【オリジナル設定】
登場するドラゴン娘およびクリーチャー娘のほとんどが高校生ですが、この世界では高校1年生から高校2年生に昇格するのに数万年経過しないと上の学年にはなりません。なので実質サ〇エさん方式です。
目安としてクリーチャー娘における高校1年生は現実世界のデュエマで言うところの切札ウィン編のクリーチャー達が該当し、高校2年生は勝太編からジョー編のクリーチャー、高校3年生は勝負編のクリーチャーが該当します。
なお大学生に飛び級したモルトNEXTこと紅蓮モルトと幼なじみの紅蓮アイラは例外とする。
あくまで目安としてご活用ください。
前回のあらすじ。
前回、鬼泣オーガに対抗するべく仲間を集めることにしたヴァンこと頂修・ヴァン・ベートーベン。ドラゴン娘を支配する自分にとって仲間集めなぞ造作もないと高を括っていたヴァンだったが、なかなか集まらなかったため発狂していた。しかし呪文封じのスペシャリストこと難波ナインとなんやかんや出会い、遂に難波ナインを仲間に引き入れることに成功した。
次なる候補者として、"ドラゴン以外のクリーチャー娘を封じる"クリーチャー娘を仲間にしようと思ったヴァン。なんとその能力をもった相手はヴァンにとっても因縁の相手でもある最強クラスのドラゴン娘、"伍代ドーラ"。果たしてドーラは仲間になってくれるのか。
■
【私立桜龍高等学校 別校舎】
【空手部の道場】
"自由"をモットーとする桜龍高校には、本校舎の他に別校舎が存在している。
部活動解禁以来、日に日に新たな部活動グループが設立されていった結果、グループの総数が本校舎では収まりきれないほどになってしまった。なので校長とその他ジャイアント達の協力のもと新校舎が設立され、旧校舎は部活動専用の校舎として残すことになった。
旧校舎では様々な部活動グループが放課後に活動しているが、本校舎の部活動と比べて騒音や爆発音が激しく、かなりやかましい。それもそのはず、激しい運動を伴う部活動や危険物を取り扱う部活動などは軒並み旧校舎に寄せ集められているので、仕方のないところではある。
「相変わらず旧校舎は耳が痛い……!」
「……ですね」
現在、旧校舎の1階に着いたヴァンとナインだが、旧校舎側のグラウンドから響く野球部の歓声と校舎内に響く化学部の爆発音と機械工学部の金属音、そして1階の奥の廊下から人の掛け声と畳が弾ける音が入り交じった音が響き、スッと耳を押えた。
「……ドーラのいる空手部は1階……だな?」
「はい……おそらくあの廊下の奥に道場があると思います……」
「なんて?」
耳を塞いだおかげで雑音が聴こえにくくなったものの、ナインの声も聞こえなくなったヴァン。
「廊下の奥にドーラが……」
「もっかい」
「ドーラが奥に……」
「もういっちょ」
「ドーラが……」
「どっこいしょ」
「ベンさん!?!」
わけのわからないこと言い始めるヴァン・ベートーベンにおもわずナインは振り向いた。が、屈託のない笑顔で返されたため、ナインの脳内は一瞬にして尊みが溢れた。
「じゃ、さっそく道場に突撃だ。後に続けナイン」
「……ナイン?」
「……はっ!? す、すみませんッ! 行きましょう!」
尊みワールドから現実世界に舞い戻り、ナインとヴァンはさっそく道場に突撃することにした。
■
「おらぁあッ!!!」
バコンッ! とけたたましい音を鳴らしながら扉を蹴り開け、道場に入っていくヴァンたち。道場には様々なクリーチャー娘たちが組手を行なっている他、何やら奥の方で何人ものクリーチャー娘が投げ飛ばされている様子。
圧をかけるつもりでデカい音を鳴らしたというのに、元からやかましいせいで見向きもされないのはやや屈辱。この責任はこの道場の主たる伍代ドーラにとってもらうしかあるまい。
スゥーッ
「伍代ドォォォrrrrrラぁぁぁあああぁあぁああぁああああああああああああああああ!!!!!」
道場内のやかましい音をすべて掻き消すほどの大声を発し、道場内全員の視線がヴァンに集まった。
「我が名は頂修・ヴァン・ベートーベン!!! 伍代ドーラ!! 我を覚えているかぁああぁああぁあぁあああああああああああ!!!!!!」
とあるテレビ番組のような口頭に多くの部員たちが既視感を覚える中、伍代ドーラも負けじと大声で返事をする。
