『本編完結』「魔族でも美味しく酒が飲める魔法」   作:照喜名 是空

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カス魔族でバンド組もっか

 三ヶ月後、アウラが自宅に戻るためにアタシ達は魔族の街にやってきた。

 

「お姉様、お姉様はいったん街の手前で待っててちょうだい」

「なんで?」

「いや普通にお姉様の魔王軍での扱いはヤバいのよ。それこそ賞金首制度を作ろうかってくらいには……」

「マジでー? いやーアタシもついに指名手配(デビュー)かー」

「笑い事じゃないわよ! とにかく配下とお金と荷物を持ってどこかに逃げなきゃすぐに殺されるわよ」

「ふーん……?」

「前に言ったじゃない! 今の七崩賢はマジにヤバいって。シュラハトはきっとお姉様と相性が悪いわ。魔王様もね」

「うん、それについてもちょっと考えてる事があってさー。まあいいや。残ってるだけ部下をつれてきて」

「簡単に言ってくれるじゃない……?」

 

 アウラは悪態をついてタバコを吸いながら街へと入っていった。

 その間に私は考えていた。

 魔王のこと、全知のシュラハトの事を。

 あれはマズい。魔族全体の存続とか魔族が優位な共存を考えているならたぶん私の事を殺しに来る。

 手の内を全部読まれてしまうのもメチャクチャまずい。

 アタシの戦い方は基本だまし討ちだからだ。

 

「けど、やりようがないわけじゃないんだよね……そのためにもいっちょ本気でやったろうじゃない。歌え、スーパーウルトラ酒呑童子EX!」

 

 アタシはバチを持ってベースを弾き始めた。無心で、本気で。魔力も使って。

 新しい魔法を作るために。

 

「これか……? いや足りない。コレじゃたりない。シュラハトを倒す魔法には届かない」

 

 ヤクをキメつつ。

 

「曲は完成度7割ってところか……やっぱギターとドラムとサイドボーカルが必要だし……うーん……」

 

 100年くらい適当に弾いてた音楽にマジで向き合う。

 

「声か……? 声量は足りてる。質か?」

 

 何時間だろう。何日だっただろう。覚えていない。

 気がつけば魔族の女の子がサイドボーカルに入ってた。

 たぶんアウラの部下だろう。アウラ本人はタバコを取り落として涙を流しながら聞き入っている。

 

「いいね! そこの子! もっと声は張れる? ちょい高めで!」

「はい、やってみます」

「お、お姉様これは……?」

「アタシの曲どうだった?」

「なんでか泣けるじゃない……」

「うーん、まだその程度かあ……」

「お姉様なんでこんなことを? いやお姉様がイカレた行動をするのはいつものことだけど」

 

 アウラは涙を拭きながら尋ねた。

 

「うん、シュラハト対策にさ……バンド組もっか!」

「ええ……?」

 

 アウラは「まだ本格的に探してないけどたぶん財布がないじゃない」の顔をしていた。

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