ポケットモンスターSV 新たな物語の始まり 作:通りすがりのポケモントレーナー
ハデスたちエクスプローラーズとラクアで戦ったあと、スピネルの流したフェイク情報によって解散したシンヤたちライジングボルテッカーズだったが、1年の時を経て、シンヤたちライジングボルテッカーズは復活し、ラクリウムを取り込んだ《ストロングスフィア》というアイテムを世間に広めようとしているエクスプローラーズの野望を阻止するために、シンヤたちライジングボルテッカーズは冒険の旅に出発した。
ブレイブアサギ号・操舵室
マードック「よし!じゃあシンヤ、ロイと交代して舵を握ってくれ」
シンヤ「あ、ああ…なんかすげぇ緊張するな」
ロイ「だよね」
マードック「大丈夫。ただ舵を握って回すだけだ」
キャプテンピカチュウ「ピカピカッ!」
ギュッ(シンヤが舵を握る)
シンヤ「おぉ、…なんか、船長になった気分だ」
ピカチュウ「ピィカッ」
ライジングボルテッカーズが復活してから2日後の昼頃、操舵室で船を操縦しているマードックに呼ばれたシンヤとロイは、『これから船の操縦を教えるから、お前たちに船を操縦してほしい』と言われた。その言葉をマードックから聞いたシンヤとロイは大声を出して驚くと、どうして自分たちが船の操縦をする必要があるのか、その理由をマードックに訊いた。すると、『俺やオリオたちは、お前たちが作ったライジングボルテッカーズに入っただけだ。だから、これからブレイブアサギ号の行き先を決めるのはお前たちだ』と、そうマードックから言われたので、シンヤとロイはマードックから船の操縦を教えてもらうことになり、交代で舵を握って船を操縦することになったのだ。
マードック「パルデアに着くまでは、お前たちが交代で操縦してくれ」
シンヤ「自動操縦じゃダメなのか?」
マードック「お前たちが頭で覚えないと意味ないだろ?」
ロイ「でも、僕もシンヤも操縦以外のことはできないよ」
マードック「今は操縦に慣れてくれればいい。後のことは、俺とオリオが少しずつ教えるから大丈夫だ」
シンヤ「覚えることが多そうだな。リコとイチャイチャする時間もバトルする時間もなさそうだ」
マードック「イチャイチャはともかく、バトルをしたいときや寝るときは俺が代わるし、自動操縦にすればいい。ライジングボルテッカーズを復活させたのはお前たちなんだから、しっかりやってくれよ」
シンヤ(復活させたのはロイだと思うけど…)
今シンヤたちが乗っているブレイブアサギ号は、リコの故郷である《パルデア地方》に向かっていた。どうしてパルデア地方に向かっているのか、それは昨日の昼頃に遡る。
昨日の昼頃…
ブレイブアサギ号・ミーティングルーム
シンヤ「みんなも既に知っているとは思うが、俺たちがこれからやらなきゃいけないのは、ラクアにある《ラクリウム》を今度こそ消滅させて、エクスプローラーズがエクシード社を使って造った《ストロングスフィア》の発売を止めることだ!」
ロイ「そのために、僕たちはこれからどう動くべきなのか、それをみんなで話し合いたいんだ」
ウルト「そんなの簡単じゃねえか。ストロングスフィアを持ってるヤツを見かけたら、すぐにそいつからストロングスフィアを取り上げて…」
リュウガ「そんなことしたら泥棒と同じだ」
ミコ「力づくで解決するんじゃなくて、ストロングスフィアが危険なものだってエクシード社の人たちにわかってもらって、発売そのものを止めないと」
ウルト「じゃあどうすりゃいいんだよ!」
ロイ「だからそれをみんなで話してるんだろ!」
ドット「ミコの言うように、ストロングスフィアが危険なものだってわかってもらう方法が一番手っ取り早いけど…」
オリオ「エクスプローラーズのせいで、あたしたちは世間で犯罪者扱いだからね」
モリー「うん。私たちライジングボルテッカーズの言葉を信じてくれる人なんて、私たちの知り合いぐらいしかいないと思う」
ランドウ「今やエクスプローラーズがヒーローとは…。正義とは脆いものじゃ」
シンヤ「エクスプローラーズはエクシード社が作ったチームで、各地方にいる犯罪者やポケモンハンターを捕まえてるってことで一気に話題になってるからな」
リュウガ「それ全部、スピネルが流したフェイク情報だろ?」
ミコ「それだけじゃない。今エクシード社で造られてる車や家電とか、人間の生活に欠かすことのできないもの全てが、今の技術では造れないようなものばかりだって知られるようになってから、ほとんどの人たちがスピネルに注目し始めたからね。それもあるから、スピネルが作ったと思ってるエクスプローラーズを支持してる人が多いのよ」
シンヤ「車や家電とか、今の技術で造れないもの全部、ハデスの入れ知恵だろうな」
ミコ「あ、そっか。ハデスは未来から来た人間だから…」
リュウガ「未来の技術を知ってて当然だな」
ウルト「未来?何の話だ?」
シンヤ「気にするな、こっちの話だ」
ウルト「?ハデスってヤツは知らねぇけど、エクシード社の社長のスピネルってヤツは、エクスプローラーズのメンバーだったんだろ?」
ミコ「私たち以外の人たちはその事実を知らないの」
リュウガ「そんなことより、これからどうするかを考えねぇと」
シンヤ「ラクリウムを消滅させる方法もな」
ドット「…ねぇ、《オレンジアカデミー》に行ってみない?」
ライジングボルテッカーズが復活し、これからエクスプローラーズの野望を阻止しようと決まったのは良かったが、これからどこに行くか、どうやってストロングスフィアの発売を止めるか、ラクアにあるラクリウムをどうやって消滅させるか、シンヤたちは必死に考えて答えを探していた。しかし、あまりいい答えが浮かばなかった。すると、急にドットが口を開いて『オレンジアカデミーに行こう』と言い出したので、シンヤたちはドットの方に顔を向けた。
シンヤ「オレンジアカデミーってことは、《パルデア地方》か…」
ミコ「何でパルデアに?」
ドット「前に、エクスプローラーズがパゴゴの情報を手に入れるために、オレンジアカデミーからパゴゴに関するデータを盗もうとしたことがあったんだ。データは盗られたけど、その後《オモダカ》さんと《クラベル校長》に、僕たちがオレンジアカデミーに潜入していたエクスプローラーズと戦ったことを話したんだ」
リコ「あ、そっか!2人はエクスプローラーズが悪い奴らだって知ってるんだ!」
ウルト「けどよ、その2人がエクスプローラーズをいい奴らだって思ってたらどうすんだよ?」
ロイ「それは大丈夫、こっちにはシンヤがいる」
