今回、題名にある通りかなりの捏造増し増しとなっております。が、余程の「それは無理だろ」的な展開にはなってはないとは思いますので、どうか見逃して下さい…。
ただ、もし型月設定的に完全にアウトだったら指摘をお願いします。すぐには難しいでしょうが、直す努力は致しますので…。
柳洞寺での出来事の後、俺は自室にてジジィの動きを探っていた。とは言っても日の光を嫌うジジィは昼間はそれ程動けないのを知っているので、そこまで気を張ってはいない。それよりも
「マスター?そろそろ日が変わるよ。一体何をしているんだい?」
休み無く作業をしていた時、オベロンに肩を叩かれ久しぶりに顔を上げた。時計を見ると本当に日付が変わりかけており、どうやら丸一日の間、ずっと作業をしてしまったようだ。外の景色は柳洞寺から帰ってきた時よりすっかり変わりきっていた。
「あぁ……もうそんな時間か。結構ギリギリだったな」
「んー?何が?」
オベロンの疑問に答える為、俺はつい先程完成したあるモノを見せる。
「それは?」
「言うなればありきたりな回復薬だ。この間、衛宮に飲ませたヤツがあっただろう?あれの完成版って所だ。ある程度の致命傷もそれなりに治せるくらいの効力がある」
「え?それヤバくない?傷口塞ぐだけでも凄かったのにそれ以上のモノを作っちゃったの?」
オベロンが驚きに普段は出さないようなガチトーンで疑問を口にしていた。
「その疑問は尤もだが、そんなに万能なモノじゃねぇぞ。これは確かに致命傷でもそれなりに治せるくらいの効力はあるが、それはあくまでも問題の先送りをしているだけだ。効力が切れてしまえば戻ってしまう不出来な延命薬だよ」
「いやいや、それでも凄いよ。それがあれば傷が無い内に動く事だって、治療を受ける事も出来る。つまりは最高の手札だよ、それ」
オベロンはそう褒めてくれるが、少々勘違いしているようだ。俺は訂正を入れる。
「言っておくが、コレを使うのは俺じゃないぞ」
「え?どうしてだい?それは持っているだけでも凄い切り札に成り得るかもしれないのに?」
「そいつを使って、ある奴を延命させたいんだよ」
「一体誰に?」
俺はニヤリと口角を上げ、問いに答える。
「
妖精眼にて俺の言葉の真意を読み取ったのかオベロンは『なるほどね』と言って、それ以上深く聞いてくる事はしてこなかった。本当、こういう隠し事には向いてるよな、妖精眼って。まぁ、欲しいとは思わねぇが。
そんなやり取りをしていると、屋敷が大きく揺れた。
「やっぱりギリギリだったな。完成して良かったぜ」
恐らくこれはバーサーカーと黒セイバーが殺りあった為に生じた地震だろう。窓から外を確認してみると、普通ではあり得ない赤黒い光の柱や、周りの森がチラホラ燃えている様子が見えた。想定よりやはり一日早かったが、そろそろ行くべきだろう。
「まさかマスター、あの戦闘真っ只中の所に行くつもりかい?」
立ち上がり、燃えている森の方向を見る俺にオベロンが声を掛けてきた。
「いや、そうじゃない。厳密には終わった後だ。この後、アーチャー達が死に掛ける場面が来る。その場面に立ち合わせて居たライダーの代わりを俺らが務め、そこでアーチャーに一仕事してもらおうっていう算段さ」
「マスターも悪い事するね。それって殆ど拒否権無いじゃないか」
「出来る手は何でも使うのが俺だ。原作改変なんざもう気にしねぇよ。ほら、行くぞ」
「はーい。仰せのままに、マスター。抱きかかえられて行くかい?」
