時系列は、うねうね を取得せずに迎えたエンディング2から十数年後。主人公(生太)の年齢は高校3年生前後です。
※念のため、R15タグを付けています。
それから、pixivにも投稿しています。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23794451
ピーポーピーポーピーポー!
ママ「生太!ねえ!返事してちょうだい!生太!!!」
ガチャ ガラガラガラガラガラ
零子「容態は?」
救急隊員「母親のほうは軽傷ですが、息子の生太くんは、はねられた時に体を強く打ってます。特に頭部へのダメージが激しいと思われます」
零子「分かったわ。すぐに緊急手術の準備!」
看護師「はいっ!」
ママ「生太!生太!!!...先生、生太は治るんですよね?!」
零子「...できる限り力を尽くします!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ママ「神様、どうか...どうかあの子を助けてあげてください...お願い...お願いします...」
ウィーーン
ママ「先生!生太は...生太は無事なんですか!?」
零子「手術はしましたが、まだ予断を許さない状況です。生太くんの場合、もし意識が回復したとしても、かなり重い後遺障害が残る可能性が高いと思います。申し訳ありません...」
ママ「そ...そんな...。やっと...やっと2人で暮らせるようになったのに...生太!生太ぁぁぁぁぁぁぁ!!!うっ...ううっ...」
零子「......」
千太郎「...零子」
零子「......」
千太郎「おい、零子」
零子「...え?あ、千太郎。どうしたの?」
千太郎「話がある。ちょっと来てくれ」
零子「い、いいけど...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
零子「えっ?仮釈放中!?」
千太郎「ああ。あの母親、今の息子を産む前にも何人か産んでるんだが、産んだ直後に殺してたことが分かってな。それで懲役20年の判決を受けて服役してたんだが、本人はかなり反省していたみたいで、服役中の生活態度も模範的。身元引受人も一応いて、1年前に仮釈放されてる。夫は4年前に脳卒中で亡くなってたから、事務職員のアルバイトを始めて、先月、児童養護施設に預けられていた今の息子を引き取って一緒に暮らし始めたばかりだったんだ」
零子「そんな...」
千太郎「で、どうなんだ?助かりそうか?」
零子「正直...いつ亡くなってもおかしくないのよ...。手術はしたけど、頭部の損傷が激しくて、意識が回復する可能性はかなり低いの」
千太郎「そうか...」
零子「......」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誰かが...誰かが僕を呼んでる気がする...
?「おい!起きろってば!」
僕「...ん? っ!お、お兄ちゃん!?どうしてここに!?」
そこに居たのは、まぎれもなく、僕の「お兄ちゃん」だ。変わっていることといえば、足が腐ってることと、腕が無いことだけ
お兄ちゃん「どうしてここにって、それはこっちのセリフだぞ。まさかお前、事故かなんかに巻き込まれたのか?」
僕「事故?」
お兄ちゃん「服を見てみろ」
僕「服?...えっ?なんでこんなに血がいっぱい...」
僕はお兄ちゃんに言われるがままに、自分の服を見た。僕の服は血だらけだった
お兄ちゃん「そんなに出血しててここに居るってことは、お前は生きるか死ぬかの瀬戸際ってとこだな」
僕「でも、どこも痛くないよ?」
お兄ちゃん「そりゃそうだろ。ここは現実世界とは違うからな」
僕「......」
お兄ちゃんの言う通りだと思った。確か僕は、ママと買い物に行って、その帰りに...。たぶんそうだ
お兄ちゃん「それにしても、ずいぶん大きくなったな...」
お兄ちゃんは、僕を見て、そう呟いた
僕「うん、まあ...。それより、僕は生きるか死ぬかの瀬戸際なんだよね?どうしたらいいの?」
お兄ちゃん「この先をずっと歩いていけば、そのうち分かるはずだ」
僕「この先を?」
周りには、薄暗い空間が広がっているだけ。特に何も無いように見えた
お兄ちゃん「ああ。それ以外に方法は無い」
僕「じゃあ、お兄ちゃんも一緒に行こうよ!」
お兄ちゃん「......」
僕「お兄ちゃん?」
お兄ちゃん「...無理だ.....」
僕「どうして?」
お兄ちゃん「前にも言っただろ?俺には心臓が無いんだ。それに、もし心臓があったとしても、お前と一緒には行けない。そういうふうになってるんだ」
僕「......」
お兄ちゃん「もう、あんまり時間が無い。早めに行ったほうがいいぞ」
僕「...また、会えるよね?」
お兄ちゃん「......」
僕「ねえ、またいつか会えるんだよね?お兄ちゃん!ねえってば!」
僕は必死でお兄ちゃんの肩をゆすった。でも...
お兄ちゃん「...これが、最後になるだろうな...」
僕「そ...そんなこと...嘘だよね?嘘って言ってよ!お兄ちゃん!」
お兄ちゃん「嘘じゃない...。本当だ。俺には分かる。お前とはもう、二度と会えない...」
僕「......」
するとお兄ちゃんは、何かを考えこんだ様子で...
