これでまだ映画序盤の内容とは……ハハッ☆随分とまぁ先が遠いネ。
※桜の中の蟲を除去するイベントは発生していない為、言峰綺礼に令呪はまだ残っています※
ランサーからの言伝に従い、俺は教会を訪れていた。教会の門は開けっ放しになっており、どうやら衛宮はちゃんと教会に助けを求めたようだ。かなり乱暴な言い方ではあったが、伝わっていたようで何よりである。
「マスター、ランサーが言ってたコトミネって人物は信用出来るの?」
門を通り、教会へ向かう途中でオベロンに言峰について尋ねられた。
「あー……そう言われるとちょっと微妙だな。誰よりも熱心な教徒ではあるんだが、性格が難ありでな」
「性格が?」
「そ。アイツは善よりも悪を愛し、他者の苦痛や不幸に悦を感じる生まれながらの欠陥者。だけど良識は持ってる。そんな奴なのさ」
「本当に難儀な性格だねぇ……」
「だけど、お前の性質程じゃないだろう?」
事実しか言えないお前よりな。と考えていると、オベロンは俺の頬を思いっ切り抓ってきやがった。
「マスター?あのさ、言って良い事と悪い事があるの分かってる?」
「
「勿論するとも。寧ろこうでもしないとマスターは学ばないだろう?」
そんな訳あるか!子どもじゃあるまいし。そんな意図を込めて睨み付けて漸くオベロンは手を離してくれた。心做しか頬が少しヒリヒリする気がする。
そんなやり取りをしている内に、教会の扉前まで辿り着いた。オベロンには霊体化して側に控えるように指示し、俺は扉を開ける。
「よく来たな、間桐慎二。歓迎しよう」
扉を開けた先に居たのは案の定、前回の聖杯戦争の参加者であり、ランサーの現マスターでもある、型月界隈では愉悦神父として有名な言峰綺礼が祭壇の前に立っていた。
「歓迎も何も呼んだのはそっちだろうがよ。要件は何だ」
俺としてはさっさと要件を済ませてしまいたかったので、扉の前から動かずに居た。
「なに、あり得ない八人目のマスターの存在が気になってね。話をしたいと思っただけさ」
「ギルガメッシュにでも何か聞いたか?」
「ほう?知っているのか。やはり興味深いな」
ギルガメッシュの名を挙げると、何を彼から聞いたのか言峰はこちらにゆっくりと近付きながら小さく笑みを浮かべる。その姿に俺は、何故だか背筋がゾッとした。
「っ、んなのはどうでも良いからさっさと要件を話せ。俺は忙しいんだよ」
「そう急く物でもあるまい。それに、私としては君の治療の方が第一優先事項だとは思うがね?」
「何故お前がそれを知っている」
情報が漏れたか?それともランサーにこちらを監視させていた?どちらにせよ何故俺が負傷している事を知っているのかが分からず、不気味に感じた。
「衛宮士郎が凛の治療が済み次第、間桐慎二の治療もしてくれと五月蝿くてね。こうして彼を使って君を呼んだという訳だ」
なるほど。あのお人好し野郎がペラペラと話したって訳か。面倒な事をしてくれたもんだ……。というか、
「それ、お前がランサーのマスターだと公言しているも同然なのは分かっているのか?」
「勿論だとも。君はもう世界の行先を知っているのだろう?ならば今更隠す必要はあるまい」
即答と言える速さで肯定の返事が帰ってきた。つまりはギルガメッシュが持ってる情報の大方がコイツに渡っていると考えて良いだろう。そう考えて俺は更に警戒心を強めた。
「そこまで知ってやがるのか」
「とは言っても私が知るのはあくまでも、かの王が話した事だけだ。では、治療に移ろうか」
そんな俺を余所に、言峰は距離を詰めてくる。
「結構だ」
思わず後退したくなったが、そんな様子を見せるのは言峰の思うツボなので踏み留まって拒絶の言葉を口にする。
「そう言わず、大人しく治療を受けた方が賢明だと思うが?立っているのも辛いだろう?」
「テメェに何が分かるってんだよ。俺はこの通りピンピンして……ちょ、オイっ!触んなって……ぃ゙ッ!!」
