景虎と行く、聖杯探索 作:ぐだぐだイベの復刻ください
「──スター……、マスター。聞こえていますか?」
いつもより、幾分か落ち着いた声で呼ばれて、謙道は目を覚ます。
「そんなところで寝ていると体を冷やしますよ」
「……ほぅ、俺としてはそれよりもまず、目を覚ましたら見知らぬ日本家屋にお前と二人きりであるという怪奇現象について聞きたいのだが?」
「そこは考えるほどでもない些事と思ってください。今大事なのは、今日がなんの日であるのか……という点です」
「…………?…………新暦でのお前の誕生日まであと4日か」
長く考えた末に彼が導き出した答えに、彼女は驚いた様子で固まる。
そして、こほんと咳払いをして話を仕切り直す
「……長く考えましたね。そんなものもあったなと思い出しましたが違います。ほら、ありませんか?最近食堂から香るものが」
「あぁ、そうか…バレンタインというやつか」
「それです。私と縁深きあなたに、私から日頃の感謝と親愛を込めてとっておきのおつま……、チョコレートを用意してきたのです」
そう言って差し出されたのは、普段の謙道の部屋で呑む際のものとは違う大きな酒器が二つと皿に乗ったチョコレート、そして酒の入った徳利。
「これはまた、随分と立派な物を出してきたな」
「名付けて『軍神印のお塩チョコ』です。一杯どうです?」
徳利を持ち上げ、こちらへと差し出す彼女に、謙道は酒器を持ち上げて答えた。
「……それで、何故ここまで回りくどいことをした?景虎……いや、謙信」
「やはり、わかりますか?」
「当たり前だ。それすらわからず、どうしてお前のマスターが務まろうか」
「あははは、私のマスターはすごいですねぇ。本当はあなたと私の間のパスを使ってちょっとした悪戯をしようとしていたのですが……、私たちは根本的に近いでしょう?それで、近づきすぎたせいで私の霊基が少しばかり変質したみたいで」
霊基の変質、そう聞いた途端に明らかな動揺を見せた謙道はその手から酒器を取り落とす。
謙信はその様を見て、いつもより少し深い笑みを見せる。
「あっ、せっかくのお高そうなコートが……、心配してくださったのです?」
「……その通りだ。異常は?」
「今のところ、姿が変わったくらいです。少しいつもより落ち着いているかも」
「そうか、それなら良かった。それで結局、ここは何処なんだ?」
「ここは私の内界、内側です。本当は少し準備をしてから呼ぼうと思っていたのですが……、あなたは夢を見るままにここに辿り着いていたのですから驚きました」
謙信は彼の取り落とした酒器を拾い上げて手渡すと、そこにもう一度酒を注ぎ、チョコレートが乗った皿を彼の近くに寄せる。
彼はそれを一つ口に運んで
「うん、美味いな。酒が進む味だ」
「それならよかったです!ささ、もう一盃どうぞ」
彼の酒器に酒を注ぎ足す謙信に、謙道は薄らとした笑みでそれを飲み干して応える。
雪を見て、他愛のない話をしながら酒を呑む……、そんな二人の時間は暫く続いた。
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「─────スター、マスター?今度こそ死にました?どれ、少し様子見に脇腹あたりを……」
「生きているぞ。その刀を仕舞え、景虎」
「おや、起きていたんですね。おはようございます。夢にて一度渡しましたので、こちらを」
目を覚ました謙道に景虎は夢で差し出したものと同じ塩チョコが入った小包をそのまま謙道へと投げ渡す。
彼は自身の顔目掛けて飛んできたそれを余裕で受け止めると、景虎に咎めるような視線を送る。
「危ないな、受け止め損ねたらどうするつもりだ」
「でも、絶対に受け止めるでしょう?」
「はっ、言ってろ」
そう言って謙道はいつも通りの棚の奥から酒瓶を取り出す。
「おや?飲むんです?」
「あぁ、さっきの続きのつもりだが……どうだ?」
「ご相伴に預かります」
「そうか、なら用意をするから少し待っていろよ」
止める者のいない宴はそこから夜まで続いた。
呼び出しに応答しない彼のことを訝しんで様子を見に行ったロマニが酔い潰れた二人を発見したことにより、これまで景虎一人の物であった呑兵衛の呼称が主従を指すものになったのはまた別の話。
久しぶりの投稿ですいません(しかもバレンタインに遅刻している)
リアル忙しすぎ学生なのでFGOのシナリオを見返す時間が少なく、本編の続きはもう少しお待ちください
原作の大幅コピー(規約違反)に引っかかるのが怖いので本作主人公が活躍しない部分は……
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省略してええで(^^)
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関係ない、書け(DIO風味)