勇者オルテガの息子で勇者のレックは、武闘家のハッサン、僧侶のミレーユ、魔法使いのバーバラを連れて旅に出ていった。
 その後、ロマリア、アッサラームを経由し、彼らは魔法のカギを手に入れるためにピラミッドにやってきた。
 しかし、そこで彼らを待っていたのは強敵や仕掛けの数々で、彼らは何度もこの場所にカムバックすることになってしまう。
 その一方で、彼らの他にもう一組のパーティーも冒険を繰り広げていた。
(作品としては、DQⅥのキャラ名を入力してDQⅢをプレイという形式です。)

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定期的にカムバック

 ここはドラゴンクエストⅢの世界。

 勇者オルテガの息子、レックは母親に女手一つで大切に、時には厳しく育ててもらった。

 そして16歳の誕生日を迎えた日。彼は父親の思いを胸に、アリアハンを旅立つことにした。

 その際、レックは王様からアイテムと50ゴールドを支給してもらい、さらには仲間を加えることを勧められた。

(確かに一人旅は危険だ。じゃあ、あの3人に声をかけてみよう。)

 彼は城内にいる人からラックの種をもらった後、城から出てきて、幼なじみである武闘家のハッサン、僧侶のミレーユ、魔法使いのバーバラに声をかけることにした。

「そうか。お前の誕生日ってことは、ついにその日がやってきたんだな。」

「私も協力しましょう。この日に合わせて準備をしてきましたから。」

「わーい!レックと一緒に旅が出来る!あたし、楽しみ~。」

 彼らは喜んで仲間に加わってくれた。

「ありがとう。みんなで力を合わせて頑張ろうね。」

 レックは彼らと一緒に自分の家の前にやってきた。

「じゃあ、母さん。行ってきます。」

「行ってらっしゃい。気をつけてね。そして大切なお友達と協力して、仲良く旅をするんですよ。」

「はい、分かりました。」

「ハッサン、ミレーユ、バーバラ。どうか私の息子を宜しくお願いします。」

「任せとけって。レックとはガキの頃からの付き合いだからよ。」

「私は回復や補助で彼を支えていきます。よろしくお願いします。」

「あたしが魔法で敵なんかやっつけてやるから、心配しないで。」

 3人は胸を張って答えた。

「みんなありがとう。疲れた時にはいつでも4人でここに来てね。私はいつでもお待ちしていますよ。」

「えっ?みんなを連れてきてもいいの?」

「ええ。食事の支度もするし、全員がゆっくりと休めるように布団の準備をしておくわ。」

「母さん、そこまでしてくれるなんて…。」

「いいの。これが私に出来ることだから。」

「本当に、ありがとうございますっ!」

 母親の優しさに触れたレックは、笑顔でお辞儀をした。

 すると他の3人も深々とお辞儀をした。

 彼らが家を後にしようとした時、祖父が「これ、待ちなさい。」と言いながら家から出てきた。

「あら、お父さん。そんなに慌ててどうしたんですか?」

「わしも孫のために何かしたくてな。さあ、これを持っていきなさい。きっと役に立つはずじゃ。」

 祖父は薬草と力の種、そして30ゴールドをレックに手渡してくれた。

「じいちゃん、いいんですか?」

「うむ。ぜひ持っていきなさい。きっと役に立つはずじゃ。」

「ありがとうございます!」

 レックは再び満面の笑みでお辞儀をした。

 家を後にした4人は道具屋で種を売って所持金を増やした後、銅のつるぎ一つと旅人の服2つを購入して装備を整え、いよいよアリアハンの町を後にしていった。

 

 その後。彼らがレベルを上げていざないの洞くつを抜け、ロマリアに到着すると、現地の人達は「アリアハンから来られた人達ですね。」と言いながら4人を歓迎した。

 そしてレック達が自分達の代わりにモンスターや悪人達、さらには農地を荒らす野生動物の討伐をしながら、レベルを上げていく姿を見ているうちに、彼らに負けられない。自分達も世の中のために役に立ちたいという人が出始めた。

