一人目のヒロイン候補がここで消えます。
「…………」
「…………」
アタシは何となくだけど再び此処にやって来ていた……もしかしたらまた誰かさんに慰めて貰えるのではと甘い期待も持って……そうしたらその誰かさんは今回も居たけどその姿はいつもと違っていた。
「…………」
「…………」
彼は顔を上げない。この距離でアタシに気づいてないなんて事は無いだろう。それだけ彼の状態がおかしいのだ。
「尚人…………」
「…………鈴か」
首だけを上げてアタシを見てきた尚人の表情は、
今までに一度も見た事の無い彼の表情だった。
「「…………」」
あぁ、コレは駄目だ……って直ぐに思った。私以上に尚人の方が確実に心やられてるわって思った。だからアタシは…………
「あ〜あ、また振られちゃったわよ! 今度はドストレートに告って玉砕してさ!」 ピクリ
振られたと叫んだところで反応をした尚人は再び首を下げ、元の状態に戻ってしまったけれどアタシは止まらず話し続けようとした。
「どっかの誰かさんに続いて、一夏も箒を選んじゃってアタシャ2連敗ですよ! ホントみんな見る目無いんだから……アタシってそんなに魅力無いのかな……なん……で…………」
努めて明るく話そうと思ったのだけど、次第に我慢できなくなって…………
「ごめん」
気づいたら立ち上がった尚人に頭を撫でられていた。
「俺も……簪に振られた……もう遅い、異性としてみれないだってさ」
無理に笑顔作って……ホントはアタシよりツライくせに……! 目元も真っ赤で、さっきまで泣いてたんじゃないの?
「もっと早くに告白できてたら……いや、今更何言っても同じか」
「……そうね」
簪はもう尚人でなく一夏の事を意識してる。だからアタシと箒はココで動いたんだ。もし……あの時ドストレートに告白してたら結果は変わってたのかな?――って私も同じか。
「どっちが選ばれても文句無し、負けた方は勝った方を祝福する……そう約束をして箒と一緒に告白した。そして結果はアタシの負け」
「そっか」
「「…………」」
「隣失礼するわね」
「ご自由に」
私は自販機でジュースを買って、尚人の隣に座り込んだ。
「しかし一夏の奴、箒さんの方選んだんだな。俺は鈴が選ばれると思ってたのに」
「あんがと……お世辞でも感謝」
「お世辞なんかじゃないからな、俺は鈴の良いとこ一杯知ってるからさ」
「――ッ!」
ホントこういうとこ変わってないわね……だからかつてはアタシも…………
「それで尚人はどうするの? 一夏は箒と付き合う事になったから、遅かれ早かれ簪は振られちゃうわけだけど……諦めるの?」
「『もう異性としてみれない』言われちゃったからね〜それに今は別の意味でそっとしといた方がいいと思うし(【NAO】の件含めてね)」
「??……ふ〜ん。それなら振られた者同士、ウチラで付き合うってのは?」
半分冗談……そんなつもりで何となくだった。傷の舐め合いでもしたかったのかなアタシは、勢いのまま聞いてしまっていた。
「ごめん。今はまだすぐ新しく誰かと付き合うって気になれない……それにこれでOK出しちゃったらさ、今も俺にアプローチ掛け続けてくれてるあの三人に申し訳ないからさ」
「ハハッ、まぁ冗談だから……けど、尚人はあの朴念仁と違ってちゃんと分かってるのね」
「……まぁ」
そりゃこうなるわよね。あぁ〜暫くはISが恋人でも言って、修行に明け暮れてやろうかな。
「はぁ〜それじゃアタシは先に戻りましょうかね! 尚人も織斑先生に捕まる前には帰りなさいよ」
「あぁ、分かってるよ」
いつか……アタシにも運命の人が現れて素敵な恋ができるのかな?……3連敗は嫌だぁぁぁぁぁ!!
そんな乙女の心の叫びがとんでいるとは知らぬ尚人は、立ち上がり寮へと帰っていった鈴を静かに見送り…………
「……おい――『ニャ!?』ビクン!――まーた、野良猫が迷い込んでんのかな此処には? 素直に出てくれば良し、さもなくば…………」
今回も茂みに隠れた野良猫を捕まえに尚人は動くのであった。
さてさて、今回は誰が隠れてたのでしょうね?