魔法少女リリカルなのはStrikerS 七課の剣銃士   作:ヒアデス

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リクエスト作品。
もしティアナがスバルとともにナンバーズにされていたら。


IF 真・最悪の(ナンバーズ)

 地上本部と六課が襲撃されてから四日後、9月16日。

 臨時本部となったアースラの会議室は重い雰囲気に包まれていた。なぜならば……。

 

「じゃあ、ライトニングは実質フィルダーに入れる形で御神隊長に指示を任せてええか?」

 

 重い口調で尋ねる部隊長(はやてさん)に、うちの分隊長は頷き。

 

「……はい、異存ありません。高町隊長とテスタロッサ隊長もそれでいいな?」

 

 尋ねる御神さんになのはさんとフェイトさんも「はい」と頷くものの、その顔は不安の色に染まっている。

 無理もない。スターズが丸々欠けてしまい、フォワードがほぼ壊滅状態になってしまったんだから。

 面子的に、今やオレたちが実質的な“攻撃役(フォワード)”といっていいほどだ。

 

 四日前の地上本部襲撃でスバルが襲われた時、敵の動きに違和感を覚え彼女を助けに行ったティアナまでもがナンバーズに攫われてしまったのだ。捜索や聞き込みもしているが、二人とも依然として見つかる気配はない。

 ミカ姉も嘱託魔導師として加わってくれたものの、あの二人に比べたら戦力不足だ。

 こんな状態で11体もいるナンバーズとスカリエッティを捕まえられるのか?

 

「――っ!」

 

 内心頭を抱えたところでけたたましい警報が響き室内が赤く点滅し、オレたちは思わずあたりを見回す。

 そんな中、はやてさんは声を張り上げて――

 

「どないした!?」

 

『敵襲です! ガジェットとナンバーズ()()()が向かってきて――』

 

 その答えに誰もが驚きに目を見張った。しかもそのうえ――。

 

 

 

 

 

 

「アインヘリヤル――発射ぁぁぁ!!」

 

 司令官が声を張り上げるとともに、《アインヘリヤル》の砲口から凄まじい光線が放たれ、数百体のガジェットを呑み込む。だが――

 

「ば――馬鹿なっ!?」

 

 司令官も空を見上げた武装隊員たちの何人もがそんな叫びをあげる。

 アインヘリヤルの砲撃を受けたはずのガジェットは、一機たりとも減らずそのまま空に浮かんでいたからだ。

 さらにそこへ――

 

 パンッ!

 

 軽い破裂音が響き、同時に一人の隊員が「ぐあっ!」と呻きながら地面に倒れんだ。

 

「射撃?」

「構えろ! 敵がどこかにいるぞ!!」

 

 状況を察した隊員たちは杖を向けながら敵を探す。そこへさらに別方向から弾が放たれ、別の隊員の真横をかすめ飛んだ。

 それに気づいた隊員たちがそちらを振り向き、杖とこわばった顔を向ける。その瞬間――

 

「クロスファイアシュート」

 

 少女が声を発した瞬間、“茜色の弾丸”が何発も飛んできて、隊員たちの後頭部を貫く。

 それを受けて彼らもまたくぐもった呻きを漏らし、ばたばたと倒れていった。

 その直後――

 

「今よフォーティーン! このまま奴らを片付けて!」

 

「おう! ――はああああっ!」

 

 少女が命じた直後、ボディースーツを着た青髪の女が足に付けたローラーを稼働させて彼らの元へ迫る。

 

「今のはあいつの仕業か?」

「いや、方向が違う。どこかに仲間がいるはずだ」

「かまうものか! 撃て! 撃てえええ!!」

 

 青髪の女に向かって隊員たちが怒声をあげながら砲撃を撃ち込もうとする。だが、その直後、まわりから()()()ボディースーツ姿の女が疾駆してくるのを見て、彼らは思わず動きを止めた。

 そこへまた弾が撃ち込まれ、何人もの隊員が倒されていく。そうしている間に眼前まで迫ってきた青髪の女が拳を振り上げ、拳とそこから生じる衝撃波で隊員たちを吹き飛ばした。

 

「へっ、他愛ねえやつら。もうちょっと粘ってくれっての」

 

 一撃で散った隊員たちを眺め、青髪の女、フォーティーンは嘲りの笑みを浮かべる。その耳元に“相方”の鋭い叱咤が飛んできた。

 

「無駄口は後よ。さっさとあの砲台を壊してきなさい。“最強の戦闘機人”を名乗るならそれぐらいできるでしょう」

 

「おう! まかせときなっ――はああっ!!」

 

 フォーティーンは加速し、前に立ちはだかる隊員たちを轢き飛ばしていきながらアインヘリヤルまで迫り、壁を叩き壊して中に侵入する。

 それを目にして――

 

