陰の協力者になりたくて!   作:ただの厨二病A

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第9話A「偽りの関係」

音叉を鳴らす。

 

すると、図面が反応してアーティファクトが起動した。

「できました!」

「よし、後は強欲の瞳に近づけるだけだな。」

 

「確か、ここだったよな。」

本棚にある本の1冊を奥に押すと、扉のようにして開き、隠し通路が現れた。

(これに関しては、事前に確認とか出来ないから、スイッチが分かりやすくて助かった。)

「大講堂に向かうとするか。」

「はい!」

 

シェリーが深呼吸する。

(母親が死んだ時の事を思い出してるのか。)

 

「お義父さまは、本当の家族のように愛を注いでくれました。」

「お母さまの残した、研究の支援まで、」

 

「とりあえず、色々と覚悟を決めておけ。この先の予想なんて、できないだろう?」

「はい。なんか、ありがとうございます。」

「礼はもう少し後だ。アーティファクトを持って、行くぞ。」

「あ、はい。」

 

 

 

(大講堂上の通路に着いたから、エリアクロークで俺の姿を下からは見えないようにしておこう。)

 

痩せ騎士が懐から強欲の瞳を取り出し、手のひらにのせた。

(シェリーには気づいたか。)

「あれか、」

シェリーがアーティファクトを起動し、強欲の瞳に向けて投げた。

 

すると、制御装置が光って魔力が吸われなくなった。

 

そして、ローズが隙だらけの教団員の一人に向かって駆け出し、剣を奪った。

「魔力は解放された!反撃の時だ!」

 

その掛け声を聞いた生徒全員が一斉に反撃に出始めた。

「剣を奪え!」

「囲め!」

「退路確保!」

 

「さて、生徒たちの反撃が始まって分かりづらくはなったが、ここには襲撃犯と生徒しかいないようだな。」

「お義父さまはどこに、」

「ならば、その場所へと向かうとしよう。」

その時、大講堂の天井のガラスが割られ、シャドウが降ってきた。

(せっかくだし、生でこの光景を見るとするか。)

 

2階に居た教団員が斬り捨てられ、シャドウガーデンが並んだ。

「我らはシャドウガーデン。」

「「陰に潜み、陰を狩る者」」

そして、シャドウの合図と共に教団員に攻撃開始した。

 

「シャドウガーデン?」

「大丈夫だ。彼らが生徒に危害を加えることはない。」

「それよりも、ここは危ない。急ぐぞ。」

「は、はい。」

 

 

 

(遅れることなくルスランの部屋についたな。)

「(待て)」

「?」

部屋に入る手前の、中の会話が聞こえる距離にある階段でシェリーを止めた。

「そんな恰好で何してるんですか?ルスラン・バーネット副学園長。」

「シド・カゲノー君。」

 

「なぜ分かった。」

「見れば分かります。」

(俺がスライムクロークでかなりの変装しててもバレるしな。)

「なるほど、歩き方かあるいは視線か。良い目をしているねぇ。」

 

「僕も参考までに聞いても良いですか?」

「何かね?」

「なぜこんなことを?あなたはこんなことに興味があるとは見えなかった。」

「なぜか。かつて私は剣の道で頂点に立った。君が生まれる前の話だ。」

「ブシン祭で優勝したそうですね。」

「ハッハッハッハッ、ブシン祭など、本当の頂点はずっと先にある。君に言っても分からないだろうがね。」

 

「だが頂点に立ってすぐ病にかかってね。苦労して上り詰めた栄光は一瞬で終わったよ。それから私は病を治すすべを探し求め、あるアーティファクトに可能性を見出した。」

「長くなりそうですか?」

「少しね。」

「その研究者がシェリーの母だ。賢すぎて、学界から嫌われた不幸な女。私は彼女を支援し、彼女は研究に没頭する。良い関係だったよ。そして私は探し求めたアーティファクトに出会った。」

「だがね。あの愚かな女は、強欲の瞳は危険だと言って、こともあろうに国に管理してもらおうなどと言い出した。」

「体の先から中心へと突いてゆき、最後は、心臓を突き刺し、ねじ切った!」

 

「そんな…」

(母の遺体の傷と合致する供述。受け入れがたい真実が突き付けられたわけだ。)

 

「フッフッフッフッフッ、シェリーは何も知らず、何も疑わず、母親の研究を引き継いでくれた。私が仇だとも知らずにね。かわいいかわいい愚かな娘だ。」

シェリーが階段を駆け上がって部屋に向かった。

 

「お義父さま!そんな、そんなの嘘ですよね⁈」

(こういう時、人はまず否定から入ると。)

 

