『本編完結』「魔族でも美味しく酒が飲める魔法」   作:照喜名 是空

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ギャグってこんな感じでいいんですかねえ……?笑っていただければ幸いです。


カス魔族による絶対に笑ってはいけない葬式:実践編

 はいそういうことで始まりました。絶対に笑ってはいけない葬式inヴァイゼ。

 まずドッキリの最初はグリュックのおっさんによるマハトの連れ出しです。

 マハトはグリュックのおっさんと休日はよくレジャーに行くそうです。

 渓流釣りとか兎狩りとか遠乗りですね。二人しておっさんの趣味にハマっててほほえましいですね。

 ハイ、帰宅と同時にスタート。

 

「これは何の騒ぎだ?」

「グリュック様、実は……」

 

 はい、いつもお嫁さん(仮)のいる酒場で一杯やってから帰るのがおきまりのコースです。

 このコースに違和感を持たせないため、半年前からこのコースにしてます。

 その間グリュックのおっさんがさんざんもう結婚しちゃえよと遠回しに言ってますがヤツは聞いてません。

 許せませんね。今日が年貢の納め時です。

 

「マハト、どうか落ちついて聞いて欲しい……あの子が、死んだ……」

「今何と?」

「あの子が、死んだんだ。階段から落ちたところを怪鳥にさらわれて、地面に叩きつけられて……なんということだ……」

 

 あっ、マハトくん魚籠を落しましたね。きっと彼女に料理してもらうつもりだったんでしょうね。かわいいね。

 

「嘘だ……」

「つらいだろうが、とにかく葬式にだけは出たまえ……彼女もその方がきっと喜ぶ。何の慰めにもならないが」

「……わかりました。喪服を……」

「そのままで構わん。とにかく、顔だけでも見てやることだ。そうでなくば君も彼女の死を受け入れられまい」

「わかり、ました……」

 

 アタシら服なんかいつでも魔力で作れる事を忘れてますね。だいぶうつむいて暗い顔です。

 おっ、泣くか? あー泣かない! 続行! いや逆にここで終わってもつまんなかったからよかったです。

 

 ○

 

 はい、葬儀会場ですね。ハイターが厳粛に祈りの言葉を唱えています。

 親戚一同勢揃いです。うまくいけばどうせ結婚式ですからね。親戚からこの街でできたマハトの友人まで全員呼びました。

 みんな快く協力してくれましたよ。全員じれったく思ってたようですね。そういう所だぞお前。

 

「えー、皆さん。突然のことですがよくお集まりくださいました。娘も……ううっ、娘も喜んでいる事でしょう……なお、当家の宗派は少し特殊です。よってなじみのない作法などありますが、どうか笑わずに、絶対に笑わずに行って下さい……詳しくは僧侶ハイター様から。かの勇者パーティーであるにも関わらず快く……ううっ、快く受けて下さいました。『正月飾りを出す魔法』で……」

 

(いやおかしいでしょ。なんでそんなおめでたい魔法で引き受けてんのよ)

 あー、アウラは台本を見ただけで笑い転げたので、人形で参列です。こいつのケツが腫れ上がらない配慮です。

 なお、花嫁のニセモノの死体もコイツの人形です。マハトをして見破れない出来なんですからすごいですよね。

 

「ご紹介にあずかりました、ハイターです。この度はご愁傷様です。当家の宗派はニャホニャホタマクロー宗です。このような厳粛な場面で笑う方はいませんでしょう。ですが、何かのトラブルはつきものです。思わぬ事で笑ってしまう……そんな罪悪感を薄めるために笑った方にはちょっとした罰があります。ケツにハイキックです。ご安心下さい。プロの武道僧の方が怪我をしないようにやってくださいますから。紹介します。僧侶ゴリラさんです」

「僧侶ゴリラです」

 

(全員真顔で何言ってんのよこれ……マハトもちょっとは怪しみなさいよ! そんな宗派あるわけないじゃない)

 

「うっ、ゴホッ! ガホッ! うくく……」

「今誰か笑ったか?」

「……俺だ。すまない名前を笑うなど」

「かまわない。だがケツキックだ。立て」

「ああ」

 

 アイゼンアウト-! 自己申告です! はいケツキック! 鋼鉄のような音がしましたね。何事もなく座る姿があまりにもシュールですね。

 

「……と、このようになります。ご注意を」

 

 しばらくは何事もなく聖句の祈りですね。はい次。第一の罠、献花です。

 