シンヤ「え?俺?」
ロイ「2人から信頼されてるシンヤの言葉なら、絶対に僕たちのことを信じてくれるよ!」
ドット「それに、オレンジアカデミーには《オーリム博士》と《フトゥー博士》がいる。2人は《テラスタルオーブ》の開発者だから、テラスタルについて誰よりも詳しいはずだ。パゴゴはテラスタルと関係が強いポケモンで、唯一ラクリウムを消すことができるポケモン。これほどラクリウムのことを相談できる相手はいないと思うんだ!」
シンヤ「確かにそうだな。ドットの言う通り、オレンジアカデミーに行って、オーリム博士とフトゥー博士にラクリウムのことを調べてもらう方がいいかもしれない」
ロイ「決まりだね!」
シンヤ「マードックたちもそれでいいか?」
マードック「ああ!」
モリー「あんたたちの行く場所が、私たちの行く場所だからね」
オリオ「うん!」
ランドウ「ウムッ!」
リコ「これで決まりだね!」
ロイ「じゃあ早速、オレンジアカデミーに出発だ!」
ドット「よし!船がパルデア地方に着陸する前に、部屋でラクリウムの資料をまとめておくよ。オレンジアカデミーに着いたら、すぐオモダカさんたちに見せられるように!」
シンヤ「じゃあ俺は、今からオモダカさんたちに連絡しておくよ」
こうしてシンヤたちは、オレンジアカデミーに向かうことになったのだ。
ブレイブアサギ号・操舵室
マードック「そろそろパルデアに着く頃だな」
シンヤ「ああ」
ガチャ(操舵室の扉が開いてリコが入ってくる)
リコ「ねぇ、ウルトを見なかった?」
ロイ「リコ」
シンヤ「見てないけど、ウルトに何か用か?」
リコ「ウルトの部屋ができたから、それで呼びに来たんだけど」
マードック「あれ?ウルトから聞いてないのか?」
リコ「何を?」
マードック「部屋の窓から外を見てると気持ち悪くなるから、今日から展望室で寝るって言ってたんだよ」
シンヤ「あー、そっか。ウルト、乗り物酔いなんだよな」
ロイ「展望室でも部屋の中からでも、どっちも外が見えることは変わらないと思うけど…」
マードック「そうなんだが、展望室の方がまだマシなんだと」
ロイ「何それ…」
シンヤ「ウルトが良ければいいじゃねぇか。…それにしても、展望室を部屋にするって、ダイアナさんと同じだな」
リコ「確かにw…」
そうこう言ってるうちに、ブレイブアサギ号からパルデア地方が見えるようになると、オレンジアカデミーに向かうシンヤたち子供組は上陸準備を始めた。ブレイブアサギ号はライジングボルテッカーズの飛行船だと世間に知られているので、騒ぎにならないようにブレイブアサギ号を森の中に着陸させると、シンヤたちは船から降りてオレンジアカデミーに向かい、 マードックたちは食料の買い出しに向かった。
オレンジアカデミー
ウルト「お〜、ここがオレンジアカデミーか。メガでっけぇな」
リコ「なんだか懐かしいね」
ロイ「テラスタル研修が終わったとき以来だもんね」
リュウガ「そういや、俺がリコたちと初めて会ったのは、ここのグラウンドだったな」
ミコ「私が初めてリコたちと会ったのは《エリアゼロ》だもんね」
ドット『ラクリウムは、ポケモン…』
リコ「ドット、どうしたの?」
地獄の階段を登ってオレンジアカデミーの目の前にやってきたシンヤたちは、オモダカとクラベルにここに来た理由を話すために先に校長室に行こうと歩き出したのだが、一番後ろを歩いているドットが小声でボソボソ話していたので、それが気になったリコはドットにどうしたのかと訊いた。
ドット「あ…えっと、さっき船の中でまとめたラクリウムの資料のことなんだけど、ちゃんと先生に説明できるか、どこか間違えてなかったか心配で、少し説明の練習をしとこうと思ってさ…」
ミコ「さっき見させてもらったけど、すごくわかりやすかったわよ」
リコ「うん!」
リュウガ「もしお前がうまく説明できなかったら、代わりに俺たちが説明するから大丈夫だ」
ドット「う、うん」
リュウガたちの言葉を聞くと、ドットはホッと胸を撫で下ろした。ただラクリウムのことを説明するだけなので、そこまで緊張することはないと思うが、ドットは少しプレッシャーを感じて不安だったようだ。それからしばらく歩き続けると、シンヤたちはオレンジアカデミーの建物の中に入り、そのまま校長室の前に向かうと、扉を叩いてオモダカとクラベルが校長室にいるかを確認し、校長室の中にいるオモダカとクラベルに部屋に入っていいと言われると、シンヤたちは校長室の中に入り、そこでオモダカとクラベルと1年ぶりに再会した。
オレンジアカデミー・校長室
クラベル「皆さん、お久しぶりですね」
ロイ「はい」
リコ「お久しぶりです、校長先生、オモダカさん」
オモダカ「お久しぶりです、リコさん」
クラベル「シンヤさん、無事で何よりです」
シンヤ「心配をおかけしました」
オモダカ「いきなり連絡をもらったときは驚きました」
シンヤ「急に連絡してすいません。事情はさっき話した通りですので」
オモダカ「わかりました」
クラベル「ところで、そちらのヤミラミを乗せている方はシンヤさんたちの新しいお友達ですか?」
シンヤ「ええ。ウルト、ちゃんと挨拶しろ」
ウルト「わかってるって。俺様はウルト!こっちはメガ最強のヤミラミだ!」
ヤミラミ「ヤァァァミラッ!」
シンヤたちとオモダカとクラベルが1年ぶりの再会を喜んで少し話をすると、オモダカとクラベルと初めて会うウルトとヤミラミが2人に挨拶した。
クラベル「初めまして。私はオレンジアカデミー校長のクラベルです」
オモダカ「私は理事長のオモダカです」
ウルト「ど…どうも…」
相変わらず女性に弱いようで、ウルトは女性のオモダカに緊張していた。
シンヤ「オモダカさんは、このパルデア地方のトップチャンピオンでもあるんだ」
ウルト「え!?ってことは、このパルデアで最強ってことか?」
ロイ「当然だろ」
オモダカ「さて、もう少しいろいろとお話ししたいことはありますが、そろそろ本題に入りましょう。先ほどシンヤさんから連絡をもらったときに、私とクラベル校長は、クムリ山で起きたこと、ライジングボルテッカーズが犯罪者扱いされている理由を、全てシンヤさんからお聞きしました」
リュウガ「だったら話が早いと思います」
ミコ「シンヤの話したように、クムリ山をめちゃくちゃにしたのはスピネルで、それを全部、私たちライジングボルテッカーズがやったことだって、そう世間に流したんです」
クラベル「わかっていますよ」
ミコ「えっ?」