「覚えているが何じゃ小むすみゃあああああああああああああああああああああ!!!!!」
部員を投げ飛ばしながら返事を返すドーラに対し、ヴァンはストレートな気持ちをぶつけた。
「仲間になれぇぇええぇえええぇえぇええええええええええええええええええええ!!!!!」
「……え、何?」
一瞬、部室にいる全員の脳内が『?』で埋め尽くされ、言葉を失ってしまった。
何を突然そんなことを言い出すのか、あまりの意味不明さに全員思考が追いつかない。
「私からもお願いしまああああああああああああああああああああああああす!!!!!!!!」
突然、凛々しく佇んでいたナインも同様に叫び始め、全員の脳内が『!?!?!?』で埋め尽くされた。
「「お前も叫ぶんかい!!」」
やっと思考が追いついたところで、伍代ドーラはため息をつきながらヴァンの元まで向かっていった。
「ハァ……で、ゼニス娘のウヌが何で儂を仲間にしたいんじゃ」
至極不機嫌そうな表情で聞き返すドーラ。こんな至近距離で伝説のドラゴン娘たる彼女の不機嫌オーラを直に浴びれば、どんなクリーチャー娘だろうと圧に負けて縮こまってしまう。
だが、ヤワな女ではないヴァンはドーラに負けじとふんぞり返り、もう一度デカい声で叫び始めた。
「今環境でふんぞりかえってる鬼泣オーガに一泡吹かs「もういい! 叫ばんでいい!! 聞こえとるわ!!」あ、そう?」
想像以上にヴァンの大声がやかましく、両手で耳を抑えながらヴァンを宥めるドーラ。傍から見れば空手部の活動を力技で邪魔しているようにしか見えないが、ヴァンとそれなりに面識のあるドーラはその横暴な態度も含め寛大に許した。
「それにしても鬼泣オーガに勝ちたいとは、随分傲慢な考えじゃの」
「傲慢?」
1ミリも傲慢だと思っていない本人の様子にドーラは呆れた。
「そりゃそうじゃろ。相手は日本最強の不良番長、ナンバーワンですらないお主に何が出来る?」
「私は
「は?」
突然胸を張って出てきたナイン。だがドーラの睨みによってナインはおずおずとヴァンの背後に隠れた。
「それにウヌはゼニス娘の中でも唯一儂とタメ張れる娘。何故、儂の力を欲する?」
ドーラは素朴な疑問をヴァンに返した。それに対し、いつもなら何も考えずに即答で返すはずのヴァンが、今日だけは神妙な表情で悩んでいる。久しぶりに会ったとはいえ随分変わったようだ。
ドーラにとって、ヴァンは並みいるゼニス達の中で一番苦戦したといっても過言では無い強敵だった。たった一人でドラゴンを支配するその力はたとえ伍代ドーラであろうと厳しい戦いを強いられ、当時ドーラとヴァンは熾烈な争いを繰り広げた。
最終的に気合と根性で支配から脱した伍代ドーラの渾身の拳がヴァンの鎧を粉々に打ち砕いたことによって決着が着いたが、そんな強敵であるヴァンが何故他の娘に頼ろうとするのか。何故いつものように単独で挑もうとしないのか。ドーラは分からなかった。
「ドーラ、……我は」
首を傾げるドーラに対し、ヴァンは唾を飲み込み、胃から喉にかけて重い何かを吐き出すかのごとく、ドーラに告白した。
「……オーガに、負けた。一方的にボコボコにされて……手も足も出ずに負けた」
プライドの高いヴァンにとって言いたくない弱音を次々と吐き出し、ヴァンは頭を下げた。
予想外の展開に気取られたドーラは目を丸くしながらも、ヴァンの言葉一つ一つを真剣に聞いた。
「何で負けたか、必死に考えた。我はいつも一人で戦おうとするから、仲間の声援を力に変えるオーガには勝てないってことはすぐに分かった。だからまた適当にドラゴンを従えてオーガにリベンジしようと思ったけど、我、最近気づいてしまった……」
ヴァンが一旦口をつぐみ、ゆっくり息を吸ってからもう一度口を開く。
「……ドラゴン、あんまり環境にいないって……」
ドーラ、ナイン、そして道場にいる全クリーチャー娘達の脳に電流が走り、薄々感じていた違和感が今ハッキリと繋がった。
「気づいた時、我はもっと悔しくなった。昔はあんなにドラゴン一色だったというのに、今じゃわけのわからない新世代のミーハー共がのさばっている……」
「そんなの……許せるはずがない……!!」
「ベンさん……!」