「行かせるか――なにっ!?」

 

 隊員たちが杖を構え、フォーティーンを後ろから狙撃しようとする。そこへ突然砂嵐が舞いあがり、彼らの視界を塞ぐ。さらにその横から銃撃が放たれ、隊員たちはなすすべなく倒されていった。

 

 それからほどなくして砲台から炎が上がり、アインヘリヤルの一機が陥落する。

 二つに分けた橙色髪の少女は冷徹な青い目――その奥に仕込まれたレンズを拡大させて燃え盛る砲台を眺めながら手を上げる。それに応じて近くで待機していた()()()Ⅱ型ガジェットが現れ、眼下の局員たちを攻撃したのち首都に向かって飛んでいった。

 それを見届けながら彼女は頭上にモニターを浮かべ――

 

「こちら“フィフティーン”。フォーティーンとともにアインヘリヤル一号機を破壊しました。ガジェットはすべて無傷です。お姉様たちの方は?」

 

 そう報告するとモニターの向こうでトーレは目を見張りながらも――

 

『よくやった。こちらも二号機と三号機の破壊が終わるところだ。お前とフォーティーンもガジェットとともに首都に向かってくれ』

 

「了解。ところでドゥーエお姉様は私の指示通りに動いてくれましたか?」

 

 その問いにトーレは頷き返事を返す。

 

『ああ、今ごろドクターの元に戻ってるはずだ。その代わりレジアスと評議会を始末するのは難しくなるが……』

 

「構いません。レジアスにもう地上部隊を動かす力はありませんし、ドクターにかけられた爆弾を解除した以上評議会もさしたる障害ではないはずです。それより今は我々ナンバーズとガジェットに対抗する力を持つ機動六課と機動七課の排除を優先するべきです。ドクターの了承もすでに得ているはずですよね?」

 

 その問いにトーレは内心舌を巻きながら首を縦に振り。

 

『……わかった。ではこのまま首都襲撃と機動六課の相手も任せる。捕縛優先だが手に余るようなら殺害しても構わない』

 

「了解! すぐに向かいます。――フォーティーン、今の話聞いてたわよね。今から首都に行くわよ!」

 

 そう告げた瞬間、それが届いたように砲台からフォーティーンが滑り出てきて、愉快そうな笑みを向けた。

 

「わかってるよ。しかし姉貴たちもタジタジじゃねえか。この戦いが終わったらあんたが名実ともにナンバーズのリーダーになるかもな」

 

 その言葉に、フィフティーンはつまらなそうな顔で首を横に振る。

 

「別に。向こうが考えたのより成功率が高い作戦を提案しただけよ。あんたこそ指示通り動きなさいよ。言う通りにしてれば、その馬鹿力存分に振るわせてあげるから」

 

「おう! 機動六課と地上部隊の奴らに目にもの見せてやるぜ!!」

 

 鋼でできた篭手(デバイス)をガツンと打ち鳴らし、フォーティーンは息巻く。

 そんな相棒をフィフティーンは冷ややかに見下ろしながら、『なんでお姉様やドクターはこいつの扱いに苦労してたんだか』と首をひねる。

 この戦闘馬鹿を操るのに、クアットロが企んでるような洗脳も、ノーヴェのように凄む必要もない。適当な獲物をぶら下げてやるだけで思い通りに動いてくれる。

 

――まっ、こいつが思いのほかすんなりあたしの言うことを聞いてくれるおかげでもあるんだけど。

 まあいいわ。あたしの役目と目的は一つだけ。こいつや他のナンバーズをうまく扱いながら機動六課と地上部隊を始末する。――そしてドクターたちと機動六課、管理局の連中に認めさせてやるんだ――『フィフティーン』として生まれ変わったあたしの実力(ちから)を!

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

『ガジェット約千機、それと戦闘機人――ひゃ、百人以上がクラナガンに向かって進行中! それと東部の森林地帯から巨大な船が――』

 

 驚愕を隠しきれないシャーリーさんの報告に、オレたちも愕然(がくぜん)とする。

 

「ガジェット千機に、戦闘機人(ナンバーズ)が百人以上!? それに巨大な船って――そんなの僕たちじゃどうしようもありませんよ!!」

 

 叫ぶエリオにオレたちも同意しかける。そんな中、ルーテシアがあごに手を乗せながら呟きを発した。

 

「ガジェットと戦闘機人の方は幻術かも。そんな能力を持ってる奴がいるっていうし……それにひょっとしたら……」

 

 いつもは冷静なルーテシアも動揺のあまり言葉を飲み込む。まさか、()()()()が敵に回っちまったっていうのか……?

