キヴォトスに狩人様がやってきた   作:小説を書く左廻りの変態

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スレ回の方に隻狼様子あり


第三十六話 ホシノ救出作戦 【スレ回第八弾】

狩人狩りのアイリーン

そう目の前の女性は答える。狩人狩りが何かはわからない。けれど今この状況で必要なのは“人手”だ。

 

“お願い!あの子を、ツキミちゃんを止めてほしい!生徒達には危険すぎて…”

 

私は直感でこの人は強い。この人ならツキミちゃんを、彼女を止められるとそう思った。けれどアイリーンさんは冷たくそして哀れみを込めたような声色で喋り始めた。

 

「あの子…あの化け物かい…止める?そんな甘ったれたことを言っていたら此処にいる全員が殺されるよ」

“っっ…だったらどうs”

「殺すのさ」

 

その言動に私は怒りを覚えた。頭の中が真っ白になり心臓の鼓動が速くなる。ツキミちゃんを生徒を殺すだと、そんなことをしてはならない、させちゃいけない。気付けば私は感情に任せてアイリーンの胸ぐらを掴み上げる。それに対してアイリーンは反応を示さずに白いペストマスク越しの瞳をじっと私に向けている。それはまるでバカな行動をしている人間を見るかのようなそんな軽蔑の眼差しで掴む指に力が入って血が滲み出した。

 

「あんたも、わかっちゃいるんだろ。あれは人じゃない。狂ってしまった以上殺すしかないんだよ。あんたにとってどんな存在かはわからない。だけど、仕方がないん…だ。」

 

突然、言葉が詰まる。アイリーンはどこかを見つめていた。その後を辿るとツキミちゃんの足元へと目線がいき、そこにはツキミちゃんが身につけていたであろう衣服がちぎれて砂の上に散乱しており、辛うじて帽子はまだ無事といった様子だった。

 

そしてアイリーンは震えた声で私に問いかける。

 

「なあ…あんた、ツキミちゃんっていうのは身長がデカくて、お人好しで、容赦がない。そんな子だったかい…?」

“そうだよ…”

「名前…自分でもわからないって言ってたのに…思い出せたのかね…」

 

声と同じように体は時折細かく痙攣していた。

 

「けれど」

 

弱々しい声に力が戻る。

 

「けじめをつけてやるのも、先輩としての役目さね。」

 

そう言ってアイリーンさんは腰を少し屈めたと思った瞬間、途轍もない速度で走り出した。

踏み出したその一歩により風が巻き起こり砂塵が舞う。

 

「私が気を引くからその間に怪我人をどっかに運びな」

 

その足取りに一切の迷いは感じなかった。足取りは軽く、砂の上を小気味のいい音を立てながらツキミちゃんへと近づいていった。

他の動ける風紀委員に気を取られていたツキミちゃんに対し、アイリーンは容赦なく人で言うところのアキレス腱に歪んだ短刀を突き刺す。

 

『逞帙>逞帙>逞帙>??シ?シ?シ?シ(痛い痛い痛い!!!!!)』

 

瞬間、ホシノを抱えている右腕とは反対に左手でアイリーンのいる位置にその巨大な手を振り下ろす。砂埃が舞い視界からアイリーンの位置がわからなくなると同時にドス黒い血液に似た液体が中から飛び出す。

 

キン

 

“アイリーン!”

 

それから間を空けること無くクロス状に切れ込みが入ったツキミちゃんの手が天高く掲げられた。いや違う。どちらかと言うと熱せられたやかんを触ってしまった時のように自然に手が離れる。いわゆる“脊髄反射”にも似た反応に見えた。

 

「そうそう死なないさね」

 

砂塵が風に流され晴れる。その中から以前変わらずカラスを終わる思わせる様相のアイリーンが両手に歪んだ刃の短刀をを持っている。

両手?さっきまで一本しか持っていなかったのに…変形?そういえばツキミちゃんも杖から刃がついた鞭、というか蛇腹剣へと変形させられる武器を持っていた。

 

それに先輩として、と話していた。あの人はアビドスに来る前のツキミちゃんについて何か知っているかもしれない。そんなことを考えているうちにアイリーンはツキミちゃんの攻撃を次々に避けていく。手前に攻撃が来れば身を後ろへ運ぶと同時に刃を十字に切って反撃したが、そこへ畳み掛けるようにツキミちゃんの尾が回される。

 

当たるギリギリにその内径へと周り込む、まさに死闘とはこのことだろう。私と同じヘイローの無い人間からすればあんな巨大なものに掠っただけでも命の危険がある。それなのにあの戦い方をする、先輩とは言っていたけれどツキミちゃんと同じで危なっかしい動きだ。

 

ブシャア!!

