蟲使いの間桐君   作:寝仔猫

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今回はちょっとした説明回だからいっぱい慎二君が喋るよ!やったね、慎二君☆
※良い話題とは一言も言ってない


何を以って正義とするか

 

 影と接触してしまったが為に気を失った衛宮を抱え、俺達は衛宮邸へと向かっていた。そうして、衛宮邸の正面入口付近にまで来た時、そこで淡いピンク色の傘をさし白いワンピース姿で誰かを待って立っている人影を見かけた。

 

 映画の内容を覚えている俺は、その人影が己の義妹である桜であると知っていた。故にここは衛宮の代役として桜に声を掛ける。

 

「…………桜」

 

「兄、さん……?どうしてここに……?」

 

「俺としては来るつもりは無かったさ。だが、しょうがなくだ。柳洞寺でコイツが気絶しやがったからな」

 

 そう言って衛宮を抱えるオベロンの方を指差すと、桜の目線がそちらの方へ向く。そして衛宮の現状を確認して驚きに目を見開いた。

 

「っ?!先輩!!」

 

 傘を放り投げ一目散に衛宮の方へ駆け寄る。余程長い時間薄着の状態で外で衛宮を待ち続けたのか、冷気に晒され続けた素肌の所は殆どが赤くなっていた。特に手足の指の赤さは異常だった。早い所、身体を温めた方が良いだろう。

 

「兄さん、一体何があったのですか?先輩が、こんな傷だらけになるなんて……」

 

「その話は後でしてやる。中に入るぞ、桜。治療の道具も持って来い」

 

「あ、はい……兄さん」

 

 桜の疑問は尤もだったが、柳洞寺に居た頃よりも気温は冷え込み、雪も酷くなってきた。なので早く室内に入る事を促した。

 

 そうして衛宮邸の中に入り、気絶している衛宮を寝かし付けた後、居間にて桜に事の経緯を説明した。因みにオベロンには一応、衛宮を見ているようにと言っている。

 

 ただ、説明と言ってもオベロンに対するちょっとした説明と、衛宮の怪我の原因がクソジジィである事を話したくらいだ。いや、キャスターとセイバーが敗退した事も話したな。

 

「そう、だったのですか……。でも、先輩はもう、これ以上傷付く事は無いんですよね?」

 

「いいや、それは無いだろうよ」

 

「そんな……!どうして?だってもう、先輩はマスターじゃないんですよ?これ以上傷付く必要なんて無い筈ではないのですか?」

 

「衛宮はその程度で大人しくなる質じゃないのはお前も知っているだろう?それに、アイツは遠坂と同盟を組んでる。自分が駄目ならばと、遠坂に協力を持ち掛けるだろうよ」

 

「っ……」

 

 俺の言い分に心当たりがあったのか、それとも遠坂の名に反応したのか、桜は反論してこなかった。

 

「衛宮が傷付くのが嫌なら、お前が全力でアイツを止めろ。言っておくが、言葉だけじゃねぇぞ。持てる武器全てを持ってでも止めろ。でないとアイツは意地でも動く。そういうヤツだ」

 

「・・・・。」

 

「……少し長居し過ぎたな。衛宮が起きて事情を聞いても何も言うなよ。アイツに変な勘違いされちゃ溜まったもんじゃないしな」

 

 ある程度話したい事は話したので、そろそろ帰ろうかとした時、

 

「……兄さん」

 

 ギリギリ聞こえるか聞こえないかくらいの声で桜に呼び止められた。

 

「何だ」

 

「兄さんは、どうしてここまでしてくれるのですか?」

 

「別にお前の為にでもアイツの為にでもないんだが?」

 

 俺はまたか、と嫌な気持ちになった。俺が今までやってきた事全ては俺がこの聖杯戦争を生き延びる為。だというのに何故やる事成す事が全て相手の為だと解釈されるんだ。

 

「良いか?俺は聖杯なんて端から興味は無い。何故か分かるか?」

 

「いえ……」

 

「俺がこの聖杯戦争に参加したのはあのクソジジィを殺す為だからだ。決して、お前なんかの為じゃない。ジジィの計画にはお前が組み込まれている。お前がジジィに利用されれば碌な事にならない事を俺は知っているんだよ。そして、ジジィの計画が成就される事は俺の死と同義だ」

 

「兄さんが、死ぬ……?」

 

 桜がピクリと反応する。

 

「あぁ、そうだ」

 

