ブルアカってハロウィンイベント無いですよね…ツキミちゃんイベでいれるか
ツキミ(ハロウィン)とかどうだろう?仮装と称して頭からブロッコリーとか脳みそ生やして来そうだからやだなぁ
騒がしい車内とは裏腹に、空は青く光り輝き雲一つない。
「皆さんそろそろ着きますよ!」
そんな時、エンジン音とは別の鈍い音が響いた。
ぐううぅぅぅぅ……
獣の唸り声のようでそれにしては柔らか過ぎる。なんの音だ?音が近くからしているのは分かる。だが…うん?なんだかヒフミの顔が赤い様な、熱病だろうか。
「なんだか不思議な音が響いたね〜?ヒフミちゃん」
「あっあはは…そう、ですね」
『目が泳いでいる。それに顔が赤いがどうした?熱病か?それとも風邪だろうか…悪いが失礼するぞ』
ヒフミの額に手を当て同じ様に自らの額にも空いた片方の手を当てる。感覚的には熱はない、しかし顔はどんどん赤く色づいていっている。
『では多血症か?では瀉血をしよう、ナイフとガーゼ。それにガラス瓶は輸血液のものでいいか。悪いが戦車を止めてくれ、事故が起きかねん』
「まっまって下さい!顔が赤いのは、その、お腹の音が大きくて恥ずかしくなってしまったのと、それとえっとその!うーんッ!!とにかく大丈夫ですから!!」*1
腹の…?音?本当なのか?確かに獣の唸り声の様に殺意も何もない様だったが、まあ獣の声でなければそれで良い。にしてもそれで恥ずかしがって顔が赤くなるとは可愛らしいことだ。なんとも少女らしくて愛らしい。
『腹の音か…クククッ!なんとも可愛いらしいものだ、てっきり獣の唸り声かと思ったぞ』
「ひっひどいです!」
「時間帯的に朝ごはん食べてなかったりとか…?」
ノノミがそう聞き、少し渋る様にヒフミは答えた
「正解…です、早い時間から行っておきたくて。あはは…」
『朝食は大事だ…何気ない1日の始まり、だがそれはとても大切な事だ』
「そうは言うけど1日ぐらい良いんじゃない?」
『朝が来ない者もいるのだ。まあ、かく言う私も食べていないがな』
不思議と夢や獣狩りの夜の時の様に腹は減らない。飢えも苦しみも無いが、自分がつくづく人から外れた存在なのだと痛感させられる。どうしてこうなってしまったのかと叫びたくなる程だ。それも機械が無ければ叶わないことだが喋れるだけマシだろう。
「おっ良いのが有りましたよ!運転手さん、左側のお店に停まって貰うことは出来ますか?」
「あいよ、お!たい焼きか。甘くて美味いよな…!」
機械も飯を食うのか?こいつが例外という可能性もあるが如何なんだろうか、しかも美味いということは味覚もあるのか?もしくはそれに準ずるものが…今良いか。最悪残骸の中身を探ればなんとかなるだろうし、今はいいだろう。しかし疑問が残る。たい、とは一体何なのだろうか?店の看板には魚らしきものが飾ってはいるがあれ自体を売るわけではあるまいし、なんだかよく分からない。こういうのは人に聞くのが一番だろう。ひとまず隣にいるヒフミに聞いてみたが
『たい焼きとはなんだ?そもそも“たい”とは?』
「えっと…どう説明したら…?」
ヒフミが返答に困るとは一体どの様なものなのだろう。ますます気になる。そんな時、普段の眠たそうな顔から一変したホシノが、目を輝かせながらこちらを見て口元が動き出した。
「知らないの?鯛はねタイ科の魚で、白身魚なんだよ!一般的には真鯛を指すのが多いけどキダイとかクロダイとかがいて、他にもイシダイっていうお魚もいるんだけどタイ科じゃなくてイシダイ科でスズキ亜目ではなくて純粋なスズキ目なんだよ!面白いよね!それでタイに話は戻すんだk」
『………?』
「ありゃりゃ、ちょっと分かんなかったか」
タイが魚なのは分かったが。それだと先ほどパッチ(仮)が話した甘いという発言がとても気になる。焼きと名前に付くところから察するに焼き物に変わりはない、つまり
なんと啓蒙的なのだろうか!素晴らしいじゃないか、決して美味い物とは思えないが楽しみなことに変わりはない。にしてもその発想をした者は直ちに医療教会のクソったれどものところにぶち込みたいところだ。見つけ次第そうしよう!