 

短い刀身を一度は下から切り上げてその勢いのままに体を回転させてその尾を根本から切り落とした。

体勢を崩したツキミちゃんは横へ転がるように倒れ伏す。アイリーンはそれを見逃さなかった。

 

急に倒れた影響かホシノを掴む手は緩み、今なら助けられそうだ。

 

『縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゑシ?シ(ああああああああああ!!)』

 

切られた痛みからかツキミちゃんが叫ぶ。それと同時に頭の、中に…声が響く。同時に脳の奥に焼けた鉄を突っ込まれたかに思えるほどの激痛が走り、鼻血が噴き出す。この声、はツキミちゃんが叫ぶ声に…なにか重なるように聞こえる?。聞き取れないはずなのに聞こえる?

 

『その声を聞くんじゃない」

 

誰だ、この声。知ってる気がするのに知らない声だ。違うな…ツキミちゃんの声に何か別の人の声が色々と混ざってるんだ。老人から幼い子供にアイリーンの声までもがその内に感じ取れる。

 

『誰とは失礼だな…君」

『それと忠告だ、アイリーンをホシノから離れさせろ。」

 

なんで

 

と頭の中で考えた時だった。

 

ダンッッ!!!!!

 

一発の銃声が頭の中に響いた。銃声の先に目を向けるとそこには、ホシノがショットガンを持ってアイリーンの腹を撃ち抜いた瞬間が広がっていた。心臓はまるで耳元にあるかのように力強く、そして五月蝿くなり続ける。数秒もないはずなのに脳内では一時間経過したかのように感じた。

 

銃口からは硝煙の香りを漂わせる白煙が立ち上り、アイリーンの腹部からは止めどなく鮮血が一定の周期で吹き出している。その様子に私は一つ気づいた。“ホシノのヘイローがついていない”ということに。つまりは、寝ている状態で撃ち抜いたことになる。けれど、どうしてそんなことを。

 

「……もう、私から何も奪わないでよ…もう、もう…」

 

肩で息をするホシノがそう告げる。どういうことなんだ、アイリーンがホシノから何かを奪ったわけじゃない筈だ…でもあの言動

 

『夢を操作されているな…なんともあくどいことをするじゃないか“月の魔物”」

月の魔物?

『ああそうさね、先生。今の私は月の魔物だ。もう人じゃない」

『このままだと死人が出てしまう。だから君、どうか私を殺してくれ殺せ殺すんだ殺せ殺せ谿コ縺谿コ縺谿コ縺」

あなたはツキミちゃんなの?

『そうだ…このまま暴れて皆を傷つけたくは無い、あんまりにも惨めで哀れじゃ無いか、だから」

黙れ

『………」

お前、ツキミちゃんじゃないだろ。

 

 


 

 

【スレ回第八弾】

1:名無しの先生

俺たちは一体…何を見せられているんだ?

 

2:名無しの先生

私にもわからん

 

3:名無しの先生

なんか怒涛の勢いすぎてずっと頭の中で?がループしてる。

 

4:名無しの先生

ああもうフロムの悪い癖出てるってコレ!!

なんなの!?ツキミちゃんは化け物になるわ、なんかホシノ以外全滅したかと思えばそうじゃない?っぽいし。カードからババア出てくるしなんかツキミちゃん殺せって幻聴?みたいなのが聞こえるし!!!!!

 

5:名無しの先生

このゲームは一体何がしたくてこんなシナリオになってるんだ…?

 

6:名無しのフロム先生

いつも通りの考察もとい妄想で情報を補完するっきゃねぇだろうが!!!!!行くぞテメェら!!!!!

 

7:名無しの先生

というかそもそもなんだけどさ、なんでツキミちゃんあんなおっきい化け物になっちゃったの?

 

8:名無しの先生

成長期なんだよきっと

 

9:名無しの先生

↑んな訳あるかい!