「そんな……?!どうして、兄さんが死ななければならないのですか!だってお爺様は、兄さんを間桐の後継者に据えている筈では?!」

 

「その話、詳しく聞かせてくれないか?」

 

 桜が俺の言葉に反応し驚きに声をあげていると、居間の戸が開かれた。そしてそこに居たのは気絶していた筈の衛宮だった。それを見て俺は面倒なヤツに話を聞かれてしまったと眉を顰めた。

 

「衛宮……」

 

「なぁ、慎二。お前が死ぬとか、桜が臓硯に利用されるとか、一体どういう事なんだ」

 

「おい、()()()()。衛宮をこの部屋に来させない為に俺はお前に監視を頼んだ筈だが?」

 

「いやぁ~、僕も精一杯止めたんだけどね?彼、とても押しが強くて……」

 

「・・・・。」

 

 オベロンは口ではこう言っているが、雰囲気ではまるで反省する様子が見られない。つまりこれは真っ赤な嘘だってことだろう。そもそも、コイツが本気で衛宮を止めたのならば、あの時みたいに宝具を使って眠らせ続ける事は出来た筈だ。それをしてない時点で信用するに値しない。

 

 そういった意味合いを込めてオベロンを睨むのだが、彼はどこ吹く風で気に留める様子は無く、とても腹が立った。

 

「慎二。彼を責めるのは止めてやってくれ。俺が無理を言ってここに来たんだ」

 

「チッ……」

 

 お人好しもここまで来ると癇に障る。放っておけば良いものをコイツ、桜の事だけじゃなくて俺の事にまで首を突っ込もうとしてやがる。

 

「なぁ、慎二。答えてくれ」

 

「テメェには関係無ぇ話だ」

 

「そんな訳無いだろ?余程の事だから桜がここに居るんじゃないのか?」

 

「・・・・。」

 

 何でそういう所だけ鋭いんだコイツは。いつもの鈍さをここでも発揮しろよ馬鹿衛宮。

 

「……兄さん。私からもお願いします。あの話の意味を私も知りたいです」

 

 二人の真剣な雰囲気と意地でも絶対に引かないという態度に、俺は折れざるを得なかった。あーあ……。話すつもりは無かったんだがな。話さざるを得ないってか。

 

「アァ゙ーー!!もう、クソっ……!話してやるよ」

 

 あまりの不本意さに頭を掻きながらヤケクソ気味に話す事を言ってやると、分かりやすく顔色を明るくした二人に溜め息をつきたくなった。

 

「まず桜が利用されるという事についてだが、これはそのままの意味だ。あのクソの中では、桜は間桐家の正式な後継者となっている」

 

「そんな筈ありません!だってお爺様は次期当主は兄さんだと言っていました」

 

「悪いが桜。あのクソジジィが言う事は全てデタラメだ。アイツは一度も俺を当主だと認めた事は無い。例えあの課題を達成していたとしてもな」

 

「そんな……!?」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!桜は魔術を引き継げないんだろう?なのにどうして後継者云々の話を知っているんだ?!桜は魔術に関わりを持っているのか?」

 

 衛宮の横槍に、そう言えば陽動の為にそんな事言ったな、とあの日の自分の発言を思い出していた。

 

「兄さん?一体、どういう事なのですか?」

 

 事情を知らぬ桜がこちらに疑問を投げ掛ける。俺は少し拗れた陽動を解消させる為に種明かしをする事にした。

 

「悪いな衛宮。アレは陽動の為の嘘だ」

 

「なっ……?!嘘、だったのか……?それに、陽動って…………まさか!ライダーのマスターは桜だったのか?!」

 

「そういう事だ。勘が良いじゃねぇか、衛宮」

 

 衛宮の顔が驚愕の色に染まり、こちらを凝視した後、桜の方に真偽を尋ねるかのように振り向いた。振り向かれた桜はというと、事実であると証明するかのように申し訳無さそうに頭を下げた。

 

「それで話は戻すが、さっきも言ったようにジジィの中では後継者は桜となっている」

 

「それは何故なんだ?」

 

「聖杯戦争開始時点で令呪を持ったのが桜だったからだ」

 

「そんな……!じゃあ私のせいで兄さんはあんな事を!」

 

 桜が驚きに顔を上げ、何を勘違いしたのか俺があんな事(魔術訓練など)をするようになったのは自分のせいだと主張した。

 

