音叉を鳴らす。
すると、図面が反応してアーティファクトが起動した。
「できました!」
「よし、後は強欲の瞳に近づけるだけだな。」
「確か、ここだったよな。」
本棚にある本の1冊を奥に押すと、扉のようにして開き、隠し通路が現れた。
(これに関しては、事前に確認とか出来ないから、スイッチが分かりやすくて助かった。)
「大講堂に向かうとするか。」
「はい!」
シェリーが深呼吸する。
(母親が死んだ時の事を思い出してるのか。)
「お義父さまは、本当の家族のように愛を注いでくれました。」
「お母さまの残した、研究の支援まで、」
「とりあえず、色々と覚悟を決めておけ。この先の予想なんて、できないだろう?」
「はい。なんか、ありがとうございます。」
「礼はもう少し後だ。アーティファクトを持って、行くぞ。」
「あ、はい。」
(大講堂上の通路に着いたから、エリアクロークで俺の姿を下からは見えないようにしておこう。)
痩せ騎士が懐から強欲の瞳を取り出し、手のひらにのせた。
(シェリーには気づいたか。)
「あれか、」
シェリーがアーティファクトを起動し、強欲の瞳に向けて投げた。
すると、制御装置が光って魔力が吸われなくなった。
そして、ローズが隙だらけの教団員の一人に向かって駆け出し、剣を奪った。
「魔力は解放された!反撃の時だ!」
その掛け声を聞いた生徒全員が一斉に反撃に出始めた。
「剣を奪え!」
「囲め!」
「退路確保!」
「さて、生徒たちの反撃が始まって分かりづらくはなったが、ここには襲撃犯と生徒しかいないようだな。」
「お義父さまはどこに、」
「ならば、その場所へと向かうとしよう。」
その時、大講堂の天井のガラスが割られ、シャドウが降ってきた。
(せっかくだし、生でこの光景を見るとするか。)
2階に居た教団員が斬り捨てられ、シャドウガーデンが並んだ。
「我らはシャドウガーデン。」
「「陰に潜み、陰を狩る者」」
そして、シャドウの合図と共に教団員に攻撃開始した。
「シャドウガーデン?」
「大丈夫だ。彼らが生徒に危害を加えることはない。」
「それよりも、ここは危ない。急ぐぞ。」
「は、はい。」
(遅れることなくルスランの部屋についたな。)
「(待て)」
「?」
部屋に入る手前の、中の会話が聞こえる距離にある階段でシェリーを止めた。
「そんな恰好で何してるんですか?ルスラン・バーネット副学園長。」
「シド・カゲノー君。」
「なぜ分かった。」
「見れば分かります。」
(俺がスライムクロークでかなりの変装しててもバレるしな。)
「なるほど、歩き方かあるいは視線か。良い目をしているねぇ。」
「僕も参考までに聞いても良いですか?」
「何かね?」
「なぜこんなことを?あなたはこんなことに興味があるとは見えなかった。」
「なぜか。かつて私は剣の道で頂点に立った。君が生まれる前の話だ。」
「ブシン祭で優勝したそうですね。」
「ハッハッハッハッ、ブシン祭など、本当の頂点はずっと先にある。君に言っても分からないだろうがね。」
「だが頂点に立ってすぐ病にかかってね。苦労して上り詰めた栄光は一瞬で終わったよ。それから私は病を治すすべを探し求め、あるアーティファクトに可能性を見出した。」
「長くなりそうですか?」
「少しね。」
「その研究者がシェリーの母だ。賢すぎて、学界から嫌われた不幸な女。私は彼女を支援し、彼女は研究に没頭する。良い関係だったよ。そして私は探し求めたアーティファクトに出会った。」
「だがね。あの愚かな女は、強欲の瞳は危険だと言って、こともあろうに国に管理してもらおうなどと言い出した。」
「体の先から中心へと突いてゆき、最後は、心臓を突き刺し、ねじ切った!」
「そんな…」
(母の遺体の傷と合致する供述。受け入れがたい真実が突き付けられたわけだ。)
「フッフッフッフッフッ、シェリーは何も知らず、何も疑わず、母親の研究を引き継いでくれた。私が仇だとも知らずにね。かわいいかわいい愚かな娘だ。」
シェリーが階段を駆け上がって部屋に向かった。
「お義父さま!そんな、そんなの嘘ですよね⁈」
(こういう時、人はまず否定から入ると。)
「シェリー…」
(さぁ、どちらの返答をするんだ?ルスラン・バーネット、)
「本当だとも。感謝しているよ。強欲の瞳と、その制御装置を完成させてくれて。これで私は再び頂点に返り咲くことができる。」
「感謝の証として、楽に逝かせてあげよう。愚かな母親とは違ってね。」