 

10:名無しの先生

まあ考えられるとしたら

・黒服の実験の影響

・フロムの悪ふざけ

・特に理由はない

・“獣の病”

・元から化け物だった

のうちのどれかだな。

 

11:名無しの先生

俺は黒服の実験だと思うんだけどな、よくわからない棒を脳にブッ刺されてすぐに借金半額だから

絶対それだと思う(確固たる意思)

 

12:名無しの勘の良い先生

元から化け物だったんじゃないの?みんなと違って撃たれたら血は出るし、よくわからない羽は生えるし、『私は人間だ』って普通の人ならわざわざ言わないよね?

 

13:名無しの勘の良い先生

自信を持って言えるわけじゃない、けれども人じゃない何かがツキミちゃんとして化けてた、あるいは化け物のツキミちゃんが人に化けてたのどっちかだと考えてる。

 

14:名無しの先生

それはさておきホシノが見てた光景ってさ。あれは夢だったってことで良いのかな?

 

15:名無しの先生

うーんどうなんだろう…でも夢の最後の言動とホシノがアイリーンの腹撃った時と同じだからね。

 

16:名無しの先生

それと幻聴ちゃんが言うには『夢を操られてる」って話だからね。多分アイリーンが近づく様子に重ねさせることで何かをしようとしてるのは分かるけれど。

 

17:名無しの先生

というかなんでツキミちゃんはホシノのことあんなにも大事そうに抱えてるんだか

 

18:名無しの先生

あ、それなんだけどさ。ツキミちゃんの文字化けのやつの解読のやつでそれっぽいのが出たよ

 

19:名無しの先生

ほう…ならば書いてみよ

 

20:名無しの先生

えっとね。ホシノを抱き抱えた時のが*1

『また???ここからか。今度こそ…こ??娘ヲたすける。も????度と殺ろさセナい』

なんだよ

 

21:名無しの勘の良い先生

解読すると、またここからか。今度こそこの娘を助ける。もう二度と殺させない?

 

22:名無しの先生

多分それであってると思う。

 

23:名無しの先生

ホシノを抱えてるんだからホシノを助ける、だとかそういうのじゃなかったんだ。

 

24:名無しの先生

そういえば化け物形態に変異する前も“翡翠色に光った”って表現が用いられてるけどさ。これって確か前にもあったよね?

 

25:名無しの先生

えっと

セリカ誘拐の時と便利屋襲撃の時だね。

 

26:名無しの先生

関係ないけどセリカ誘拐時は正気を失いかけてセリカの首を締め上げそうになったけど、便利屋の時はそうでもなかったよね

 

27:名無しの先生

あれって今思えばなんだったんだろうな

 

28:名無しの先生

うーんと誘拐された時はセリカに無理矢理起こされた?的な感じで、便利屋の時は夢であることに自分で気付いて自発的に起きたって感じだから。

今回も似たような形なのかね?

 

29:名無しの先生

前二つの時みたいに夢の内容が明かされてないけど、恐らく夢の内容はほとんど変わってないと思う

 

30:名無しの勘の良い先生

わかった。夢に出てくる幼女とホシノを勘違いしてんだ。

 

31:名無しの先生

↑それだ!

 

32:名無しの先生

にしても夢が現実に侵食してるみたいでやだな

 

33:名無しの先生

そうか?俺からすると夢の中で走ろうとして足をバタバタさせてるのと同じだと思うんだけど。

 

34:名無しの先生

規模が違うんじゃない規模が。

 

35:名無しの先生

黒服も寝相悪すぎいってたからなwwww

 

36:名無しの先生

そういえば前二つのを含めて今回で三回目だけどなんかしら法則性でもあるのかも知れないね

 

37:名無しの先生

あとあとアイリーンって結局なんなの?

 

38:名無しの先生

狩人狩りとは自己紹介してたな。狩人狩りとはなんぞ?

 

39:名無しの先生

私にもわからん

 

40:名無しの先生

お前なんもしらねぇじゃねぇかよ!

 

41:名無しの先生

テメェも同じだろうがこのハゲ!