『…楽しみだ』
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「うーん!美味しい!!あんこもぎっしり入ってるし当たりね!」
『………』
「どうしたの?はやく食べないと冷めちゃ『手足が生えていない…ッだと……』
「「「なんて?」」」
『魚とは手足が生えていて銛を投げつけてきたり大型の個体は丸呑みにしてきたり犬の様に走り回って齧り付いて来るのでは無いのか!?*2それにどうして内蔵ではなくこの様な甘いナニカが入っているんだ……焼き魚ではなかったのか。そう、なのか』
「えっと…?何と勘違いしてたの?それに魚に足はないし走り回らないけど……?」
想像していたものとの違い困惑したが、これはこれで美味いことの代わりはない。ひとまずこれはポケットの中にしまっておくとしよう。にしても周りの反応が少し困るな、まるで奇怪なものを見るような目で見ないでくれたまえ、変なことを言ったのは自覚しているが自らの認識と違った時に困惑するだろう?もしくはポケットに直接入れたのが間違いだったか?私にとっては普通のことだが彼女達にとっては違うことも色々あるのだろう。慣れるのは、骨が折れそうだ…
【たい焼き】
小麦粉を溶いた生地であんこを包み、たいの形に焼いたもの。とても甘く、優しい味だ。今はまだ暖かいが、時が経てば冷めて硬くなってしまうだろう。人も物も、時が経てば朽ちる。ただ、それだけのこと
食事を済ませ、車内へまた乗り込んだ。そしてしばらくした後にまた止まった。どうやら本当に距離としては近かった様だ。
『良い物だな戦車とやらも。馬車よりも速く、けれど乗り心地が悪いのは難点だった』
「馬車って今時乗る機会ってありますかね?多くてもバスとか電車がほとんどでは……?」
『バス?電車?初めて聞くな、今度調べてみるとしよう。ああ探究とはやはり素晴らしい』
「なんか勝手に感動してるし…あっ運転手さん。今回はありがとうございました。また機会があればその時はぜひお礼を…」
普段とは打って変わり行儀の良い様子のセリカに、少し驚いたが。まあどうでも良いか。まあセリカに習って私も礼の一つでもするとしよう。こいつに頭を下げるのは癪に触るがな
『ここまでの運転感謝するぞ。友よ』
「そう言えば何だかお二人とも少し親しい様子でしたし、お友達だったんですね。昔からそうだったりするんですか?」
『いや?先ほど出会ったばかりだ』
「へ?」
『雰囲気が昔の友に似ていたからそう呼んでいるだけだ。酷い男でな…崖から突き落として毒に浸からせたり、後で問い詰めたら言い逃れし、友だから殺さないでほしいと命乞いする始末。醜いが同時にそれが愛らしくもあり、そのまま逃してやったが。神を失ったとやらで姿を消した。同業者からは露天商の様なことをやっていると聞いたから。何処かで元気にやっているのだろう。奇縁があれば、また何処かで会おうじゃないか。そう言って二度と会うことは無かった。』*3
「……そいつの名前は、何だ」
『“パッチ”というやつだ。雰囲気はお前に似ている。それがどうかしたか?』
「俺が探してやる。そんなお別れはあんまりだ。それに、神だ信仰がどうのこうの言って消えたそいつにイライラする。絶対に探し出して鉛玉をくれてやる」
何をそんなに熱くなる必要があるのかわからないが、それに周りもどうした?そんな暗い雰囲気になる必要はないだろうに。
「じゃあみんな、早速銀行で“調べ物”をしよっか。それと警備の奴らは全員壊しちゃっても構わないよね。運転手さん。」
「頭部のデータメモリだけは壊さないでやってほしい」*4
「出来るだけ気を付けるよ。ツキミちゃんの“お友達”のお願いだからね〜」*5
抜けた雰囲気だがその雰囲気は殺気を伴っている。何をそんなに怒る要素があるのだろうか(クソボケ)
「にしてもあの数の警備をどうしましょうか?私達の顔はもう割れているでしょうし、かと言って普通に明細を見せてくれるでしょうか…」
「私としては全員倒しちゃうのも手だとは思うけどね」
「ん、なら良い方法がある」
“良い方法?”
