魔法少女リリカルなのはStrikerS 七課の剣銃士 作:ヒアデス
『降下ポイントに到着! ハッチ、開きます!』
ルキノさんのアナウンスとともにカーゴルームのハッチが開き、アルトさんとフォワードが乗るヘリは飛行を開始し、ハッチから船の外へと出、雲を突き抜けながら真下へ降りる。
同時に、オレも飛行魔法で、ミカ姉を先頭に他のフィルダー三人も蛾の召喚虫『旋空王』に乗って真下に降りた。
ヘリもオレたちもそのまま廃棄都市へ降りるべく降下するものの、街が見えたところで三十機の飛行型ガジェットが後ろに現れた。
やはりかと思いながら――
「フィルダー、迎撃用意! ミカ姉はこのまま旋空王の操縦、ルーテシアとチンクはスティンガーとかで援護してくれ!」
「――了解!」
「ああっ!」
「わかった」
返事をしながらミカ姉は手綱を強く握り、チンクとルーテシアは短剣を手元に出現させ構える。
それを気配で確かめつつ、オレも鞘に納めたままの落葉の柄を取り――
「はああああっ――!」
銃撃を避けガジェットに迫りながら刀を抜き、AMFを貫けるほどの魔力を纏った刃でガジェットたちを斬りつけていく。その後ろからチンクとルーテシアも短剣を飛ばし、残りのガジェットを撃ち落とした。
その隙を縫うようにヘリが降下し、その中からフォワードたちが飛び出し廃棄都市に降り立った。
それを見て――
「よし、オレたちも降りるぞ。フォワードと共闘してガジェットを片付けつつ、『行政区』へ向かう! その間にガジェットやナンバーズが現れたら順次倒してくれ!」
「心得た――はあっ!」
オレの指示に合わせてミカ姉が大きく上下に手綱を振る。それに合わせて旋空王も都市へ降り、オレもその後に続いた。
◇
一方、彼女たちも……。
『ノーヴェ、ウェンディ、ディード……それとフォーティーン。六課と七課の部隊がそっちに向かってる』
「――本当かよ。数と面子は?」
モニター越しに報告してくるオットーに、ノーヴェは真剣な表情と声色で訊ねる。オットーは頷き――
『両課の若手が四人ずつ。前と違って正面から戦うつもりのようだ』
「うげっ、そいつは厄介っスねぇ。フォワードって四人組だけならともかく、フィルダーって奴らまで一緒ってのはさすがに――」
「はっ、上等じゃねえか。首都を壊すついでにまずあいつらから片付けてやる――《ファースト》もいるのか?」
フォーティーンの問いにオットーは首を縦に振りながら答えた。
『ああ。フォワードといっしょにこっちに向かってきてる。――ゆりかごが浮上するまでの三時間、それまでに可能な限り地上の部隊を片付けておきたい。僕たちに対抗する力を持つ六課と七課の連中は徹底的に。幻術使い以外はできれば生きたまま捕まえてほしいって言われてるけど――無理だったら殺してかまわない!』
その言葉にナンバーズたちは「ああ」という返事と頷きを返し、フォーティーンはそれに加わらず不機嫌そうに眉を寄せる。
そのとき――
「――いた! あいつらだ!」
ノーヴェの声が届き、フォーティーンは我に返ったように顔を上げる。
その先には先行していたガジェットの群れと、それらと戦うフォワードとフィルダーたちがいた。
◇
「ホイールプロテクション」
「はああっ!」
「はっ!」
キャロの拘束魔法で動きを止めたガジェットたちをエリオとルーテシアが撃破していく。
その横でオレたちとティアナたちもガジェットを破壊していった。
この程度の奴ら、もうオレたちにとって問題じゃない。でも、他の部隊にとってはいまだ魔法が効かない難敵のはずだ。一体でも多くここで減らしておかないと。
「せあああっ!」
そう思いながら最後の一体を斬り倒したところでティアナが荒げた声で告げた。
「ここはもういいわ! あんたたちは早く行政区に行きなさい! 向こうにある本局への転送ポートを守らないと」
「わかった。ルーテシア、チンク――ミカ姉もいったんオレたちと一緒に来てくれ!」
そう言うとルーテシアたちはうなずき、ミカ姉も迷いを残しながらも首を縦に振ろうとするが――
「IS発動――《
「――まずい、避けろ!!」
ミカ姉は突然荒げた声をティアナとギンガさんに飛ばす。それを聞くや二人はすぐにその場から飛びあがる。
それと同時に、二人がいた場所に向かって緑色の光弾が降り注いできた。その向こうには“
あいつもナンバーズか――。
「であああああっ!」
「――っ!」
その直後、短い赤髪のナンバーズ――ノーヴェが怒声とけたたましいローラー音と響かせながら向かってくるのに気付き、オレたちも後ろへ跳ぶ。
だがそれよりノーヴェが迫るのが速く、オレは無意識に振り上げた刀でノーヴェの攻撃を防ぐも、そのまま後ろのビルに吹き飛ばされる。
