蟲使いの間桐君   作:寝仔猫

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戦闘シーン書きたくなーい!そうじゃなくても普通に書いてたら絶対ぐだぐだするー!でも創作は楽しいんじゃー!ってハイテンションになりながら書いたので多少無理(チート風味)があっても見逃してね☆



緩やかな汚染

 

 思わぬ形でオベロンを召喚してギルガメッシュと遭遇した次の日、俺は学校を仮病で休んで使い魔やオベロンの協力の下、情報収集をしていた。

 

 因みにあの後は何をしていたというと、まず帰宅後に話してやるよと言ったあの件についてオベロンと話し合った。どうせ嘘吐いても後々バレるの面倒くさいし、で、正直に話したら何故かまた怒られた。解せぬ……。『認識が甘い』?そんなもの、ギルガメッシュの件で嫌と言う程味わったっての。

 

 衛宮達との接触を避ける為に情報収集を選んだが、得られた情報と言えば、新都での行方不明事件が起きたというものくらいだ。これは恐らくは魔力不足に陥った桜が無意識下で魔力を回復させる為に一般人を影を使って襲っている影響だろうか。確信とまではいかないが昨日の急に現れた影然り、使い魔やオベロンが新都の路地裏等の人気の少ない場所にて、姿を複数回確認した事然りで可能性としては高いだろう。

 

 情報としてはとりあえずこれだけだったので他のサーヴァントの脱落であったり、真アサシンが現れたという訳ではないようなのでホッと一安心した。まぁ、流石にあの影が現れて約一日程度では何も起きないか。

 

 いや、こういった考えを持つのは止めよう。常に様々な可能性を考えて行動しなければ。もうどのルートを辿るのかは分からなくなってしまったのだから。

 

 その時、ふと脳裏に嫌な予感が過った。俺は今日、一度でも桜の姿を直接確認したか?と。使い魔からは桜が無事に退院したとの報告を受けただけで、衛宮邸に行った事も家に帰ってきたという事も聞いていない。

 

「オベロンっ!!桜を見なかったか?!」

 

 少々切羽詰まった声でオベロンを呼ぶ。すると彼は俺の机の上に偵察用のミニサイズの姿で現れた。

 

「見てはないけれど……?どうしたんだい?そんなに慌てて」

 

「クソ嫌な予感が過ったんだよ。ライダーの退場によって桜の手に令呪はもう無い。それを万が一にでもあのクソジジィに知られたら、あのクソは勝手に俺が脱落したと考えて躊躇い無く最悪の手を打ちに行く気がしてならねぇ」

 

「…………なるほど。なら恐らく今すぐに動いた方が良いかもしれない」

 

「何だと?」

 

「ついさっきマスターの使い魔から臓硯と桜が接触し───」

 

 その言葉を聞いた途端、俺はすぐさま部屋を飛び出した。後ろからオベロンの焦った『マスター!?』と言う呼び掛けが聞こえてきたが、俺はそれどころでは無く真っ先にあの場所へ向かう。

 

 向かった先は忌々しき蟲蔵。あのクソジジィが桜に何かをするならばここしかあり得ないと考えてだ。固く閉ざされた扉を乱暴に開け放ち、階段を駆け降りながら感情の赴くまま叫び散らす。

 

「このクソジジィィィィィィ!!!!」

 

「五月蝿いのう……何の用じゃ、負け犬」

 

 叫び散らす俺に何とでもないかのように蟲の集合体の中から現れたクソジジィはいつも通りの対応を取ってきた。サラッと桜の令呪が無い事を確認してかこちらの敗北の情報を悟り、負け犬呼ばわりしてきたのはかなり癪に障った。

 

「桜に何をした!!」

 

「人聞きの悪い。儂は何もしておらぬよ」

 

 ニヤニヤと白々しい態度を取るジジィ。今すぐにでも殺してやりたい衝動に駆られたが、まだヤツの油断がピークになってからだと心を一度落ち着かせる。そして少し落ち着いた所で俺の憶測を投げ、揺さぶりを掛ける。

 

「じゃあ何でここに居る?どうせ俺が負けた事を悟って桜の中の聖杯の欠片の適合を早める為だろう?なぁ……?オジイサマ?」

 

「何故それを……慎二、何処で知った」

 

 俺の発言が想定外だったのか余裕の表情を浮かべていた筈のクソジジィの顔が歪んだ。これは好機と、そこに畳み掛けるかのように俺はジジィがこれから何をしようとしたかを聞き出す。