ほう……?まあ全て潰して奪えば良いだけの話、短略的だが効果的。単純で良いじゃないか。周りも、同じ意見の様だ。貴公の表情から察して嫌気だが、うん。我慢してくれたまえ。
「前に会議の時に出した覆面。ツキミのはまだ半分しか作れてない。ヒフミのは…想定してなかったから…ごめん」
「あのー?なんか私も参加する流れに…?」
「何を言ってるんですか!もう私たちは仲間同然、いつでも一緒ですよ!」
「私の意見は通らないんですかー!!??」
ヒフミの悲鳴にも近しい叫び声が鼓膜を揺らすのを感じながら、戦略を練る。銀行の前方には8機、その隣には盾持ち。初撃で1機か2機は持っていけるが、残しておくと面倒なのは盾持ちだな。すぐに砕けるとはいえ一発は耐える。その隙にやられたら溜まったもんじゃあない。ならば一撃に重きをおき、確実に始末しようか。
そうなると教会の石鎚、それとも獣狩りの斧?あるいは小アメンの腕……あるいは大砲で全て吹き飛ばすのも手だな。だが水銀弾の消費は抑えたい。そうなると後者は無しとして…教会の石鎚で良いだろう。ハンマーの状態で多数を相手し、囲まれたら直剣で手数を増やして逃げれば良い。盾で防がれたら面倒なのはそうだが、火炎瓶で燃やせば良い。
「じゃあ皆さん覆面をつけて下さいね〜あっヒフミちゃんはこれを!」
そう言ってノノミが取り出したのは先程のたい焼きの袋に穴を開けただけの非常に簡素なものが出て来た。その額には“5”の数字が刻まれている。カレル文字と似た様な物だろうか、あるいは一体感を得るための物だろうか。ホシノには1シロコは2ノノミが3どちらにせよ、私には関係の無いことだが。
「ツキミちゃんのはどうしよう…覆面的なやつはもう無いよ?」
「いやいやセリカちゃん。ツキミちゃんには“お留守”して貰わないと。また怪我されたら…ねぇ?」
『それで大人しくするとでも?』
「どうしてもって言うならもう私は止めないよ、どうする?」
『行くさ、顔を隠せば良いのだろう?自前のがあるから安心してくれたまえ。もとより、こんな図体ではすぐに正体がバレそうだが』
「ん、その分インパクトがある。最悪は相手が怯えないこと、ツキミのそれは凄い役に立つ」
『クククッ!そうか、それなら良い』
顔を隠す、それならば良いのがある。私は使者からそれを受け取り、両手で抱える。
【長の鉄兜】
逆さにしたバケツの様な鉄兜 おそらくは元の持ち主がそうだったのであろう。片目だけ、覗き穴が開いている それは代々、連盟の長に引き継がれる証である ヴァルトールはもう「虫」が見えなくなっていた
『ああ、懐かしい。これを再び被る事になるとは…』
「それが自前の…ですか?番号を書くのでこちら『すまんが、それは辞めてほしい。“遺品なんだ”』
「ッッッ…」
『ああ、それと…ヘイローが少し変わるが気にしないでくれたまえ』
「「「「へ?」」」」
頭の中の【契約のカレル】を書き換える。狩りから穢れ、狩りから【淀み】へ。工房の道具を使わずにその場で変更出来る様になったのはつい最近のことだ。
まるで息をするのと同じ様に、作り方を教えられずに巣を作る蜘蛛の様に、幼子が産声をあげる様に、気づいたら出来ていた。上位者へ変異したからなのか、この世界に来た影響なのか。全く分からない。だが、何から何までを利用するだけ……
『これは契約のカレル、淀み。連盟の誓いでもあるそれは、その産まれは酷く陰惨なものだった。禁じられた獣喰らいの末にそれは見い出されたそれは狩の成就に【虫】を見出す。それは汚物の内に隠れ蠢く人の淀みの根源。躊躇無く踏み潰せ。そうすればいずれ使命が私を昂らせる。長はそう確かに言った』