オモダカ「私とクラベル校長はもちろんですが、ライジングボルテッカーズがどういう人たちかを知っている、チリさんたちパルデアの四天王や、ネモさんやボタンさんやペパーさんたちは、クムリ山の自然をめちゃくちゃにしたのがあなたたちライジングボルテッカーズだと思っていません」
リュウガ「じゃあオモダカさんたちは、テレビでスピネルがデタラメを言ってたことに…」
クラベル「ええ、すぐに気づきました。以前テラパゴスに関する情報を盗んだのがエクスプローラーズだと、そうあなたたちが教えてくれたこともあるから、私たちは彼の言葉を信じませんでした」
オモダカ「シンヤさんとリュウガさんはパルデアの危機を救い、リコさんたちはオレンジアカデミーを救ってくれた。だからこそ、私たちのあなたたちへの信頼が揺らぐことはありません」
リコ「ありがとうございます!」
スピネルが広めた嘘のせいで、自分たちの言葉を信じてもらえないかと思ったが、それが杞憂だったとわかると、リコはホッと胸を撫で下ろして安心した。
オモダカ「ですが、真実を知らないたくさんの人たちは、今のエクシードの社長やエクスプローラーズを支持しています」
クラベル「あのスピネルという方がエクシード社の社長になってから売られたもの全て、好評で人気がありますからね。それを買ったおかげで生活が豊かになったという声を、オレンジアカデミーでもよく聞きます」
クラベルの言う通り、スピネルがエクシード社の社長になってから、エクシード社で造られて売られたもの全てが好評で、それを買った人たちの生活が豊かになったというのは事実なので、クムリ山での真実を知らない人たちが、スピネルやエクスプローラーズを支持するのは仕方ないだろう。
リュウガ「そんな事はわかっています。しかし、奴らはラクリウムを使って何かを企んでいるんです!だからこそ、奴らをこのまま伸ばしにしておくわけにはいかないし、何としてもラクリウムをこの世界から消滅させなきゃならないんです!」
オモダカ「そのラクリウムというものにつきましても、先ほどシンヤから聞いています」
クラベル「では早速、ラクリウムのことについて教えてもらえますか?」
シンヤ「はい。ドット」
ドット「う、うん。では、僕から説明します」
ドットは自分のスマホロトムをタブレットタイプに拡大させると、写真などを使ってまとめたラクリウムの資料をオモダカとクラベルに見せた。
ドット「オモダカさんとクラベル校長も、各地方で異常な行動をするポケモンが目撃されているのは知っていると思いますが、そのポケモンたちは、クムリ山のラクアで発見された、《ラクリウム》という結晶の影響を受けているからなんです。ラクリウムから発生するピンクのモヤを浴びたポケモンたちは、体にピンクのモヤを纏うと、とても攻撃的な性格になってしまうんです。そして、今エクシード社では、そのラクリウムを使った《ストロングスフィア》という道具を開発しています」
オモダカ「ストロングスフィアのことなら、私もクラベル校長も存じています」
クラベル「《オニギリ》さんと《サンドウィッチ》さん…いえ、《オニキス》さんと《サンゴ》さんと言うべきでしょうか。2人がウイロウシティの近くにあるエクシード社のテストセンターで、ストロングスフィアを使ってシンヤさんとバトルしていた動画をボタンさんが見つけましたね、それを一緒に拝見しました」
ドット「なら、オモダカさんもクラベル校長も、ストロングスフィアを使えば、使ったポケモンのパワーが大きくなることは知ってるはずです。確かにストロングスフィアを使えば、どんなポケモンもパワーアップさせることができます。けど、ポケモンには負担が大きく、すぐ疲れてしまい、敵味方の区別がつかず、最後はトレーナーの指示を聞かなくなるんです」
クラベル「確かに、オニキスさんのキョジオーンとサンゴさんのオニゴーリは、2人がストロングスフィアを使った後、指示がなくても勝手に動いてバトルしていましたね」
オモダカ「ええ。ドットさん、説明ありがとうございます」
ドット「いえ」
オモダカ「ですが、もっとラクリウムに関するデータが欲しいですね」
クラベル「ええ、先ほどシンヤさんから、あなたたちがストロングスフィアの発売を止めたいことを聞きました」
リコ「はい!」
ロイ「ストロングスフィアは危険なものなんです!」
クラベル「わかっていますよ」
オモダカ「私たちは、あなたたちを信頼しています。しかし、ストロングスフィアが危険なものだと多くの人に理解してもらえないと、ストロングスフィアの発売を止めるのは難しいですね」
クラベル「そのためには、ラクリウムに関する詳しいデータや、ストロングスフィアが危険なものだという証拠が必要ですね」
オモダカ「それに、ラクリウムとポケモンの関係も調査する必要があります」
シンヤ「そのために、オーリム博士とフトゥー博士の力を借りたいんです!」
オモダカ「わかっています。ラクリウムを消滅させることができる唯一のポケモンが《テラスタル》と関連がある《テラパゴス》だからこそ、テラスタルにいて誰よりも詳しいお二人に会いに来たのでしょう?」
シンヤ「はい!」
クラベル「お二人の力が必要なのはもちろんですが、こういうことについての適任の方がもう一人いらっしゃいます」
シンヤ「えっ?オーリム博士とフトゥー博士以外の適任者ですか?」
クラベル「ええ、オーリム博士とフトゥー博士は、今その方と一緒に《生物室》にいると思いますよ」
シンヤ「生物室ってことは…」
クラベル「ええ、シンヤさんの想像してる方だと思われます。では皆さん、すぐ生物室に行ってください」
クラベルにそう言われると、校長室を出たシンヤたちは、オーリム博士とフトゥー博士がいる生物室に向かった。
オレンジアカデミー・生物室
オーリム博士「やぁ、シンヤ君!」
フトゥー博士「元気そうでよかったよ!」
シンヤ「お久しぶりです、オーリム博士、フトゥー博士。それと、《ジニア》先生も」
ジニア「ええ、本当に久しぶりですね。皆さん元気そうでよかったです」
シンヤたちが生物室にやってくると、そこにはオーリム博士とフトゥー博士と、オレンジアカデミーで生物の授業を担当する《ジニア》先生がいた。そう、クラベル校長が言っていた適任者とは、ジニアのことだったのだ。
シンヤ「お二人とも、もう体調はよろしいんですか?」
オーリム博士「ああ、半年のリハビリで、こうして普通の日常生活を送れるようになったよ」