「馬鹿な勘違いしてんじゃねぇぞ桜。自分に対して普段から殺意丸出しの奴を当主の座に据えるワケ無ぇだろ。だからお前にジジィはアレをした。間桐の秘術が二人に伝えられているのはそういう事だ」

 

 その言葉を両断し、次期当主として俺が挙げられていない理由を述べた後、本当はこういう事はイレギュラーなんだがな。と言うと、

 

「先輩。ごめんなさい……私は、先輩を騙して……」

 

 桜が苦しげな顔をして、衛宮に謝罪する。

 

「俺は平気だ、桜。桜は何も悪くない」

 

 間桐家の事情を知らぬ故にアレが何なのか分かっても居ない筈なのに衛宮はそう言って桜の側に寄り、震える桜の身体を抱きしめていた。

 

「…………あのさぁ、いちゃつくのは後にしてくれない?少なくとも俺が居ない所でやってくれ」

 

「「っ??!」」

 

 何てものを俺は見せられてるんだという気持ちになり、溜め息混じりにそう言うと二人の顔は真っ赤になり、慌てふためいて距離を取っていた。

 

 ふーん……?両方脈ありってか?ならとっととこの話終わらせて、俺は帰るとしますか。俺が帰った後はいくらでもいちゃついてろ、このバカップルめ。

 

「ここからが本題だ。間桐家の当主ってのはな、あくまでも表向きの名なんだよ」

 

「表向きの、名?」

 

「あぁ、そうだ。当主には裏がある。まぁこれはあくまでも俺が名付けたんだが……」

 

「勿体ぶらないで言えよ、慎二」

 

 五月蝿えな……。話には順序ってものがあるんだよ。急かす衛宮を睨みつけながら、俺は話の続きをする。

 

「……間桐臓硯の次代の(身体)。それが、間桐家当主が辿る運命にして、臓硯の計画の一部だ」

 

「「っ?!」」

 

 二人の顔が驚愕の色に染まる。特に、桜なんて顔色が真っ青になっている。恐らくは自身がジジィに乗っ取られる様を想像でもしたのだろう。その瞳は驚愕よりも恐怖の色が強かった。

 

「最後に。桜がジジィに利用され器を代えた暁には、俺は死ぬ」

 

「どうして?!どうしてそれが兄さんの死に繋がるのですか?!」

 

「単純な事だ。桜が俺よりも魔術師として優れてるからだ。……認めるのは癪だがな」

 

 二人揃って無言であった為、俺はそのまま言葉を続ける。

 

「今のジジィの器は死に掛けている。全盛期からは程遠いんだよ。だから魔術師としての才能が無い俺でも今は優位に立てている。だが、器が代わってしまえば話は違う。馴染まぬ内は勝てても時間が経てば、必ず負ける。そうなれば結果的に俺は死ぬ、ということだ。分かったか?」

 

「……臓硯の企みを阻止すれば、桜はもう、辛い思いをしなくても良いんだな?慎二だって、死ぬ事は無いんだろう?」

 

「…………そう単純な話なら良かったがな」

 

 アイツの計画を阻止した程度で終わるならばこうはなっていない。やるなら徹底的にアイツを殺して、桜の心臓から本体を取り出し、聖杯の欠片も取り除かなければならない。それに加えて桜が取り込んだ英霊の除去も作業に含まれる。たかが一人が足掻いたくらいじゃどうしようもないのだ。

 

「え……?」

 

「話はこれで終わりだ。今日はもう遅い。俺は帰る。行くぞ、ルーラー」

 

「了解、マスター」

 

「あ、おい待て!慎二!」

 

 話を無理矢理切り上げて立ち上がり、戸を開け帰る支度をする俺を衛宮が止めようとするが、それを無視して玄関へ向かう。

 

「慎二……!待ってくれ!なぁ、何がどうして単純な話じゃないんだ。お前がやろうとしている事は一体何なんだ!」

 

 無視し続けて玄関の戸へ手を掛けた時、無理矢理身体を引き寄せられた。あまりにしつこいので眉を顰めるが、衛宮は俺から聞き出すまで引くつもりはないようだ。

 

「……なぁ、衛宮」

 

「何だ?慎二」

 

「お前は()()()()だ?何を以て正義の味方とする?」

 

「え?」

 

「苦しむ人々全てを助ける事が正義か?身内の味方である事が正義か?それとも、愛する者の為に行動する事を正義の味方とみなすのか?お前は一体、誰の味方なんだ?なぁ……答えろよ衛宮」

 

「そ、れは……」

 