ヴァンの強い思いが握り拳に表れ、闘志の滾りが周囲に伝播していく。
「だからな、伍代ドーラ。お前に協力を仰いだのは単に相性が良いというだけではない」
「ほぉ?」
期待するドーラに応えるよう、ヴァンは熱く語った。
「我は、朽ちてしまったドラゴン娘の誇りを取り戻したいのだ。だが我だけの力では到底叶わない……」
「やはり伝説の、ドラゴン娘の頂点たるお前の力が必要だ」
そう言ってドーラに手を差し伸べるヴァン。熱い闘志とドラゴン娘としての誇りを携えた彼女の熱弁に当てられ、流石のドーラも「フッ」と笑みをこぼす。
「……ウヌのドラゴン娘の誇りを取り戻したいという思い、しかと聞き入れた」
「……! じゃあ……仲間になってくれるんですね!」
「じゃがそいつはちと早計じゃ、難波ーナイン」
ドーラはチッチッチッ、と指を振りながらナインを静止させる。それでもナインは期待した目付きでドーラを見続けるが、ドーラはニヤりと笑う。
「儂はまだ、仲間になるとは一言も言っておらんが?」
「じゃあ殴り合いか?」
即座に実力行使に切り替えたヴァンが拳を鳴らし、いつでも殴れるよう構え始めた。
やはりドラゴン娘たるもの言葉よりも力で証明すべき、……そういう考えを持つドラゴン娘を今まで散々見てきたし、ドラゴン娘の中でもさらに戦闘狂かつ伝説のドラゴン娘ならば、力でしか認められないと言われてもおかしくない。
だが実際のドーラはかなり悩み、少し考えてからゆっくりと口に出した。
「……それもいいが、今日はもう100連戦しとるからのぅ。また別の機会にやり合うとしよう」
ドーラは渋々戦いを拒否し、別の機会に回すことにした。戦闘狂たる彼女が戦いを拒否するのはかなり珍しいことなので、彼女の暴れっぷりを知っている空手部の部員たちは全員驚愕の表情で彼女を見つめた。
だがドーラとしては、自分が万全でない状態でヴァンとやり合うのは面白くないと判断しただけであり、自分と張り合える数少ない相手だからこそやる時は全力でやりたいと彼女は考えた。今ここで無理して戦うよりかは、調子いい時に戦った方が気持ちがいいというもの。
とはいえこのまま引き下がるわけにはいかないヴァンはドーラに問いただした。
「じゃ、何したら我の仲間になるんじゃ」
焦らすドーラに対し、ヴァンはぶっきらぼうに聞く。
「ヴァン、儂の語尾を取るんじゃあない」
「……まぁそれはともかく、今回はウヌら二人に一つだけ質問させてもらうとするかの。その返答次第で仲間になるかどうか決めさせてもらう」
「……!」
またとないチャンスに目を輝かせるナイン。ヴァンと違って殴り合いは不得意な彼女にとって、これ以上楽なものはなかった。
ドーラは少し咳き込んだ後、二人の目を見据えながら言った。
「ウヌら、
「……いや?」
「私は呪文を封じられて顔が歪み出すドラゴン娘が見たいです!」
「……フッ、そうか」
「〇ね」
突如、伍代ドーラがヴァンたちに襲いかかり、咄嗟にヴァンはナインを突き飛ばした。
「きゃあっ!!?」
倒れたナインが振り返ると、そこには半ドラゴン化した伍代ドーラの魔の手からナインを守るヴァンの姿があった。
「ベンさん!?」
「……急に襲いかかるなんて、卑怯だと思わないのか伍代ドーラ!!!」
「ドラゴン娘は、"好き"か?」
「また?!?」
完全に目がキマッているようにしか見えないドーラにたじろぐヴァン。あからさまにキレているが、よくあるドラゴンジョークかもしれないのでヴァンはもう少し様子を伺う。
「ドラゴン娘を愛せぬものは"死"、あるのみ」
マジギレである。
「ねぇ、待って。我、「別に?」としか言ってないんだけど! 愛せないなんて一言も言ってないんだけど!!」
必死にヴァンが言い訳をするものの、伍代ドーラの耳には届かない。
「言い訳は墓場で聞いてやるわああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
叫び声と共に放たれたドーラの腹蹴りによって吹き飛ばされたヴァン・ベートーベン。蹴られた瞬間に怪しい音が聞こえたヴァンは咄嗟に今着ている『キング・コマンド・ドラゴンの鎧』に目を向けると、蹴られた箇所にヒビが入っていた。
(相変わらず頭おかしい……!!)