 すると城の兵士であるアモスと見習い医師であるチャモロが立ち上がり、王様の前にやってきた。

「私を旅に出させてください。腕力なら誰にも負けない自信があります。」

「私は治療を得意としています。回復役として、きっと役に立ちます。」

 2人は並々ならぬ意気込みを見せていた。

「よろしい。では、わしから金のかんむりを奪っていったカンダタ一味の討伐をして欲しい。」

 王様は実力試しを兼ねて彼らに任務を依頼した。

「分かりました。」

「頑張ります。」

 アモスとチャモロは気合いを入れながらそれを引き受け、それぞれ戦士と僧侶として活動をすることにした。

 しかし、2人での戦闘はなかなか厳しく、4人編成のレック達と比べて明らかに力不足だった。

「このままではとてもカンダタ討伐は出来ませんね。」

「協力してくれる仲間を探すことにしましょう。」

 チャモロとアモスはそう決意すると、いくつかの町をまわりながら人々に声をかけた。

 その後、旅の扉を使ってアリアハンに向かった彼らは、同じくこの大陸に来て旅をしながらアイテムとお金を集めている盗賊のテリーと商人のターニアに出会った。

「あんたのような腕っぷしの強いおっさんがいれば、戦闘がだいぶ楽になりそうだな。」

「それに私達は回復がアイテム頼みでしたから、チャモロさんがいると心強いですね。」

 テリーとターニアはこれまで色々な苦労をしてきたこともあって、喜んで仲間に加わってくれた。

 パーティーが4人編成になると、彼らは再び旅の扉をくぐってロマリアに行き、それまでに手に入れていたアイテムやお金を使って装備を整えた。

 そしてガンガン戦闘を繰り返しながらレベルを上げていき、やがてシャンパーニの塔へと向かっていった。

 

 テリーが一時的にロマリア王になって再度パーティーに復帰した後、4人は次の任務としてノアニールに向かっていった。

 その頃、レック、ハッサン、ミレーユ、バーバラは敵の猛攻を潜り抜けた末に、どうにかアッサラームに到着した。

「はあ…。やっと一休み出来るところに着いたわね。」

「そうね。早く宿屋にチェックインしたいわね。」

 すでに辺りは夜になっており、疲れ切っていたバーバラとミレーユは、早くシャワーを浴びて横になりたい気分だった。

 しばらく歩いていると、彼らはとある民家の前を通りかかった。

 家の前には一人の女性が立っていた。

 彼女はレック達に気が付くと途端にニヤッとしながら「ねえあなた達、お時間ある?」と問いかけてきた。

ハッサン「まあ、あるって言ってもいいけどよ…。」

レック「僕達は宿屋を探しているんですけど…。」

「その前に、おいでお兄さん。ぱふぱふして欲しいなら50ゴールドよ。」

「ぱ、ぱふぱふ?」

「いいのかよ?」

 レックとハッサンは思わずドキッとし、顔を赤らめた。

「でも、そんな大勢で来られると『こまっちゃうナ~。ぱふぱふ出来なくて~。』になるから、一人で来てくれる?」

「ひっ、一人で?」

「それってまじ?」

「ほらほら、行くわよ。」

 レックとハッサンがさらにドキッとする一方、ミレーユは思わずムッとした。

 しかし2人はそんな彼女の忠告も聞かず、じゃんけんをして勝った方が家に入っていくことにした。

「じゃーんけーんぽん!」

 結果はハッサンがパーで、レックがグーだった。

「じゃあ、俺が行ってくるぜ。」

「あ、ああ。行ってらっしゃい…。」

 レックはそう言いながら呆然としていた。

「ハッサン、行ってらっしゃい。」

「………。」

 バーバラが笑顔で彼を見送る一方、ミレーユは相変わらず顔をしかめていた。

 

 しばらくすると、ハッサンは魂が抜けたような表情で家から出てきた。

レック「どうだった?」

「………実は……。」

ミレーユ「何も聞きたくないわ。さあ、行きましょう!」

「あら。あたしは聞きたいことあるんだけれどな。」

レック「何?バーバラ。」

「ぱふぱふってなあに?あたしにも作れるの?」

「だああああっっ!!」

 バーバラのおとぼけ発言を聞いて、他の3人は一斉にずっこけた。

 ハッサンはその夜、宿屋で一晩中うなされていたため、他の3人もいまいち寝付けず、HPとMPはあまり回復しなかった。

 

