キヴォトスに狩人様がやってきた   作:小説を書く左廻りの変態

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第三十一話 風紀委員会

「いっいやああああああああ!!!!」

 

“みんな目を閉じて!!!!!はやく!!”

 

「えっうそ…嘘でしょ…なんで、なんでなんでなんでなんで!!!!!」

「私達の、せいだよね。私達が気づいて…いれば」

「う“おえぇ…そんな、なんでなのツキミちゃん!!どうして!!」

「え、一体何が起こってるのよ!?ちょっとムツキ!顔から手を退けて!」

「悪いけど、アルちゃんには見せられない光景が広がって、う”ぷ」

「ムツキも、見ない方が良いでしょ。かく言う私も、少し吐きそう。ハルカはそのまま前を見ずに、先生に言われた通りに目を閉じて」

 

ああ…また、迷惑を掛けてしまったな。こんな見苦しい肉片と成り果ててもなお、そんなにも悲しんでくれるのか、やはりこの世界の人々は優しい。それにこの惨状を見せまいと仲間の為に行動する便利屋たちの様子は歓喜さえ覚える。

 

それに一番初めに見たであろう貴公も、その場にいる全員の為に瞬時にあそこまで声を張り上げるとはな、大人とは皆こういう者なのだろうか?いかんせん私の周りにいた人間は自分勝手な輩が多かった。

 

でも、そうだな。アイリーンのような優しい女性ならば“先生”とやらに務まりそうだ。

さて、感傷に浸っている場合ではない、皆を安心させてやらないとな。

 

にしても完全に肉体が修復出来ないレベルになるとランタンからの視界になる様だ…あの撃たれて潰れた目玉でも視界が映るとはな、もうよくわからんが…足元から見ると貴公の胸の大きさはすごいな、腕を振って周りに指揮をする様を見ると、

 

うん、おっきい(啓蒙0)

まあとにかく出よう。

 

『ん?』

 

そう思いながら出たのは良かった。

しかし出てきたのは良いものの頭上にドシリとした非常に重みのある物体により、体が抑え込まれてしまって3/4ほどは出ているがそれ以上が出ない。

 

そして目の前に広がるのは貴公の体。そしてランタンからの視界は貴公の足元からのものだった。

………あ

 

『すまんが貴公、少し後ろへ下がってくれ』

“あ…幻聴まで聞こえる…ふふ、あはははは”

『いや幻聴では無い、ぞ』

 

“ひゃっ!?”

 

手でそのたわわな胸を支えながら後方へとずらすことで完全に体を出し切ることが出来た。

 

『ほら、幻聴じゃない。私はしっかりと此処nゴフ!?』

 

私の発言を遮るように凄まじい圧力が四方から圧力が掛かってきた。その衝撃によって腑は破裂し胃から逆流した血液が滝のように溢れ出して貴公の濡烏色の髪を赤黒く染める。いや、あくまでこの色は秘匿に依るもの。正確には青黒く染めているのだろう。

 

しかしそんなグロテスクな惨状を気にすることなく各々が勝手に喋り出す。か細くそして今にも消えてしまいそうなその声が響くたびに胸が締め付けられるような気持ちだった。

 

やれもう無茶しないでだの心配しただのと勝手に泣きじゃくりながら言われるものだから聞き取るのに苦労した。

だが、私が人ならざる存在だと露呈してしまったら…いや、考えないようにしよう。

 

『まあ、なんだ。心配をかけたな』

「よかった…本当に!!よかった…!!うっあ、ひっう…」

『すまない…』

「そういうなら、少しでも自分の事を大事に、して…欲しい」

『シロコ…確かにそうだが、無理な話だ。』

 

“それは、どうして…?“

『ん?簡単な話だ。皆に傷を負わせたくない。もう誰にも傷付いて欲しくない。もう誰にも…死んで欲しくはないだけだ。』

 

”それでツキミが傷付いたら元も子もないよ”

 

『私は…そうだな、以前も話した通り死にかけようと腕を千切られようと輸血すれば死ぬことはない。それこそ、頭部を吹き飛ばされようとね…まあ体全体を損傷させられたり血が足りなくなったら、話は別だがな』