フトゥー博士「君のおかげだ。本当に感謝しているよ」
シンヤ「あ、いえ、お二人を救ったのはディアルガですから。あの、早速で悪いんですけど…」
オーリム博士「ああ、わかっているよ」
フトゥー博士「ラクリウムと呼ばれる結晶のことだろ?」
シンヤ「はい。ドット」
ドット「うん。あの、これを見てください」
ドットはスマホロトムをタブレットタイプに拡大すると、さっき校長室でオモダカとクラベルに見せたように、オーリム博士とフトゥー博士とジニアの3人にラクリウムの資料を見せた。
オーリム博士「これがラクリウムか…」
フトゥー博士「興味深い」
ジニア「素晴らしい資料ですよ、ドットさん」
ドット「でも、まだわからないことが多くて…」
今ラクリウムについてシンヤたちが詳しく知っていることは、ドットがまとめたラクリウムの資料に書いてある通り、ラクリウムを人間に使えば延命できるということと、ポケモンに使えば狂暴化してしまうということ、植物を早く成長させるという3つのことだけなので、これ以上ラクリウムについて話せることはないだろう。
シンヤ「あの、さっきクラベル校長から、ラクリウムのことを訊くならジニア先生が適任だと言われたんですけど、どうしてジニア先生が適任者なんですか?」
ジニア「僕、昔はクラベル校長と一緒に、ポケモンの生態を研究するところで働いてたんです」
シンヤ「え、そうなんですか?」
ジニアの言葉を聞いたシンヤは、クラベルとジニアはオレンジアカデミーに来る前からどこかで先生をやっていたと思っていたので、2人がポケモンの生態を研究する場所で働いていたということに驚いた。
ジニア「ええ、いつも怒られてばかりでしたけどねw」
ドット「だから校長先生は、エリアゼロとテラパゴスについて詳しかったのか」
オーリム博士「うーん、このラクリウムの資料にある動画を見ると、テラスタルフォルムになったテラパゴスだけが、唯一ラクリウムを消滅させることができて、ラクリウムの影響を受けたポケモンを鎮めることができるということだが…」
リコ「はい。どうしてかはわからないけど、パゴゴだけが、ラクリウムの影響を受けて狂暴化したポケモンたちを鎮められるんです」
なぜかはわからないが、テラパゴスはラクリウムを消滅させることができ、ラクリウムの影響を受けて暴走しているポケモンを鎮める力を持っている。それは、実際にシンヤたちが自分の目で見ている
ジニア「テラパゴスによる浄化と呼ぶべきですかね…」
フトゥー博士「ドット君の見せてくれたこの資料に下のところに、ラクリウムを人間に使えば、その人間は長い時を生きられるとあるが…」
ドット「はい、エクスプローラーズの前のボスだった《ギベオン》という男が、ラクリウムの力を使って100年も生きているのを見ました」
ジニア「ラクリウムには、生命力を活性化する力があるのでしょうか?」
オーリム博士「うーん、まだ何とも言えないな」
フトゥー博士「ラクリウムの現物があれば、どういうものか調べられるとは思うけど…」
ジニア「確かに…」
シンヤ「ありますよ、ラクリウム」
シンヤ以外の全員「「「えっ?」」」
シンヤ「ほら」
スッ(ラクリウムの入ったチャック付きポリ袋を出す)
シンヤ以外の全員「「「ええ〜〜〜っ!?」」」
ドットがまとめたラクリウムの資料を見て、シンヤたちからラクリウムがどういうものかを聞いたオーリム博士とフトゥー博士とジニアは、ラクリウムを実際にこの目で見てみたいと思った。しかし、ラクリウムがあるラクアは、今はエクシード社が管理していて、誰も入れないように立ち入り禁止にされているため、ラクアに入ることは不可能だった。そのことにシンヤ以外の全員が残念がっていると、シンヤはラクリウムがあると言い出し、自分のリュックの中を漁り始めると、ラクリウムの結晶が入っているチャック付きポリ袋を出した。それを見た途端、シンヤ以外の全員は驚きの声を出した。
リュウガ「なんでお前がラクリウムを持ってるんだ!?」
シンヤ「ナナカマド博士とか、各地方のポケモン博士にラクリウムがどういうものかを調べてもらおうと思って、フリードと一緒にラクアを出るときに手に入れておいたんだ」
ミコ「そんな危ないもの持ち歩かないでよ」
シンヤ「割れたり傷がつかないように保管してたって」
ジニア「シンヤ君。そのラクリウム、僕たちに預けてもらえませんか?」
シンヤ「ええ、構いませんよ。元々そうするつもりで出したんですから」
スッ(ラクリウムの入ったポリ袋をジニアに渡す)
ジニア「ありがとうございます」
シンヤ「ラクアから持ってきたラクリウムはそれで全部ですけど、役に立ちそうですか?」
ジニア「ええ、これだけあれば十分です」
オーリム博士「そのラクリウムを詳しく調べて、ポケモンが狂暴化する理由がわかれば、ストロングスフィアの発売を止めることができるかもしれない」
リコ「本当ですか!」
フトゥー博士「ああ!」
オーリム博士「今日から忙しくなるな」
シンヤ「あ、念の為に言っておきますけど、ラクリウムの研究をするときは…」
ジニア「わかってますよ。ポケモンが居ない場所ですればいいんですよね?」
シンヤ「ええ。うっかりラクリウムを落としたりすると、割れたラクリウムの中からピンクのモヤが出てきて、それを浴びたポケモンが狂暴化してしまうので」
フトゥー博士「わかった。取り扱いに注意しながら研究するよ」
シンヤ「お願いします」
オーリム博士「ラクリウムのことで何かわかったことがあったらすぐ連絡をくれ。こっちも何かわかったらすぐ連絡するから」
リコ「わかりました」
ウルト「なぁ、俺、腹減ったぞ」
ミコ「そういえば、もうそろそろお昼の時間よね」
リュウガ「食堂に行って何か行って食べるか」
オモダカたちに今の事情を話し、オーリム博士やフトゥー博士にラクリウムのことを調べてもらうという目的を果たせたので、シンヤたちは生物室を後にすると食堂に向かい、そこで昼食を摂った。
オレンジアカデミー・廊下
シンヤ「さて、これからどうする?」
リュウガ「ここに来た目的は全部終わったからな。船に戻るか?」
ドット「僕、ボタンに会って話がしたいな。ボタンもエクスプローラーズが悪い奴らだって知って…」
ドォォォォォォンッ‼︎
全員「「「!?」」」
リコ「なに、今の!?」
シンヤ「グラウンドから聞こえてきたな」
ロイ「行ってみよう」
オレンジアカデミーの廊下を歩いていると、突然グラウンドから謎の爆発音が聞こえてきたので、何事かと思ったシンヤたちは急いでグラウンドに向かった。