 その後。レベルをさらに上げた彼らは、辺り一面に広がる砂漠にやってきた。

「とにかく暑いわね…。日差しも強烈だし…。」

「気温は40℃に達しているかもしれないわね。」

「そんな気温、今まで経験したことないよ…。」

 バーバラ、ミレーユ、レックは初めて経験する気候にすっかりまいっていた。

「こうなったら、俺はこの手に打って出るぜ。」

 ハッサンはそう言うと武闘着を脱ぎ始め、短パン一丁になった。

「ちょ、ちょっと!何してるのよ!」

 ミレーユは途端に赤面し、大声で忠告した。

「だって暑いんだから、しょうがねえじゃねえか。」

「暑くてもちゃんと服を着なさい!エンカウントしたら大変なことになるわよ!」

「分かったよ…。」

 2人がやりとりをする一方、レックは突っ込む気力も無く、バーバラは小声で歌を歌って気分を紛らわしながらオアシスに向かって歩き続けた。

(※僕はドラクエⅢの砂漠にある町の名前が、とある武装組織名を連想させるという理由から、作中では書かないことにしています。)

 

 宿で一夜を過ごした後、彼らは気温が上昇する前の早朝に町を出発し、聖水を使ってピラミッドを目指していった。

 しかし、入口で彼らを待っていたのは、ミイラ男やマミーの群れだった。

 これらの敵は攻撃力が高いため、装備を更新していないレック達は一気にHPを削られてしまった。

「中に入った瞬間、終わったわね。」

「ミイラとマミーで進めないわね。」

「なめプで自信、お無くなりだぜ。」

「これは定期的にカムバックだな。」

 バーバラ、ミレーユ、ハッサン、レックは冷や汗をかきながら戦闘から逃げ出した。

レック「というわけで、どうもすいませんっしたーーーっ!」

 ピラミッドの外に出ると、彼らは急いでルーラを使い、町に向かって飛び立っていった。

 

 その後、4人は星降る腕輪を手に入れてバーバラが装備し、資金難に悩まされる中で何とか装備を整え、気持ちも整えた上で再度ピラミッドに乗り込んでいった。

 現地ではミイラ男やマミーに加えてわらいぶくろが待ち構えていたが、幸いレックとミレーユがニフラムを唱えて退場させてくれたため、HPの減少を抑えることが出来た。

(※自分達をないがしろにするなんて、そんな、ひどい…。byだいおうガマ)

 しかし、次に彼らを待っていたのは十字路での落とし穴だった。

「イタタタ…。びっくりしたわ…。」

「こりゃ、色々な仕掛けがありそうだな。」

 ミレーユとハッサンが小声で会話をしていると、大勢のモンスター達がやってきた。

「こんなに大勢で来られると厄介だな。」

「出来れば戦いたくないわね。」

「こんな連中、やっつけてやるわ!」

 ハッサンとミレーユが不安げな表情をする一方、バーバラは自信満々に呪文を唱えた。

 しかし、ここはピラミッドの地下というだけあって、呪文がかき消されてしまった。

「えっ?どうして?呪文が!?」

 予想だにしない事態に彼女の自信は一気に吹き飛んでしまった。

「イヤーーーッ!呪文が使えないとあたしこまっちゃーーーうっ!!」

「こうなったら逃げよう!」

 レックは一目散にこの場を離れることを決め、全逃げしながらまた撤退をしていった。

 

 日を改め、薬草をいくつか買った上でまたまたカムバックしてくると、彼らはレックの提案もあって、まず地下1階にやってきた。

 とある場所までやってくると彼は立ち止まり、足元を調べ始めた。

「どうしたの?あたし呪文の使えないところ、イヤなんだけれど。」

 バーバラがせかしていると、レックは何と地下2階におりるための階段を見つけた。

「ええっ?こんなところに階段が!?」

「すげーな、お前。ノーヒントで見つけるなんてよ。」

「ここに階段があることをなぜレックが知っているのかについては、聞かないことにするわ。」

 バーバラとハッサンが只々ビックリする中で、ミレーユはメタい要素満載のツッコミを入れてきた。

「い、いやあ…、その…。」

 レックは事前にうp主からこの情報を聞いていたことなど言えるはずもなく、黙り込んでしまった。

 