「では、故人の好きだった花を棺に……今回は特別に勇者パーティーの魔法使いフリーレンさんが『花を咲かせる魔法』で作っていただきました。この花は大変めずらしく、以前南部に旅をされた故人が旅行先の思い出として愛されていた花たちです……」

「come on boys」

 

 はいサングラスしたフリーレンさんがグッドルッキングガイな半裸の男達と共に登場です。

 花を両手に抱えたグッドルッキングガイが素敵ですね。まあアウラの人形なんですが。

 

「ではまず……ジャガランダ。これはお母様に」

「はい……」

 

 ここまではまあ紫で普通の花ですね。

 

「これは極楽鳥花……どうぞ、お父様。天国に居る娘様に……」

 

 えー、これはオレンジと黄色がまぶしい鳥みたいな形したやつですね。もうド派手です。

 葬式に使う花じゃないですね。

 

「葉牡丹です……」

 

(あれブロッコリーのデカいヤツでしょ。明らかに野菜じゃない)

 そもそも葉牡丹自体献花では絶対に出てこないヤツですね。

 

「松です」

「竹です」

「梅です」

 

(梅干しなんだけどあれ)

 もうこの時点で花ですらありませんね。異国の正月飾りみたいになってますね。

 

「どうぞマハト様、リボンです……」

「ああ……」

 

 はい完成。新年祭りの飾りみたいになってますね。棺が。

 

「ではフリーレン、残りの花を……」

「yap」

 

 はい、花ザバー。棺が丼飯みたいになってます。おっとマハト首をかしげた! 気づいたか? 気づいてませんね。続行。

 フリーレンさんにはどっかの滅びた国の方言を使ってもらってます。明らかにキャラが違うんですけどね。マハトくんこれもスルー。

 

「えー、献花はここまでで……次は故人のお好きな歌と踊りにより見送りたいと思います。フリーレン、お願いします」

「ok,let's dance boys!」

 

 はいここで『花火を出す魔法』でどかんと足下から花火が上がってオンステージ。

 超イケイケで陽気なBGMと共にフリーレンさんがキレッキレのセクシーダンスで踊ります。

 まあこれなんかヴァイゼで潜伏してたのをキャプチャーしたドラートくんの『魔法糸の魔法』で上から操ってもらってんですけどね。

 君がメチャクチャ必要な魔法もってて本当によかったよ。

 

「うっ……!」

 

 はいフリーレンが頭をぐるんぐるん振ってヒンメルの顔にツインテールをバチンバチンはたきましたね。

 この時点でヒンメルはセクシーさで気絶しました。ですがもちろんこれも想定内です。

 

「ヒンメル!」

 

 ハイターが慌てて脈を取る演技をします。もちろん本当にヤバかったら治療魔法かける手はずです。

 

「なんということだ……!」

「残念だが手遅れだ。デスアクメ死だな」

「うう、ヒンメル……」

「美しさは罪だな……」

「it's too easy」

 

 フリーレンが何事もなかったかのように髪をかき上げて着席しますね。

 

「誰か棺桶を! 一つくらい余っているのがあるはずだ!」

 

 クラフトさんがマジ顔で言うからこんなアホな展開でもなんとか説得できてますね。マハトの猜疑心を。

 

「しかし、アレは特注品で……」

 

 これは地元の司祭さんと墓掘り人さんですね。もちろんちゃんと用意してあります。

 フリーレン痛棺桶です。側面には半裸のフリーレンのメチャクチャ美化したイラストが故人を抱きしめるようなデザインです。

 そして威圧的な書体で片側に『葬送のフリーレン』もう片側に『強火限界ヒンフリ絶対原理主義』と書いてあります。

 アタシが書道しました。力作ですね。力強く書けましたよ。無駄に。

 

(なんであつらえたようなもんがあらかじめあんのよ! しかもなんで何事もなかったかのように故人の横にヒンメルの棺を置くのよ! 無理! 無理だわ! あははは!」

「うっ、失礼……うぐぐぐ、ぶはっ、はははは……!」

 

 はい、ハイター、アウラ、アウトー。

 

「ハイター、立て」

「あっ、はい……痛った! これめちゃくちゃ痛いですよ! 痛った! ……失礼しました」

「隣が少しうるさい。注意しておく」

(え? 私も!? なんで!?)

 

 アウトだからだよ。クラフトさんお願いします。

 

「アウラ、立て」

(いやよちょっと! 痛った! これマジで痛いじゃない! 痛った~!)