「えっと……?何がなんだか分からないのですが…」
アヤネが戸惑った様に私の瞳を見る。無理もない、人智を超えた叡智を知るとは、まさに困惑と無知から始まる。人は何も知らない。だからこそ、知るのだ。己の無力とその愚かさを。だが
『知らない方が良いこともある』
「なん、ですかそれ……まるで関わるなって言ってるみたいじゃ」
『そうだが、なんだ』
「ノノミ先輩、詮索は無し。そう約束したでしょ」
『すまんな、セリカ』
”じゃあ…みんな。武器は持ったかな?換えのマガジンはすぐ手に届くところに、撃つのはマーケットガードと武装をしたカイザーの兵士だけ、それ以外は……ツキミちゃん?その物騒なものは、何?“
『回転ノコギリ。この鉄兜を被った者の獲物だ。長の、獣喰らいヴァルトールの仕掛け武器だ。辺縁にノコギリの刃を配した円盤を、複数に重ねたそれは機構により高速で回転し、獣皮と肉を細切れに削り取っていく。姿を真似ても、同じ武器を担ごうとも、その者になる事は決して無い。だからこそ…求めるのだ』
『連盟の長よ、獣喰らいの古狩人よ、貴方の遺志は…私が引き継ぐ。どうか見守っていてほしい。私の狩の様を、貴方のその業を』
「………」
『すまない、少し時間が掛かった。もう、大丈夫だ』
「ん、じゃあ行こう」
(長よ、貴方と対等に並べるだろうか)
誤字報告ありがとうございました!書いてる時は何とも思わないんですけど、いざみてみると意外と……ねぇ?あと引き伸ばしてごめんなさい、次こそは必ず銀行強盗しますんで……
追記
親戚が死にました。結構前に書いた感想の返答に出てきた看護師です。死因はエーラスダンロス症候群の血管型による多臓器不全らしいです。遺伝性らしくて、エーラスの方は重症ではなく、自分で歩けて、ご飯もいっぱい食べて、でも少しの怪我や衝撃で骨折したり、足がむくんだりすることが多く、今回もその類で一時的に入院するだけだと思ったら。急にそのまま…生前に面会した時は身体中に黄疸があり、というより全身が黄色かったんです。
意識は無く、瞼からは肉がはみ出る様な状態で、人工呼吸器が無ければ呼吸出来ない状況で、血管から水が漏れるらしく腹は膨らんだ状態で、腎臓は血流が足りずにフィルターとしての意味を成さず、人工透析をしようにも血が足りず、かと言って輸血してもまた漏れてしまう状態で、危篤も何も無く、突然だったらしいです。葬儀とか諸々とか全て終わったのに、何だか現実味が無くて。棺を運ぶ時も、棺にもう顔しか見れないくらい花を入れても、それが火葬炉の中に押し込まれてボタンが押されてゴーという音が聞こえても、遺骨の冷却が済んで納骨する段階に入っても現実味が無くて
骨か脂肪が焼けたほのかに甘い様で醤油の様なほのかに口の奥に苦味や塩味を感じる様な匂いに、清酒のツンとした香りが鼻腔を突き刺しても、隣で母親が泣いていても、他の親族が別れを惜しむ間も、泣けませんでした。母親なんて立っていることもままならず、膝を崩しそうになったのを父親と一緒に支えたのを今でも覚えています。普段心強い母がそこまで弱り、泣きじゃくる姿は衝撃的でした。何があっても豪快に口を開けて笑っている姿も、下着姿で風呂場に走り去る元気な母が、そこにはいない。
それぐらい衝撃的で受け止めきれないのが、死なのでしょうか。骨は、年齢の割には全然残っていなくて、葬儀屋の人がフォローを入れてくれても絶対に変なんです。内部がスポンジ状なのは知ってるんですが明らかにボロボロで、箸でつかむと砕けてしまって、もうここまで書いて何が何だか自分でもわからないんです。平気な振りをしても、やっぱりどこかで狂ってるんでしょうか?
何をどうして人は生きていると言えるんでしょうか。