 地下2階におりていくと、そこにはすぐに扉が立ちはだかっていた。

 しかもそれは盗賊のカギでも開かなかったため、4人はあきらめて引き返していった。

「ねえ、早く地上に出ようよお…。あたし、呪文使えないなんてやだよお…。」

「私も。呪文で回復が出来ない以上、あまり長くはもたないわ。」

 彼女達の説得を受けて、彼らは一旦地上に出て、再度入り直すことにした。

 すると、突如じごくのハサミとキャットフライが現れた。

「君はマホトーンで呪文を封じてくれ。」

「分かったわ。あんたはスクルトお願いね。」

 彼らは簡単な打ち合わせをした後、早速呪文を唱えた。

「げっ!これじゃ武器も通じないし、呪文も唱えられないじゃないか!」

 レックは思わぬ事態に、ただただ焦るばかりだった。

 それは他の3人も同じで、緊急脱出用のルーラを封じられ、さらにキメラの翼も持っていなかったため、どうすればいいのか分からない状態だった。

 キャットフライはその様子を見てチャンスとでも思ったのか、痛恨の一撃を繰り出してレックのHPを一気に削った。

 一方のじごくのハサミは(ゲームではやりませんが)相方をかばったため、レック達の攻撃を一身に受けた。

「見てくれ、この体!カッチカチやぞ!カッチカチやぞ!」

「どう?私の相棒の硬さ、ゾックゾクするでしょ?」

 もはや余裕すらぶちかましてくる彼らを見て、レック達は完全に戦意を喪失してしまった。

 しかし逃走も失敗してしまい、焦りはさらにつのっていった。

「ねえねえ、もっと僕らの相手をしてよ。」

「私達、一発芸を披露したいんだけれど。」

 彼らは完全に遊びモードになっていることもあってか、じごくのハサミは突然オンチな声でリサイタルを開始した。

 一方のキャットフライはぬいぐるみを着て「キャトちゃん、ペッ。アイーン、ゲッツ!」を披露し、レック達の視界からフェイドアウトをした。

 すると隙ありと思ったレック達は一目散に逃げだしていった。

 そしてマホトーンが解除されたことを確認すると、バーバラは即座にルーラを唱え、その場を飛び立っていった。

「悔しいです!!」

 レックは無念さを抱えながらアリアハンに向かっていき、母親に会いに行った。

 

 4度目のカムバックをしてきた4人が落とし穴を避けながら1階を歩いていると、ふと先の部屋に宝箱が置かれているのを見つけた。

「おいレック。あの箱、開けてみようぜ。魔法のカギがあるかもしれないしよ。」

 ハッサンは開ける気満々だった。

「いや、こんな簡単に見つかるとは到底思えないよ。あんなのは放っておいて、先を急ごう。」

 クリア命で考えているレックがハッサンを説得すると、ミレーユとバーバラもそれに賛同したため、一行は2階にあがる階段に向かっていった。

(※参考までに言いますと、うp主はクリア命でピラミッドを攻略したため、1階、2階、4階、5階の宝箱を開けたことがありません。)

 

 2階の迷路を抜けてさらに階段をあがり、3階にやって来ると、そこに待っていたのは大きな扉だった。

ミレーユ「これ、本当に扉なの?」

バーバラ「盗賊のカギでも開かないわね。」

ハッサン「押してもビクともしないしよ…。」

 3人が困り果てていると、レックはどこかに開けるための仕掛けがあるはずだと考え、この階を歩き回ることにした。

 彼らが来た道を引き返し、脇道を進んでいくと、壁にボタンがあるのを見つけた。

バーバラ「これ、見るからに怪しいわね。」

ハッサン「いかにも押せって感じだよな。」

ミレーユ「でも、何か嫌な予感がするわね。」

レック「とにかく迷わず押してみよう。押せば分かるさ。」

 彼が「いくぞーーーっ!」と叫んだ後でボタンを押してみると、その場の床が開いた。

「わあああっ!!」

「きゃああっ!!」

「いやああっ!!」

 ハッサン、ミレーユ、バーバラは悲鳴をあげながらレックとともに下の階に落ちていった。

「みんな、大丈夫?」

「ケガはないか?」

 ミレーユとハッサンが心配しながら隣を見ると、そこには仰向けになって倒れているレックの上にバーバラがうつぶせになっていた。

(こっ、これは!)

(やばくね?)