 

 お疲れ様ですクラフトさん。

 っていうかいい加減に気づけよマハト……ここまでで気づかないプランはありましたが、使いたくなかったです。

 はい、お母さんどうぞ! 

 

「泣かないんですか、マハトさん。娘はあなたのことをあんなに愛してたのに……! あなたに人の心はないの!? いえ、あるのでしょうね。ただ単にあなたはバチクソ鈍感なだけで……ううっ。娘の好きな花も知らない様子で……! 娘は……ううっ!」

 

 上品なお母さんのマジ顔で言われるとウケますね。

 どうだ? 泣くか? 気づくか?! はい泣いた! 泣きました-! そろそろ終了ね! 

 

「お、俺はたった5年つきあっただけで……まだ、何も……そうだ、何も知ろうとしなかった……俺は、彼女の好意に甘えていただけだった……!!」

 

 はい、ここでもっかい花火! 花嫁登場-! 

 

「じゃあ、今から知って下さい」

「……君がなぜ!? いや、これは……もしや全部騙したのか? これを全部!?」

「はい、あなたがあまりにもはっきりしないからヒロイさんに相談に乗って貰いました」

「ヒロイ―!!」

「呼んだー?」

「やっていい冗談と悪い冗談の区別もつかないヤツだったのかお前は!」

 

 こっわ。マジギレじゃん。

 

「いや、こうでもしねえとお前自分の気持ちに気づかなかったじゃん。ほんでどうすんの? いい加減覚悟決めろよ結婚してやれ。若い女の5年の価値はアタシらの2万年分くれえなんだよ」

 

 フリーレンがサングラスを外してニマニマしてた。

 

「いい気味だね。お前にやられた腕の分はこれでチャラにしとくよ」

「お前も他人事じゃないぞ、今ヒンメルが死んだらお前絶対同じ事言ってるぞ?」

「そんなことないと思うけどな……」

「絶対に? 賭けられるか?」

「たぶん……」

「ほんじゃ確かめるけどいい? 無害な魔法だからマジで」

「うーん、まあいいよ」

「はい協力成立―。やれグラオザーム!」

「やれやれ人使いが荒いですね。しかしじれったいのも事実です。私が少しいやらしい雰囲気にしておきます」

 

 ここでアウラの人形の一つに入ってたグラオザームのエントリーだ! 

 このためにわざわざ呼んだんだよ! 大変だったよコイツをこっそり国から出すの! 大臣だもの! 

 魔法による騙しだけじゃアタシは甘いと思う。騙すなら二度騙すんだよ。

 

「おっと」

 

 ハイターがフリーレンを抱きとめてヒンメルの横に並べる。シュールな図だ……

 

「では皆様、お時間をいただきますがこれより祭壇の方をご覧下さい。彼らの見ている夢をお見せします」

「やっぱ便利だなお前の幻術」

「これも陛下のアイデアのおかげです」

 

 グラオザームの幻術を『相手が同意する』って縛りを入れたらめちゃくちゃ便利になったんだよね。

 今もこうしてモニターみたいにしてみんなで見れるし。

 

<久しぶりだねフリーレン。もう一生会えないかと思ったよ>

<老いぼれてる……! なんか、ごめんヒンメル>

<いいんだ。それでも君は会いに来てくれた。それだけでうれしいんだよ>

 

 ちなみにこの脚本は大筋はアタシが描きましたが、この設定でどう行動するかは本人達に任せてます。

 

<あの頃は何もかもが輝いて見えた。人生の最後にこんな冒険ができてよかったよ>

<ヒンメル……ううん、なんでもない。なんでもないよ>

<フリーレン。流星が始まるよ>

<うん>

<綺麗だ……>

 

 おい葬式まで進んじゃったんだけど。マジで? しょうがねえプランBだ、グラオザーム。

 

<あの子勇者様の仲間だったっていうのに……>

<薄情だねえ……10年近くもいっしょにいたのに……>

 

 はいここでヒンメルに片思いして一生を棒に振ったおばあさん登場ー。これはアタシの介入です。

 グラオザームの進化した術式でかなり自由に介入が可能になりました。

 

<返してよ! ヒンメル様を返してよ! あの人は、あなたに操を立てて、何人の娘を袖にしたか……! ずっと、ずっと貴女を待っていたのに! 50年も! 私はヒンメル様をあんなに愛していたのに、あの人が生涯愛していたのはずっと貴女だった! それなのに貴女は……貴女にとっては一夏の思い出でしかなかったの?!>

