き上げるしかなさそうね。さすがに《闇の書の主》とやり合いたくはないし他の局員も来るかもしれないから、そろそろ失礼させてもらうわ」

 

「――行かせると思いますか!」

 

 はやてはシュベルトクロイツを向けながらメガーヌを制止する。だがメガーヌが右手を掲げた瞬間、彼女の足元に菱形(転送用)の魔法陣が浮かび上がった。

 

「残念だけど、ここ数日間の間に首都や周囲の廃棄都市のあちこちに“転送ポイント”を作ってあってね。本部への侵入はともかく、脱出するだけならただ念じるだけでできるのよ。魔力障壁もダウンさせてるし」

 

 その言葉を示すように、魔法陣とともにメガーヌとアギトは白色の光に包まれ、どんどんおぼろげになっていく。させるかとはやては魔力球を浮かべるが、メガーヌは動じず続きを口にした。

 

「お若い士官さんに一つ忠告してあげる。このまま管理局にいても“真の平和”は作れないわよ。レジアスや最高評議会のような奴らがいる限りね。あなたの幼なじみももしかしたらあいつらに――」

 

「メガーヌさん待って! それどういう意味!?」

 

 彼が話に上がって、はやてはたまらず問いをぶつける。だが、メガーヌは片手を上げながら、アギトはべ〜と舌を突き出しながら魔法陣とともに消失し、はやての声は空しく部屋に響き渡るのみだった。その頭上からクアットロの耳障りな声が響く。

 

『残念、時間切れで~す♪ 陳述会襲撃イベントはこれにて終了~! 中将様たちも“囮役”お疲れ様でした~。おかげで私たちの目的は無事に達成できました~♪』

 

「囮? まさか、あんたたちは最初から――」

 

 クアットロの言葉を示すように、機動六課の隊舎が炎上している光景が映し出される。

 さらにその中央にスカリエッティの姿が浮かび上がった。

 

 

 

 

 

『ミッドチルダ地上管理局員の諸君。我々が開いたイベントは楽しんでくれたかい? ささやかながらこれは私からのプレゼントだ。

 治安維持だのロストロギア規制だのといった名目のもとに圧迫され、正しい技術の進化を促進したにもかかわらず、私のように罪に問われた稀代の技術者たち。今日のプレゼントはその恨みの一撃とでも思ってくれたまえ!』

 

 本部内に残る多くの局員が見守る中、スカリエッティは本音半分建前半分(・・・・)のメッセージを告げる。

 罪人に仕立て上げられたことに理不尽を覚えていなくもないが、さして不便は感じていない。捜査の手が及びかけてもレジアスや評議会といった“クライアント”が守ってくれていたし、彼らの援助で研究は完成に近づいた。

 その礼と“締めの余興”として、局員や市民たちが想像しているような『世への復讐に走る狂気のマッドサイエンティスト』を演じてやってるだけだ。

 

『しかし、無駄な犠牲が出ないように加減したとはいえ、予想よりも被害が少なかったのは驚きだ。素直に称賛の意を送ろう』

 

 拍手しているつもりなのか、スカリエッティは嫌味な仕草で手を叩く。そして隣に浮かぶ“炎上する隊舎”の画像を指し……。

 

『その代わり、ある部隊の本部を落とさせてもらったがね。彼らの健闘のご褒美とお詫びにあげた“花火”だ。存分に目に焼き付けてくれたまえ! ――くくく、フハハハハハハハハッ!!』

 

 

 

 

 

「隊長……」

 

 高笑いを上げるスカリエッティを見て、ルーテシアは不安そうな声を上げる。

 そんな彼女とキャロ、海から掬い上げたエリオを地面に降ろしながら俺は悔しげな声を返した。

 

「すまない、間に合わなかった……」

 

 その言葉に二人は沈痛な表情と沈黙を返す。

 

 

 

 

 この日の夕方、カリムさんの預言通り、“中つ大地の法の塔”……機動六課の隊舎は虚しく焼け落ち、“死した王”と思われる(・・・・・)少女、ヴィヴィオとスバルが連れ去らわれた。

 

 燃え盛る敷地の隅では、唯一残った機動七課の分舎がぽつんと佇むのみだった。

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