俺ラディッツは弟を絶対に守り抜く   作:ドゥナシオン

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始まりの前の静けさ

エイジ761 十月十日

 

方法は分からないが三日前にフリーザ達とラディッツの目の前に死人が踊り出しそして、虚を突かれ悟空が暗黒魔界の手に堕ちた。

 

その異常現象はトワと名乗り悟空を攫った者達と共に消えてからは一切起こらず、不気味なほどの沈黙が流れたのは吉であるか凶であるかは分からない。

 

そんな中でフリーザはラディッツをー二日近くーもの間、自分の手元に留めおく事に成功した。

 

常ならば最愛の弟の行方が知らなくなった時点で、テラに懇願してでもあの陽神と同等の力を得る事をして、宇宙を総ざらいしてでも見つけようとしながら宇宙を駆けずり回ろうとするラディッツを、留めてみせたのだ。

 

・・・・・・・・・・・

 

「仙豆とやらでこの子が全回復したら、なにをしでかすかの分からないのですかお前達は?」

 

まさか白銀化の一瞬の無防備を狙い撃ちされるという方法で奇襲を受けてしまったラディッツの状態は酷いものであった。

 

氷と炎を左右から浴びせられ、火傷と凍傷の両方がラディッツの皮膚を無惨にも舐め尽くした。

 

幸い眼球や内臓の奥だのの深刻な場所には届かなかったが、ジュニアをして絶句しながらも、日頃から仙豆を最低でも十粒を持ち歩けという父の教えが役に立ったと内心で安堵しつつ、桃のスムージーを出して仙豆を飲ませようとしたのをフリーザが止めに入ってきた。

 

それも言葉だけではなくジュニアの手元から奪い去り、傷だらけのラディッツをそっと横抱きにしながら。

 

仙豆の事はフリーザとその周りと、惑星サイヤのサイヤ人にも教えていなかった事に思い至ったジュニアは、満身創痍の父を早く回復させるべく、フリーザ達に端的に仙豆の説明をしようと激昂を抑えながら。

 

仙豆はフリーザ達に秘匿しておきたかった

 

惑星サイヤは信用できても、ジュニアを筆頭にラディッツの周りの地球側の戦士達は心の底では未だにフリーザとフリーザ軍への警戒を本当の意味では解いていない。

 

ラディッツ以外の悟天を可愛がろうとも、どのような条約を地球とサイヤと結ぼうとも、フリーザの気紛れないし心変わりをして、いつまた牙を向くかと心の底で警戒している。

 

そんな相手に仙豆という強力な切り札は秘しておいておきたかったのだが、親父の回復を最優先にしたいジュニアは、来るか分からない最悪の未来よりも目の前の現実を優先させようと決意して話そうとしたが

 

「お前がこの子に飲ませようとしている物がなんであるかは私達はもう知っていますよ。

確か仙豆とやらで、一粒だけでも死の淵から蘇らせるほどの回復薬でしたね。」

 

フリーザの発した言葉に、ジュニアは別の意味での怒りと殺意が迸りかけた!

 

なにをべらべらとこいつに喋っているんだバカオヤジ!!!

 

いかに命を捧げるほどフリーザを敬愛しているとはいえ!自分の守るべき者達を売り渡したに等しい事をするとは!!!!

 

ジュニアの怒りには正当性がある

 

フリーザを敬愛するのは、ラディッツの中での範疇でならば・・・癪ではあるが!個人の自由で仕方がない!!

 

しかしだ!いまだに仮想敵になり得ている者達に!防衛上の最上級機密の一つを話すのは違うだろう!!

 

地球の戦士達を根絶やすべく!仙豆が真っ先に供給絶たれでもすれば最悪である!!

 

とち狂った馬鹿親父は、ー全てーが終わったら監禁してやるという決意しかけたジュニアに、フリーザは呆れて鼻を鳴らし

 

「この子はー私ーが育て上げた最高の文官ですよ?

私相手だからと言って、地球の防衛上の最高機密を話すと本気で思っているのですか?