<知らなかった……私、ヒンメルがそんな風になってたなんて、知らなかった……たった10年いっしょにいただけだし……それだけで……知ろうともしなかった……! 私、ヒンメルのことも、ヒンメルの気持ちも何も知らなかった……!!>

 

 はい、泣きましたね。終了ー。グラオザームとハイター。お二人を目え覚まして。

 

「あれ? ここは……あっ、ヒロイ! お前……! お前-っ!」

「フリーレン? 泣いているのか? あれは、夢……? あっグラオザーム! そういうことか-! 本当に死んだかと思った-!」

 

 フリーレンとヒンメルが飛び起きる。フリーレンは袖で涙をぐしぐしふいている。美しいね。これ以上の芸術作品はないと思います。

 ちなみにここまで筋書き通りだ。協力者の皆さんにマジで感謝だね。

 

「ほれ見たことか。言ったじゃねえか同じ事言うぞって」

「ふざけるなっ……! 人の心に土足で入って来て……!」

 

 よし今だ! 走れアタシの口八丁! 

 

「うるせえ! いい加減にこの行遅れ共を貰ってやれこのクソボケ共が! 短命種の若いときの5年を何だと思っていやがる鈍感共があああ!! 責任取りやがれええええええ!!」

 

 思い切りデスヴォイスで言い切ってやったぜ! すっきりしたー! 

 

「っていうか男共! お前ら最強の戦士共のくせしてなあ! 男だろ一発やらせろくれえ言えねえのかこの童貞共がああああ!! 覚悟きめやがれえええ!」

 

 よし、良い感じに空気が生暖かくなってきたな! 親戚一同の皆さんがほほえましく見てるわあ。

 

「し、しかし俺では、その、子を成せないだろう。それでは彼女があまりにも」

「知ったことかあああ!! 一発も試さないで死ぬ方が絶対後悔するんだよこういうのは! やらぬ後悔よりやった後悔って言うだろうが!」

 

 よしマハトは折れたな。次はヒンメルか。

 

「だけど、僕は彼女を置いていってしまう」

「知ったことかああああ!! いつか死ぬから今を全力で生きるんだよ! アタシは今の話をしてるんだー! お前アタシのロックパレード聞いてねえのか! 聞け! 一生分の幸せをくれる一夜の思い出があればその後一人になっても生きていけるんだって歌ってただろアタシ! 未来で一人になったこいつらに残るのは傷じゃない! 支えてくれる思い出だ! わかったかぁああああ!!」

 

 久しぶりに一息でかなり喋ったよ。ぜーはー言ってトドメだ! 

 

「はっきり言葉に出して今! 求婚しろこのクソ童貞どもがあああ! 貴様らももにょもにょしてないでハッキリしろこの行遅れどもおおお!」

 

 痛った! クラフトさんのケツキックがアタシのケツにぶちこまれたよ。

 

「そこまでだヒロイ。彼らももう覚悟が決まった様子だ」

「ウス……」

 

 ハイターが苦笑して4人分の指輪を持ってきた。『満開の鏡蓮華』の指輪だ。結婚指輪にはこれしかねえだろ。

 

「ヒンメル、マハト。どうぞ、彼女たちに」

「ハイター……」

「ヒンメル。俺はいつも戦いの中で恐怖と向かい合ってきた。お前達は違った。今がその時じゃないのか? 向かい合え。でなければお前達があまりにも可哀想だ。みんなそう思ったからここまで協力してくれたんだ」

 

 アイゼン久々にめちゃくちゃ喋るじゃん……頼むよ背中を押してやってくれ! 

 

「用意はもう終わってるぞ花婿さんたちよぉ。ほれ、『0時まで服をドレスに変える魔法(サンドリヨンフィート)』。綺麗だろ。この娘達」

 

 アタシはさっと魔法でフリーレンとマハトの彼女に花嫁衣装を着せてやる。

 これのデザイン、プロも呼んでめちゃくちゃ時間かかったんだよ? グラオザームがささっと描いたのが採用されたけど。

 まあ、美しいよ。

 

 マハトがまず先に指輪を取って跪き、指輪を黄金化させてから花嫁の薬指にはめた。

 

「結婚してくれるか」

「喜んで」

 

 ヒンメルも同じくさっとかがんでフリーレンの薬指に指輪を。

 

「フリーレン、僕と結婚して欲しい」

「そうだね、ヒンメルとなら。いいよ、結婚しようヒンメル」

 