「シェリー…」

(さぁ、どちらの返答をするんだ?ルスラン・バーネット、)

「本当だとも。感謝しているよ。強欲の瞳と、その制御装置を完成させてくれて。これで私は再び頂点に返り咲くことができる。」

「感謝の証として、楽に逝かせてあげよう。愚かな母親とは違ってね。」

その瞬間、ルスランが剣を手に取ってシェリーに斬りかかる

「ッ!」

 

が、スライムスーツに着替えたナイトによって防がれ、後ろに飛んで距離をとった。

(声をいつもの感じに戻してっと)

「シェリーは用済みということか。これで俺は動きやすくなった訳だ。」

「⁈」

「貴様、何者だ!?」

「我が名はナイト。」

「っとその前に、邪魔者を消しておくとしよう。」

シャドウに目配せして、シドを斬ってその勢いで窓から落とした。

「シド君!」

 

隙を見てルスランがナイトに斬りかかろうとするが、

何か、とてつもない複数の悪寒を感じ、動きを止めた。

 

「何をしている?」

「貴様は、シャドウ!」

いつの間にか、部屋のソファーにシャドウが座っていた。

(ちっ、せっかくスライムクロークさせた針で背中にトラップとして用意していたというのに、斬りかかってこなかったか。)

「さて、こちらは揃ったぞ。そちらも全力を使ったらどうだ?」

 

「私も剣に生きた人間だ、向かい合えば大抵のことは分かる。今の私では、一対一でさえ分が悪い事もな。そちらの言う通り、最初から全力で行かせてもらおう。」

「強欲の瞳の真価はその制御装置と2つ合わせて発揮される物だ、このようにな!」

2つのアーティファクトが合体し、ルスランに取り込まれた。

 

「今こそ私は生まれ変わる!」

「素晴らしい、素晴らしいぞ!力が戻る、病が癒える、分かるか⁉︎この荒れ狂う魔力が!人間を遥かに超えた力が!」

 

「まずは貴様で試すとしよう!」

ルスランがナイトに斬りかかる。

(あ、俺に来る感じ?)

それをナイトは、スライムの盾で防いだ。

 

「良く防いだ!ならばこれはどうだ!」

(スライムを剣と盾にして戦うのは、初めてシャドウに接触した時に、敵対的だった時に備えて磨いたんだ。近接戦闘の防御において、遅れをとるわけにはいかない。)

ナイトは左手に持った盾を随時変形させる事で、全方位からの攻撃を防いだ。

 

「面白い盾だ、私も本気を出すとしよう。」

「私に本気を出させたこと、あの世で誇るが良い!」

ルスランが突きを放ってくる。

それを、盾のスライムへと吸い込み、固定した。

その直後に、盾の一部に穴を開け、そこからスライムソードで突きを放った。

「俺は正々堂々の戦いを磨いても、届かない高み(シャドウ)があることは明白だった。だから、性格の悪い戦い方を考えた。」

 

「まさか、これほど、とはな。こちらの、動きを、いち早く察知するだけでなく、その強さをも、持つとは、何という、強欲。」

その一撃で、ルスランは息絶え絶えの声になっていた。

「強欲、確かにそうだ。理想(陰実)を超えた理想(転生)を手にしたにも関わらず、更なる理想(ストーリー介入)を求めているのだから。」

 

「さぁ、トドメだ。」

「待ってください!」

シェリーが叫んで、止めた。

 

「日常の、あの笑顔。人間関係を、学ぶのも、学園だと、言ってくれたこと。その、全てが、偽り、だったんですか。」

涙を流しながら、最後の望みを賭けた質問をした。

 

「愚かな、母に、似て、本当に、愚かな、娘だ。そんなの、偽りに、決まって、いるだろu…」

(トドメを刺す前に死んだか、)

シェリーが崩れ落ちる。

 

「シェリー・バーネット。お義父さんをあそこまで変えたのは、ディアボロス教団だ。」

「ディアボロス、教団。」

「我らシャドウガーデンは、そいつらと戦っている。我らと共に来い。そして、共に奴らを倒そう。」

「お母様、お母様の無念は、私が必ず。」

(復讐の矛先をシャドウからディアボロス教団へ、騙しやすいおかげで上手くいったか。)

 

 

〜〜〜〜〜後日〜〜〜〜〜

 

 

 

(さすがに、エリアクロークの範囲広いから、だいぶ魔力使うな。)

(シェリーと、シャドウも居るのか、ちょうど良いな。)

 

「これまでありがとうございました。」

「どうしたの?改まって、」

「今日は、報告があって。私、シャドウガーデンという組織に入ることにしたんです。」

(包み隠さず言うやん。)