そうだとしたらお前は本当にラディッツの子に相応しくないのでこのままお前の祖であるナメック星に届けてあげますから、一生そこで土いじりでもして過ごしていなさい。」

 

ジュニアの変わりゆく表情とラディッツへの視線に込められた怒気殺気から、ジュニアの考えを正しく読み切ったフリーザは、ジュニアの懸念を馬鹿らしいと一笑に伏す。

 

ラディッツはフリーザとその周りが丹精込めて育てた文官の中の文官であるという矜持がある

 

親しく、愛している者達にも隠すべき事・騙す事・利用する術全てを叩き込んある。

 

それをして、齢六歳のラディッツは政略と謀略の渦巻くフリーザ軍の中枢を、生命を脅かされながらも己の庭のように闊歩できた。

 

故にラディッツは地球の防衛はもとより、地球国家の組織内情や経済の中枢等をフリーザ自身にももう一つの同盟先であり自分の種族の王・ベジータにも毛ほどにも話した事はない。

 

地球を守る為に

 

ー愛していても敬愛していても、話してはいけない事があるのですよラディッツー

 

幼き日に教えられたフリーザの言葉を守って

 

ラディッツは優しいが決して愚か者ではない、そんな簡単で基本的なことも分かっていないようならば、ー偽りの親子ーをやめろとフリーザは辛辣にジュニアに吐き捨てる。

 

そんなフリーザの言葉に悲しむラディッツ自身は気を失っており、悟天も悲しみと衝撃の強さから疲弊して意識を落として眠りの底にいるのを幸いとして、フリーザはアホザル・悟空の次に気に食わないジュニアに勧告する。

 

ラディッツにとってのー本物の息子達ーはもういるのだから、卵から出てきて図々しくもラディッツの息子を自称し、ラディッツの優しさで受け入れられた赤の他人なぞに心を配るラディッツを見ていたくなくて。

 

だが、今はそんな事よりも

 

「この子からではなく、たんなるー偵察ーの報告からの情報ですよ。

そんな事よりも、仙豆とやらでこの子が全回復したら、なにをしでかすか分からないのですかお前は?」

 

情報の偵察など、同盟を結んだ後でもするのは常識だろうと

 

そんな事よりも、目覚めたラディッツがなにをしはじめるのか分かっていない方にこそフリーザは腹ただしいことこのうえない!!

 

きっと今目覚めれば、常の冷静さを欠いたラディッツは己の生命も魂も使い切ってでもあのアホザルを探そうとするに決まっている!!

 

冷静に対応できるほどまで気を落ち着かせる為にも、少しでも長く休ませるべきであり

 

「メディカルポッドの医療班に、この子の回復をゆっくりとさせる薬液に調整させるようにします。」

 

幸いにも傷は内臓深部までは届いておらず、生命に別状は無いのであれば急ぐ必要はは無い。

 

その間にあの愚かなアホザルが魔人とやらに堕とされても、フリーザとしてはどうでもいいのだから。

 

フリーザの言葉に、頭に血が上りかけたジュニアも思うところはあり一つ呼吸を深く吸い

 

親父を頼む

 

深く頭を下げ、現状で起きたこととその後の事を相談する故に一度地球に帰還する旨を伝えたジュニアは、シンとキビトに一緒に行くかと二人に尋ねる。

 

破壊神よりの依頼を半分以上失敗したが、まだ最悪には至っておらず、挽回する機会もある事を言外にしさしたが

 

「私は私の方で暗黒魔界の今回の襲撃と今後をーご先祖様ーに報告して相談します。」

 

死人が蘇る異常事態が過去に有り対処法は無いかを剣から復活した老界王神に聞き、有益な情報が有ってもなくとも、界王を通じて頻繁に連絡を取り合う事を約しながら別方向に向かう事にした。

 

通信機器もあるが、妨害に弱く結界という大規模な妨害でも無い限りは北の界王の連絡方法の方が確かであるというシンの言葉に

ジュニアもフリーザも頷き、それぞれにできる事を早急にすべくすぐに動いた。

 

ジュニアは死人の出現と父ラディッツの満身創痍と、その上悟空が拐われた事を誰にどこまで話相談するべきかに頭を悩ませる。

 

悟空の嫁のチチになんと言えばいい?