 そらもう大喝采よ。

 そこからの披露宴はもう筆舌に尽くしがたいね。アタシはたんまり呑んだ。

 ちょっとしたハプニングはこの後、ブーケトスだった。

 

「ヘイ、ヒロイ! パス!」

「へ? あれ?」

 

 なんかヒンメルPTとマハトと親戚一同、グリュックの所を回って二つのブーケがアタシの所に来た。

 

「あら、お姉様ブーケはお姉様の所みたいね」

「あー……まあ、おめでたいもんだしね。ありがとう。でもアタシ大王になっちゃったしなあ」

 

 そこをクラフトさんにむんずと肩をつかまれた。

 

「だからこそ今のうちに身を固めておけ。というかいつまで国に帰らないつもりだ?」

「えーと……魔王が……あっ、討伐されてるわ……あっ、はい、そうすね……10年以内には帰ります」

 

 クラフトさんのマジ説教顔と結婚式で良い酒呑みまくってたせいでアタシはついそう答えてしまった。

 

「帰ったらお見合いですね20年以内には結婚式挙げないとマズいですよ。今の時点で2万件以上申し込みがあって大変なんですよ」

 

 ハメやがったなグラオザーム! ニヤニヤしやがって! 

 

「いやでもアタシはレズだし……」

「ダウトですね。こないだ私のエロ本から男メインのやつ借りてましたよね?」

「リーニエ!? お前まで!? これひょっとしてアタシも逆ドッキリ仕掛けられてた!?」

 

 リーニエのエロ本えっぐいの多いしなんかリーニエはエロ本コレクションしてるんだよね……

 フォルトではエロ本の規制一切ないからね。三人でよく見てたりしてた。

 鬼独特のエロの表現あるんだよね……角にレース飾りとかさ……

 

「ちなみにこの件はクヴァールさんも了承済みじゃない。っていうかクヴァールがいい加減にお姉様も身を固めろってめちゃくちゃ愚痴の手紙がね……」

「いや、その……ええ……?」

「あなたが先ほど言った言葉は全てあなたにも当てはまりますよ。断る言い訳はありませんね。一度くらいはお見合いするだけしてみてはいかがです?」

 

 ハイター!? お前も? 

 

「あー……わかった! わかったよ! 10年以内にはフォルト帰ってお見合いするよ!」

「約束よ?」

「しゃーないなあ……あっ」

「言ったわねお姉様! はい協力成立よね! 『絶対に契約を履行する魔法!(アゼリューゼ・ディストーション)!』」

「あー! ……ったくしょうがねえなー。わかった! じゃあツアーにしよう! ライブツアー! とりあえず明後日からツアーの準備しよっか」

「はい決まり-! ようやくフォルトに帰れるわー!」

 

 まあ……そんなこんなで賑やかに終わったよ。

 そんなこんなで、ヒンメルたちの出発も近い夜にふとヒンメルと出会った。

 

「よう、いいのか花婿が」

「フリーレンは寝てるよ」

「そっか。ほんじゃ誤解されねえうちに帰れよ?」

「ああ、じゃあ一言だけ。ありがとう。でもこれでよかったんだろうか……君はああ言ってくれたけど、僕はやはり……」

 

 アタシは軽くチョップしてヒンメルを黙らせた。

 

「いつまでもかっこつけんてな。お前ら夫婦だろ? 夫婦に百点はねえんだとよ。病めるときも健やかな時もって言うじゃんかよ。それでも何もせず無回答0点よりましだろ」

 

 そこでタバコに火をつけて夜風に流した。

 

「……まあ、いつかフリーレンにがっかりされる時はくるだろうさ。夫婦だもの。傷つくことも。でもお前、勇者になるときこれから先傷つくのがいやです~って諦めたのか? 違うだろ。傷ついてでも進んで見えた景色はどうだった?」

 

 ヒンメルはしばし目を閉じて、感慨深そうに呟いた。

 

「……美しかった。それだけじゃないけども」

「それに、痛くなきゃ覚えないこともある。あのクソボケエルフのこれからを心配するなら、箱に入れられた小綺麗な鉢植えみたいに扱うな。アレは風にそよぐ野の花だろ」

「……かなわないなあ」

 

 ヒンメルは頭を掻いて笑った。ああ、この調子なら大丈夫そうだな。

 

「あたぼうよ。年の功だぜ。幸せになれよお二人さん」

「言われなくとも。それから、君にも幸せが来る事を祈っている」

「……そうだな」

 

 うわー……アタシもとうとう年貢の納め時かあ……うへえ……

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