 ミレーユとハッサンは気を失っている彼らを起こそうとしたが、ついつい見とれてしまった。

 その後、目を覚ましたレックは赤面しながらしばらく様子を見ていたが、バーバラが目を覚ますと「ぎゃあああっ!!あたしに何してんのよ!このドえっちいっ!」という叫び声とともに強烈なビンタを浴びせた。

 さらに他の2人も気まずい気持ちでいっぱいだったため、この日の探索を打ち切ることにし、撤退をすることになった。

 

 彼らはルーラでアリアハンに戻ってくると、レックの実家にやってきた。

「お帰り、私のかわいいレックって、あら、どうしたの?その顔。」

「何も言いたくないです…。」

「そう…。大変だったのね。とにかく、今日はもうゆっくりお休みなさい。」

「はい…。」

「お友達も一緒に、ゆっくり休むんですよ。」

「ああ、分かったぜ。」

「では、お言葉に甘えて。」

「あたし、今夜だけは宿屋に泊まるわ!」

 ハッサンとミレーユが快諾する一方、バーバラはふてくされながら断ってしまった。

「どうしたの?彼女との間に何かあったの?」

「……。」

 母親に質問をされても、レックは赤面するばかりで何も言えなかった。

 

 翌日。何はともあれHPとMPが全快した彼らは素直に情報を集め、またまたピラミッドに挑んでいった。

 そして扉を開くための謎を解き、ついに魔法のカギを手に入れた。

レック「やった!これで新たな場所に進めるね!」

バーバラ「でも戦闘続きで疲れたわね。その分経験値とお金は稼げたけど。」

ハッサン「ああ。目標も達成したことだし、もう帰ろうぜ。」

ミレーユ「それが良さそうね。バーバラとレックのMPがもう10程度しかないから。」

 4人はリレミトで外に出ると、ルーラでその場を飛び立っていった。

 そして今度は全員そろってレックの実家に泊まることにした。

 

 翌日。目を覚ました4人はレックの母親にあいさつをした。

「おはよう、みんな。夕べはお楽しみでしたね。」

「えっ?ちょ、ちょっと!母さん!」

「でも、ゲームのやり過ぎは目を悪くするから、ほどほどにしてね。HPとMPも全回復しなくなるし。」

「あっ、はい…。分かりました…。」

 母親からするどい指摘を受けて、レックは思わずドキッとしてしまった。

 家を後にすると、彼らは薬草をたくさん買い込み、キメラの翼も手に入れた上でルーラを唱えて飛び立っていった。

 

 この日もこりずにピラミッドにやってきた4人は、地下2階にやってきて魔法のカギを使い、扉を開けた。

「よし!これで先に進めるぜ。」

「何があるのか、楽しみね。」

 ハッサンとバーバラがウキウキ気分なのに対し、レックとミレーユは慎重な表情を浮かべていた。

 幸い敵とのエンカウントはほとんどなかったため、彼らはスイスイと先に進んでいき、やがて王様のひつぎの前にやってきた。

 そこでレックは黄金のツメを手に入れた。

「これは売ればかなりのお金が手に入りそうだけれど、ハッサンが装備したらどうなるのかな?」

 レックの提案を受けて、ハッサンは武器を持ち替えた。

「確かに攻撃力は半端ないほど上がりそうだけれどよ、いかんせん重いよな。」

ミレーユ「確かに金は鉛よりも重いし、非常に柔らかい金属と聞いているから、武器としては不向きでしょうし。」

バーバラ「うーーん、メタい発言ね。それを気にしちゃいけないと思うけれど。」

(※金の密度は約19.3g/cm3で、全金属中5番目の重さです。ちなみに重い金属の代名詞となっている鉛は11.34g/cm3です。)