大爺様にだとて全てを話すのは酷過ぎる。

 

全てを話すのは親父殿・バーダックを筆頭にした戦士達と、鶴師匠様達・戦士に。

彼等なれば悟空が操られてした事での殺しはやむなしと割り切ってくれる。

 

チチ達やお袋達には悟空が拐われた事・死人が蘇り警戒しなければならない事・地球が再び危機にある事だけを話す事を頭の中で纏めたジュニアは、知っている気を頼りに地球に戻る。

 

行き着いた先にはー神ーとーピッコロ大魔王ーがいる神殿であった。

 

神は自分の出現に驚き、大魔王もまた驚いたがどこか面白がっているように見えたが、二人に話しかけられる前にジュニアは即座に神殿から身を投げだし一路山村の孫家に向かう。

 

二人は瞬間移動と方法を知っている。

 

その場所に己の知る気を目印にして飛ぶ事を・・・別に二人ないしどちらかを目印にする気はなかったが、無意識に探した気が自分達で有った事に行き付き・・・特にその事で大魔王に揶揄われるのはごめんである。

 

だが・・・不思議と二人を見て、考えがまとまった時よりも安堵したのは墓場までの秘密にしてやると決意したジュニアであった。

 

ジュニアからの凶報に、集められたチチは膝から崩れ落ちランチとマイの腕の中で呆然とし、他の面々も暗い顔で泣きそうになるのを堪え

 

「儂達は今後の対策を考える。ブルマ達はこの家の二階でかたまって寝てこい。」

 

悟水と悟優も夜泣きがなくなっているからゆっくり寝てこいと、鶴仙人が指示を出す。

 

鶴仙人自身としては今すぐにでもジュニアにラディッツの元に連れて行って欲しいが、それではラディッツの大切な者達を守り通戦士ない。

 

「あやつが眠っていても、守れるようにするぞ。」

 

泣いて俯く事なく、前を先を見据える

 

孫悟雲の師として、弟子の全てを守るべく

 

地球とフリーザ達とそして宇宙にとっての長い日々が始まる中、フリーザの目論見の半分の長さでラディッツは回復して目覚めた。

 

「おじさん・・・叔父さん!!叔父さん!!!!」

 

メディカルポッドは中の患者が覚醒する三十分前に知らせるアラートを鳴らす機能があり、一日半で目覚めようとするラディッツにフリーザと休ませておきたかった周りは嘆息するが

 

「悟天・・・」

「おじさんおぎだ!!おぎでよがったよ!!!」

 

柔らかい医療ベッドの上で静かに目を開けたラディッツの首に悟天は齧り付き、大粒の涙をボロボロと流しながら起きてよかったと何度も叫ぶ。

 

ラディッツが目覚めるまで、悟天の心も死んでいたに等しい

 

父悟空の事をきちんとフリーザ自身から教えられた悟天は、ボロボロのラディッツのいるメディカルポッドの前からガンとして動かず、泣く事も喚く事もせずそれがかえって痛々しく、今後の対応の為に離れざるを得なかったフリーザ達の心を痛ませ

 

「悟天・・・ラディは弱いけど強い・・・カカロットも強い。」

 

だから大丈夫だとブロリーは不器用ながらもポッドを食い入るように見つめ続ける悟天を膝の上に乗せて、適度にご飯を一口ずつ口に押し入れ食べさせ、定期的にトイレに連れて行き、夜には気を当てて落としてでも寝かしつけた。

 

ブロリーとしても、今すぐ宇宙を駆け回りカカロットを攫いラディを傷つけた奴等を皆殺しにしてやりたいが、悟天をおいていけない・・・置いて行きたくない!

 

悟天はラディもカカロットも愛し自分にとっても大切な子供だから

 

体がボロボロのラディッツも

心がボロボになってしまった悟天も、どちらも置いて行きたくないと

 

フリーザ達とは違い、早く目を覚まして宇宙で暴れ回ろうというブロリーの願いの方が効いたのか、ラディッツの目は一日半後の十日の朝に覚めたのであった

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