インフィニット・ストラトス〜消えた歌姫〜   作:仏のマスター

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誤字報告等いつもありがとうございます☆ 感謝





27 離れゆく恋心

 トントン

 

「はい、どなたですか?」

「あっ、箒さん。織斑君は居ますか?」

「あぁ……おい一夏! お客さんだぞ!」

「ん? いま行く」

 

 部屋の奥からラフな寝間着姿の織斑君が出てくる。

 

「おぉ、簪か。どうしたんだ?」

「その……さっき助けてくれたお礼に……これ!」

 

 私は胸に抱いていたカップケーキ入りの袋を織斑君に押し当てる様に渡した。

 

「なになに? おぉー美味しそうなカップケーキじゃん! 簪が作ってくれたのか?」

「うん……お礼だから食べて!――じゃ、じゃあね!」

 

 私はなんとなく恥ずかしくなってダッシュでその場を離れてしまった。

 

「ありがとうなー!」

 

 織斑君の感謝の言葉を聞きながら、私は自室へと戻って行った。

 

 

 

 

「…………(また一夏に近づく奴が増えた!? マズイ……このままでは増える一方だ……何か……何か…………)」

 

 

 

 

「ん? あれは…………」

 

 寮の自室に帰ろうとしていると、対面から歩いて来る人物に気づく。

 

「簪?」

「尚兄。生徒会帰り? お疲れ様」

「あっ、うん。もしかして俺か本音に用事で来てた?」

「いや、織斑君に試運転の時に助けてくれたお礼を渡しに」

「ん? 何かあったの?」

 

 話を聞くに、俺が生徒会室に向かった後、簪の専用機の試運転が行われた時に、簪の制御データの入力ミスがあり、最後機能不全を起こし、墜落しそうになったところをピットに待機していた一夏が飛び出し、ギリギリのところで簪を救ったらしい。

 

「怪我とかは無いんだな?」

「うん、大丈夫だよ。じゃあお休み、尚兄!」

 

 笑顔で去っていく嬉しそうな簪……なんだろう? この胸のモヤモヤは……この時の俺はそう深くは考えず、部屋に戻ったのだった。

 

 

 

 

「……ふわぁあぁ……あれっ? 昨日アラームつけ忘れたか?」

 

 目が覚めるといつもより遅い時間だった。別に遅刻するような時間ではないのだが、今から3人分の朝食と弁当を作っていたら間に合わないだろう。

 

「本音! ソーちゃん! 起きて! 今日は食堂に朝御飯食べに行くよ!」

「「ムニャムニャ……あと5分〜ムフゥ〜」」

「起きないと朝食抜きになるぞ!」

「「スピ〜ウニュウニュ……ヤダ、ごはん〜」」

「なら、起きろって!!」

 

 しかし、ねぼすけ二人は俺の着替えが終わってもベッドの中から出てくることはなかった。

 

「最後通告! これで起きなきゃ一人で行ってくるぞ!」

「「ニャムニャム……いってら〜スピ〜」」zzZ

「…………(ダメだこりゃ)」

 

 俺は諦めて一人食堂へと向かったのだった。

 

 

 

 

「あら? 尚人様。珍しいですね御一人で食堂に来られるのは(朝から【NAO】様の御尊顔を見れるとは今日は良い日になりそうです♡)」

「おはよう、クロエさん。今日は起きたのが遅くてね」

 

 俺はクロエさんと列に並び、朝の一幕を笑いながら話したのだった。クロエさんも束さんと同室で自炊派なのだが、昨日一夏と簪の専用機の修理、点検を遅くまでしていた為に今日は食堂に来たらしい。

 受け取ったモーニングセットを持って空いてる席を探すと……「「「「「!!」」」」」ピクピクッと先に食事を始めていた生徒達が反応して、何か凄く熱い視線を感じるのだった。

 

「あっ、尚人様。束様が先に席を取ってくれていますので宜しければ御一緒しませんか?」

 

 隣を見ると二人分のトレーを持ったクロエさんが俺を誘ってきてくれたので、俺はそのお誘いを受ける事にした。

 

「「「「「…………」」」」」ガクリ

「あっ、束さんの分のトレー俺が持つよ」

「あ、ありがとうございます。(はふぅ〜優しいぃ♡)」

 

 クロエさんについて行くと……テーブルに突っ伏した垂れウサギと化した束さんがいた。

 

「あれれ? ナオ君だぁ〜♡」

「お疲れ様です、束さん。昨日は大変だったみたいですね」

「ホントだよ〜でもナオ君の顔見たら元気出てきたよぉ♪」

 

 それから俺は束さんとクロエさんの三人で朝食を取りながら談笑していると…………

 

「あっ、いっくんに箒ちゃんだ」

 

 束さんの言葉に反応して食堂の入口を見ると制服姿の一夏と箒さん、それに鈴ちゃんと……簪が四人で仲良さそうに入ってきているところだった。

 

「ありゃりゃ……箒ちゃん、またライバルが増えちゃってるね★」

「…………」ズキッ

「?…………(尚人様?)」

 

 胸のモヤモヤが痛みへと変わったこの時……俺は…………

 




一夏が簪を救ったシーンは原作にもあったあのシーンと同じ様な感じで想像して頂けたらと思います。
今回原作と違う点は楯無さんが一夏に頼んで二人が近づいた訳ではない点で、純粋に危ないところを助けてくれたヒーローと言う事で一夏を少しずつ意識していく簪……お礼に作ったカップケーキもちゃんと一夏に渡しています。

オマケ

♪ジリリリリリッ♫

本)うにゃ〜おにいちゃん目覚まし止めてぇ〜

♫ジリリリリリッ♪

本)……ムゥ〜 ガバリ

 鳴り止まない目覚ましに仕方なく起きた本音はその時間を見て、驚愕の表情と化したのだった。
Σ(゚Д゚) ( ゚д゚) (TдT) (´;ω;`)
 因みに蒼龍は未だ睡眠中である。

 次話に続く…………
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