この鎧はゼニス女学院の四天王の中で最も頭のいいゼニス娘から授かった究極の鎧。その硬度と耐久性は幾多のドラゴン娘との戦いや鬼泣オーガとの戦いですら傷一つつかないほど。
だがこの化け物はたった一発で鬼泣オーガのパワーを超えてしまった。流石、単独でゼニス女学院生徒全員をぶっ倒した伝説のドラゴン娘である。
「まだまだ……!!」
伍代ドーラの猛攻を必死に捌き、最低限のダメージに抑えようとするものの、あまりの速さとパワーに翻弄されるヴァン。しかしヴァンもドーラに劣らないどころか、それ以上のパワーを出せるスペックはちゃんと持ち合わせている。
だと言うのにヴァンは伍代ドーラと戦うときのみ、調子が悪くなってしまう。現に捌ききれなかった拳が腹部や顔面にブチ込まれ、劣勢と言わざるを得ない。
(こうなったら我の
ヴァンの瞳が輝くと同時に、全身から衝撃波が放たれる。ヴァンの
当然ドラゴン娘の王であろうと変わらない……はずなのだが、ドーラは目視不可の速さで拳を打ち込むことで衝撃波を相殺し、一瞬で距離を詰めた。
(あヤバい!!)
咄嗟に腕でガードするヴァンだったが、半ドラゴン化したドーラの巨大な尻尾の一撃によってカチ上げられ、さらにドーラの巨大なドラゴンの爪がヴァンに強烈なアッパー攻撃を叩き込む。
「ベンさんッ!!!」
天井に頭部を突っ込んだ直後、床にべしゃりと落ちたヴァン・ベートーベン。大王こと伍代ドーラの圧倒的な力の前ではいかなるクリーチャーも意味をなさない。
「まだだ……」
「ほう? ……まだ立ちあがるか」
立ち上がろうとするヴァン。体は既にボロボロだが、膝に力を入れるくらいはどうってことない。
ヴァンは足を震わせながらも、反撃の意思を絶やさなかった。
「我は、……ゼニス娘でドラゴン娘、王の中の王……」
「ここで負けるわけにはいかないのだ……!」
そう言うとヴァンは自ら槍を胸に突き刺し、エネルギーを流し込んだ。
「えっ?」
「換装ッ!!」
ヴァンの掛け声に合わせて鎧が分解され、空中に浮いたまま破片が再構築されると、再びヴァンの鎧として結合した。
「頂修・ヴァン・ベートーベン改め……」
「頂戦慄・ベートーベン、爆誕ッ!!!」
鎧の見た目が完全に変化したヴァンもといベートーベン。ただしこの姿はゼニス大戦時代の姿であり、ドラゴンを支配する能力は持ち合わせていない。だが頂修の力が通用しない以上、こっちの姿で何とかするしかない。
「くらえ我が呪文、『運命』ッ!!!」
鳴り響くクラシック音楽と共にベンの鎧が輝きを放つと、ドーラの目の前に5枚のカードが裏向きで出現した。
「何じゃこれはァ!!?」
「その5枚の中から3枚選べ」
鬼気迫るベンに威圧され、ドーラは大人しくカードを見つめた。
「……じゃあ、コレ、コレ、コレで」
ドーラは渋々3枚のカードを選択すると、選んだ3枚のカードが裏返される。そこには「鬼丸勝利」「難波ナイン」「綴才リカ」の名前がそれぞれ刻まれていた。
「これこそ我が運命ッ!!!!」
ベンが槍を掲げると、天井に超次元地味た穴が3つ出現し、そこから"鬼丸勝利"、"難波ナイン"、"綴才リカ"が出現した。
「一斉攻撃ッ!!」
「え、何? 姉ちゃん? ……ここどこ?」
「アレ? 私、いつの間に……?」
「断る」
「一斉攻撃ッ!!!」
ベンの掛け声に応じて再び鎧が輝き出すと、呼び出された3人は有無を言わさず攻撃を強いられ、ドーラに向けて3人同時に仕掛けた。
ドラゴン娘3人の攻撃を受けた伍代ドーラはその強烈なパワーに後ずさりするも、ギリギリのところで踏ん張っていた。
「伍代ドーラを舐めるなあああああああ!!!!」
同時攻撃を受けてなお押し返そうとするドーラの底力に息を飲むオーディエンス達。だがクラウチングスタートで構えていたベンが走り出し、槍を持って大ジャンプを決めると、両腕を防御に回して無防備になったドーラの頭上から槍を叩き込んだ。
「我の勝ちだあああああああああ!!!!!!」
槍が伍代ドーラに突き刺さるかと思いきや、ドーラは槍をドラゴン化した口で受け止め、そのままベンごと壁に向けて叩きつけた。
「え?」
わけがわからないまま唖然とするベン。その隙にドーラは殴りかかってきた3人のドラゴン娘を覇気で弾き飛ばし、一人ずつバトルに持ち込んで壁に叩きつけていく。
