幽霧「そろそろ危機感持てよ(呆れ)」
歌姫「天使が現れたわ…!」
硝子「逃げられると思うなよ??」
「後輩がクソ生意気なのよ!
あぁあ、思い出すだけで腹立つぅう!!
少しは年上を敬いなさいよ白髮坊主!!!」
『大変ですねぇ』
ダンダンとテーブルを叩きながら滾々と愚痴を吐き出すその人物に相槌を打ちながら、
うーん、なんでこうなった?
ちょっとお酒でも飲むかと思って居酒屋に入っただけなのになぁ。
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時を戻すと2時間前。
私はもはや日課のように幽霧と共に夜の町を浮遊していた。
そして、浮遊しつつ町を見下ろしていた私は
『久々にお酒飲みたい。
てことで居酒屋行ってくる!!』
見た目は16歳だけど、年齢的には立派な大人だよ!
え?BBA?
そんなことを言う悪い子は片っ端から私の信者の前に差し出します♪
話を戻して、何故私が急にお酒を飲みたくなったかというと、町中の酔いどれのサラリーマンを見たからだ。
聖女にだって浴びるようにお酒を飲みたい時があるよね!
居酒屋を指差す私に、幽霧はいつもの真顔でスパッと言い切った。
「悪酔いする未来が見えるから却下」
悪酔い??
いやいや、悪酔いなんてそんな失態を聖女たる私が犯すわけ無いでしょ。
私がフラフラの千鳥足になる未来なんて永遠にやって来ないから安心したまえよ、幽霧。
『大丈夫だよ、私こう見えてザルだから』
「絶対嘘でしょ、縛る?」
幽霧が私を完全に疑いの目で見ている。
何もそんな目しなくても!!!
真実に決まってるでしょうが!!!
縛りを持ちかけてくるって本気じゃん。
『私の信用度ゼロなの?!』
「マイナスだよ」
マイナスだった(詰み)!!
それから幽霧を説得するべく討論を重ねること10分弱。
勝訴したので、いざ居酒屋へ突入!!
丁度黒基調の大人っぽいワンピースをし着ていたからかギリギリ未成年とは思われずに済んだ。
何でか目線はめっちゃ集まるけどね。
とりあえず席はないかと店を見渡すと、奥の角席が空いてるため歩いていく。
『空いてるかな…って、おっと』
よく見たら、
目つきはキツめだが、黒髪が綺麗な美人さんだ。
術師だろうか、僅かに漏れ出た呪力を感じる。
まぁ、それはいいとして。
美人さんは文字通り酒を浴びるように飲んでいるけど…。
うわ、凄い量飲んでるけど大丈夫かな?
肝臓がアルコール分解追いついてなさそう。
次の日絶対二日酔いになるレベルだと予測される。
『とにかく先客がいるなら別の席探さなk「ねぇ、そこの子」…へっ?』
飲んでいたお酒を置いて、私に目を向けた美人さん。
目がなんか淀んでて怖いけど、悪い人ではなさそう。
『何でしょうか?』
「席探してるならここに座らない?
同世代の話し相手探してたのよ」
『!勿論いいですよ』
酒飲みに誘われて嬉しかった。
ひとり酒も悪くないけど誰かと飲むお酒も格別なのである。
それに、話し相手なら私聖女の得意分野だからね!
ー…しかし、数十分後に快諾したことを後悔する羽目になった。
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「もう本当に最低の気分だわ!!
夏油なんて五条を止めるフリして“弱いものいじめはよくないよ”とか言いやがったのよ!
本当にムカつくぅうう!!」
冒頭で私が途方に暮れていた理由はそう、美人さん…否、歌姫さんの絡み酒である。
「皆私のことを雑魚雑魚って!
才能あるからって人を見下すなんて、人として最低よ!!
私だって努力してんだっつーの!!!」
ダンッと酒の瓶を割れる勢いでテーブルに置く歌姫さんにオロオロしてしまう。
愚痴はいくらでも聞くけど、この人はとりあえず落ち着かせるべきでは?
首に手刀でも入れて寝落ちさせるか??