オレンジアカデミー・グラウンド
ネモ「くっ…」
???「どうした?パルデア地方のチャンピオンランクの実力はそんなものか?」
グラウンド・観客席
ボタン「ネモが一方的にやられるなんて…」
ペパー「アイツ、めちゃくちゃ強いな…」
ダッダッダッ(シンヤたちが走ってくる音)
シンヤ「ぁっ!」
リュウガ「あいつは…!」
シンヤたちがオレンジアカデミーのグラウンドにやってくると、グラウンドの真ん中では、2人のトレーナーがポケモンバトルをしていた。そのうちの一人は、シンヤたちの知り合いで、チャンピオンランクでもあるネモ。そしてもう一人は、シンヤにとって因縁のあるトレーナーだった。
ゼロ「これで終わりだ。マンムー!『ギガインパクト』!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ‼︎」
ドォォォォォォンッ‼︎
パーモット「モォォォォォトッ!?」
ネモ「パーモット!」
グラウンドでネモとバトルしていたトレーナーの正体。それは、シンヤがシンオウ地方でフルバトルをして敗北したときに因縁のある相手となった《ゼロ》だった。どうやら、ネモはパーモットも、ゼロはマンムーを使ってバトルしていたようで、「ギガインパクト」を発動したマンムーの突進攻撃がパーモットに直撃すると、吹っ飛ばされたパーモットは戦闘不能になった。
パーモット「モ…トッ…(@_@)」
キハダ「パーモット、戦闘不能!マンムーの勝ち!よって勝者、《ライム学園》のゼロ!」
ゼロ「フンッ。ん」
シンヤ「ゼロ」
オレンジアカデミーの教師で、ゼロとネモのバトルの審判をしていたキハダがバトルの終了を宣言すると、ゼロはバトルフィールドの中にあるマンムーを、ネモは倒れたパーモットをモンスターボールに戻し、不意にバトルフィールドの外に目を向けたゼロは近くにシンヤがいることに気づいた。すると、ゼロとバトルしていたネモや、ゼロとネモのバトルを見ていたペパーやボタン、審判をしていたキハダが、シンヤたちがグラウンドに来ていることに気づいた。
ペパー「シンヤ!」
ボタン「ドット!」
シンヤ「よっ」
ドット「久しぶり、ボタン」
キハダ「押忍!久しぶりだな!」
リコ「久しぶりです、キハダ先生!」
ウルト「ゲッ…!?また女子かよ…」
ネモ「ロイ、久しぶり!背が伸びたね!あ、その腕に着けてるのって…」
ロイ「うん、《メガリング》だよ。カロス地方に行ったとき、ある人から貰ったんだ。そこにいるウルトと一緒に」
ネモ「へぇ、そうなんだ。私はネモ。よろしくね、ウルト」
ウルト「お、おう…」
ペパー「シンヤ、無事だったんだな」
ボタン「クムリ山でのこと、テレビで見たときはびっくりした」
シンヤ「あー、悪い。その件は後にしてくれ」
1年ぶりの再会で、話したいことや聞きたいことは沢山あると思うが、今のシンヤには目の前にいるゼロしか見えていなかった。
ゼロ「クムリ山で生死不明とは聞いていたが、やはり生きていたか」
シンヤ「まさか、お前がオレンジアカデミーにいるとはな」
ネモ「シンヤの知り合いなの?」
シンヤ「リュウガ以外に、俺を負かした唯一のトレーナーだ」
ペパー・ボタン「「えっ?」」
ウルト「リュウガ以外に、シンヤが負けたヤツ…?」
ゼロ「完膚なきまでに、だろ?」
シンヤ「…」
ゼロ「まぁそんなことはいい」
スチャ(ゼロがモンスターボールを取り出す)
ゼロ「どうだ?今ここでバトルをしないか?」
シンヤ「フルバトルだと?」
ゼロ「ジョウト地方で会ったときは、やることがあると言ってバトルを断られたが、今は時間があるんだろう?だったらバトルをするのに何の問題もないはずだ。それとも、リベンジできるチャンスを逃し、尻尾を巻いて逃げるか?」
シンヤ「フッw、いいだろう、そのバトル受けてやる!確かに、あの時はバトルができない状況だったが、今はバトルできる時間があるからな。以前シンオウ地方で負けた借りを、今ここで返してやる」
ゼロ「そうこなくちゃなw」
ゼロからバトルを挑まれると、シンヤはゼロの挑戦を正面から受けた。それは当然のことだった。シンヤは、以前ゼロとフルバトルをして負けたときのことを忘れているわけではない。ジョウト地方でゼロと再会したとき、本当はゼロとバトルしたいと思っていたが、あの時はパゴゴのために、六英雄を集めてラクアに行くという目的があったから、そっちを優先した。しかし、今はバトルを断る理由がない。
ゼロ「バトルはフルバトルでいいか?」
シンヤ「もちろん」
キハダ「ちょっと待った!」
シンヤ・ゼロ「「ん?」」
ゼロからフルバトルを提案されると、それに乗ったシンヤはモンスターボールを取り出そうとした。すると、キハダが待ったと声をかけたので、シンヤは手を止めた。
キハダ「フルバトルをするのは構わんが。ゼロ。君はこのあと《キウイ学園》に戻らなければならんだろう?時間は大丈夫なのか?」
シンヤ「キウイ学園?」
キハダ「《ブルーベリー学園》と同じように、近年新設された新進気鋭の学術機関だ。ブルーベリー学園と違って誰でも入れるわけでなく、招待された者しか入学できない特別な学校でな。彼はそこのチャンピオンランクのトレーナーで、一番の実力を持つトレーナーなんだ」
リュウガ「そんなやつが、何でオレンジアカデミーに?」
ゼロ「キウイ学園の校長から、オレンジアカデミーの校長に挨拶に行ってくれと頼まれたから来ただけだ。そしたら、いきなりこの女がバトルを挑んできたから、バトルの相手をしてやったんだ。俺と同じチャンピオンランクだから、どれほどの腕かと期待してはいたんだが、とんだ期待外れだったぜ」
ネモ「っ…」
ロイ「ネモは強いよ!」
ゼロ「俺のポケモンを一体も倒せなかったヤツがか?」
ロイ「一体も倒せなかった、ネモが?」
ネモ「本当のことだよ。しかも、彼は3体のポケモンだけで、私の6体のポケモンを倒したんだ」
シンヤ「フルバトルをしてたのか?」
ゼロ「ああ、つまらんバトルだった。こんなヤツがチャンピオンランクなら、このオレンジアカデミーにいるトレーナーのレベルもたかが知れてるな」
シンヤ「っ」
ペパー・ボタン「「っ!」」
ネモ「っ…」
ドット「おい!さすがに今のは言い過ぎだぞ!」
ゼロ「俺は事実を言っただけだ」
ドット「お前な!」
ロイ「ネモは強いし、オレンジアカデミーにいるトレーナーたちは強い人ばかりだ!」
リコ「そうです!」
シンヤ「リコ、ロイ、ドット、やめろ」