「とにかく手に入れたのはいいけれど、町に戻らなければ意味が無いから、油断は禁物だ。気をつけよう。」

 レックはそう言うと、来た道を引き返すことにした。

 しかし、振り返った彼らの前に広がっていた光景は、まさに「絶望」と言えるものだった。

「何よこれ!あたしこんなところでやられたくない!」

「僕だってそうさ。ミイラの餌食になんてなりたくないよ!」

「とにかくここは薬草を惜しまずに使いましょう。」

「俺は黄金のツメでこいつらをなぎ倒すまでだ!」

 バーバラ、レック、ミレーユ、ハッサンは敵の集団に挑んでいった。

 しかし、呪文の使えない女性2人は空気に近い存在になってしまい、男性2人の攻撃力だけが頼りの状態だった。

 しかも、倒しても倒しても次々と敵が現れるため、なかなか前進出来ない状況になった。

「これじゃきりがねえな。黄金のツメの攻撃力を試している場合じゃねえぜ!」

 最初は倒す気満々だったハッサンも次第に戦意を喪失してしまい、ついに4人は全逃げを選択するようになった。

 そうしているうちに持ってきた薬草も段々減っていき、ついに底を尽きそうな状況になった。

レック「どうする?その黄金のツメをあきらめる?」

ハッサン「いや、あきらめたくはねえぜ。意地でも持ち帰ってやる!」

ミレーユ「でもそれって結局お宝泥棒なんじゃない?」

バーバラ「そんなのどうだっていいから早く外に出たい!」

 彼らは今まで経験したことも無いような恐怖を感じながら、歩みを進めていった。

 その道のりは行きと同じ長さだったが、今の4人には何倍、いや、何十倍にも長く感じられた。

 

 やがて地上に出るための階段が近づいてくると、彼らはもう大丈夫とばかりにほっとした。

 しかし次の瞬間、階段から大勢のモンスターがおりてきて、道をふさいでしまった。

 すでに後ろにもモンスターがいるため、挟み撃ちになったレック達は、とうとう万事休すの状態になった。

(もはやこれまでか…。)

 ハッサンは悔しそうに顔をしかめ、ミレーユとバーバラは命ごいを始めた。

 すると、レックは開き直ったのか、突然モンスター達と交渉を始めた。

「もし、ここを通してくれるのであれば、世界の半分を君達にあげます。どうでしょう?通してくれますか?」

 その問いかけに対し、他の3人はそんなことを言って何になるのと言いたげだったが、何と相手が「はい」を選択したため、戦闘が中断になった。

(しめた!)

 レックはその隙を逃さず、前方に逃げ出した。

 すると、他の3人も一斉に逃げ出し、前方のモンスターの間をすり抜けて一目散に階段にたどり着いた。

 もし今度エンカウントしたら全滅を覚悟しなければならない状況だったため、彼らは極限状態の中、祈るような心境で走り抜けていった。

ミレーユ「ハア…、ハア…。どうにか地上に出られたわね…。」

ハッサン「本当に冗談抜きで死ぬかと思ったぜ。」

レック「とにかくバーバラ。早くルーラを!」

「えっと…、ル…、ルーラ!」

 すでにフラフラで今にも倒れそうな状態になっていた彼女は、最後の力を振り絞るように呪文を唱えた。

 4人の体は一旦宙に浮いたが、すぐに効果を失い、地上に降りてしまった。

 さらに彼女は酸欠状態になったのか、その場にうずくまってしまった。

 一方のレックは息を切らしている影響で言葉を噛んでしまい、呪文が発動しなかった。

「こうなったら、私が。」

 ミレーユが代わりにキメラの翼を放り投げると今度は成功し、4人は追手がピラミッドの外に出てきたのを見ながら、間一髪で緊急脱出をしていった。

 

 一行がたどり着いた場所はアリアハンの町の前だった。

 HPは全員ギリギリの状況だったが幸いMPは豊富に残っていたため、ミレーユはベホイミを4回唱えて傷を回復させた。

「あたし達、このまま黄金のツメを持ち歩いて大丈夫なのかしらね。」

「そうね。もしモンスターをおびき寄せる効果が持続したらと思うと…。」

「僕としても、母さんをはじめ、一般の人達に迷惑はかけられないな。」

 やっと立ち上がれる状態になったバーバラとミレーユの発言を受けて、レックも不安を隠せなくなった。

「じゃあ、俺は一人で道具屋に行き、これを売って来るぜ。」

 ハッサンはみんなを置いて町の中に入っていった。

 残った3人はモンスターがやってきた時に備えて入口で待つことにした。

 

 ハッサンは10分後にみんなのところに戻ってきた。

レック「どうだった?」

バーバラ「ねえねえ、いくらで売れたの?」

ミレーユ「少なくとも10,000ゴールドにはなると思うんだけれど…。」

「実は…。」

(※売値がいくらだったのかについては、読者の想像にお任せします。)

