景虎と行く、聖杯探索 作:ぐだぐだイベの復刻ください
(それだけではないですが)
ある程度情報を集めて考えましたが、多少おかしな点があっても許していただけるとありがたいです。
「……私を、私たらしめる───もの」
オルレアンの城の中、黒いジャンヌは自らの掌を見つめ、ファヴニールのブレスを相殺してみせた男の言葉を反芻する。
「──私は……」
「どうしたのですジャンヌ?些か顔色が優れないご様子。気に入らぬものがあるとするならば、この不肖ジル・ド・レェが──」
「いえ、少し考え事をしていただけよ。気にしないで」
そう言いながらも、脳内でもう一度あの男の言葉を反芻する。
その言葉が、自身の中に響いているような気がしてならないのだ。
黒いジャンヌは、旗を持つことなく歩き出した。
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一方、モンリュソンにてファヴニールを一時的に退け、発見されることのないように森の中で立花たちと合流し、キャンプを行なっている謙道たちは……
「おい、景虎。この手を退けてくれ。」
「いいえ、私の手を払うほどの力すら出ないんでしょう?なら、無茶のお仕置きも兼ねて洗いざらい話すまではこのままです。」
「……わかった、潮時だな。話すから、離してくれないか?流石にこのままじゃあ、どんなに真面目な話でも格好がつかん」
膝枕の体勢のまま起き上がれずにいた謙道は深くため息を吐き、観念したようにそういう。
景虎は抑えていた手を離すと、痛みに呻きつつも上体を起こして座ろうとする謙道を横からそっと支えた。
「これを説明するのは今回の一度だけだからな。お前の予想の答え合わせでもある。よく聞いておけよ?ロマニ」
『……バレてた?ごめん。これは聞かない訳にはいかないからね。代わりと言っては少し不足かもしれないけど、君の酒器と日本酒を送ったから、話のお供にでもしてくれ』
「はぁ、つくづく空気を読まんなお前は。……さて、どこから話したものか。まず、俺を腹に宿した母は、仏骨を飲み込み、俺が生まれる前には枕元に立った毘沙門天が身体に入り込んだと語ったそうだ」
カルデアから送られてきた酒器に、並々と酒を注ぎながら言ったその言葉に、景虎は目を見開いた。
「俺の家は元々、上杉に仕えていたらしくてな。当時、強化と降霊の二派閥に別れていた俺の家は、上杉謙信亡き後には派閥間の対立をやめ、それぞれの派閥で磨かれた魔術の全てを使って上杉謙信の再臨を目指してきたと幼い頃から聞かされた。そうして生まれた最高傑作の俺は、上杉謙信……ひいては毘沙門天の化身としてその力と加護をもたらし、家を救うことを望まれた」
酒器の中身を飲み干し、深くため息をついて謙道は話を続ける。
「魔術においての初歩に、照応という概念がある。実態はどうあれ、形式的な要素を集め、
「そうして上杉謙信の生き写しになるように育てられた俺は、完全に同じとはならなかったが、照応とそれに付随した魔術が従前に動くほどに似たものとなった。その成果は俺が先ほど見せた通りで、それが俺の魔術の全てだ。……そして、実際に上杉謙信をこの身に降ろすことすら出来ただろう俺は、その為の儀式の日に自らの一族郎党を皆殺しにして、時計塔に拾われて今に至る」
そう言って話を切った謙道。
重い沈黙が流れる。つまりは、彼の家族が望んだものは彼ではなく、彼の体に降ろす毘沙門天の化身であったのだ。
彼のいつもの乏しい表情は上杉謙信に似せるため、感情を教えることさえされなかったからこそのモノだったのだ。
どう反応すれば良いかもわからず皆が黙り込んでいた中、景虎が口を開く。
「じゃあ……なんで儀式の日まで、皆殺しにできる力がありながらその家に居たんです?」
すると、謙道は少し恥ずかしげに顔を晒しながら少し小さい声で言う。
「それは……憧れて、いたからだ。上杉謙信という武将に。戦い続けたその生涯で敗北はたった二度、義を重んじ軍神の加護を得た武将。そんな話に憧れを覚えていたからだ。」
ならばなぜ殺したのか、その答えは景虎が聞くよりも前に謙道の口から語られた。
「そんな偉大な人の再臨の礎になるのならば、そこで終わってもいいと思った。だが、俺の母は、上杉謙信を再臨させた後、傀儡にする手筈だと言った。だから殺した」
憧れ。その言葉の後からだろうか、景虎は少し放心気味の様子で謙道を見つめている。
「さて、これ以上の疑問はないだろう?なら、辛気臭い話はやめにしよう。それでいいな?ロマニ」
『あぁ、君から聞いた話で不審点のほとんどは辻褄が合う。疑って悪かった』
「仕方のないことだ……ところで、オルガマリーは?サポートすると言っていた割に声を聞かないが」
『彼女は今、執務室で作業中だよ。何か伝言しておくかい?』
「いや、どうせ録音しているだろうから、オルガマリーにもこれを伝えておいてくれ。二度も説明はしたくない」
自身が人として望まれ生まれたわけではない。それを本人に二度も説明させるつもりもなく、ロマニは二つ返事で了承して通信を切った。
「……それで、どうです?マスター」
「何がだ?」
「あなたが憧れた武将、上杉謙信の本物と会った感想は?」
「──そうだな、てっきり豪傑無双の冷徹な英傑だと思っていたが、俺のイメージよりもずっとバカで人間臭いやつでびっくりしたよ」
「な!?どういう意味ですかそれ!?」
そうやって騒ぎながら話したキャンプが終わった頃、謙道は一人立ち上がって森が開けた場所へとやってくる。
「何の用だ?黒聖女」
「その不愉快な呼び方、やめてくれる?私はあなたが言った言葉の意味を聞きたいの」
謙道の背後に立ったのは黒いジャンヌだった。
いつもの旗を持たず、ただ謙道に問いかける。
「言葉通りだ。何一つ自らのものを持たない贋作でも、唯一その心は自らの意思で管理できる自らのものだ。だからこそ、それを燃やすに足るものを見つけろと、そう言ったんだ」
「……やっぱり、もう一度聞いてもわからないわね。でも、その言葉は──私の深いところまで響いてる気がする。だから……えぇ、覚えておくわ。」
「それは光栄だ。では、次は決戦で会おう。その時には答えを見つけておけよ。そして……首を洗って待っておけ」
黒いジャンヌは踵を返して去っていった。
謙道の隣に景虎が現れる。
「逃してよかったんです?好機だったのに」
「あぁ、お前の模倣たる俺も、お前と同じことがしたくなるらしい。敵が何も持たぬ傀儡じゃ面白みにかけるからな。……敵に塩を送る、というやつだ」
謙道はそう言って笑った。
読了ありがとうございました!
今回はセリフ多めだったかなぁ
次回は地の文も頑張ろうと思います
原作の大幅コピー(規約違反)に引っかかるのが怖いので本作主人公が活躍しない部分は……
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省略してええで(^^)
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関係ない、書け(DIO風味)