 俺の問いに衛宮は咄嗟に答える事が出来ないのか、彼は口を何度かハクハクと開くだけで、言葉にはしなかった。

 

「テメェがそんな中途半端な信念を抱えたままでこの聖杯戦争に挑むのならば、すぐさま臓硯に利用されるぞ。だからそんなモノ、さっさと捨てちまえ。足手まといにしかならん」

 

 何で俺がこんな親切に話してやらなければならねぇんだ、とは思うが、早い所衛宮には桜だけの味方になると自覚してもらわねばHFルートに行った場合詰むので仕方のない事だと諦める。ライダーも居ないしな。

 

「慎二はどうなんだ?」

 

「おいおい、自分が答えを出せないからって俺から聞こうってか?んで、俺も同じだって言うつもりか?」

 

「いや、そういう訳じゃ……!」

 

「冗談だっての。理想を裏切れない今のお前と俺じゃ、答えが合わない事は分かりきってる。んで、俺がどうなんだっつう話だが……」

 

 ゴクリ、と衛宮が唾を飲む音が聞こえた気がした。

 

「強いて言うのならば、俺は、今まで“俺の為の正義”を成す為に行動してきた。つまりは自己中心的な信念だ。まず自分を優先する考えだってことだな。俺はな、衛宮……自分の目的の為ならば悪にだって、はたまた忌み嫌う正義の味方にだって成ってやる覚悟を持ってんだよ」

 

「慎二……」

 

「悩んでいる時間は無ぇ。お前は一体、誰の味方としてこの聖杯戦争を戦うのか。それを決めるまでは決して行動するな」

 

「それは無理だ」

 

「はぁ?お前俺の話聞いてたか?中途半端な信念抱えてりゃ、クソジジィに利用されるぞってこの俺が親切に教えてやってんのに何で大人しく出来ねぇんだよ馬鹿野郎」

 

 特大サービスで警告してやってんのに何で大人しく出来ねぇんだこのブラウニーは。理解する脳が腐ってんのか?

 

「俺が動かないままで居たら、もっと聖杯戦争に巻き込まれる人間が増えるかもしれない。それは放っておけない」

 

「……は?お前、まさかまだ不特定多数の人々を救うとかいうくだらない正義を抱いて参加しようとしてんのか?」

 

「だが……」

 

「『だが』じゃねぇんだよ。さっさと捨てちまえって言ったよな?何故聞き入れない。何故そこまで偽りの信念を抱える。何故お前は身近に居る人物の気持ちを汲み取らねぇ!!そんな事をしていたら手遅れになるから俺の意見を聞けっつってんだよ!!」

 

 聞き分けの悪い衛宮に桜と同じ様な嫌悪感を抱き、その胸倉を掴む。そして反論の余地を残さぬよう早口で捲し上げてそのムカつく面を睨みつける。

 

「マスター、それ以上は駄目だ」

 

 そんな冷静さを欠いた俺の肩をオベロンは強めに掴んで、窘めてきた。少し冷静になった俺はすぐに掴んでいた衛宮の胸倉から手を離す。

 

 危なかった。オベロンがここで止めてくれなければ俺はとんでもない事を口走る所だった。せっかくここまで来たのに自分でパァにするなんてとんだ愚行だ。

 

「クソッ……。やっぱりテメェは気に食わねぇ。勝手に偽りの理想を抱いて勝手に一人で溺死していろ。この大馬鹿野郎が」

 

「待ってくれ!慎二……っ!」

 

 今度こそ引き止める衛宮を力強く戸を閉めることによって物理的に無視し、俺は帰路についた。帰路につく途中で、オベロンにある事を尋ねる。

 

「なぁ、オベロン」

 

「何だい?マスター」

 

「お前は衛宮の事をどう思う」

 

「難しい事を聞くね……。初見のイメージでも良いかな?」

 

「構わない。お前の眼にアイツはどう映る?」

 

 そう聞くとオベロンは少し考える素振りを見せた。そして暫くの沈黙の後に、彼は口を開いた。

 

「やっぱり異聞帯の記憶があるからさ、最初彼を見た時は、村正じゃんって思ったんだ」

 

 そりゃそうだろうな。だってアイツはアーチャーでもあり、この世界の主人公でもあり、村正の依代となる存在なのだから。

 

「でも、アレは中身()が違う。無い、とまではいかないけどアレは人間というよりも、人間になろうとするロボットに近かった。マスターが怒りを覚えたのも無理はないよ。一般人を心配していたあの時の彼の心は、本心であり偽りでもあった。心底気持ち悪く感じたよ」

