自称ヒーラーの男 作:呪いの石仮面
指定された区画内に放たれた2級呪霊を先に祓ったチームが勝利となる。
区画内には3級呪霊も多数放たれており、日没まで決着が着かなかった場合は討伐数の多い方に軍配が上がる。
それ以外のルールは一切無し。
「──で?どうするよ?メンバー増えちまった。作戦変更するか?時間ねえぞ」
「それよりも予想外に晴明が出てきた。不味いだろ」
「とりあえず悠仁は何が出来んだ?」
「殴る、蹴る」
「そういうの間に合ってんだよなあ…」
「順平は?」
「え、あ、毒の術式です!し、式神出せます!」
「……まあ、悪くはねえか」
試合前の話し合い。東京校は予定外に増えたメンバーに頭を悩ましていた。
そんな中、伏黒が口を開いた。
「……
「……面白ぇ」
そんな言葉に笑う真希。
だが最大の問題が残ってる。
「……晴明はどうするんだ?」
「しゃけ」
「…………」
パンダと狗巻の言葉に押し黙る。
どうしようもない。彼女の中で出た答えがそれだった。
「……いつもみたいに後方支援で来るんじゃねえの?」
「そうだといいけどな。表立って戦闘するってなったら全滅だぞ」
「しゃけしゃけ」
そんな2年ズの会話を聞いていた1年ズ+順平。
そんな中、おずおずと釘崎が手を挙げた。
「晴明って人、お土産くれた人ですよね…?あの人そんなに強いの…?」
「強いも何も──」
「あの先輩、五条先生と同じ特級術師らしいぞ」
釘崎のそんな疑問に答えたのは虎杖。
てかあの人ハルアキって人なのか…。なんてことを呟いている。
釘崎はと言うと衝撃の事実を突きつけられ驚いた表情を浮かべていた。
「は、はあ!?特級!?ウッソマジ!?」
「まあ、そういう反応するわな」
驚いて当然だとばかりにパンダはうなづいた。
なんせ立ち振る舞いから特級らしさが感じられなかったからだ。
五条のようにそこにいるだけで放たれる強者としての存在感。そんなものが欠片も無かった。
「まあ色々と謎が多いやつなんだよ。どうやってか知らないけど呪力封じ込めてるっぽいし。なのにいざ戦うと呪力使ってるし。術式も知らん。まあ京都校の奴らや悟あたりなら知ってるかもな」
「分かるのは回復に特化してる術式ってことなんだが……これもまた嘘くせえ。特級に上がるための条件に単独で国家転覆可能かどうかってのがあんだけど、回復系の術式でそんなの無理だろ」
「……つまり?」
パンダと真希の言葉に頭にハテナが浮かぶ釘崎。
そこに口を挟んだのは伏黒だった。
「国家転覆可能なほど強力な術式を持っていて、それの副産物で回復が出来るってことですよね」
「そういうこと」
「しかも、副産物なのにどんな傷も欠損も元通り。なんなら死んだ直後なら余裕で蘇生も出来ちまう」
「反転術式なんじゃないかっては言われてるけど……それじゃ説明出来ない力なんだよなあ」
「しゃけ」
……沈黙が流れる。
まさかの強敵にほぼ意気消沈の1年ズ+順平。
そんな中パンダが手を叩いた。
「まあ、と言っても晴明自身はマイペースな男で団体行動の場合、前に出てこようとしない男だ。今回も例に漏れずそんな動きしてくるならなんとかなる。そうじゃなかったら……まあ出会ったら即死のギミックだと考えておけ」
「ダメじゃん!」
「……悠仁と順平は知り合いっぽかったけど術式とか知らねえの?」
真希の言葉に首を横に振る2人。
しかし、順平は動きを止めて、あっ、と声を上げた。
「……掌で触れたものを粉々にしていたような」
「あ、それ俺も見た」
「手で触れて発動する術式か…」
「つまり触られなきゃ大丈夫か?」
「……それキツくないですか?」
「チートじゃない!チートよチート!」
対ハルアキの有効な手が出ないまま時間だけが過ぎる。
だが、そんな答えの出ない問いを考え続けてもしょうがない。
「……とりあえず東堂をどうにかするぞ。あいつなら直で私たちを潰しに来る。晴明はもちろんだが東堂もバケモンだ。全員で相手して全滅するのが最悪のパターン。だから足止めとして伏黒かパンダを置いていくつもりだったが……悠仁、お前に任せる」
「俺ッスか?」
「勝たなくていい、出来るだけ粘って時間を稼げ」
「大胆に行けよ?ぶっちゃけお前は想定外の戦力だから潰れてもあんまり困らん」
パンダのその言葉に複雑な虎杖。
だが頬を叩き気合いを込める。
「でも先輩。やるからには勝つよ、俺」
──宿儺の器、虎杖悠仁は殺せ
京都校、ミーティングにて。
学生たちの前でそう言い放った楽巌寺。
その言葉にキレた東堂は出ていき楽巌寺もまたその部屋を後にしていた。
「俺はパス」
そんな中、口を開いたのはハルアキだった。
そんな様子に眉間に皺を寄せる加茂
「……なぜ?」
「なぜも何も、俺のお仕事はお化け退治で人殺しじゃないんでね。交流戦じゃ"カイ"も"ユウ"も使わないよ。あくまで"シュウ"だけ」
「………」
戦闘意欲のないハルアキに少しばかりの怒りが込み上がる。だが、このマイペースな男に何を言っても響かないのは分かりきったこと。ならばハルアキを抜いたメンバーで何とかするしかない。
「あ、あと……俺の気になる後輩ってのはユウジも含まれてるから。よろしくね」
「「「「………ッ」」」」
「あちゃー……」
目を見開く4人と、頭を抑える三輪。
厄介なことになった。
まさかこの男が気にかけている後輩が宿儺の器だということに頭が痛くなる京都校メンバー。
「さってと。さっきチラッとメイさんの姿見えたし俺は挨拶行ってこよっと。そんじゃ」
「「「「………」」」」
「ど、どうします……皆さん?」
三輪の声に答えられるものは誰もいなかった。
正式な術式の開示がいつになるのか、作者の自分も分からない。