その向かい側にたつビルの屋上から、板状の武器を構える“
「エリアルキャノン!」
「――フリード!」
女が撃とうとしたところで上空からキャロの声が響き、彼女とエリオが乗るフリードリヒの口から人一人飲み込めるほどの火炎が放たれる。
それを見て、女は武器を掲げながらすぐにその場を離れた。
思わず安堵したところで――
「――レツヤ、横だ!」
チンクの叫びに反応しすぐ横に目を向けると、いつの間にか“青色の道”が伸びていて、その上から青髪のナンバーズが迫ってきていた。
そいつはオレたちがよく知る奴で――
「――スバル!」
「ぼおっとしてる場合かよ――まず一匹!」
思わず名を呼ぶオレにかまわず、スバルらしき女は躊躇なく赤い
そこへ――
「はあああああっ!」
「――ちっ!」
横からおもむろにギンガさんが飛び込んできて、妹に向けて紫の筋が走った白いリボルバーナックルを嵌めた拳をぶつける。その衝撃で周囲に粉塵が舞い上がる中、二人は拳と視線をぶつけあった。
「スバル! あなた一体何をやってるの!?」
「《ファースト》か、お早いお出ましだな――探す手間が省けたぜ!」
数日ぶりに再会した
「まさか……スカリエッティに洗脳されてるの?」
その問いかけに対して、スバルは馬鹿にするような笑みを浮かべた。
「洗脳? はっ、馬鹿言え。あたしはようやく目覚めたんだ。“この力”の使い方と『最強の戦闘機人と証明する』っていう目的にな。首都を壊すのはそのついでだ。――まずはあんたからぶち壊させてもらうぜ。管理局の連中を始末したら他のナンバーズもあたしの手で片付けてやる。
「…………」
獰猛な笑みと声で下剋上を宣言するスバルに、ギンガさんばかりかノーヴェたちまで眉を顰めた。
《フォーティーン、まだ言ってるし……ほんとにこのままでいいんっスか?》
《コンソールってやつがある限り大丈夫なはずだ。いざとなったらあたしが抑える。それよりもまずは――》
ノーヴェはオレたちを睨みながら右手を掲げ、一歩踏み出す。それをオレは刀を構えるが――
「はああっ――!」
オレとノーヴェの間に斬撃が走り、オレたちは動きを止め、斬撃の飛んできた方を見る。
そこには長い黒髪をたなびかせ、袴状のバリアジャケットを纏った――
「――ミカヤ!?」
「ミカ姉……?」
思わぬ乱入者にノーヴェとオレは揃って声を漏らす。
っていや待て! なんでノーヴェがミカ姉を知ってる?
「まさか――ミカ姉が言ってた友達って」
オレの問いにミカ姉はふっと唇を上げ……。
「それはまた後で話す。――彼女は私が食い止める! レツヤたちは早く行政区に行くといい!」
ミカ姉は鞘に納めた刀の柄に手をかけながら言い放つ。
それを聞いてオレは周りを見渡した。
ギンガさんはスバルと対峙し、ティアナは“
ひとまず敵の分散には成功したか――。
「わかった――ルーテシア、チンク、ここはミカ姉とフォワードに任せてオレたちはこのまま行政区に行くぞ! 一刻も早く召喚士――メガーヌを止めないと!」
「――!」
あえて“メガーヌ”と言い直しながら告げると、ルーテシアは顔を硬くしチンクとともに頷きを返す。
「いかせるかよ――」
ノーヴェはあらぶった声とともに籠手に仕込んだ銃口を向け、エネルギー弾を放つ。
だが、ミカ姉は足音も立てずオレたちの前に現れ、鞘から抜きはなった刀身で十発以上の光弾を両断した。
「いくら君でも大事な弟を撃たせるわけにはいかないな、“ノーヴェちゃん”。それに言っただろう。『君は私が止める』って。初めての喧嘩ぐらい邪魔者抜きでやろうじゃないか!」
「ミカヤ――」
憎悪のこもった視線をぶつけてくるノーヴェに対し、ミカ姉は刀の柄に手をかけながら涼しげな笑みを浮かべて立ちはだかる。そしてあちらを向いたまま「行け!」と繰り返した。
それに頷きを返し、オレはルーテシアたちとともに行政区へ向かう。
ナンバーズと戦う仲間たちに心の中で
◇
一方その頃、第5廃棄都市に現れたメガーヌは、現在の位置と目的地を確認してすぐに上空に飛びあがり、ほぼ無人の廃区画の上を飛んでいた。
自身より更に上空を飛ぶ《ゆりかご》に、隠しようのない不安と迷いを抱きながら。
――今の管理局と最高評議会の所業を放っておくわけにはいかない。ゼスト隊長とクイントが大怪我を負ったのも、奴らが行わせていた違法研究のせいだ。スカリエッティやナンバーズはただの実行役に過ぎない。
隊長とクイントのような被害者をなくすためにも、最高評議会を潰して彼らの協力者を追放し、管理局をまっさらな状態に戻す必要がある。
しかし、本当にこのやり方でいいのだろうか?