 

『仮に、死のうとも死にきれないのさ』

“それって…どういう“

 

『私は…先ほどの行動で一回死んだ。』

 

そう私が言ったのにも関わらず周りの反応は静かだった。いや、冷めているかのようにも感じた。おかしくはないだろうか、目の前で爆散した時は悲鳴をあげていたのにも関わらずだ。まあ今は良い

 

『一つ昔話をしてやろう。その街にはとある風土病が蔓延していた。瞳孔は蕩け人血を求めて獣の如く暴れ回り、そして最期には理性を忘れて獣と成り果てるという病だ』

 

『当然、それを野放しにするほどそこの人間は馬鹿じゃない。狩人と呼ばれる獣に成り果てた罹患者を殺す者達がいた。そんな狩人の一人のお話』

 

『その日の夜は酷かった。街のあらゆる住人が獣と成り果ててしまったのさ、でも何人かはそうならずに済んだ人間がいた。その狩人は避難所に皆を避難するように呼びかけた。けれど、一人だけ救うことはできなかった。』

 

『とても、とても小さな女の子で、母親は獣に殺され、父は獣に成り果てて狩人に殺された身寄りのないとても小さな子供』

『愚かなことにその狩人は、もう居る訳もない人間を避難させようとその子を後回しにしてしまった』

『過ぎたことは戻らない。その子の家に向かう道中その狩人は見つけた』

『獣に食い荒らされた赤黒い肉塊と成り果てたその子を』

 

長々と私はそう続ける。側から見れば気狂いに見えるだろう。そう頭の中で分かっていながらも、勝手に私の口は喋り続けている。制御の効かなくなったレコードのようにずっと、ずっと。

 

『だから、私は自分自身を犠牲にし続けよう。幾ら傷つき死のうとも周りの身近な人だけでもそうならないように』

『これは私の“意思”だ。貴公も助かったのだからグチグチ言うんじゃない。分かったか』

 

“………うん”

 

やけに素直に貴公は黙った。普段の芯の通ったような意志を感じさせる瞳はどこへやら、今はまるで痴呆に罹った老人かのように濁った瞳になっている。しかも、私が黙れと言った途端にだ。

 

原因のわからない謎の焦燥感が体中を駆け巡る。微細だが確かにある違和感、いや微細どころじゃない。何かがおかしい、でも一体何が。

 

そう…思った矢先だった。

 

「やあやあアビドス対策委員会諸君、意図したものじゃないだが攻撃してしまってすまない、そこにいる校則違反者に、“ちょっと”お灸を据えてやろうかと思ってな」

 

見下した様な、あるいはふざけた様な態度のイオリ、いやこんなやつは名前で呼ぶ必要などない銀髪肥溜めクソ野郎でいいか。それと、校則違反者か…恐らく同じゲヘナと考えて【便利屋68】と見て間違いないだろう。

 

それと、まあ話すその様子からすでに勝った気でいる様な感じで非常に癪に触る。今すぐにでも殺してその喉元を掻き切って血を浴びたい…ああそうだ。

 

この違和感も血潮を被れば幾分か落ち着くだろウ

 

「何よ“やあやあ”って!!あんた自分たちが何したか分かって言ってるの!?目の前で人が、死ん」

 

『セリカ、それ以上は…いけない。それに私は幾ら傷つこうとも気には…いや、多少なりとも殺意が少しばかり湧く程度だから別に良い』

 

「「「良くない!!」」」

 

『まあ、どうでも良い。それにしてもあいも変わらず、糞みたいな態度だなぁ風紀委員会諸君』

「なんだ…こいつ、さっきと雰囲気が…」

『こいつとは失礼じゃないか。結局数が多いからと調子に乗っているんだろう?』

『ああ、確かに数があるのは脅威だ。この人数に一斉に撃たれたらひとたまりもない、一瞬にして私は肉塊と化すだろう。』

 