 

「ハッ!誰が教えるかっつうの。それよりも俺の質問に答えろよ。桜に何をした。いや、これから()()()()()()()()?」

 

「義妹の事にだけは敏く成りよってからに……」

 

 するとジジィは隠す気もなく溜め息をついてきやがった。

 

「先も言うたが、まだ何もしておらぬわ。ただまぁお主の言う通り、これから適合を早めようとはしていたがのう?」

 

 が、すぐさま薄気味悪い笑みを浮かべるとあっさりと俺の言う通りの事をしようとしていたことを認めてきた。あまりの気味の悪さに鳥肌立つが気にせず言葉を放つ。

 

「何故今なんだ。桜が退院したばっかりなのはジジィだって知っているだろうが。それに、そんな事をする必要は無い。俺はまだ戦えるぞ老いぼれジジィ」

 

「カカカッ!寝言は寝て言え小僧。桜の令呪が消えているのは既に確認しておる。サーヴァントも居らぬマスターなぞ、格好の餌ではないか。それとも己の身一つでサーヴァント共に勝てるとでも言うか?」

 

 あぁ、本当にこの人を嘲笑う笑みがとことん癇に障る。人を笑って楽しいかよこのヒトデナシがよ。だがその面、すぐに歪めてやる。そんな思いの元、俺は新たな令呪の宿る左手の甲をヤツの前にて見せびらかす。

 

「これが見えるか?クソジジィ。確かに桜が召喚したライダーは退場したが、俺は俺のサーヴァントを召喚したんだよ」

 

「なに……?八つ目の令呪だと?」

 

「あぁそうだ。コレがある限り俺はまだ戦える。テメェの悲願は叶えてやるってんだよ。時代遅れのジジィは黙って行く末を見てろ」

 

 『だから桜に手を出すな』と、言葉にはしないが手出しは無用だと伝える。

 

「ならばそのサーヴァントとやらを喚んでみるが良い。喚べぬであろう?」

 

 が、サーヴァント云々の発言は俺の虚言とでも思っているのかジジィはくつくつと笑うだけで焦る様子は全く見せない。まぁ、これは想定の範囲内だ。

 

「言ったな?なら喚んでやるよ、俺の最高の相棒サーヴァント」

 

令呪だけあってもサーヴァントの存在を確認出来なければ信じられないのも無理はない。ならばこの場でオベロンを呼び、このジジィに一泡吹かせてやる。距離的に近い筈なので、呼び掛ける時に少し念話を乗せれば令呪無しでも来るだろう。そう考えた俺は、己のサーヴァントの名を呼んだ。

 

「来い。オベロン・ヴォーティガーン

 

「何じゃと……?」

 

 彼の真名を呼んだ瞬間、俺の足元の影が蠢く。そこから溢れ出すのは多種多様な蟲。益虫から害虫、はたまた幼虫にまでその種類は及ぶ。それらがひしめき、蠢きあう事で全てを呑み込む奈落の穴を形成する。大きさは凡そ成人男性の平均身長を少々超えるくらいだ。ソレは彼の本体である奈落の虫を人間形態に縮めたかのような姿であった。

 

「慎二……お主は一体、何を喚んだ」

 

「んー?耳でも遠くなったか?耄碌ジジィ。オベロンだって。大サービスで真名まで言ってやったってのによぉ?」

 

「そういう事を言っておるのではない!お主、認識阻害の魔術でも用いたのか?!お主が言うサーヴァントの名だけが聞き取れぬ!それに、その姿は何だ。人で無い英霊なんぞ居るものか!」

 

 いつもの余裕綽々な様子は何処へやら、焦り、余裕のない声で喚き散らすジジィにニヤリとする。人で無い英霊ねぇ……?確かに言い得て妙だ。本来サーヴァントとは英雄の死後、人々に祀り上げられ英霊化したものを、魔術師が聖杯の莫大な魔力によって使い魔として現世に召喚したものとされている。今、俺の真横に居るオベロンは、人々に祀り上げられていたとは言い難いだろう。

 

 それはそうだろう。何故なら彼は本来ならばこの世界では英霊たり得なかった存在だ。彼の出身はこの世界の汎人類史ではないのだから。別世界の汎人類史が白紙化され、先は無いと切り捨てられたブリテンの異聞帯にて生み出された終末装置。妖精王の役を羽織りし奈落の虫が彼の正体なのだから。人ではなく蟲。蟲ではなく装置。人々の信仰ではなく願望から生まれた彼は今、サーヴァントとして現界している。