お兄ちゃん「もっと近くに来い」
僕「えっ?」
お兄ちゃん「時間が無い。早くしろ」
僕「わ、分かった...」
僕は、立つことができないお兄ちゃんの目の前に座った
お兄ちゃん「もっと近くだ」
僕「もっと近くって、こ、こう?」
お兄ちゃん「ああ。それでいい。少しじっとしてろ」
お兄ちゃんはそう言うと、頭を僕の頭に近づけてきた
僕「えっ!?ちょ、ちょっと何するの!?」
お兄ちゃん「だから動くなって」
僕「う、うん...」
お兄ちゃんは、額を僕の額に数秒間だけ当てると、すぐに離した
お兄ちゃん「俺にできることといったら、これぐらいだ」
僕には、お兄ちゃんが何をしたのか、よく分からなかった
僕「な、何したの?」
お兄ちゃん「おまじないだ」
僕「おまじない?」
お兄ちゃん「ああ。これでなんとかなるはずだ」
僕「......」
お兄ちゃん「早く行け。ママが悲しむぞ?」
僕「...うっ......」
お兄ちゃんとはもう、これっきり。そんなの嫌だ。僕は思わず泣いてしまった
お兄ちゃん「なんだ、泣いてるのか?お前も男なんだろ?だったら泣くな。前よりもかっこよくなった顔が台無しだぞ?」
僕「だって...だって...」
お兄ちゃん「それに、俺の腕もお前にやったんだ。ある意味で、俺とお前はいつも一緒。そうだろ?」
僕「......」
お兄ちゃん「お前なら大丈夫だ。きっと、ママを幸せにしてやれる。なっ?」
僕「...」
ギュッ
僕は、お兄ちゃんを抱きしめた。強く強く抱きしめた
お兄ちゃん「ハハッ。力も強くなったな。さすが、自慢の弟だ」
僕「うっ...ぐすっ...」
泣くのはやめようと思った。けど、止められなかった。大粒の涙があふれてきて、止められなかった
お兄ちゃん「......」
ほんの短い時間だったけど、僕にとっては、とてもとても長い時間に感じた
お兄ちゃん「...よし。もう行ったほうがいい。間に合わなくなるからな」
僕「...分かった......」
僕は渋々、お兄ちゃんから離れた
お兄ちゃん「元気でな」
僕「うん...」
僕は、お兄ちゃんがさっき指していた方向に歩き始めた
お兄ちゃん「......」
でも、ずるいよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんだって...
お兄ちゃん「......」
<泣いてたじゃん...>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どれぐらい歩いたか分からない。僕はひたすら歩いていた。そしたら、ずっと前のほうに、微かな光が見え始めた
僕は走った。息を切らしながら走った。眩しくなるぐらいの光が見えても、とにかく走った。そして...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕「...んっ......」
看護師「...っ!?生太くん!?分かる?生太くん!!!」
僕「ここ...どこ...ですか?」
看護師「病院だよ!」
僕「病..院...」
看護師「そう。生太くんは、大怪我をしたからずっと入院してるの。すぐに先生を呼ぶね!」
ピッ!
看護師「先生!ICUに入院中の生太くんが目を覚ましました!こちらの声掛けにも反応してます!」
零子「本当に!?分かった、すぐ行くわ!」
3時間後...
ママ「零子先生、本当に...本当に、ありがとうございました...。何とお礼を言っていいか...」
零子「とんでもないです。これは、生太くんが頑張ったからだと思います」
ママ「本当に...ありがとうございました...」
5時間後...
千太郎「いやー、やっぱり零子は名医だな!あれほど状態が悪かった生太くんの意識を回復させるなんて、なかなかできることじゃない」
零子「でも、私はあくまでも応急的な処置をしただけで、特別なことは何もしてないけど...」
千太郎「だけど、搬送されて来た時に零子がオペをしたのは事実だろ?結果的には、零子のお手柄じゃないか!」
零子「そうかしら?」
千太郎「謙遜するなって。じゃ、俺はそろそろ署に戻らないといけないから、またな」
零子「え、ええ...」
零子(どういうこと?半年間も意識不明だったのに、いきなり会話ができるなんて...。いえ、それだけじゃないわ。さっきMRIを撮ってみたけど、脳内の損傷した部分がどんどん治っていってた...。まるで、脳細胞が新しくなったみたいに...)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕は、ママと買い物に行った帰りにトラックにはねられて入院していたらしい。脳がひどく損傷していたみたいで、半年間も昏睡状態だったみたい。主治医の先生は「ここまで回復したのは奇跡」だと言っていた。
...あと、眠っている間、夢を見ていた気がする。どんな夢だったのかは全然思い出せないけど、なんだかすごく懐かしい感じがした......