「行かねぇよ。走って行くぞ」
「えー?」
そういうとオベロンから不満の声が漏れたが、俺はそれを無視して窓から飛び降り、目的地へ駆けて行った。
ーーーーーーー
そうして目的地へ着いた時、丁度アーチャーが自らの左腕を斬り落とそうとしている場面であった。何とか間に合ったようで一安心した。ホッと息をつく間もなくオベロンがアーチャーに声を掛けた。
「本当にその腕を斬り落とすつもりかい?」
アーチャーはピクリと反応した後、こちらに振り向いた。そして俺達の姿を確認した瞬間、身体はもう限界であろうに投影を行い、警戒の姿勢を取ってきた。
「何者だ、貴様……」
「僕?僕は
「な?!八人目だと?一体誰に喚ばれた」
「俺だ、アーチャー」
「間桐、慎二……?!」
誰に喚ばれたのか、という疑問に答える為、オベロンの後ろから姿を現すと余程想定外だったのか、アーチャーの目が見開かれた。
「よぉ。随分とまぁボロボロの格好になってんじゃねぇか」
「貴様、敗退した筈では……今更何をしにきた」
「そんな警戒すんなよ。俺は別に漁夫の利をしにきたワケじゃねぇよ」
そう言って俺は、アーチャーの元に先程完成したばかりの薬を投げる。警戒はしているようだが、何とか受け取ってもらえたようなので上々である。
「何だ、これは」
「俺特製の回復薬。別に毒なんかは混ぜてねぇからしっかり飲み干せ」
「・・・・。」
いきなり現れた俺を警戒してなのかアーチャーはすぐには薬を飲もうとしなかった。まぁ、そりゃそうだわな。敵であろう奴からの薬なんて疑って当然だし。だが、それでは一仕事はしてもらえないだろうし、何よりこのまま消えられれば衛宮が死にかねない。それだけは避けたい所だ。
「何だよ。怪しくて飲めねぇってか?なら、実演してやるよ。イリヤスフィール、そこを退け」
俺は効果の保証をする為、一番重症で今も尚血を垂れ流し続けている衛宮の元に近付く。
「シロウに何するつもりなの」
「延命処置だ。別に衛宮を死なせたいんなら退かなくても良いが?」
「…………シロウに何かしたらすぐにでも殺すから」
「おぉ、怖い怖い。安心しろ。別に殺しはしねぇよ」
「っ──、──?」
起きているのも辛いだろうにこちらに虚ろな目を向けて、声の出ないまま喋ろうとする衛宮の姿は、見ていて痛々しく思えた。
「ちょっと寝てろ、衛宮。お前には生きてもらわねぇと俺が困る」
なので、その言葉を遮って、先程アーチャーに渡したモノの下位版を衛宮に飲ませた。下位版であっても薬の効果は絶大で、衛宮の出血が止まった。それを目撃したイリヤとアーチャーの目が驚きに見開かれる。
「ほらな?毒じゃねぇだろ?分かったらさっさと飲めよ、アーチャー。テメェにも今消えられるとこっちが困るんだ」
そういうと漸くアーチャーは渡した薬を全て飲み干した。先程の不安定な魔力量から一転して安定した魔力量になったようだ。これならば一度くらいの投影は出来るであろう。
「さて、アーチャー。ちょっと薬の礼として一仕事してくれないか?」
「そもそもこちらに拒否権は無いのだろう?ならばさっさと要件を言え」
「さっすがアーチャー。理解が早くて助かるよ」
俺が上機嫌にそういうと何故かアーチャーはこちらをなんとも言えない微妙な目で見てきた。
何だよ。そんな自分の知る間桐慎二と違い過ぎて驚いてんのか?確かにだいぶ違うだろうが、擦り切れた記憶でも分かるもんなのか?