その瞬間、ルスランが剣を手に取ってシェリーに斬りかかる
「ッ!」
が、スライムスーツに着替えたナイトによって防がれ、後ろに飛んで距離をとった。
(声をいつもの感じに戻してっと)
「シェリーは用済みということか。これで俺は動きやすくなった訳だ。」
「⁈」
「貴様、何者だ!?」
「我が名はナイト。」
「っとその前に、邪魔者を消しておくとしよう。」
シャドウに目配せして、シドを斬ってその勢いで窓から落とした。
「シド君!」
隙を見てルスランがナイトに斬りかかろうとするが、
何か、とてつもない複数の悪寒を感じ、動きを止めた。
「何をしている?」
「貴様は、シャドウ!」
いつの間にか、部屋のソファーにシャドウが座っていた。
(ちっ、せっかくスライムクロークさせた針で背中にトラップとして用意していたというのに、斬りかかってこなかったか。)
「さて、こちらは揃ったぞ。そちらも全力を使ったらどうだ?」
「私も剣に生きた人間だ、向かい合えば大抵のことは分かる。今の私では、一対一でさえ分が悪い事もな。そちらの言う通り、最初から全力で行かせてもらおう。」
「強欲の瞳の真価はその制御装置と2つ合わせて発揮される物だ、このようにな!」
2つのアーティファクトが合体し、ルスランに取り込まれた。
「今こそ私は生まれ変わる!」
「素晴らしい、素晴らしいぞ!力が戻る、病が癒える、分かるか⁉︎この荒れ狂う魔力が!人間を遥かに超えた力が!」
「まずは貴様で試すとしよう!」
ルスランがナイトに斬りかかる。
(あ、俺に来る感じ?)
それをナイトは、スライムの盾で防いだ。
「良く防いだ!ならばこれはどうだ!」
(スライムを剣と盾にして戦うのは、初めてシャドウに接触した時に、敵対的だった時に備えて磨いたんだ。近接戦闘の防御において、遅れをとるわけにはいかない。)
ナイトは左手に持った盾を随時変形させる事で、全方位からの攻撃を防いだ。
「面白い盾だ、私も本気を出すとしよう。」
「私に本気を出させたこと、あの世で誇るが良い!」
ルスランが突きを放ってくる。
それを、盾のスライムへと吸い込み、固定した。
その直後に、盾の一部に穴を開け、そこからスライムソードで突きを放った。
「俺は正々堂々の戦いを磨いても、届かない高み(シャドウ)があることは明白だった。だから、性格の悪い戦い方を考えた。」
「まさか、これほど、とはな。こちらの、動きを、いち早く察知するだけでなく、その強さをも、持つとは、何という、強欲。」
その一撃で、ルスランは息絶え絶えの声になっていた。
「強欲、確かにそうだ。理想(陰実)を超えた理想(転生)を手にしたにも関わらず、更なる理想(ストーリー介入)を求めているのだから。」
「さぁ、トドメだ。」
「待ってください!」
シェリーが叫んで、止めた。
「日常の、あの笑顔。人間関係を、学ぶのも、学園だと、言ってくれたこと。その、全てが、偽り、だったんですか。」
涙を流しながら、最後の望みを賭けた質問をした。
「愚かな、母に、似て、本当に、愚かな、娘だ。そんなの、偽りに、決まって、いるだろu…」
(トドメを刺す前に死んだか、)
シェリーが崩れ落ちる。
「シェリー・バーネット。お義父さんをあそこまで変えたのは、ディアボロス教団だ。」
「ディアボロス、教団。」
「我らシャドウガーデンは、そいつらと戦っている。我らと共に来い。そして、共に奴らを倒そう。」
「お母様、お母様の無念は、私が必ず。」
(復讐の矛先をシャドウからディアボロス教団へ、騙しやすいおかげで上手くいったか。)
〜〜〜〜〜後日〜〜〜〜〜
(さすがに、エリアクロークの範囲広いから、だいぶ魔力使うな。)
(シェリーと、シャドウも居るのか、ちょうど良いな。)
「これまでありがとうございました。」
「どうしたの?改まって、」
「今日は、報告があって。私、シャドウガーデンという組織に入ることにしたんです。」
(包み隠さず言うやん。)
「それって言って良いやつなの?」
「あ、」
「あまり他言しないようにと言った方が良かったかな。」
スライムクロークを解除して、制服に偽装する。
「ナイトさん⁈すいません!」
「大丈夫だ。シドになら問題ない。」
「良かった〜。」
(ある程度元気もあるみたいだし、ショックの方は大丈夫そうだな。)
「そういえばシド君、斬られて窓から落とされてませんでしたか?大丈夫なんですか?」
「大丈夫も何も、直後に姿を見せていただろう?」
「直後。もしかして、シャドウって」
