本編には吐瀉物を描写するシーンがあります。苦手な方は回れ右でカエルパンチよろ
「あ、わるーい!」
学校のトイレで用を足していたら軽い声と裏腹に、結構な一撃が頭部に伝わった
突然の痛みに、なにしやがんだ!と怒鳴りつけたくなるが、それ以上の衝撃が目の前のガラスに映っていた
見知った地味で大人しめな顔、なのだが
俺…ゲロ道じゃん。はじめの一歩のゲロ道じゃん。と気付いた
漫画というフィクションの中にいる人物に成っていた俺は、頭の痛みよりも酷い衝撃に愕然としていた
「んだよーゲロ道、シカトすんのか!?」
「うごっ!」
今度は背中を蹴られた
苛立った一撃は、さっきのより少しだけ痛い
だが…少しだけ
オレはゲロ道に成る前は空手の黒帯だった。初段程度の腕前だけどほぼ毎週、元自衛隊とか社会人の大人とバチバチに組手をしてきた経験がある
今の身なりや記憶から察するにゲロ道は現在、中学生のお年頃で物語の主人公の存在すら知らない……筈
なので毎日毎日、ゲロ道を…オレをイジメてくれやがってた3人組とトイレにいる状況
ふむ…ありがたいね
ゲロ道に成ったオレは一番に、何がしたいか?と問われれば
頭部と背中に貰ったモノを返す事だよなぁ!?
「あん?」
小さくても可愛らしい息子をキチンと中学生の制服にしまい、手を洗ったオレはソイツに正面から向き直った
「とりあえずよ、貰ったモノは返すわ」
言ったオレは丹田に力を溜めて腹を据わらせる
まず身長差があるのでオレは腕を鞭のようにしならせた掌打を鳩尾の下…の下。ソイツの愚息にスパーンと打ち込んだ
するとあら不思議
「ッッッ!!!!」
汚物を抑えて蹲ろうとするソイツ、だがオレは完全に蹲る前に戻した右腕の肘鉄をコメカミにぶち込んでやった
全体重そして全身のバネを使った肘鉄だ。幾ら格闘技素人のゲロ道の体でも結構な威力があったろう
イジメの主犯ダイちゃんは真横に吹っ飛んで、大便器に頭から突っ込んだ
ゲロ道であるオレはその便器に頭から突っ込まされた記憶があるから、そこに入るとはこれも日頃の行いの悪さ、因果応報かねぇ
「へへへ、ざまぁねぇや」
「ダイちゃん!」
「ダイチャン!?てめぇゲロみ」
ああ思い出した、コイツらにも毎日色々とやられてましたっけか?
クスクス笑っているとダイちゃんの腰巾着2人組、ヨーヘーとウチダの事を思い出し、日頃のお返しを即座に実行
前蹴りをヨーヘーの腹へ、腹の表面に留めるのでなく背中に抜けるように思いっっっきり蹴り込むと、ヨーヘーは口からキラキラを噴出してダウン
「おいおい汚ぇな」
オレとウチダはキラキラと流れ出るモノにドン引き、なんとなく闘う気力も無くしてしまう
「て、てめぇ、やん、のかよ!?」
「あ?この状況でテメーをやったらオレまで吐きそ……タンマ、気分が悪くなってきたから今回は見逃してやんぜ。あばよ!」
部屋中に充満し始めたキラキラの匂い、それを嫌がったオレは即座にトイレから出ると扉を体で蓋をする
「ウ~チ~ダ~、お前はそこで反省して詫びをいれるこったな!
ギャハハハハハハハ!」
ドンドンと扉を叩く衝撃が懇願の声に変わり、懇願がキラキラを噴出する音に変わるとオレは漸く気分が晴れる
「あー、スッキリした♪
……あら?」
気付くと廊下には人山が出来ており、中で何があったのか知りたがる連中で溢れていた
「えー、とりまこのトイレはダイちゃんとヨーヘーとウチダの影響により絶賛使用禁止でーす」
そう言うと気分爽快なオレは無意識で自分のクラスに向かい、席に座ろうとする
「あん?なんだこりゃ」
机の上には花を入れた花瓶、そして油性ペンで賑やかにされた机と椅子。机の中にはゴミが溢れてと散々な有様だったのだ
「ふーん」
だがオレの空手根性はそんなもん気にしない
書いた主は現在トイレでキラキラ中、つまり机と椅子は3セットが余ってる状況だ
さて、どれにしようかな?
「よっこらせ」
1番綺麗な机と椅子を、誠に遺憾ながら賑やかに彩ってくれたソレと交換してやる
主犯の机と椅子には【~~チーム最強】【天下無敵】といった特殊言語が彫り込まれており、触るのも躊躇われたので机の中にゴミを入れるだけにしてやる
案外几帳面なウチダの机と椅子に決めて、動かし終えたオレはどかっと椅子に座る
「ちょっとアンタ!なに勝手やってんだよ!」
するとダイちゃんファミリーの便器女(ガン黒)が詰め寄ってくる
(おいおい、今さらかよ)
全部終わったら詰め寄ってくるとか、マジ頭悪いなコイツ
名前も知らないガン黒便器女(意外と美人)はキャンキャン吠えており、その後ろで仲間のドム女とギャン女(好きな人はスマン)も詰め寄ってくる
「止めるなら途中で止めたら?あとな話かけんなオレは顔が良くても、オメーみたいに下品な女が嫌いなんだ」
「ハァ!?っざけんなよ!ゲロ道!」
平手打ちが飛んで来たが、オレはそれをワザと体を必要以上に硬直させ、当たる位置を頬から頬骨にズラして受けてやった
「いっ、た!」
掌を抑えて苦悶の表情を浮かべる下品女。そそる
「おいおいおい、張られたのはオレなんぜ?
なんでテメーが痛がってんだよ?」
おー痛ぇ痛ぇと大袈裟に痛がるオレの顔には若干の含み笑いが混じっています
その後はダイちゃんを呼びに言ったギャンが奴等の惨状を知ってオレに慄き、リーダーに報告すると顔色が黒から茶色に変わる下品女は何か捨て台詞を吐いて席に戻っていった
色々あったが学校生活もこれで楽になる。これで後顧の憂いは無くなった。そして放課後までオレは計画を立てる
今日はスポーツショップでランニングシューズを探す事、そして体力造りのランニングとストレッチと筋トレと拳造りと始めるぞと
「ボクシングは主人公が日本チャンプになってから、それまでは体造りじゃい!」
オレは山田直道、主人公の幕ノ内一歩の後輩として生まれ変わった男。それで充分さ
放課後になるとオレはクラスの窓から、夕日に紙飛行機を飛ばしてそう宣言したのであった
第一部、完
ゲロ道の主人公の作品が無いから作ってみました
他の作品も作ってありますがそちらは筆を置いておりますのでスイマセン