そんな事を思っているとオベロンから念話が入る。
『マスター。アーチャー、外面では素面を保っているけど、かなり内心荒れてるよ。二重人格かと思うくらいに本心が散らかってる』
なるほど。道理でなんかアーチャーらしからぬよく分からない微妙な目でこちらを見てくる訳か。妖精眼を持たない俺には何を考えているのか全く見当もつかないが、まぁ恐らくは知らぬが仏ってヤツだろう。混乱している奴には少し申し訳ないが、このまま一仕事してもらえるよう交渉するとしよう。
「それで要件なんだが……お前が左腕を斬り落として消える前に一つ、武器をお前の魔術で作って欲しい」
「貴様、何故私の魔術を知っている」
「俺ァ、ちょっと特殊な成り立ちでね。そちらの情報に少々精通してんのさ。だからよぉーく知っている。アーチャー、お前の真名も、この先の行く末も少々……な?」
「な───っ!?」
良いねぇ……。この間の王様にゃ、こちらがひたすらに驚かされてばっかりだったがこうやって上位者ぶって煽るのは気持ちが良い。まぁ、時間が無いのでこの辺で止めておくが。
「ここで色々話してやっても良いが……それには少し時間が足りねぇな。さっさと要件を終わらせてしまおうぜ。モタモタしてると薬の効果が切れちまう」
「…………了解した。だが、私はいずれ消える身だと分かっている筈だ。何故私に頼む」
「お前は消えても衛宮に移植する予定の左腕は残るだろ。それならば投影の効果も継続するんじゃねぇかと思ってな。お前が扱う投影は他とは違うだろう?」
「そこまで知っているのか……」
「そうだ。と言うことで投影してもらいたい武器なんだが、『
俺が投影してもらいたい武器の名を挙げると、アーチャーは考える素振りを見せた。恐らくは擦り切れた記憶の中からソレを探しているのだろう。数秒の沈黙の後に彼はこう言った。
「すまないが、私の擦り切れた記憶ではその名には心当たりが無い。力にはなれそうに無いな」
「マジか……」
想定外だった。劇中にて『
「それ、本当に君の記憶の中にあるモノでしか出来ない?」
「基本的にはそうだ。投影は言うなれば本家の劣化コピーだ。元を知らなければ出来やしない」
「基本的には、なんだね?ならマスターの記憶から取り出す事は可能かな?」
「はぁ?!」
オベロンのまさかの提案に俺は驚きの声をあげた。俺の記憶から投影?!どんな荒業だよ。そもそも出来るのか?!
「……試したことはない。だが、理論上だけならば可能性はあるだろう。成功する確率は無いに等しいがな」
「おいおいマジかよ……。だがまぁ、背に腹は代えられねぇ。どうやれば可能なんだ?」
「私が一度、君に
「…………やる。時間は残ってないし、背に腹は代えられないんだ。失敗すれば死ぬなんて事、今まで何度も経験してきた」
変な記憶まで覗かれる可能性があるのが少し懸念点ではあるが、先も言ったように背に腹は代えられないし、時間がとにかく無い。少しでも可能性があるのならばやってやるとも。『
「……そうか。ならばすぐにでも始めよう」
「あぁ、頼んだ。……余計な記憶は読むんじゃねぇぞ」
「それは君次第だがまぁ、善処しよう。私としても藪蛇は踏みたくないのでね」
そうして、アーチャーが俺に
「…………
「ゔ、ぐ……」
外部から別の魔力によって自身の内部を探られる感覚に一瞬嫌悪感と痛みを覚え、うめき声が漏れた。だが、これくらいで弱音は吐いていられないし、俺は俺でより正確な投影にするために実物の記憶を強く意識せねばならない。
あの日見た『
長さや大きさとしては短剣と言えるくらいのもの。しかし、刀身は稲妻のように歪に曲がっており、七色に鈍く光っていた。最後にその性能だが、それは、
「ま、だ……か?アー、チャー……」
「まだだ、もう少し掛かる。今イメージしている事で良い。そのイメージを繰り返せ」
「は、やく……しろっ……、も、吐きそ……」
クッソ……。これでもかなり苦痛に耐えながら明確なイメージを浮べている所なんですが?本気で吐いて良いか?なんて、身に迫る痛みに弱音を吐きたくなったが、そうはいかない。視界に映るのはまだ薄っすらと形成されただけの状態だったからだ。この調子じゃ駄目だ。耐えろ、そしてもっと強くイメージし続けろ、俺。
それから同じ記憶を何度も壊れた再生機のように意識し続け、記憶から投影する事が出来た。アーチャーの左手に握られている『
アーチャーの瞳が見開かれた。その後、空気を読んでかその後すぐさま同調を切ってくれたが、事情を話せと言わんばかりにこちらを見ていた。
「あー……、黙秘権を行使してもいいか……?」
気まずさから目を逸らして俺は黙秘を選ぼうとした。
「良いと言うとでも?」
が、やはり認めてくれないようである。俺らの雰囲気が変わったのを察知してかイリヤも何事かとこちらを見てきていた。
「ですよねー……。でも、語りようが無ぇんだよな」
「何だと?」
アーチャーの顔がさらに険しくなった。
「まず、お前に話したとて何になる。これは一英雄如きが飲み込める事象じゃない」
「それでも話されなければ飲み込めるものも飲み込めん」
「確かにお前の言う事は尤もだ。だが、やはりこれは話せない」
この身に起きているのは、説明も事態の収集も一筋縄ではいかない事象だからだ。
「ならば力ずくでも聞き出す」
「悪いけれど、それは無理な話だ」
「何……?っ、ガハッ……!!?」
「なっ?!お前……!」
アーチャーが口から血を吐いた。これは彼の後ろからオベロンが作製したであろう武器を用いてアーチャーの背後から刺したからだ。流石にこれには驚かされた。まさかオベロンがこんな事をするとは思ってなかったからだ。適当な事を言って逃げるつもりだったのにこれでは事態が余計に悪化してしまうではないか。オベロンは一体、何を考えてやがるんだ?!