 

42:名無しの先生

また髪の話してるよ…まあツキミちゃんは獣狩りの狩人で、アイリーンはその狩人を狩る狩人なんやろな

 

43:名無しの先生

でもツキミちゃんの先輩なんだろ?狩人を狩るんだったら狩人と敵対してそうだけどな

 

44:名無しの勘の良い先生

獣の病だっけ?その罹患者を狩るのが普通の狩人の仕事なんだろうけどさ。病って言うくらいだから伝染性があるんじゃない?

 

45:名無しの先生

伝染性?

 

46:名無しの勘の良い先生

だってツキミちゃんは仕込み杖って武器で他の狩人は回転ノコギリだったり刀とかパイルハンマーとかっていう、まあ近接武器じゃん?

 

47:名無しの先生

そだね

 

48:名無しの先生

ああわかったぞ。罹患者とそれだけ近い距離で接触するし、傷をつけると言うことは返り血が付くし、獣を相手にしてるから引っ掻かれるし噛まれたりする。接触感染も飛沫感染でも血液感染でも全てにおいて危険性が高い。

 

49:名無しの先生

そこから獣の病が狩人にも感染するってこと?

 

50:名無しの先生

そしたら狩人も獣になるよねってことか。もしかしてヘンリックって狩人が狂って子供を殺したのって…!

 

51:名無しの先生

獣化したから?じゃあ狩人と狩人狩りが敵対してなさそうなのって

 

52:名無しの先生

罹患した狩人を狩人狩りが狩るからってこと?

 

53:名無しの先生

そういえばアイリーンがつけてるのってペストマスクだよな?

 

54:名無しの先生

中世ヨーロッパでエセ医者が身につけてたあれね、確か嘴の先に香料が詰めてあって当時の病気の元とされた瘴気を防げるっていう。

 

55:名無しの先生

多分それで感染を防いでいたのか。なるほど納得。

 

56:名無しの先生

そういえばアイリーンってばツキミちゃんのすぐ近くにいるけど精神汚染されないのもこれが影響してそうだね。

 

57:名無しの先生

幻聴ちゃんは精神汚染の影響なのかね?うちら脳にカビが生えてんだろ?

 

58:名無しの先生

多分そうじゃないかな?殺すように誘導して何かしらの獣の病に関する病原体を感染させようと目論んでるんだろうか

 

59:名無しの先生

だからってツキミちゃんがそんなことさせようとするわけないじゃん。

 

60:名無しの先生

あと幻聴ちゃんとツキミちゃんは別やで、先生のこと【貴公】って言わずに【君】って言うんだ絶対偽物だよ。

 

61:名無しの先生

そういえばツキミちゃんの声に色々な人の声が混ざってるって言ってたし模倣しようとしてる最中だったのかもな。

 

62:名無しの先生

59が言ってる通りツキミちゃんじゃないのは確かだろうな。ツキミちゃんはホシノと幼女を勘違いして守ろうと夢の中で必死なんだからさ。

 

63:名無しの先生

なんか寄生した宿主を誘導しようとするって寄生虫みたいだな

 

64:名無しの勘の良い先生

寄生虫というか虫とかを高いところに行かせて胞子を撒くキノコが近いんじゃないかな?

 

65:名無しの先生

そっかキノコもカビだしそっちが近いか。盲点だったわ。

 

66:名無しの勘の良い先生

獣の病の正体って何かしらの寄生体なのかもね。

 

67:名無しの先生

関係ないけど幻聴ちゃんって呼びずらいから“あだ名”でもつけない?いや幻聴ちゃん自体があだ名だろってのは無しね。

 

68:名無しの先生

幻聴なんだから幻ちゃん(弦ちゃん)にしよう

 

69:名無しの先生

卑怯とは言うまいな

 

70:名無しの先生

これも葦名の為…

 

71:名無しの先生

俺が葦名を生かす…!

 

72:名無しの一心

憐れな孫の…最後の願いじゃ

儂はこの葦名を、黄泉帰らせねばならぬ

ゆえに隻狼…

お主を、斬るぞ

 

73:名無しの先生

一心様紛れ込んでるぞ!?

 

74:名無しの先生

弦ちゃんは葦名をまだ生かせられると思ってるけど、一心様は完全に諦めてて死体のような葦名を文字通り黄泉帰させるって言ってるのが対象的で良いよね。

 

75:名無しの先生

SEKIRO勢は帰ってもろて

 

*1
第三十二話を参照

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