レック「えっ?思ったよりも安いね。」

「ああ…。だが、交渉相手がかわいいふりして割とやる感じのちゃんねーじゃ仕方ねえ。その値段で譲ってやることにしたぜ。」

 ハッサンは未だにピラミッドでの精神的ショックから立ち直れずにいたが、因縁のアイテムを手放したこともあって、どこかほっとしたような雰囲気を漂わせていた。

 他の3人もその気持ちは十分に理解出来たため、彼を責めることはしなかった。

 気持ちを落ち着かせた後、彼らは許可を得た上で魔法のカギを片手にアリアハンの城をまわり、ルーンスタッフとごうけつの腕輪を手に入れた。

「わーい!これであたしの攻撃力が上がるわ!」

「俺も通常攻撃でさらに活躍出来そうだぜ!」

 これまで攻撃力の低さに悩まされていたバーバラはとっておきの切り札を手に入れることが出来、さらにハッサンは攻撃力がレックを上回ったため、大喜びだった。

 

 翌日。ロマリア経由でポルトガに向かっていった彼らは、2度とピラミッドに足を踏み入れることはなかった。

(もうあんなところはこりごりだ。)

(ぜってーに戻ってこねーからな!)

 レックとハッサンはその場所に心から嫌悪感を持っていた。

 それはミレーユとバーバラも同じで、彼女達はピラミッドという言葉自体にトラウマを抱えていた。

 

 一方、アモス、テリー、チャモロ、ターニアは黄金のツメを持った状態でピラミッドにやってきて、穴掘りと並行しながらわらいぶくろとの戦闘を繰り返した。

「これは本当に便利なアイテムですね。所持して戦うだけで懐がウハウハです。」

「それにわらいぶくろがスタミナの種を落とすおかげで、HPも上げていけますね。」

「手に入れた時はそれなりの出費でしたが、もう十分お釣りが来ていますね。」

「これもターニアが巧みな話術で、あのゴリマッチョから安く値切ってくれたおかげだな。」

 アモス、ターニア、チャモロ、テリーは笑いが止まらない状況だった。

「それじゃ、今日の稼ぎはここまでにしましょう。そして装備を更新していきましょう。」

 3人と比べてHPなどの能力が低いターニアは戦闘で疲れきっていたものの、その表情はイキイキとしていた。

 

 後日。すでに大金を持っている彼らは、ホビットのノルドに頼んで、一緒にノアニールの近くにあるエルフの隠れ里に行ってもらえないか、お願いをした。

「ふむ。ただでは嫌じゃ。わしの装備を更新してくれたら行っても良いぞ。」

「分かったぜ。あんたに最強装備を恵んでやる。」

「では、早速武器と防具の店に行きましょう。」

 テリーとターニアは迷わず彼の提案を受け入れた。

「ふむ。それはありがたい。ではついていくことにしよう。」

 ノルドが仲間に加わると一行は洞くつの外に出ていき、キメラの翼で飛び立っていった。

 

 一気に装備が充実したことですっかり気を良くした彼は、隠れ里の道具屋に行った。

 そして、そこで売られているアイテムと金額を紙に書き留めた上で、外で待機している4人に合流した。

「何と!まさかあの祈りの指輪が店売りされているとは!」

「さらにラリホーの効果がある眠りのつえも欲しいですね。」

「もっと言えば、天使のローブも役に立ちそうですね。」

 アモス、チャモロ、ターニアは一覧表を見た途端、思わぬ品ぞろえにビックリしながらも、大喜びだった。

「じゃあ、こんな感じで買ってきてもらおうじゃねえか。」

 テリーは眠りのつえと天使のローブを一つずつ買い、余ったお金で祈りの指輪を買えるだけ買うことを提案した。

「そうなると、指輪はこれだけ買えることになりますね。分かりました。」

 ノルドは提案を受け入れると、再び隠れ里に向かっていった。

 うわさによれば、彼らはその後も定期的にピラミッドにカムバックしては、わらいぶくろ狩りや穴掘りを繰り返したため、結果的にバランスぶっ壊れの旅になったそうな…。

 




 作者の地球の星です。最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
 この度はキャラ名がDQⅥで世界がDQⅢの作品を投稿しました。
 この形式になったきっかけはYou TubeでDQⅢの動画を見ていて、とある作品のキャラ名を入力しているプレイ動画を見たことでした。
 その動画を繰り返し見ているうちに、自分もこれを参考にしてDQⅢの作品を書いてみたいと思うようになり、執筆に踏み切りました。
 以前のDQⅥ作品では主人公の名前がリベラでしたが、2作品にわたって使った結果、十分に満足し、この名前に思い残すことがなくなったため、今作ではもう一つの候補だったレックを採用しました。

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