「嘘だよね……?」
自分専用の呪文を唱えて、なおかつ運命の選択にも打ち勝ったというのに、この有様は何なのか。しかもあの化け物100人組手して疲れているはずなのに、我や鬼丸を相手して普通に優勢なのは何なのか。我には理解できない。
ベンは瞬殺されたナインとリカを横目に、鬼丸最後の悪足掻きを見届けようとしたが、ベンが振り向いた頃には既に倒れていた。
「……負けた」
ベンは敗北を悟った。完全試合とはまさにこの事で、全く歯が立たなかった。
キング・コマンド・ドラゴン兼ゼニスとしてのプライドが再び傷つけられ、ベンは一粒の涙を浮かべながら床に倒れた。ショックのあまり体がシナシナになり、全身が灰のようにグレーに染まった。
「起きろ、ヴァン・ベートーベン」
ドーラがヴァンの首根っこを掴んで持ち上げると、ポロポロと涙を零すヴァンの顔が見えた。
「……うぅ、もう我はダメじゃ……どうせゼニスとかドラゴンとかオワコンなんじゃ……これからはアビスとかマジックが覇権を握るんじゃ……もう終わりじゃあ……うぅ」
「……何寝ぼけたこと言ってるんじゃ。儂とウヌがいればだいたい何とかなるじゃろ」
「でも、ドーラは我の仲間に入ってくれないんでしょ? 何か怒らせたみたいだし……負けたし」
ほぼ土下座に近い形で弱音を吐くヴァン。
「それに関してじゃが、もう一度儂から一つ質問しても良いか?」
「何?」
「……ウヌは、ドラゴン娘についてどう思う?」
「どう……?」
ドーラの問いに、ヴァンは再び考えさせられる。自分にとってドラゴン娘とはどういう存在か。因縁の相手か、それとも都合のいい手下か、今ここでハッキリさせなければならない。
ヴァンは少しの間考え、そして素直に答えた。
「圧倒的に自由で横暴で面白いヤツら。だからこそ我は気に入っているし、この手で支配してやりたい」
ヴァンの瞳は、子どものように純粋で透き通った瞳をしていた。
「……ククク、そうか。ウヌは正直者じゃな」
ヴァンの答えに納得すると、ドーラは手を差し伸べた。
「……よかろう。儂を仲間にしたいという話、聞き入れてやる」
ドーラはニカッと笑い、ヴァンの手を引きあげた。ドーラの手はとても温かく、汗でしっとりとしていた。
ドーラが味方になったことに手を握られるまで実感が無かったヴァンだが、ドーラの声と表情と温かさを通じて、燃え尽きていたはずの心がフツフツと湧き始めた。
「いいのか!?」
「儂は常にドラゴン娘の味方じゃから、ドラゴン娘たるウヌに協力するのは当然のことじゃて」
「じゃあ、何故我を試した?」
「力を貸す以上、相手を見極めるのも当然じゃろ?」
「当然かぁ」
ドーラに振り回され過ぎたヴァンの脳みそは空っぽであった。目も真っ白であった。
「んじゃ、儂もう疲れたから後片付けよろしく」
「じゃあのヴァン・ベートーベン」
ドーラはバシバシとヴァンの背中を数回叩いた後、笑いながら道場を後にした。ドーラの背中はすべてのドラゴン娘の中で最も雄大で、まさに龍の王。誇りあるドラゴン娘の姿に、部員全員が頭を下げた。
ヴァンはゆっくりと周りを見渡した。先程の戦闘の余波で壊れた天井、壁にめり込まれたナイン達、ドーラに砕かれた鎧の破片……これらすべてをヴァンたちは片付けなければならない。
「……スゥー」
「片付け手伝えよ伍代ドォォォォォオラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
【続】
【ニュース速報】
・頂修ヴァン、また新たな鎧を獲得してしまう
→拡張パック『
・
→2024年3月11日に『"無月"の頂
・
→2024年3月11日に『超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン』が殿堂入り
・『
→2024年3月11日に『天命龍装ホーリーエンド/ナウオアネバー』が殿堂入り。デドダムに並ぶほどの最強汎用カードの殿堂入りにより数多のデッキが息を引き取った(特に7軸ガチロボ)
・『
→2024年3月11日に『
・生徒会メンバー、謎の力により全員カード化。
→キャラプレミアムデッキ『ドラゴン娘になりたくないっ! イェーイめっちゃドラゴン!!』が発売。
※更新サボってたらデュエマが新時代を迎えていました。