「悪いけど、投影とやらが終わった時点でこちらの用事は済んでるんだよね。こちらとしてはこれ以上情報を明かしたくないし、とっととその左腕を斬り落として、そこの気絶している彼に移植してくれない?」
「ま、待てっ……、ルーラー!そこまでする必要は!」
「マスターに敵意を抱いた時点で僕にとっては敵だ。それに、同盟を組んでもいない他のマスター達が居る前で自分の秘密を話すなんて言語道断だからね」
「っ……」
オベロンの正論に、俺は黙る事しか出来なかった。確かにそうだ。俺は衛宮とも遠坂ともましてやアインツベルンとも同盟を組んでいない。むしろ対立していると言ってもいい。アーチャーは消え、衛宮は気絶しているとしても他の二人は違うからな。
「さ、マスター。
「ま、て……!まだ話は、済んでいない」
「そっちにはあってもこちらには無いんだよね。そこのお嬢さんもそろそろ起きそうだし、起きたらさらに面倒な事になりそうだからこの辺でサヨナラさ」
止めるアーチャーを気にする事無くオベロンはアーチャーから目的のモノを奪い取る。
「なっ……!おいルーラー、止めろ!まだ話が済んでないだろ!」
「悪いけどこれ以上は本当に駄目だよ」
そしてそのまま流れるように俺を抱えると、俺の静止の声を聞き入れること無く暗闇の中へと駆けて行く。
妖精眼を持たない俺には彼があの時、一体アーチャーの心理から何を読み取り、何をその心に抱いたのか分からない。けれども月明かりに僅かに照らされた彼の横顔に、彼が何者かに対する怒りを抱いているのを俺は見た。
お気に入り、八千人超えありがとうございます!!ここまで多くの方に見ていただけると思ってなかったので、作者の心にはいつも某猫ミームのネコちゃんが舞っております(笑)
さて、今回は少し前に皆様に見過ごしてもらったあの薬の上位版(期限付き)を出させていただきました。こうでもしないとアーチャー、すぐに消えちゃいそうだったので……。ホント、もっと良い感じにアレンジ出来なくてすみません。それと、本当に申し訳ないのですが、士郎君に腕士郎になってもらう為にアーチャーにはこれにて退場してもらいます。その代わり、きちんとした描写は無いかもしれませんが、アーチャーにはきちんと十全な状態で凛ちゃんとお別れをした、という形に変更させてもらってます。
あと、ルールブレイカーを作製してもらう為にこういった形を取らせてもらいましたが、大丈夫ですかね……?流石に無理と言われてもこの小説内でルールブレイカーを見たことあるのは、慎二君とカルデアに居たオベロンくらいしか居ないんで修正は無理ですし(一応直す努力はするつもりです)、こういう形でいけるかなと思ったんですが……。映画で記憶から宝石剣投影してたし、ワンチャンいけません……?
最後に、前回取ったアンケートの結果なんですが、意外とオベロン登場容認派が多くてびっくりしてます。作者的には結構嬉しいっスねぇ……、オベロン大好きなんで。まだまだ先の話にはなるとは思いますが、番外編や分岐を書き始めたらオベロンの登場が恒常化するかもしれませんね。
ー追記(2/18)ー
感想欄を見る限り、ルールブレイカー投影の件も回復薬の件も大丈夫そうなんで、このままで行きますね。
他ルートにてオベロンの登場は?
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あり
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なし