「そうだ、別にお前達に用は無い。大人しく身柄を引き渡せばいいだけだ。別にドンパチやりたいわけでもないからな。そこの大きい奴も見逃してやるよ」

『ほう?そのくせに無差別に撃ったじゃないか。”キヴォトスの者なら“耐えられるだろうが貴公は違う、キヴォトスの外からの人間だ。貴様らと違って耐えられん。それを踏まえての行動なら』

 

「ああああ!!うるさいうるさい難しい事ばっかり言って」

「イオリ、抑えて下さい。手を出してはいけません」

「なんでだよ!ただそこにいる連中をとっ捕まえれば終わりなのにこいつらが!」

「物事には順序があります。まずはこちらの事情を話す。そして向こうの事情を聞く。その後に対話、そして要求を飲んで貰えなければ…」

 

『なんだ殺すのか?それとも火炙りか?』

「そんなことはしません」

 

『その割には撃ってきたのになあ、それと対話だなんだと言ったが。そこの銀髪肥溜めクソ野郎は私の話を叫んで中断したんだ。初めから対話するつもりなどないだろうに、武力を持ってして相手に自らの要求を飲ませる。全く人間とは本当に愚かだな』

 

「そうです、それに。私たちはあなた達を許すことは出来ません。それと便利屋68には私達が鉄槌を下します。」

 

アヤネの言うその言葉には、確かな怒りが見えた。そしてその奥には静かながらも殺意も見て取れる。いかんな…少女がしてはいけない顔つきだ。セリカもノノミも、普段では考えられないような殺意を滲ませている。

 

一見涼しげな表情を見せているシロコでさえも、気づいていないのか蛍光色の緑の手袋には、爪が食い込んだせいだろう。赤く生命を思わせる血が滲み出している。

 

それを見て敵意と理解したのだろう。風紀委員会のほぼ全員がこちらに向けて銃口を向けた。それに呼応するようにこちらも銃を向ける。

 

「どうなっても知らないぞ!!」

 

その声が響いた瞬間1発の銃声が響く。

その弾丸はまるで吸い込まれる様に私の頭を目掛けて飛んでくる。

 

どうにも私が気に入らないらしい。だがそれで良い。私も貴様が気に入らない。

 

首を傾けて弾丸を避ける。シュンと音を立てながら過ぎ去った弾丸は頬をなぞる様に切り裂き、その後から淡く血が滲み出す。そしてその血の香りに誘われ背中の翅が一気に肥大化する。

 

それを皮切りに数多の銃声が響き乱闘になるかと予想した。

しかし、その予想は外れた。銃声以前にその場にいる殆どが、私の翅を呆気に取られたかの様に見つめている。

 

『もう一つ、昔話をしてやろう。とある男がいた』

 

空気が一気に鎮まる。

 

『今は亡き師の教えに従い敵の長を屠る為に己を犠牲にした』

 

まるでオーケストラが始まる直前かのような静けさが辺りを包み込む。

 

『名を【血族狩りのアルフレート】最後の処刑隊の隊員だ』

 

脳裏に宿る契約のカレルを【狩り】から【輝き】に変える。

ヘイローは暗い血の赤から金色の三角の光に変貌する。

その様は自分で言うのもなんだが、ヤーナムの外の宗教で言うところの

天使

…のようにみえた。




Bloodborne10周年おめでとう。そしてツキミちゃんも誕生日おめでとう。
これを書き始めたのは若気の至りでした。受験シーズンで勉強勉強勉強復習勉強勉強勉強で

そんな状態でもストレスをなんとか耐えることが出来たのは、今この小説を読んで下さった皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

誕生日ボイス…というかセリフって書いた方が、良いんですかね?よし書いちゃおう。
見たく無い人はそのままそっと閉じて下さいね?ただの厨二病が治らない高校生の駄文なのでね?

『ん?ああ、そうか誕生日か』
『やけにアビドスの皆が騒がしいのはそれか』
『自分ごとじゃなさそう?ふむ、まあそうだな』
『何故だか自分が今何歳なのか、時々わからない時がある』
『誕生日もなんだかその、”あれ“だったからな』
『でもそうだな。貴公、ありがとう』
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