「は〜い。もうすぐチャイムなりますから席に……って何かあったんですか?」
教室へと入ってきた山田先生が普通に確認として聞いてくるが、今はそれどころじゃない。この天災兎が持ってきた危険物(IS停止スイッチ)の処理をどうするかで。
「ん? 布仏兄、何だ? そのスイッチは?」
後ろの扉から入ってきた織斑先生が、いち早く俺の持っているスイッチに反応する。俺は救世主が来たとばかりに、織斑先生に事の成り行きを説明したのだった。
「まーーたお前か、束…………」
「待って、ちーちゃん! 今回は私というよりそっちのドイツの子だよね!?」
アイアンクローをキメようとしていた織斑先生の手が止まり、ボーデヴィッヒさんの方を見る。
「ボーデヴィッヒ?」
「ヒウッ!?……わ、私は只、布仏尚人にドイツでのリベンジを果たしたいだけで……」
「だけどあの声の掛け方には問題ありだと僕は思うけどね」
「そこは私もデュッチーに賛成かなぁ〜」
「ふむ」
シャルロットと本音の補足も加わり、織斑先生のアイアンクローの行き先が決まらずにいるので、俺はあくまで最優先の危険物の処理を改めて織斑先生にお願いするのだった。
「束! コレの処理はどうすれば?」
「えっ、別にスイッチ押さなければ何も起きないよ。だけど押すか、無理に開けて順番通り解体しなかったら発動するんだよね〜一瞬で叩き壊すのが一番速いけど……★」
「そうか」
束さんの話を聞いた織斑先生はおもむろにスイッチを空中に投げ…………
斬
「「「「「エッ!?」」」」」
今この人何をした?……出席簿で横薙に一閃したらスイッチが真っ二つに……えっ? 出席簿だよね?
「これでいいか?」
「流石ちーちゃん……あれっ?――!?」
「ん? どうした?」
束さんの様子がおかしい……急に目の前にディスプレイを表示させたと思ったら、慌てて何かを調べているようだ。
「ちーちゃん……今のでドイツのIS全機、機能停止しちゃってる――『なんだと!?』」
「!!――こい! シュヴァルツェア・レーゲン! レーゲン!?……展開しない…………」アワアワアワ
「「「「「…………」」」」」ジィ〜〜〜〜
皆の視線が織斑先生へと集まる――と同時にボーデヴィッヒさんの携帯が着信を鳴らす。
「ウッ……クラリッサからだ」
「隊長、ISが全機機能停止しました。まさか……まさかとは思いますが…………」
「違う!! 私ではない!? 織斑教官がぁ!」
なんかもうなんて言ったら良いのだろうか、この状況。
「……ハッ、束! 停止解除しろ! お前ならできるだろう!?」
「とっくにやってるよ! 全く人の事散々言っときながら、ちーちゃんもやらかす時はホントやらかしてくれるよね!?」
「お前が一瞬でぶっ壊すのが一番速いと!」
「だからって出席簿で真っ二つとかする!? これだから人外スペックは……『お前にだけは言われたくない!!』」
かたや…………
「あぁ……クラリッサ、今まで本当にありがとう。こんな私の隣にずっと居てくれて……孤独な私にとっては本当にお姉ちゃんの様な存在だった…………」
「隊長……いや、ラウラ……ゆく時は一緒ですよ……あなた一人に責任を負わせたりなんてしません…………」
ジーザス。
その後、無事に束が停止解除を行い。幸運な事に確認できる範囲で怪我人とか事故が起きたりは無かったらしく、責任についても内容も内容だった為に全て水に流そうという形でまとまる事となった。
しかし、この一件で本当に束がISの機能停止スイッチを作れる事が世界中に知れ渡り、それまでにあったIS学園への問い合わせ、クレームや嫌がらせが大幅に減った事で学園の教員、事務員がホクホク顔で喜んでいたのはオマケ話である。
放課後、寮部屋に帰って…………
本&蒼)で、結局デュッチーとは昨日何があったの? あとボッチーからはホントにライバル視されてるだけなんだよね??
尚)本音、ソーちゃん……おにいちゃん、今日は疲れたよ……ホント気にする様な事は何も無いから、もう楽にさせておくれ。
ピロリン(メールだよん★)
シャルロット)「聞いて欲しい事があるから、今から二人で会えないかな? いきなりでごめんね」
本)お・に・い・ちゃ・ん?
蒼)ギルティ?
横から覗いていた二人にモロに見られてしまう。
尚)待て待て。お前達が思っている様な事とは絶対に違うはずだ。
本)ふ〜〜ん。ジト
蒼)へ〜〜ん。ジト
本&蒼)ほ〜〜ん。ジトジト
妹達からのジト目に見送られ……流石に無視するわけにもいかないので俺はシャルロットの呼び出しに答え、部屋を後にすることにした。