リコ「シンヤ…」
ゼロの言葉に、リコとロイとドットがヒートアップし、口喧嘩が激しくなりそうになると、さっきから黙って様子を見ていたシンヤがゼロとリコたちの間に入って仲裁した。
シンヤ「ゼロ、お前もだ。ここは口喧嘩をする所じゃない。それに、お前の目的はリコたちと口喧嘩をすることじゃないはずだろ?」
ゼロ「おっと、そうだった。お前とバトルするんだったな。くだらないことで時間を無駄にするところだった」
ドット「っ、誰のせいだと…」
シンヤ「ドット」
ドット「ぁっ…ごめん…」
シンヤ「バトルのルールはどうする?」
ゼロ「フルバトルをしたいとこだが、あまり時間がないからな。ここから空港の時間を考えると、3対3の入れ替えで、《メガシンカ》と《テラスタル》だけ有りのルールでどうだ?俺は《Zリング》も《Zパワーリング》も持ってないんでな」
シンヤ「ああ、構わないぜ」
ゼロ「それと、《メガテラスタル》もなしのルールだ」
シンヤ「いいだろう。…一つ訊いておきたいんだが、お前、ストロングスフィアを持ってるか?」
リコ・ロイ・ドット・リュウガ・ミコ・ウルト「「「「「「っ!」」」」」」
ゼロ「ストロングスフィア?…あぁ、エクシード社が発売する、ポケモンを強くするってアレか」
シンヤ「ああ。発売はされてないが、モニターをしてる人には一足先に渡されてるらしいからな」
ゼロ「持ってない。というより、あんなものに興味はない。あんなもの、弱いヤツか楽に強くなりたいヤツが使うものだからな」
シンヤ「フッw、いいだろう、このバトルで使うのは、互いにメガシンカとテラスタルだけだ」
ゼロ「バトルのルールに納得したなら、さっさとバトルを始める準備をしろ」
シンヤ「ああ。けどその前に…」
ゼロは、自分が決めたルールでバトルすることにシンヤが納得すると、後ろにあるトレーナーゾーンに向かおうとした。するとその前に、シンヤは背負っているリュックを地面に置き、右手でリュックの中を漁って3つのオレンのみを手に取ると、右手をゼロの前に伸ばした。
ゼロ「何だこれは?」
シンヤ「見てわかるだろ。オレンのみだ。これを使って、ネモとのバトルでダメージを受けたポケモンたちを回復させろ」
ゼロ「必要ねえよ。あまりダメージを受けてないし、お前に情けをかけられる覚えはない」
シンヤ「いいから使え。お前だって、対等な条件でバトルしたいだろ?それとも、俺とのバトルに負けた時、『少しダメージを受けていた』って言い訳の言葉でも使うか?」
ゼロ「っ!…いいだろう。ただし、受け取るオレンのみは1つでいい。お前とのバトルに使う3体のポケモンのうちの2体は、この女とのバトルで使わなかったポケモンを使うからな」
シンヤ「ああ、それでいい」
シンヤの挑発のような言葉を聞いたゼロは、右手を伸ばしてシンヤが持っているオレンのみを1つ取ると、ネモとバトルしていたときに立っていたトレーナーゾーンに歩いて行った。
キハダ「では、2人のバトルの審判は私がやろう」
シンヤ「お願いします」
ロイ「シンヤ、アイツにだけは負けないで」
ドット「僕も同感だ」
リコ「私も」
シンヤ「わかってるよ」
さっきのネモに対するゼロの暴言が気に障ったようで、リコとロイとドットはシンヤに勝ってほしいと伝えると、バトルを観戦するリュウガたちと一緒に近くにある観戦場所へと歩いて行き、シンヤはピカチュウと一緒にゼロが立っている場所の反対側にあるトレーナーゾーンに向かった。
キハダ「ではこれより、フタバタウンのシンヤと、シュートシティのゼロのポケモンバトルを始める」
シンヤ(あいつ、ガラル地方の出身だったのか)
キハダ「ルールは3対3の入れ替え戦。試合時間、並びにポケモンの交代は無制限!相手のポケモンすべてを戦闘不能にした方が勝ち。そして、このバトルはメガシンカとテラスタルの2つを使えることとする。2人とも、このルールでいいな?」
シンヤ「はい!」
ゼロ「もちろん」
キハダ「では両者、最初のポケモンを!」
シンヤ「いけ!ガブリアス!」
ゼロ「マンムー!」
ポーーン‼︎
ガブリアス「ガァァァァッ!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ!」
キハダの合図でモンスターボールを手に取ったシンヤとゼロは、手に取ったモンスターボールを同時に宙に投げた。そして、宙に投げられた2つのモンスターボールが開くと、シンヤが投げたモンスターボールからはガブリアスが、ゼロが投げたモンスターボールからは、さっきネモのパーモットとバトルしていたマンムーが現れた。
ゼロ「マンムー」
マンムー「ムッ?」
シュッ(ゼロがオレンのみをマンムーに向かって投げる)
パクッ…モグモグッ(マンムーがオレンのみを食べる)
ゼロ「これで対等な条件でバトルできるな」
シンヤ「ああ」
ゼロはマンムーに声をかけると、さっきシンヤの手から取ったオレンのみを自分の方に振り向いたマンムーに向かって投げた。すると、マンムーは口を大きく開き、ゼロが投げたオレンのみを食べて体力を回復した。
観客席
ドット「あいつはマンムーか…」
ミコ「ガブリアスと相性が悪いわね」
リュウガ「だが、これはガブリアスのリベンジになる」
ミコ「リベンジ?」
リュウガ「ああ。実は俺、六英雄のウガツホムラを探しにエリアゼロに行こうってことになったあと、ブレイブアサギ号がジョウト地方からパルデアに向かっているときに、シンヤからゼロとフルバトルした話を聞いたんだ。その時に、あのマンムーがガブリアスに倒されたことを聞いた」
ミコ「じゃあこのバトル、ガブリアスには負けられないバトルになるわね」
バトルフィールド
ゼロ「思い出すな、初めてお前とバトルしたときのことを。お前は俺のポケモンを一体も倒せず、マンムーを含めた俺の4体のポケモンに敗北したっけな」
シンヤ「あの頃とは違うぜ」
ゼロ「そりゃ世界チャンピオンなんて呼ばれてんだから、少しは手応えがなきゃな」
互いのポケモンがバトルフィールドに現れると、シンヤはバトルが始まるのを今か今かと待っていた。このバトルはフルバトルではないが、シンヤにとって待ちに待っていたゼロとのバトルなので、シンヤの胸の鼓動は高鳴っていた。
キハダ「双方準備はいいな!では、バトル、スタート!」
ゼロ「マンムー!『こおりのつぶて』!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ‼︎」
シンヤ「ガブリアス!『ドラゴンクロー』!」
