景虎と行く、聖杯探索 作:ぐだぐだイベの復刻ください
短い番外編的な短編です。
よろしくお願いします。
「……っぐ」
「──は、」
漏れる二つの苦悶。
決着は同時だった。
ロマニ・アーキマンと他数人の力添えによって行われた試合。
その果てに、たとえ命の灯火が消えるとしても二人は止まらなかった。
最期まで戦い抜き、互いの腹にその獲物を突き立てた。
何処かで喧騒が聞こえる、きっと二人のこの行動に焦って救助に入ろうとしている誰かの声だろう。しかし、シュミレーターはすでに内側からロックされている。解除には少なくとも数十分がかかるであろう。
つまりはもう間に合わない。
二人は小高い丘の上、並ぶように空を見て倒れ伏していた。
「─────これでよかったんですか?マスター?」
「あぁ──心底満足だ。」
景虎の言葉に謙道は笑う。
心底愉快そうに、何よりも楽しそうに、心の底からの笑みを浮かべた。
「……私を、殺したかったんですか?」
「いや、お前を超えたかったんだ。お前より強いと証明したかった、誰よりも強く在りたかった。それだけだ。」
「でも、相打ちですよ?」
「簡単なことだ、お前が消えるまで死ななければいい。」
「アッハハハハ!最後は根比とは、泥臭いですね!」
景虎は笑った。いつも通りの笑みを浮かべた。
「そうだな。酒瓶の一つでも持ってくればよかった
「全くです。気が利きませんねぇ」
げし、と景虎が謙道の足を弱々しく蹴り飛ばす。
同じく謙道も蹴り返す。
無駄な応酬には違いないが、争いの中に生きた二人にとって、この一時だけは迫る争いも備えるべき戦もない、最も穏やかな時間だった。
「しかし、勿体無いことをしました」
「……なにがだ?」
「貴方なら、きっと私に相応しいマスターであったでしょう。貴方の側は心地が良かった。……共に肩を並べて戦うのも、悪くはなかったと思いまして」
「そうか……、ならば地獄の底でまた会おう。」
「アハハ!……地獄行き確定ですか?」
「武将などそんなものだろう?──俺も、数え切れぬほど殺した。こんな主従は揃って地獄が似合うだろ」
「──そうですね。貴方と二人なら、そんな場所でも……きっと」
最後の言の葉を紡ぐより早く、景虎は光となって消えた。
謙道は一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、すぐに乾いた笑いを溢した。
そして、仮想空間の空を、憎らしいほどに晴れ渡った青空を見上げて眩しそうに目を細めた。
「……ハハハ、俺の勝ちだな、景虎?次は白星を取りに来い、待ってるぞ」
何処からか、その挑戦を受けた、と自信満々に返す声が聞こえた気がした。
そうして、謙道龍正はその瞳を閉じた。
悔いはなかった。
完全なifを書かせていただきました。
型月作品と言えばバッドエンドやマルチエンドな気がしているのでついつい書きたくなりました。
ゲーム的に言えば
〝勝負を──〟
『続ける』『止める』
と選択肢があった時に、止めるを選んだのが本編です。
続けるを選んだバッドエンドがこちらです。
書き方変えてみました
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今のが読みやすい
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前のが読みやすい