「ボクだよ。」
「そうだったんですね!シド君が一緒なら安心です!」
(流れでシドがシャドウであることを言っておけば、シャドウガーデンにきやすくなるだろうって思ったけど、結局、流れ作れなかったからな。ここら辺で言っておくか。)
「さて、そろそろ行くとするか。あと、夏休みだし、シャドウも来ないか?」
「そうだね、どうせ暇だし。ボクも行くかな。」
「あと、シェリーは高所恐怖症とかあるか?」
「いえ、ないですけど、」
「なら大丈夫だ。試験飛行を兼ねて、空路で拠点に向かうからな。」
「空路?」
「上を見れば分かる。」
エリアクロークを操作して、ここだけにアレが見えるようにした。
「!・・・」
「飛行船なんて作ったんだ。」
(イータに飛行船の知識も教えたから、アニメよりも早く完成してたりするんだよな。)
「ここだと着陸できないから、このスライムに座るなり捕まるなりして。」
「は、はい。」
「落ちないようにな。」
そして、ナイトとシャドウはシェリーを運びながら空を飛んで飛行船に乗り込んだ。
〜〜〜〜〜アレクサンドリア〜〜〜〜〜
(やっと着いた〜。飛行船について、シェリーに質問攻めに遭ったから疲れた。後はイータに任せよう。)
「ここが古都アレクサンドリア、実在したなんて!」
(飛行船の次はアレクサンドリアに興味が向かっている!これはまずい、急がなければ)
「まずは名前だな。基本は入った順で数字をつけるけど、イータの助手として活躍するだろうから、これからは『チャーリー』として活動してもらう。」
「分かりました。」
(666にするとその後がめんどくさいからっていうのと、チャーリーならシェリーの面影があるかなって感じだな。)
「それじゃあまず、七陰のイータの所に行くぞ。」
「はい。」
イータの部屋をノックする
「イータ、起きてるか?」
「セカンドマスター。うん、起きてる。」
扉を開けると、床には色々と散らばっていて、足の踏み場がなくなっていた。
「今どかす。」
床一面に敷かれたスライムを操作して、床に散乱している物をどかしていく。
(物を簡単に出し入れしたり、運搬する方法として、スライムをベルトコンベアとして使う方法を教えれば、整理整頓が楽になるから、整理されるようになるかなと考えたが、意味はなかったんだよな。)
(ただ、訪れた時にはどかすのに使ってくれるから、少しは効果あったって所だろう。)
「これから助手として研究開発を手伝う、チャーリーだ。」
「よろしくお願いします!」
「ん。よろしく。」
「とりあえず、魔力を吸い取られないようにするアーティファクトの開発を最優先で。チャーリーは強欲の瞳の知識も持っているから、役に立つはず。」
「頑張る。」
「あと、完成したら、アルファよりも先に俺に渡してくれ。」
(デルタに壊される前に、俺が回収しておかないと。それに、聖域で使えるかもしれないし、)
「試作段階でも?」
「試作品もだな。アルファへの報告には資料だけ持っていくか、スペアを持って行くかして、何か言われたら、俺が持っていると言えば良い。」
「ん。分かった。」
アンケートについて
一話ごと交互:現在と同じく、Aを投稿したらB、Bを投稿したらAを投稿する。
編ごとで交互:聖域編Aを全て投稿し終わってから、聖域編Bを投稿する。
効率よく:書ける時に書ける方を書いて、投稿頻度を上げる。
Aルート優先:Bルートより先にAルートを投稿。
Bルート優先:Aルートより先にBルートを投稿。
聖域編Aルートへ
https://syosetu.org/novel/331759/17.html
これからのAルートBルートの投稿方法について
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1. Aルート優先、一話ずつ交互
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2. Bルート優先、一話ずつ交互
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3. Aルート優先、編ごとで交互
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4. Bルート優先、編ごとで交互
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5. 書ける方を書いて、効率よく