 

「やっぱりな。アイツは端から壊れている奴だった。そういうキャラクターだとかどうとか関係無く接していく内に俺は、嫌でもアイツの逃れられない運命を悟らされたんだよ。勿論、俺自身もな。そしてそれを知っておきながら、何も出来ない自分にも怒りを覚えた」

 

「マスター……」

 

 自分だけがこの世界の未来を、主要な人物の人物像を知っている。未来だけならばまだ良かった。だが、人物像を知っているのが一番駄目だった。接していく内にその解像度が深くなってしまったのだ。ただの傍観者であったならば抱かなかった感情。言葉にし難い感情を、近しい言葉で言うのならばそれは、

 

 

───同族嫌悪、と言うのだろう。

 

 

 ……そうだ。もうそろそろ認めよう。俺は良くも悪くも優しい人間と分類される者だった。根本が自分の為だったとしても、結局は身内と認めた人間にはとことん甘かったのだ。自分の為の天秤の中に、身内を含めていた。でも、そんな俺と衛宮とでは違う所がある。

 

「でもそれ以上に、衛宮と接していく内に俺は、自己犠牲の精神は大っ嫌いだと気付いた。さも当たり前のようにそれを行うアイツが俺は心底嫌いだ。だからこそ俺は、この聖杯戦争で衛宮(ロボット)を殺す」

 

「本気かい?マスター」

 

「あぁ、本気だとも」

 

「そっか。それがマスターの意思ならば、僕は協力するよ」

 

「……ありがとう、オベロン」

 

 本当に心強い味方を喚んだな、と思い感謝の気持ちを素直に口にすると、オベロンに何故かとんでもないモノを見たという顔をされた。

 

「……んだよ。何かおかしな事言ったか?」

 

「いやぁ~、まさかマスターが素直に感謝を述べるとは思わなくてね。明日は槍でも降るのかな?」

 

「はぁ?!人が感謝してやったのに何だその言い草!!サーヴァントのクセに生意気言うんじゃねぇぞ!」

 

「ごめんごめん、許してよ。マスター」

 

 あまりの酷い言い草に怒り散らすと、オベロンはケラケラと笑いながら形だけの謝罪をしてきた。こちらの怒りを何ともないとでも言うかのように、のらりくらりと躱すコイツのこの態度には心底ムカつくが、それでも心強いのは確かなので水に流す事にした。

 

「……マスター、これからどうするつもり?」

 

「暫くは様子見の予定だ。だが、柳洞寺での動きから考えればまた今晩にでもアインツベルンの元に乗り込むかもしれない。警戒は怠らないようにしねぇとな」

 

「じゃ、マスターは今晩に向けてしっかり休んでおかないといけないね」

 

「ん?あぁ、まぁそうだな。だからこうして帰っているワケで……」

 

 急にオベロンがそんな事を言うものだから何故今なんだ?と疑問に思ったが、取り敢えずは肯定しておくか、と肯定を口にした途端にオベロンに抱きかかえられた。

 

「……って、ちょ、おい!何してやがる!」

 

「こうした方が早く帰れるでしょ?マスターも疲れないし、一石二鳥だよ?」

 

「そういう話じゃねぇって!降ろせよ馬鹿!」

 

「や〜だよ。あんまり暴れると舌を噛むよ?マスター」

 

 オベロンが俺を抱きかかえるとお姫様抱っこしかしない為、物凄く恥ずかしいので何とか降ろしてもらおうとするのだが、オベロンは全く言う事を聞く素振りを見せなかった。結局、降ろしてもらおうことは叶わず、俺はそのまま帰宅する事となったのだった。





何かもう最初の文字数からは考えられないくらいに長く書くのが当たり前になってきたなぁ。流石に一万字を越えたら最終確認が面倒なんでそこは越えないようにはしているけどまとめるの難しい…。どんどん文字数が増えていくぅ…

次回からはHF第二章の内容に入っていく予定です。まだまだ先は長いですが、今後ともよろしくおなしゃす。

最後に、お暇であればアンケートに答えて下さいな。内容は他ルートでのオベロンの登場についてです。きっかけは、あまりにもこのルートでのオベロンと慎二君の親和性(相性)が良すぎて他ルートでも出してみたいなー、みんなはどう思ってるんだろーって、疑問に思ったからですね。

他ルートにてオベロンの登場は?

  • あり
  • なし
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