あぁ、でも彼女を迎えに来れる人がいないと無理だね。
「私だって、私だってぇ…!」
とうとう怒りの果てに涙まで流し始めてしまった歌姫さん。
私はどうすることもできず、歌姫さんの背中をそっと撫でた。
『貴女の術式は弱くありません。
沢山の人を支える立派な術式ですよ』
実は、歌姫さんがコソッと彼女のこと視ていた。
術師とは本当に大変な職種で、もしも彼女に直近の危機が迫っているとしたら。
そう考えたら、視らずにはいられなくて。
結果、視たものは素晴らしかった。
歌姫さんはバフ系の術式を持っているのか。
もしも仮りの世界で魔王を倒す勇者パーティーにいたらめちゃくちゃ心強いキャラクターじゃないか。
私は未来で奮闘する彼女に心からの尊敬を抱いた。
すると、隣から鼻をすする音がして隣を見ると歌姫さんが号泣しているのに気が付いた。
「うわぁあん、天使だわアンタ!!」
『えっ、わぁあっ!?』
歌姫さんに強く抱きつかれて危うく首がしまりそうになった。
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その後、頼んだお酒をちまちまと飲んでいると、机に突っ伏していた歌姫さんの電話が鳴った。
歌姫さんは電話を取り出すとディスプレイを確認してから受話した。
「んー、硝子?
どうしたのぉ?」
エッ、硝子?
周りが煩いせいで電話口から漏れる声は聞こえない。
硝子って、家入硝子じゃ、ない…よね?
嫌な予感と動悸がヤバいんだけど。
一度会ったきりの私の友人ことダウナー系美少女“硝子”。
…まさか、歌姫さんも“呪術高専”の縁繋がりか?(当たり)
「私ぃ?今✕✕市の居酒屋にいるけど…。
あぁ…、出張で近くにいるの?
なら来る〜?先輩が奢ってあげるわよ〜」
?!
まさか硝子を呼び込む気でいる…だと!?
「おいでおいで〜。
今可愛い子見つけて一緒に飲んでるから、待ってるわ」
ねぇー、と歌姫さんに肩を組まれて苦笑いする。
距離感バグってるねー、お酒ってコミュ力を増強させる作用でもあるのかな??
「あー、そうだ。
貴女名前は何ていうの〜?」
その質問はアウトです、お姉さん!!
というか、電話口の近くでやめてぇええ!!
『………ノーコメントで』
「は?聖永?」
何故にバレたし!?
たった一言で私って分かるとか凄すぎて怖いよ硝子!!!
私達ソウルメイトだね!!
とか何とか言ってる場合じゃなかったわ。
とりあえず逃げよう!!
逃げるは恥だが死よりマシ!!
「えぇ、ちょっ、どこ行くのぉ!?
飲み会はまだまだ終わらないわよ〜!!」
『私の命が終わってしまうので帰ります!
私の分のお金は払っておくのでさようなら!!』
「ちょっとぉ!
んん?何慌ててるのよ硝子?
捕獲して?何言ってんのよアンタ、呪詛師や野生動物じゃあるまいし」
何か聞こえてきたけど全力でスルー!!
レジでお金を素早く支払った後、ヒュンと風の如く居酒屋を去った。
硝子とのバッティングは何が何でも回避したい。
この前なんか病んでるメッセージ聞いたしヤバそうだもん。
未来でいうメンヘラ味を感じたよね。
捕まった後なんて怖すぎて考えたくないよ!!
直ぐ様幽霧にヘルプを出して泣きついたら、「このバカが」とキレられ、チョップされた。
かなり痛かったけど当然の報いなので受け入れた。
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▶酔いどれ美人とダウナー系美少女
歌「お、来たわね硝k「聖女はどこに行きました?!」」
歌「聖女ぉ?誰よそれ。
天使ならさっきまでいたけど…」
硝「チッ、逃げたか。
歌「(あれ、何かめちゃくちゃ臨戦態勢じゃない…?)
あの子、もしかして呪詛師か何かなの?(怯え)」
硝「呪詛師ではなく“友人”ですよ、友人(目にハイライト無し)」
お読みいただきありがとうございます。
今回は、庵歌姫の絡み酒に巻き込まれた聖女のお話でした。歌姫がお酒好きとあったので、ストーリーに入れたいなと思い書いた次第です。
そして、いよいよ聖女に近づいていくさしす組。追われながらも呑気な聖女を心配する幽霧なのでした。
最後に、お気に入り・しおりの登録、感想や評価をして下さりありがとうございます(*^^*)
これからも執筆・投稿頑張ります✿