ガブリアス「ガァァァァッ‼︎」
バァァァァンッ‼︎
キハダの合図で、ついにシンヤ対ゼロのポケモンバトルが始まると、マンムーはキバの先端の間に薄青に光る氷の球を作り出し、それをガブリアスに向かって放った。すると、ガブリアスは「ドラゴンクロー」発動した両手を振り下ろし、飛んできた氷の球を粉々にしてマンムーの攻撃をガードした。
ゼロ「ほぉ、以前シンオウ地方でバトルしたときより手応えがあるな」
シンヤ「まずは挨拶代わりの攻撃か?」
ゼロ「フンッ。『ゆきげしき』!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ‼︎」
マンムーが空に向かって大きな鳴き声を上げると、バトルフィールドの上空の中心に黒い雪雲が出現し、それがバトルフィールドを包むように広がると、雪雲から雪がパラパラ降ってきた。すると、マンムーが雪の中に身を隠した。
シンヤ「マンムーの特性《ゆきがくれ》か!」
ゼロ「さて、雪の中に隠れたマンムーをどうやって見つける?」
シンヤ「これで炙り出す。ガブリアス!『すなあらし』!」
ガブリアス「ガァァァァァブッ‼︎」
天気が雪のときに発動する、マンムーの特性“ゆきがくれ”により、マンムーの姿がパラパラ降っている雪の中に紛れて消えると、ガブリアスが大きな鳴き声を上げた。すると、バトルフィールドに砂嵐が吹き荒れ始め、バトルフィールドの上空にある雪雲が消えると、隠れていたマンムーの姿が露わになった。
ゼロ「せっかくの『すなあらし』だが、マンムーもじめんタイプを持ってるからダメージは受けないぞ」
シンヤ「わかってるよ。ガブリアス!『アイアンヘッド』!」
ガブリアス「ガァァァァァァッ‼︎」
ゼロ「マンムー!『ギガインパクト』!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥゥゥッ‼︎」
ドォォォォォォォォンッ‼︎
ガブリアス「ガァァァァッ!?」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ!?」
シンヤ「パワーは…」
ゼロ「互角か…」
ガブリアスはこおりタイプに効果抜群の「アイアンヘッド」を発動して、頭からマンムーに突っ込んだ。すると、マンムーは「ギガインパクト」を発動し、体にピンクのエネルギーを纏うと、ガブリアスと同じように頭から突っ込んだ。そして、ガブリアスとマンムーが正面からぶつかり合うと大爆発が起こり、バトルフィールドに吹き荒れている砂嵐が消し飛ぶと、ガブリアスとマンムーは爆発の衝撃で互いに後ろに吹き飛ばされた。
ロイ「すごい…」
ドット「シンヤとここまで互角に戦うなんて…」
リュウガ「技を使うタイミングといい、シンヤの先を読んでバトルしている」
ミコ「口先ばかりじゃなく、実力もあるってことね」
ゼロ「フッw、そのガブリアス、シンオウ地方でバトルした時より遥かにレベルが上がってるな」
シンヤ「シンオウ地方でお前とフルバトルをして負けたあと、お前に負けたことがすごく悔しくて、いつかお前と再会できたときにリベンジしようと、シンオウリーグで優勝したメンバーと一緒に頑張ってきたからな」
ゼロ「それは健気な努力だな。だが、お前は俺に勝てない。ここで俺に完膚なきまでに叩き潰され、世界チャンピオンが大したことがないと証明されるだけだ」
シンヤ「それはどうかな?今の俺もポケモンたちも、お前に簡単にやられるほど弱くねぇぞ」
ゼロ「だったら本気で潰してやるよ。マンムー!『こおりのつぶて』!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥ」
シンヤ「『ふぶき』や『れいとうビーム』ならまだしも、『こおりのつぶて』じゃ俺のガブリアスは倒せないぜ」
ニヤッ(ゼロの口角が吊り上がる)
ゼロ「マンムー!『こおりのつぶて』を喰らえ!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ!」
バクッ(マンムーがこおりのつぶてを食べる)
キハダ・観客席にいる全員「「「ぁっ!」」」
シンヤ(っ、その戦い方は…)
マンムーは「こおりのつぶて」を発動すると、さっきと同じように、キバの先端の間に氷の球を作り出した。すると、マンムーは口を大きく開けて「こおりのつぶて」を飲み込んだ。そのマンムーの行動に、バトルを見ているリコたちは驚き、次に何が起きるのかシンヤが察した瞬間、マンムーの背中の茶色の毛が逆立ち、逆立った茶色の毛が氷の棘のようになって鋭くなった。
ペパー「な、何だよ、アレ?」
ネモ「私とのバトルじゃ、あんなの見せなかったよ…!」
リュウガ「恐らく、『こおりのつぶて』を喰ったことで、マンムーがパワーアップしたんだろ」
ボタン「そんなことができるの?」
ミコ「私とリュウガとシンヤは、そうやってパワーアップしたポケモンを見たことあるけど…」
リュウガ「あれは偶然だったが、使いこなすヤツは初めて見る」
ゼロ「ほぉ、技を喰らってパワーアップするポケモンを知ってるのか?だったらわかってるはずだ。今のマンムーのパワーはさっきの比じゃねぇぞ」
シンヤ「っ…」
ゼロ「どうする?ここでメガシンカかテラスタルを使うか?」
シンヤ「…」
思いがけないマンムーのパワーアップに驚いたシンヤは、ここでガブリアスをメガシンカさせるかテラスタルさせるかを考えた。確かにゼロの言う通り、今ここでガブリアスをメガシンカかテラスタルさせれば、マンムーと互角に戦うことはできる。しかし、今ここでメガシンカかテラスタルを使えば、後々のバトルが不利になる可能性もある。そのため、シンヤはメガシンカとテラスタルを温存しときたかったのだ。
シンヤ「…いや、メガシンカもテラスタルも使わない」
悩んだ末に、シンヤはメガシンカもテラスタルも使わない選択をした。それは、もしガブリアスが倒されても、残りの2体で逆転できると信じているからだ。しかし、まだガブリアスは負けたわけではないので、シンヤはここからどうやって逆転できるか考え始めた。
ゼロ「そろそろ終わりにしてやるよ。マンムー!『こおりのキバ』!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥッ‼︎」
マンムーは「こおりのキバ」を発動すると、ガブリアスに向かって正面から突進してきた。「こおりのつぶて」を食べたことで、マンムーのパワーとスピードはさっきより大きく上がっており、直撃でもしたら一撃でガブリアスを倒せるほどだった。