拒絶するのだが外道神父はそんな事は知らんとばかりに、服をたくし上げると、患部を思いっ切り触って来た。それもかなり大胆に、だ。お陰様で漸く引いていた筈の痛みを自覚する羽目になってしまった。それに、俺の痛みに歪む顔を見た言峰の口角は小さく弧を描いていた。人の痛む表情を愉しんでいるのが丸わかりである。
「ほう……?これはまた興味深い怪我を負っているな。これほどに汚染されて尚、まだ正気を保っているとは。君も私や衛宮士郎と同じ破綻者という事かね?」
「はぁ?テメェや衛宮と俺が同じ破綻者だぁ?そんなワケねぇだろ。俺は
外道神父や衛宮と同じ括りにされるのは我慢ならなくて俺は触って来た手を乱暴に振り払い、断じて同じではないと否定する。
冗談じゃない。方や外道神父や方や人間になろうとするロボットと俺の精神性が同じだって?そんな訳ない。俺は自己犠牲の精神は大っ嫌いだし、他人の不幸に愉悦を感じるような外道に成り下がった覚えはないのだから。
「ふむ……では、汚染を受けても尚正気で居られる理由はその特殊な出生のお陰だとでも言うのかね?」
「んなの知らねぇよ。少なくとも俺はまだ正気だ。そもそも桜を救い出すまでは俺は俺で居るさ。発狂なんてしてられねぇ」
それが俺が間桐慎二としてこの世界に生まれ、あるべき物語を引っ掻き回した
「…………なるほど。その精神性は、ギルガメッシュにも勝る強さだな。やはり血の繋がりはなくとも似ているな。流石兄妹と言った所か」
そう言って言峰はくつくつと小さく笑った。つくづくこちらの激情を誘うような言い方しかしない奴だ。だが、それで反応してしまえば、それはそれで言峰の手の上で踊らされるだけだ。なるべく無反応で、話をこちらに持っていけばそれで良いんだ。そう自分に言い聞かせる。
「血の繋がりなんざ、俺は気にしねぇ質なんでな」
ただし色事は除く、という事は心の中だけに留めておく。
「あ、そうそう。治療の件だが、お断りさせて頂く。その代わりに俺と協力関係を組む、もしくはランサーのマスター権を譲渡してもらいたい」
「協力関係とな?」
「あぁ。衛宮がここに居るだろう?アイツは起き次第、イリヤスフィールを救出する為に今夜にでもアインツベルンの城へ向かうだろう。アンタには、そこまでの足になってもらいたい」
「随分と衛宮士郎の今後の行動を具体的に言うではないか。もしやそれがギルガメッシュの言っていた千里眼に近しい未来視かね?」
俺はこの言葉を肯定するべきか少し迷った。厳密に言えば、これは未来視でも千里眼でも何でも無い。だが、今後の出来事を言い当てる、という点ではそうであると言えるからだ。少し迷ったが、取り敢えずは曖昧に肯定をしておく事にしよう。
「……まぁ、似たようなものだ。それで?協力してくれるのか?」
「私に利益が無いように思えるが?」
「おいおい、利益を気にする口か?そうだな……。アンタ、衛宮士郎に衛宮切嗣の影を重ねてるだろ?」
「何故それを……」
衛宮切嗣の名に言峰は反応を示し、ほんの一瞬余裕そうな表情が崩れ、こちらに詰め寄ろうとしてきたのを俺は手で制す。
「ギルガメッシュに言われなかったのか?俺はこの聖杯戦争に関わる奴の事なら何でも知っているんだぜ。なんなら、前回の聖杯戦争についてだって、大聖杯の中に眠る奴の事だって知っている」
「ふむ……ならば何故私を殺さない。君の言う通りならば、私の願いが何なのかは、もう知っているだろうに」
「俺としてはそうしたいのは山々なんだがな?それをしねぇのは単純に、俺はお前に勝てないからだよ。だからこうやって、協力だけでもしてくれないかと提案しているワケだ」
衰えたとは言え、アンタのような人外みたいなフィジカルを持った人物にタイマンで勝てるような人間じゃないのでね。それに、言峰綺礼を
「なるほど。ならばその提案には承諾しかねるな。私に利点が無い」
「ふーん、そうかよ。ま、あのジジィが居なくなった以上、協力が望めないのは分かっていたけどな」
「なに……?待て。間桐臓硯は死んだのか?」
衛宮に対する協力を持ち掛ける事は出来ないと悟った俺は、教会から立ち去ろうとしたのだが、言峰に呼び止められた。