 

「テメェの目にコイツがどう写ってるのかは知らねぇが、ちゃんとサーヴァントだよ。わざわざ詠唱をフルで行ってまで召喚したんだ。サーヴァントじゃねぇワケが無ぇだろ?」

 

 だがしかし、そんな世界線を超えた事情なんて知り得ないジジィは未だ喚き散らす。

 

「そこまで断言するのならばクラスを言うてみよ!」

 

「クラス……クラスねぇ?」

 

 その言葉に俺はくつくつと笑いが漏れた。さて、どうしようか?そのまま素直にプリテンダーと言ってもいいが、少し芸が無いようにも思う。……あぁ、そうだ。こうしよう。

 

「クラスはルーラー(プリテンダー)だ。どうだ?番狂わせには持って来いのクラスだろう?」

 

「莫迦な……!ルーラーじゃと……?!」

 

 そう。その顔が見たかった……!その余裕ない歪んだ顔。それにもしルーラーじゃないとバレたとしても問題ない。エクストラクラスだという事は嘘吐いていないからな。

 

「あぁ、そうだ。どうやら大聖杯は此度の聖杯戦争を異常な事態だと判断したようだぜ?」

 

「そんな訳無かろう!ルーラーは中立的立場の存在だ。そうだというのに一つの陣営、及びただ一人のマスターに味方するなぞ……」

 

「さぁ?大聖杯の意思なんざぁ、俺は知らねぇよ。そもそも俺が八人目のマスターとして途中参加出来た時点で既定のルールからは外れてんだ。今回はそういうもんだと割り切るしかないだろ」

 

 まぁルーラー云々は実際は嘘ばかりなのだが、知らぬが仏というやつだ。どうせ真実を知るやつは俺とオベロンしか居ない。ギルガメッシュ辺りにはすぐにバレそうだが、本人はここには居ない訳だからいくらでも嘘吐ける。

 

「と、言う事で俺は今後も好き勝手やらせてもらうが手出しすんなよ」

 

「一度は敗北しておいてそんな勝手が許されるとでも思っておるのか」

 

「あぁ、そうさ。テメェなんざ怖くねぇからな」

 

 俺の言葉が癇に障ったのかジジィのこめかみに少々青筋が浮かんだ。

 

「……少々躾が必要なようじゃのう?」

 

 そう言ってジジィが手に持つ杖で床をカツンと鳴らすと、ジジィの足元や蟲蔵の壁から大量の虫が集まり始めた。どうやらこのクソジジィは本気で俺を躾けるつもりらしい。

 

「躾だぁ?ハハハハハハッ!ボケるのも大概にしろよクソジジィ」

 

「その減らず口がいつまで持つかの?」

 

「あのさぁ……俺が今まで何もやってないとでも思ってんのか?」

 

「何じゃと?」

 

 驚きの声をあげるジジィを余所に俺は辺りに集中する。そしてただ一言()()()()

 

この場に居る全員止まれ

 

「っ?!!」

 

 俺の命令を聞いたジジィの動きが止まる。正確にはコイツの分身体を形成する蟲達が止まっただけなのだが、事態を理解出来ていないジジィの顔が驚愕の色に染まった。その優越感にニヤリと口角が上がるのを感じた。

 

「なぁ、臓硯さんよぉ?知っていたか?テメェが使役する蟲達は全員、個々の自由意思を持ってんだよ」

 

「─、───!」

 

「『何故、それが分かる』だって?これは俺の推論でしかねぇが、俺はかなり蟲の使役に特化した魔術師だったらしくてな。聞こえるんだよ。蟲達の声が。健気に俺を『王さま』って呼ぶアイツらの声がな。ほら、テメェの声も蟲を通して発しているから理解出来ているだろう?……あぁ、そうそう。この前、テメェが桜の事を道具扱いしやがっただろ。その時、本当は気付いてたんじゃねぇのか?激情していたとは言え、蟲の扱いは()()()()()()()()ってな」

 

 俺の推論にジジィは何も反応を示さなかった。無言は肯定と言う事で更に追い打ちを掛けさせてもらう。

 

「テメェの身体を形成するのはここに居る蟲達。その蟲が俺のことを王さまといって崇めてるんだ。ただの使役者であるテメェと、王である俺。どちらが上かなんて分かりきっていることだ。まぁ、あの時は感情的になっていて気付かなかったがな」