 

「この前とった幻影の解析データで見分けられないん?」

 

『駄目です! この前の幻影ともティアナの技とも技術が違ってるみたいで――まったく区別がつきません!!』

 

 スピーカー越しでもわかるぐらい、シャーリーさんは大きくかぶりを振る。

 それを聞いてはやてさんが歯噛みしたその時――。

 

『御神、俺だ!』

 

 通知音とともにモニターが映し出される。それに映る黒髪の男を見てルーテシアが「ゼスト!」と言った。

 この人がルーテシアの養父(おとう)さんか。

 

「ゼストさん、どうしましたか?」

 

 御神さんは緊迫した声でゼストさんに訊ねる。ゼストさんは硬い顔のまま告げた。

 

『レジアスとオーリスと合流した。だが、予想と違いスパイらしき者の姿はどこにもない。それとレジアスの側近が一人、昨日から姿を見せなくなったらしい』

 

「本当ですか!?」

 

 御神さんの問いにゼストさんは頷きを返す。

 どうやらスカリエッティのスパイを誘い込む作戦を立ててたらしい。それが敵に見抜かれてた――ということはまさか本当に!

 

「……作戦変更や! 私と御神分隊長が地上にいる敵を片付ける。なのは隊長はフェイト隊長や飛行魔導師たちと一緒に船に突入して。地上の敵を片付けたら私たちも応援に行く!」

 

「はやてちゃん……」

 

 なのはさんは不安げな声を返す。

 彼女たちだけで船を何とかできるのか? でも、オレたちや地上部隊だけじゃとてもクラナガンを守れない。

 せめて、あの幻をなんとかして本物の敵を見破ることができれば――。

 

 

待ってくれ、はやて君!

 

 突然スピーカーから若い男の声が響き、オレたちもはやてさんや御神さんたちもはっと言葉を止めて耳を傾ける。そこでまたスピーカーから男の声が響いた。

 

『割り込み失礼。でも、あの幻と()に関しては僕に任せてくれないか』

 

 この声、それに“妹”って、この人はまさか――。

 

 

 

 

 

 

――あたしのISとして身に着けた技《イリュージョン・ザズノット・ホロウ(虚ろならざる幻)》。六課や地上部隊のオペレーターでも解析できないみたいね。この分だと機動六課が出てくる前に首都を堕とせるかしら。

 

 順調すぎる展開に物足りなさすら覚えながら、フィフティーンは無数の幻とそれに混じって飛ぶ本物のガジェットを従え、首都(クラナガン)に迫る。

 市街地を目前にしながら――

 

――六課だろうと地上部隊だろうと、あたしを止められるものなら止めてみなさい!

 

 と付け足した。その時――

 

「――!?」

 

 フィフティーンの眼前に()()()()()()が現れ、彼女は思わず瞠目する。

 一区画にこれほどの人数を割けられる力が管理局――まして地上部隊にあるとは思えない。

 まさかと思ったところで――

 

『FullBurstMode!』

「クロスファイヤー――キャノン!!」

 

 向こうからフィフティーンのエネルギー光と同じ“茜色の光線”が放たれ、彼女は反射的に真横に跳びすがる。

 その直後、砲撃に呑み込まれて全てのガジェットが消滅し、砲撃に呑まれても消滅しない(にせもの)の大群だけが残った。

 さらにそこへ幻影を無視し、自身に向かって魔力弾が放たれる。フィフティーンはシールドを張ってそれを弾き飛ばし、弾が放たれた方に向かって歪んだ顔を向けた。

 その向こうには地上部隊のヘリ。そして開け放たれたままのランプドアの先には、くすんだ橙色の髪に肩章つきの黒いスーツを着た二十代後半の男が立っていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ティアナ、こんな時に仕事をさぼって何をやってるんだい?」

 

「に、いさん……」

 

 彼を見てフィフティーンはかすれた声を漏らす。そんな“妹”を見下ろしながらティーダ・ランスター執務官は呆れたような声を放った。

 

「なのは君からはよくできた妹だと褒められたけど、そうでもなかったらしい。久しぶりに少しお説教とおしおきが必要かな」

 

 そう言って彼は水色の(デバイス)を持ち上げる。それを前にフィフティーンことティアナはきっと顔を歪めながら自らも二丁の黒い(デバイス)を構えた。

 

 こうして、大量の(ガジェット)と大量の(局員)が対峙しあう中、ティアナと俺が憧れたもう一人の局員、ティーダ・ランスターさんの戦いが幕を開けた。




半端なところですが、フィフティーン編はこれで終わりです。
ここから先はティアナがティーダにおしおきされるところを除けば本編と変わりありませんし、戦闘機人になってしまった以上、ティアナには重い未来しか待っていませんから。
そもそも、原作の設定からして成人近くの人間を戦闘機人にできるかは疑問ですしね。
次回からまたマリアージュ編を書きますので、もう少しだけお待ちください。
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