「あぁ、死んだ。聖杯として覚醒してしまった桜が、本体を握り潰したのさ。云百年を生きた化け物だったが、とうとう年貢の納め時だったらしくてな。無様にその命を散らして行ったよ」
「それは本当かね?」
「信じられねぇならそれでも良いぜ。どうせ現場を見たのは俺と桜しか居ねぇし」
俄には信じ難いのだろう。妖精眼なんて使わなくても分かる程に、こちらを疑う瞳をしていた。
「ま、とにかくあのクソジジィは死んだっつう事は覚えといてくれや。……あ、そうだ」
「何かね?」
まぁ、そりゃすぐには信じられねぇよな。ならまぁ、ジジィが死んだ事は伝えたし、今度こそ帰りますか。と考えた時、言峰がイリヤ救出に協力しなかったら、衛宮が一人で暴走することになるのでは?という考えが頭に過った。
「衛宮の居る部屋は何処だ?」
なので、予定を変更して急遽、衛宮と共にイリヤの救出に向かう事にした。
「衛宮士郎ならば、そこの角を曲がってすぐの部屋に居るが……。いきなりどうした。君は帰りたがっていただろう?」
いきなり行動を変えた俺を不審に思ってか、言峰が理由を聞いてきた。
「さっき言っただろ?俺にゃ、アイツの今後の行動がある程度分かるんだ。そうでなくともアイツがイリヤスフィールを救う為に暴走する事は目に見えているんでね。俺がブレーキとなってやらねぇとな」
「随分と確信しているのだな。衛宮士郎がイリヤスフィールを救出に向かう事を」
「何年も共に行動していれば嫌でも分かってくるんだよ。こういうのはな」
「……そうか。では、君の未来に幸あらん事を」
そう言って言峰は衛宮の居る部屋とは別方向の方へと歩いて行った。その際に何か言いたげな視線を向けて来ていたが、特に何も言うこと無く何だか意味深な言葉を吐いてきたのは少し気になった。だが、だからといって今すぐに何か変な事をする目線ではないだろうと判断し、俺は衛宮の居る部屋へと行こうとした。
「なぁ、坊主。ちょっと良いか?」
そんな時、ランサーから声を掛けられた。
「別に急いではいないから良いが……。何だ?」
「坊主は未来視紛いの事が出来るんだろ?なら、俺の事についても知っているんじゃねぇかと思ってな」
「まぁ、確かに俺はお前の真名も聖杯戦争でのアレも知ってるが……」
どうしたものかな……。ランサーに素直にこれを言っても良いものか……。基本的にはHFルート以外ではカッコいい最期を迎えていたものだから、恐らくは言っても問題は無いだろうが、そんなに自分の最期を知りたがるものだろうか?一応アレといって濁してはみたが……
「アレ?アレって何だよ」
「あー……」
どうやら悪手だったらしい。興味を持たれてしまった。どう答えたものかと考え倦ねた。
「んだよ。そんなに言い辛え事なのか?」
「アンタの聖杯戦争でのある意味悲惨な最期についてを知ってるんだが、それを聞くか?」
「悲惨だぁ?上等だ、話してみやがれ。悲惨かどうかは俺が自分で判断してやるよ」
「分かった。本当に悲惨だったとしても文句は言うなよ」
「応よ」
しかしどうやらランサーは聞きたいらしく、話せと言って来た。まぁ、俺が蒔いてしまった種であるのでここは素直に話す事にしよう。ダメージがあるのは当人だけだろうしな。そんな投げやりな気持ちで俺は彼の最期について話そうとする。
「じゃあ、まず一番マシな最期から言いますね」
「ちょっと待て。何で敬語なんだ」
が、まだ何も言わぬ内から止められてしまった。
「俺なりの気遣いだったんだが……」
まぁ、気遣いというより何か敬語で話す方が感情が籠りにくくて良いかなと思っただけなんだけどな。正直、Fateキャラは総じて好きな傾向があるから割と死については話すだけでもこちらがキツかったりする。まぁ、ランサーはネタ的な意味のも含まれるってのもあるかもしれないが。
「んなの要らねぇから普通に話せ、普通に」
「分かった。じゃあ、結論から言うぞ。俺の知っている結末ならば、アンタはどの世界線でも必ず死んでいる」