シンヤ「…フッw」
ゼロ「?」
リコ「シンヤ、笑ってる…」
ミコ「あいつ、今自分がピンチだって気づいてるのかな?それもリベンジする相手に」
リュウガ「いや、あいつが笑うときは、バトルに勝つときだ!」
ゼロ「何がおかしい?」
シンヤ「いいね、こんなバトルを待っていた。これぐらいレベルの高いバトルじゃなきゃ、修行の成果を試せないからな。ガブリアス!回転しながら『つるぎのまい』を発動して攻撃をかわせ!」
ガブリアス「ガァァァァブッ‼︎」
「こおりのキバ」を発動したマンムーが突進してくると、ガブリアスは体を回転させながら「つるぎのまい」を発動し、自身の攻撃力を2段階上昇させた。
ゼロ「チッ、なら『ギガインパクト』だ!」
マンムー「ムゥゥゥゥゥゥゥンッ‼︎」
シンヤ「ガブリアス、修行の成果を見せてやれ!『アイアンヘッド』!」
ガブリアス「ガァァァブゥゥゥゥッ‼︎」
ドォォォォォォンッ‼︎
マンムー「ムゥゥゥゥゥゥッ!?」
「ギガインパクト」を発動したマンムーが突進してくると、ガブリアスは「アイアンヘッド」を発動し、正面からマンムーに突っ込んだ。さっき同じ技をぶつけ合ったときは互角だったが、マンムーは自分の発動した「こおりのつぶて」を食ったことでその力を取り込んでパワーアップしている。しかし、ガブリアスも「つるぎのまい」を発動してパワーが上がっているため、どちらが勝つかわからなかったが、ガブリアスとマンムーが技をぶつけ合うと、ガブリアスがマンムーに押し勝ち、マンムーに効果抜群の大ダメージを与えた。
ゼロ「バカな!?『こおりのつぶて』を喰らったことで、マンムーのパワーは上がってはず。なのに何で…?はっ、まさか、お前も…」
ニッ(シンヤが笑みを浮かべる)
シンヤ「本気でバトルしてなかったのは、お前だけじゃなかったってことさ」
ゼロ「くっ、マンムー!もう一度『こおりのつぶて』を喰らえ!」
マンムー「ムゥゥゥゥッ…」
ゼロ「っ、『アイアンヘッド』の追加効果か…!」
シンヤ「悪いがこれで決めさせてもらうぜ。ガブリアス!『アイアンヘッド』!」
ガブリアス「ガァァァブゥゥゥゥッ‼︎」
ドォォォォォォンッ‼︎
マンムー「ムゥゥゥゥゥゥゥッ!?」
自分と同じように、シンヤも本気でなかったことに気づいたゼロは、すぐに反撃しようとマンムーに指示を出したが、マンムーは「アイアンヘッド」の追加効果で怯んでしまって「こおりのつぶて」を発動できなかった。その隙に、シンヤの指示を受けたガブリアスは「アイアンヘッド」を発動し、頭からマンムーに突っ込み、そのままマンムーを後ろに吹っ飛ばした。
マンムー「ムゥゥゥッ…(@_@)」
ゼロ「マンムー!」
キハダ「マンムー、戦闘不能!ガブリアスの勝ち!」
シンヤ「やったなガブリアスw!マンムーにリベンジできたぞw!」
ガブリアス「ガァァァァッ‼︎」
ドット「すごい…」
ネモ「相性で不利なガブリアスで…」
ロイ「こおりタイプのマンムーを倒した…」
ペパー「流石シンヤだぜ!」
ロイ「うん!」
リコ「やった!」
ミコ「ハラハラさせてくれるわね」
リュウガ「同じ相手に二度負けるなんてことは、あいつの辞書にはないんだ」
スチャ(ゼロがモンスターボールを取り出す)
ゼロ「マンムー、戻れ」
シュルルーーン
ゼロのマンムーが倒れると、シンヤとガブリアスは、かつて負けたマンムーにリベンジできたことを喜び、リコたちはシンヤとガブリアスが勝利したことを喜んだ。すると、ゼロはマンムーのモンスターボールを取り出し、モンスターボールの中にマンムーを戻した。
ゼロ「たかが一勝したくらいで浮かれるなよ。まだバトルは終わってないぜ」
シンヤ「だけど、俺とガブリアスには大きな勝利だ」
スチャ(ゼロがモンスターボールを取り出す)
ゼロ「だったらコイツはどうやって倒す?いけ、《ウーラオス》!」
ポーーン‼︎
ウーラオス(一撃の型)「ラァァァァァオッス!」
バトルを見ているリコたち「「「ッ!?」」」
リコ「な、なに、あのポケモン!?」
ロイ「初めて見る…」
ウルト「なんか、すごそうだな…」
ミコ「ウーラオス…」
リュウガ「マジかよ、あんなポケモンまで持ってたのか…」
リコ「?リュウガとミコは、あのポケモンを知ってるの?」
ミコ「うん」
リュウガ「あのポケモンはわかくとう・あくタイプを持つ、ガラル地方の伝説のポケモンだ」
リコ・ロイ・ドット・ウルト「「「「っ!?」」」」
ペパー「で、伝説のポケモン!?」
ネモ「本当に?」
ボタン「本当だよ。ガラル地方じゃ有名だし」
ゼロが倒れたマンムーの次に出したポケモン。それは、リュウガとボタンの言う通り、ガラル地方の伝説のポケモン、《ウーラオス一撃の型》だった。
スチャ(シンヤがガブリアスのモンスターボールを取り出す)
シンヤ「ガブリアス、戻れ」
シュルルーーン
シンヤ「マンムーへのリベンジは終わったな。出番が来るときまで休んでてくれ」
スチャ(シンヤが別のモンスターボールを取り出す)
シンヤ「ウーラオスが相手なら、こいつで相手をするぜ。いけ、ルカリオ!」
ポーーン‼︎
ルカリオ「ガァァァァウッ‼︎」
シンヤ「ルカリオ、ウーラオスにリベンジするチャンスだぜ」
ルカリオ「ガウッ!」
激闘の末、ゼロのマンムーをガブリアスで倒したシンヤは、次にゼロが繰り出したウーラオスにルカリオをぶつけた。果たして、シンヤはゼロに勝つことができるのだろうか?…続く
To be continued
次回予告
シンヤとゼロのバトルが終わると、以前オレンジアカデミーの教師のレホールと一緒にフィールドワークをした遺跡の近くでラクリウム・サインが目撃されたことをボタンから教えてもらったので、次の日の朝、ラクリウムの影響を受けているポケモンがいないかを確認するために、シンヤたちは遺跡に向かった。そこでシンヤとリコは、以前テラパゴスと仲良く遊んでいたカルボウと再会した。そのすぐ後に、ラクリウムの影響を受けている《スコヴィラン》と遭遇したのだが、以前ラクリウムの影響を受けて暴走していた《ハガネール》と同じことがスコヴィランに起きた。
次回「新たな力!メガゲッコウガ‼︎」
ファイアレッドで、デオキシス、ルギア、ホウオウ、サンダー、ファイアー、フリーザー、ミュウツーの色厳選をして、すべての色違いを捕まえることができたので、また小説を元のペースで書いていきます。