景虎と行く、聖杯探索 作:ぐだぐだイベの復刻ください
原作本筋とは別の、二人だけの幕間のような回になります。
よろしくお願いします。
「─────スター、早く──ませんかね?─────はぁ、信頼しろと言ったのは貴方でしょうに、そんなに寝てると世話ないですよ」
遠くから聞こえたその声が少し寂しそうに聞こえて、謙道は目を覚ました。
眩しい光に目を慣れさせながら瞼を開けば、いつも通りの酒瓶片手に、しかしどこか寂しげな笑顔の景虎が天井を見上げていた。
「……俺はどれほどの時間寝ていた?」
「!……やっと目を覚ましたんですね、寝坊助さん?今はカルデアに戻ってからちょうど三日と六時間ですよ。」
景虎は一瞬、突然の声にビクリと肩を跳ねさせるような仕草を見せた後、いつも以上の笑みで謙信を覗き込む。
「そうか、すまなかったな。」
「いえいえ、別に暇だっただけなので構いません」
などと会話をしていると、そこにダ・ヴィンチがやって来た。
「いやいや、君は謙道君が昏睡してからずっと意気消沈して謙道君のマイルームに閉じこもってたじゃないか。」
景虎の笑みがまるで人形のようにカチリと固まる。
謙道は彼には珍しく感情の読めない表情を浮かべると、揶揄ったのか本気でそう思ったのかわからない言い方で
「そうか、それはすまないことをした。……今日一日は、お前との埋め合わせに使うことにしよう。」
そう言って病室のベッドから立ち上がった。
そうして、何事もなさそうに病室を出ようとする謙道の背中にダ・ヴィンチは
「ついさっき出た検査結果では異常はなかったよ〜」
と投げかければ、謙道は背中越しに手を振りながら景虎と共に廊下へ歩いて行った。
──────────
「……埋め合わせって言っても、何するんです?」
マイルームへ戻ると、景虎は謙道にそう問いかける。
すると、謙道はガサゴソと自らがカルデアへと持ち込んだトランクを漁り、数本の瓶を取り出す。
「俺の秘蔵の日本酒だ、好きなだけ飲め。」
「お、わかってますね。よろしい、今回はこれで許してしんぜよう」
部屋に置かれた謙道が持ち込んだ食器棚を開けた景虎は丁度いい酒器二つを取り出し、その片方を謙道に投げ渡す。
「危ないな、陶器だぞ」
「でも受け取れたでしょう?」
そう言いつつ部屋に最初から備え付けられているベッドに腰掛けると、もう一人分のスペースを空けて、ぽんぽんと手で叩いて謙道に座るよう促す。
謙道がそこに座ると、景虎は彼の肩に頭を預ける。
「やはりいいですねえ」
「何がだ?」
「こうしていると、まるで布団で微睡んでいるようで心地が良いのです。」
「……そうか、そのまま寝るなよ。流石にこの姿勢で眠られると困る」
そう言いながら謙道は酒瓶を開けて景虎と自らの酒器にその中身を注ぐ。
「ありがとうございます。……ところで、マスターはどこまで理解っているのです?私のことを」
「俺の理解が間違ってなければ、大半は理解してるつもりだ。その笑みの訳も、その内面もな」
「そうですか……。それでも貴方は私を恐れず、自らのサーヴァントであると言うのですね?」
いつも通りの笑みながらも、酒器に注がれた酒を見つめるその瞳は揺れていた。
「お前の中身がどうであろうと、お前はサーヴァントとしての強さと、信頼できる誠実さを俺に見せた。だからこそ、お前さえ良いのなら、俺はこれからの戦いをお前と戦い抜きたいと思っている。」
景虎の瞳がいつも以上の笑みで弧を描く。
景虎は酒器に注がれていた酒を飲み干すと、酒瓶そのものを引っ掴んでそのまま飲み始める。
「なら憂慮は不要ですね。さて、もう一本!」
「は…?もう飲み終わったのか?その量を?」
景虎はその手に掴んだ酒瓶をその場でひっくり返す。
すると、酒瓶から溢れたのは一滴の雫だけだった。
「……はぁ、これは俺の酒は消えると思って良さそうだな。少し待っていろ。」
苦笑いを浮かべつつも、残った酒瓶を全て抱えて戻ってくる。
景虎は早速二本目を瓶から直で飲み始め、謙道はその横で静かに別の瓶から自らの酒器に、酒を注ぐ。止める者など一人もいない宴は、始まったばかりだった。
──────────
翌朝、気がつけば二人は、空き瓶だらけの部屋で二人でベッドに倒れ伏していた。
「ねぇ、マスター?」
「……なんだ?」
「これって朝チュンってやつですかね?」
景虎の発言に謙道が噴き出す。
「お前……、そんな言葉どこで覚えて来た?」
「カルデアのデータベースです」
「色々なものが詰め込まれてるとは思ってはいたがそんなものまで……」
呆れ顔でため息をつく謙道。
その横顔を見つめた景虎は何かを思いついたように笑顔の種類を変える。
「そういえば、マスターが笑ってるのってあまり見たことないですね。ねぇマスター、笑ってくださいよ」
「いきなり笑えと言われてもだな……」
「えぇ?じゃあなにか笑えるものがあれば良いんですね!うむむ……」
しばらく考え込んだ景虎は、突然いつもより少し固い笑みで謙道を見つめる。何も言わず、動かずにじーっと笑顔で見つめる。
流石に寒気がした謙道は景虎にそれは何だと問う。
しかし景虎は答えず。そのまま約二十秒が経った時、景虎が口を開く。
「軍神スマイルです。」
「………………フっ」
「あ!いま、鼻で笑いましたね!?私なりに考えたのに!」
「いや、すまない。……幼子が頑張って考えたようなレベルでつい……フフ、ハハハ!」
「あっちょっと!そういう笑いが欲しかったわけじゃないんですけど!?」
「ハハハハ!」
「ちょっとぉ!」
くだらない朝。
束の間の日常だった。
読了ありがとうございます。
すごくセリフが多い気がします。
地の文も増やしたいなぁ
頑張ります
原作の大幅コピー(規約違反)に引っかかるのが怖いので本作主人公が活躍しない部分は……
-
省略してええで(^^)
-
関係ない、書け(DIO風味)