 

「────」

 

「『あり得ぬ』?いや、現にテメェは動けなくなってんだから信じろよ。あぁ!こう言った方が耄碌ジジィには分かりやすいか」

 

 何かを察したクソジジィが止めろ!と喚く声が聞き取れたが、俺は無視して言葉を紡ぐ。

 

散れ。二度とこの空間でその身体を形成するな

 

 途端にジジィの身体は足元から個々の蟲に分裂し、元の場所へと散って行く。ジジィは最後の意地で何とか身体を形成しようと足掻いているようだが、俺の強制力の方が勝るようで一向に完全体になる様子は見られなかった。

 

 こうして、ただキィキィと泣き喚くジジィの分身体の核であろう蟲を足で踏み潰し、この蟲蔵で新たなジジィの身体を形成されることはなくなった。外から身体を形成してからまた核となる蟲を放たれれば別だろうが、ひとまずは桜に接触させないことが目的なのでこれでいいだろう。

 

「随分と凄い事したねー、マスター?」

 

 足裏に付いた蟲の体液を払い中央で気を失っている桜を抱えていると、側に居た人ならざる姿をしたままのオベロンから声を掛けられた。

 

「あ?何がだよ」

 

「いくらマスターが彼らの王だとは言え、蟲の扱いはあちらの方が歴は長い。それに加えてこの蔵全ての蟲に命令するなんて相当大変だった筈だよ?」

 

 オベロンにそう説明され、あ、確かにそうだなとようやっと自覚出来た。ただ、確かにサラッとやったがあれはあくまでもジジィの油断を誘えたから出来たのであって、次はどうなるのかは分からない。

 

「いや、全然平気だ。それよりもオベロン。お前、その姿はどうした」

 

「んー?あぁ、マスターがいきなりヴォーティガーンの方で呼ぶものだからこっちの方が面白いかなって。マスターだってこの姿でルーラーって偽ったり結構ノリノリだったじゃん?だからそれに乗って認識阻害の魔術もしてあげたんだよ?」

 

 そう言うとオベロンは第二臨のお忍び姿に姿を変えた。てか、やっぱりジジィがオベロンの名前を認識出来なかったのはお前の仕業か。

 

「なるほど。道理であのジジィが真名を認識出来ないって慌てるワケだ。それと、ルーラーって偽ったのはあのクソジジィに素直に言うのもどうなんだって思っただけだ。どうせなら反応を楽しんでやりてぇしな。実際、あのジジィが慌てる様は面白かっただろう?」

 

「うーん、まぁね」

 

 あ、これどうでもいい反応だわ。まぁそりゃそうか。ジジィの慌てる様が見たかったのは俺だけだし。なら、オベロンにはアレを頼むとするか。時期がズレているからもしかしたらすれ違うかもしれないが、確認しておいて損は無いはずだ。

 

「なんだ、お前には不評か。なら、この話は終わりだ。それでだ、オベロン。今から柳洞寺に行ってくれるか?道案内は俺の使い魔にやらせる」

 

「マスター……僕に何やらせる気?」

 

 いきなりの俺のお使いを不審に思ってかオベロンの顔がこちらを疑うものになった。誤解を解く為、俺は理由をすぐに話す。

 

「んな大変な事じゃねぇよ。ちょっと現状の確認をしてもらいてぇだけだ。ジジィが桜の適合を早めようとしたということは他の企みも同時進行で早まった可能性があるからな。確認しておいて損は無いだろうと思ってだよ」

 

「なるほどね。本当に確認だけで良いの?」

 

「いや、もし柳洞寺でキャスターの存在や物干し竿のように長い刀を持ったアサシンの存在が確認出来なければ、あのジジィが居る可能性がある。その場合、何としてでもジジィの計画を邪魔しろ」

 

「了解。計画の邪魔をするだけで人助けとか姿隠しとかはしなくても良いんだね?」

 

「あぁ。俺の推測通りなら衛宮の奴が居るだろうが、余程の事が無ければ別に助けなくても良いだろうよ。姿は……まぁお前の動きやすいようにしろ。ここで見せた姿と向こうで見せた姿と違ってもあのクソの混乱を招けて一石二鳥だろ」

 

「・・・・。」

 