管理局そのものを潰してしまえば、治安を守るものを失った各世界は無法地帯となってしまい、結局より多くの被害者が出てしまう。
それに“聖王”と呼ばれていたあの子も、あのまま《ゆりかご》の動力にし続けていればいずれ魔力が底をつき、やがて命まで落としてしまうだろう。
人造魔導師として目覚めたあの時、予備として狙われていたルーテシアを守るため、管理局を在るべき姿に戻すためにスカリエッティと組んでいたけど――私はとんでもないことに手を貸してしまったんじゃ――。
――とにかく、《ゆりかご》と次元部隊がぶつかる前に最高評議会を捕まえて、彼らの所業と協力している連中をつまびらかにしないと。そこまでいけばスカリエッティも局や街を攻撃する理由はなくなるはず。
そのためにも、一刻も早く本局への転送ポートがある『行政区』に――。
「――姐さん!」
アギトの声と目の前に現れた人物に気付き、メガーヌは我に返りながら下を見下ろす。
そこには行政区方面を守る地上魔導師の部隊が展開していた。
メガーヌを見た途端、彼らは一斉に杖状のデバイスを構える。
それを見下ろしながら――
「ちょうどいいわ。ドクターから借りたオモチャもこれが最後――ここで全部使い切るとしましょうか!」
そう叫ぶや、メガーヌの周りや真下の道路にガジェットの群れが現れる。それらはメガーヌの指示を待たず、一斉に地上魔導師に襲いかかっていった。
それを見下ろしながら、メガーヌは再び体を傾け行政区へ飛ぼうとするも廃棄都市の方から冷たい視線を感じ、そちらに眼を向ける。
そこからガラクタとなった資材の上に腰掛けているボロボロの服を着た銀髪の少年と、彼のすぐそばに立つ長い茶髪の少女とボサボサの青髪の少女がじっとこちらを睨んでいた。
「あの女とちび、この間からちょくちょくここらへんに現れてた奴らだよね。この前地上本部を襲った一味って噂の」
「どうする大将? あいつらの尻馬に乗ってあたしらもひと暴れといく? あいつらがミッドを征服したら、あたしらもお零れがもらえるかもしれないし」
少女二人はそう訊ねながら、
大将と呼ばれた銀髪の少年は行政区に向かって飛んでいくメガーヌを眺め、ふてぶてしい笑みを浮かべながら首を横に振った。
「いいや。見たところ、あいつらにとって首都の襲撃はあの船が宇宙まで上がりきるまでのお遊び。ミッドを支配する気なんかねえだろうよ。それに返り討ちになる可能性も十分ある。オレ様たちはこのまま高みならぬ低みの見物といこうじゃねえか」
それを聞いて青髪の女は呆れの息をつき。
「
「そうあせんなって。地上部隊が潰れかかった以上、《ヴァンデイン》も《フッケバイン》も動き出すはずだ。その時にどちらかを利用して一気に成り上がる!」
そう叫びながら少年は立ち上がり、部下たちとまだ見ぬ敵に向けて宣言した。
「《グレンデル一家》の首領にして“愚王の末裔”――カート・グレンデル様の
ミカヤは背丈以外ほぼ原作通りなので、mirangaru様からいただいたイラストをそのまま使っています。