「それって言って良いやつなの?」

「あ、」

 

「あまり他言しないようにと言った方が良かったかな。」

スライムクロークを解除して、制服に偽装する。

 

「ナイトさん⁈すいません!」

「大丈夫だ。シドになら問題ない。」

「良かった〜。」

(ある程度元気もあるみたいだし、ショックの方は大丈夫そうだな。)

 

「そういえばシド君、斬られて窓から落とされてませんでしたか?大丈夫なんですか?」

「大丈夫も何も、直後に姿を見せていただろう?」

「直後。もしかして、シャドウって」

「ボクだよ。」

「そうだったんですね!シド君が一緒なら安心です!」

(流れでシドがシャドウであることを言っておけば、シャドウガーデンにきやすくなるだろうって思ったけど、結局、流れ作れなかったからな。ここら辺で言っておくか。)

 

「さて、そろそろ行くとするか。あと、夏休みだし、シャドウも来ないか?」

「そうだね、どうせ暇だし。ボクも行くかな。」

 

「あと、シェリーは高所恐怖症とかあるか?」

「いえ、ないですけど、」

「なら大丈夫だ。試験飛行を兼ねて、空路で拠点に向かうからな。」

「空路?」

「上を見れば分かる。」

エリアクロークを操作して、ここだけにアレが見えるようにした。

 

「!・・・」

「飛行船なんて作ったんだ。」

(イータに飛行船の知識も教えたから、アニメよりも早く完成してたりするんだよな。)

 

「ここだと着陸できないから、このスライムに座るなり捕まるなりして。」

「は、はい。」

「落ちないようにな。」

そして、ナイトとシャドウはシェリーを運びながら空を飛んで飛行船に乗り込んだ。

 

 

 

〜〜〜〜〜アレクサンドリア〜〜〜〜〜

 

 

 

(やっと着いた〜。飛行船について、シェリーに質問攻めに遭ったから疲れた。後はイータに任せよう。)

「ここが古都アレクサンドリア、実在したなんて!」

(飛行船の次はアレクサンドリアに興味が向かっている!これはまずい、急がなければ)

「まずは名前だな。基本は入った順で数字をつけるけど、イータの助手として活躍するだろうから、これからは『チャーリー』として活動してもらう。」

「分かりました。」

(666にするとその後がめんどくさいからっていうのと、チャーリーならシェリーの面影があるかなって感じだな。)

 

「それじゃあまず、七陰のイータの所に行くぞ。」

「はい。」

 

 

 

イータの部屋をノックする

「イータ、起きてるか?」

「セカンドマスター。うん、起きてる。」

 

扉を開けると、床には色々と散らばっていて、足の踏み場がなくなっていた。

「今どかす。」

床一面に敷かれたスライムを操作して、床に散乱している物をどかしていく。

(物を簡単に出し入れしたり、運搬する方法として、スライムをベルトコンベアとして使う方法を教えれば、整理整頓が楽になるから、整理されるようになるかなと考えたが、意味はなかったんだよな。)

(ただ、訪れた時にはどかすのに使ってくれるから、少しは効果あったって所だろう。)

 

「これから助手として研究開発を手伝う、チャーリーだ。」

「よろしくお願いします!」

「ん。よろしく。」

 

「とりあえず、魔力を吸い取られないようにするアーティファクトの開発を最優先で。チャーリーは強欲の瞳の知識も持っているから、役に立つはず。」

「頑張る。」

 

「あと、完成したら、アルファよりも先に俺に渡してくれ。」

(デルタに壊される前に、俺が回収しておかないと。それに、聖域で使えるかもしれないし、)

「試作段階でも?」

「試作品もだな。アルファへの報告には資料だけ持っていくか、スペアを持って行くかして、何か言われたら、俺が持っていると言えば良い。」

「ん。分かった。」




アンケートについて
一話ごと交互:現在と同じく、Aを投稿したらB、Bを投稿したらAを投稿する。
編ごとで交互:聖域編Aを全て投稿し終わってから、聖域編Bを投稿する。
効率よく:書ける時に書ける方を書いて、投稿頻度を上げる。
Aルート優先:Bルートより先にAルートを投稿。
Bルート優先:Aルートより先にBルートを投稿。


聖域編Aルートへ
https://syosetu.org/novel/331759/17.html

これからのAルートBルートの投稿方法について

  • 1. Aルート優先、一話ずつ交互
  • 2. Bルート優先、一話ずつ交互
  • 3. Aルート優先、編ごとで交互
  • 4. Bルート優先、編ごとで交互
  • 5. 書ける方を書いて、効率よく
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