インフィニット・ストラトス〜消えた歌姫〜   作:仏のマスター

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夏バテ……


42 タッグトーナメント

「じゃあ、この件に関して尚人は無関係って事なのね?」

「少なくとも今知ったのは事実だよ」

 

 ホントどこからこんなデマが流れたのか……まぁ、俺じゃないなら一夏君絡みが怪しいところだが。

 

「あぁ〜それならシノノンがオリムーに『優勝したら付き合って欲しい!』って言って、オリムーがオーケーしたのが始まりだよ〜♪ で、何でかソレに尾ひれが付いて付いて、いつの間にかおにいちゃんとも付き合えるって話になってたんだよね〜」

「……って事は誰かがソレを聞いて、周りに広めたソイツが事の元凶か…………」 ビクッ!?

「……因みに本音は誰から聞いたの?」 ピクン!?

「おいコラ、何処に行こうとしてる」

 

 本音の挙動が明らかにおかしい……まさかねぇ。

 

「「ホ・ン・ネ?」」 ガシッ!

「……うわぁ〜ん! シノノンの部屋の前で偶々聞いちゃっただけなんだもん! こんな変な風に広がるなんて思ってなかったんだよぉ〜!」

「実行犯が自白したわ」

 

 虚姉と俺に挟まれ、本音は泣く泣く犯行を自白したのであった。まさか事の元凶が自身の妹だったとは…………

 

「でも私はオリムー達の事だけでおにいちゃんの事は何も話して無いんだよぉ〜信じてよぉ〜」

「この感じだと本当みたいね……後々噂に尾ひれが付いていったのでしょうね」

「……クロエちゃん……ハッ! そうよ! だから何処ぞの女が優勝しようが付き合う必要なんて無いんだからね、尚人君は!!」

「それは勿論そうだけど…………」

 

 ここまできてやっと楯無様が戻ってきた様だ。実際のところ一夏君はどうであれ、俺はそんな理由で付き合うつもりは元から無いし……でも……もし簪が優勝したら俺は選んで貰えるだろうか……?

 

 そんな事を考えていたこの頃の俺を…………

 

 

 

 

 時というものは過ぎてしまえばあっという間だ……熱い戦いが繰り広げられたタッグトーナメントも準決勝まできている。俺とクロエさんのペアも勝ち進み、ここまで残っている。

 

 準決勝第一試合は凰鈴音・更識簪ペアvs篠ノ之束監督率いる最新AI搭載型無人機黒鉄ペア。

 準々決勝で織斑一夏・篠ノ之箒ペアをくだした鈴ちゃんと簪の二人……流石中国と日本の代表候補生ペアだけはある。やはり練度の差が出て勝ち上がってきた。試合終了時に箒さんと鈴ちゃんとが何か話してたのが気になったかな。

 束さん監督の無人機黒鉄は学内にあった打鉄を束さんが魔改造して作りあげた機体なのだが、ベスト16のトーナメントから参戦してきて、二試合見たが正にお手本といった戦闘を見せてきていて、正直まだまだ出してない秘密がありそうだし恐い存在だ……セシリアさんと相川さんのペアも準々決勝でやられたくらいだしね。

 

 続いて準決勝第二試合は俺とクロエさんペアvsシャルロット・ラウラペア。

 俺達は束印の圧倒的機体性能差で勝ち上がった様なものかもしれない……世界で唯一の第四世代機の蒼龍に、クロエさんの黒鍵も第三世代機と聞いてはいたけど、今回装備した武器が明らかにヤバい……色んな意味で(束さん……やり過ぎ!)。

 シャルロット・ラウラペアは正に阿吽の呼吸でラウラさんの停止結界も強いし、何よりシャルロットの状況把握能力と対応スピードが恐ろしい……代表候補生では唯一シャルロットだけが使える高速切替(ラピッド・スイッチ)が凄い。こちらも代表候補生コンビなだけはある(シャルロットは現状元フランスのだけどね)。

 

「あと二試合、頑張ってこう!」

「勿論です!(優勝して尚人様と……!!)」

 




シャ)優勝して織斑先生と……!!
ラ)優勝して教官と……!!

鈴)優勝して一夏と……!!
簪)優勝して○○と……!!

黒鉄's)優勝して【NAO】様と……!!
束)優勝してナオ君と……!!

助)優勝したら……付き合えるの話が変な事になってない?
ウォ)ISである黒鉄'sとかどうするのでしょうね?
マ)…………

おまけ

箒)負けた…………。
鈴)優勝したら私……ガチで一夏にもう一度告るから……邪魔しないでね。
箒)そ、そんな…………(私はどうすれば…………)
一夏)おい、箒! とりあえずピットに戻ろうぜ!

 簪と話していて二人の会話は聞こえていなかったのか一夏は普通に箒に声を掛ける。(勿論、箒ちゃんの精神状態など分かっていない)
 トボトボと歩いてピットに向かう箒を横に見ながら、一夏は励ますように彼女に言った。




「残念ながら優勝はできなかったけどさ……良いぜ、付き合うよ」
「…………ホエッ?」

 いきなりの一夏の発言に素で変な声を出してしまった。今一夏の奴、何て言った? 付き合う? 誰と……私と!?

「本当か!! 本当に付き合ってくれるのか!?」

 さっきまで落ち込んでいた気持ちなど忘れ、私は高揚し、激しく鼓動を打つ心と共に一夏へと迫った。鈴? 何の事だ? 今はそれどころじゃない! そもそも今回先に付き合ってくれと告白したのは私が先なのだ! それで一夏が返事をくれただけ……私が勝ったのだ!!

「あぁ、でっ、どこに行きたいんだ? あんまし遠くだと許可が下りるか微妙だけどな」
「…………ハッ?……えっ?」

 私の心は一瞬にして冷めてしまった…………はははっ……そうかそウカ……ヤハリキサマハ…………#

「ん? どうした箒、震えてるけど大丈夫か?」
「一夏の……イチカの……このクソ朴念仁ガァァァァァァァァァァ!!!!」
「はあっ!?――ってぎゃあぁぁぁぁぁ!!」

 


 どこから取り出したのか竹刀による箒の激しい怒りの一閃が一夏の胴へと入り、倒れ伏す一夏を見ることも無く、箒は駆け出したのだった。
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