 俺の言葉を聞いてオベロンは何か言いたげな顔をしたが、特に言うこと無く蔵の外へと出ていったのだった。

 

「……じゃ、アイツに道案内は任せた。行き先は柳洞寺だ」

 

『リュウドウジだねー?分かったー!』

 

 彼が何を言いたかったのか疑問には思ったが、また後で聞けば良いかと思い直して、俺は道案内の為の使い魔を召喚してオベロンの元へと向かわせた。

 

 蔵から出て桜を彼女の部屋のベッドに運んでいる途中、気を失っていた桜が目を覚ました。気絶前と景色や状態が変わっている事を不思議に思ったのか、キョロキョロと辺りを見回していた。

 

「にぃ……さん……?」

 

「起きちまったか、桜」

 

 まだ意識も朧げで蕩けた瞳でこちらを見る桜に、いつもはしないが少しだけ微笑んで髪を撫でる。その動きに桜は気持ち良さそうに目を細めたが、俺はそこで撫でるのを止めて桜に言い付ける。

 

「よく聞け、桜。ここに居たらまたあのクソジジィに蟲蔵に連れて行かれるかもしれない。だから、着替えたらすぐにでも衛宮の所へ行け。そして暫くは衛宮の家で騒動が終わるまで帰ってくるな。あそこならすぐに手を出される事は無い筈だ」

 

「兄さんは……?」

 

「俺はまだやることがあるからここに残る」

 

「そんな……!嫌です兄さん。一緒に居てください!」

 

 悲痛な表情を浮べ、桜は俺の言う事を聞きたくないと主張してきた。

 

「我儘を言うな!お前、またあの場所に無理矢理連れて行かれたいのか!?この俺がわざわざ助け出してやってんだ。黙って言う事を聞いてろこのグズ!!」

 

「っ……!!」

 

 いきなりこんな事を言われて不安になってしまうのは分かる。だが、このまま家に居ればまたあのクソジジィが計画の為に桜を蟲蔵に連れて行き、黒聖杯として覚醒させるかもしれない。それは何としてでも避けたい所なので、桜には悪いが罵声を浴びせて無理矢理言う事を聞かせる。

 

「………………分かりました」

 

「フン……。最初からそう言え。手間取らせるんじゃねぇよ」

 

「すみません……兄さん」

 

「・・・・・・。」

 

 あぁ、クソッ……、桜にこんな顔をさせたい訳じゃねぇのにこんな言い方でしか言い聞かせられない自分に心底腹が立つ。そんなイライラが募るが、桜の前で出す訳にはいかないと桜に背を向け、代わりに入って来た扉を乱暴に閉めて八つ当たりする。

 

 荒ぶる気を落ち着かせる為、ブツブツと独り言を呟く。

 

「…………冷静になれよ、俺。まだそうと決まったワケじゃねぇ。俺がとことん邪魔してやって計画を阻止すりゃ良い話だ。手始めに、ま……ずは……??ゲホッ……」

 

 そんな時、急に痰でも絡んだのか声がガラガラになったので一度咳払いをしてみた。そして調子が戻ったかなと手についた唾を行儀悪く服で拭き取ろうとした時、俺は驚きで言葉を一瞬失った。

 

「は…………?何、だよ……コレ……」

 

 俺の手に付いていたのは唾でも痰でもなく、ドス黒い()であったからだ。





なんか、明らかに最初に練ってた構図とは違ってるなぁ……(他人事)。でも血を吐く描写があるの方が影(泥)と接触した結果の影響としてこじつけ出来るし良いかー、となったのでこのまま投稿しましたー。気に入らない人には申し訳ない。作者にはそういう気(性癖ともいう)もあるんや……

あと、今更かもですがこの小説のこれからのルートはあくまでもHFを参照して進行していく程度(映画と似たようなイベントが発生する等)なんで、完璧にHFルートに行く訳ではないです。原作を活かしきれない&紛らわしくてすみません……。だって、黒桜も出したかったんだもん……。二次元あるあるの執着増し増し女の子って良くない?あ、良くない?そうっすか…。

あと、慎二君の令呪のイメージ画像を貼っておきますね。(Google検索「令呪メーカー」にて探した画像)↓

【挿絵表示】



最後に。実は慎二君、どのルートに行っても泥による汚染を受けることは確定してるんですよね。パターンが異なるだけで。それでそのパターンの中の一つが今回の身体に出たヤツってワケなんですよ。一番オーソドックスなパターンですね。多分。
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