「ちょっと待てぇ!!極端過ぎねぇか、オイ?!」
ランサーが大声でツッコんで来た。あぁ、流石に極端だったか。だが、やはりランサーの反応が良くてもう少し見ていたい気になったが、流石に酷だと考えて、とぼけるのは止めることにする。
「ハハッ。流石にちょっと直球過ぎたか。でもまぁ、事実だからそこは受け入れろ」
「お前、存外コトミネに似た性格してやがんな……?」
ランサーに、言峰と同じような外道を見るかのような目をされてしまった。
「まさか。あんな奴と一緒にされるのはゴメンだっつうの。それに、俺は事実しか言ってない。だから、アンタが今生き残ってるのは俺にとって最大の驚きなんだよ。俺の
「ふーん?坊主の推測じゃ、俺はどのくらいで退場している予定だったんだ?」
すぐに同類にしないでくれと弁明するのだが、態度や声色を見る限り、あまり信用されていないようである。何とも不名誉なことだが、ここは水に流して彼の大まかな退場までの物語を語ることにした。
「まず、俺が知っているルートは三つだけだ。ルート名はまぁ、適当にABCで良いか。Aルートではアンタは言峰とギルガメッシュが十年前から行っている所業を知り、アンタ自身の信条に従って、言峰の命令に背いてギルガメッシュと戦い、敗れた」
「色々ツッコミてぇが……まぁ、良い。次を話してくれ」
「次にBルートでは、アンタはある女を庇った結果、言峰に自害を命じられて瀕死になる。そしてその後は、瀕死になりながらも言峰をその槍で刺し殺して炎を放ち、燃える教会で言峰と共に死亡した」
「・・・・。」
「最後にCルートだが、これが一番酷くてな。アサシンとの戦闘で影に不意打ちを突かれた事によって、アサシンに負けて序盤で退場&影に取り込まれるという結果だった。今の状況はCルートに近くてな。俺の推測なら、アンタは既に居ない筈だった。んで、これでダイジェストだったが、これ全てが俺の知るアンタの未来だ。何か質問は?」
予想に反してランサーは黙ったままだった。うーん、ランサーってどちらかと言えば明るいイメージがあったから、こうも黙られると少し不安になるな。流石に何かは話してくれないか?ツッコミでも良いから。
「坊主……、今の話は本当か」
僅かに顔を伏せ、ランサーはポツリと話し出す。顔を伏せられている為か、表情は伺えない。
「まぁ、半々といった所だな」
「半々?」
俺の言葉に疑問を抱いたのかランサーは顔を上げ、真っ直ぐこちらを見つめながら疑問を口にした。
「まず、これらのルートの条件は俺が魔術回路を持たずに聖杯戦争に参加し、更には八人目のマスターにもならない事が前提条件にあるんだよ。だから、それすら崩れ去った今では半分も参考に出来るか程度のお粗末なモノだ。現に、お前はあの影が出現した今も残っているだろう?」
「なるほどな。お前が話すのを渋った理由が少しは分かった気がするぜ」
「……ん?」
俺的には当人にとっては酷な話を話しただけなのだが、それだけで分かるものなのだろうか?もしかして、表情に出ていたか?
「坊主。お前、コトミネにマスター権の譲渡の話をしていたよな?」
「あぁ、そうだが……。それがどうした?」
そんな俺の疑問を余所に、ランサーは先程の言峰との会話の内容を話し出す。
「坊主がサーヴァント二人分の魔力をどうやって補うつもりなのかは知らねぇが、マスターに恵まれねぇ俺としては有り難え話だ。だからもし、それが実現した時はよろしく頼むわ。協力するぜ?」
「え?あ、おう……よろしく?」
「応よ!」
何がどうしてそういう話になったのか全く分からなかったが、取り敢えずはランサーの協力を得る機会には恵まれたようなので、流れで思わず返事をしてしまった。俺の返事を聞いてランサーは、ニカッと笑うと上機嫌に霊体化して何処かへ消えて行ってしまったのだった。
「本当にマスターは人たらしだよねぇ……」
訳が分からず唖然としていると、側に控えていたオベロンがそんな事を言ってきた。
「はぁ?」
俺が人たらしだぁ?んな訳無いだろ。寧ろ人たらしってのは衛宮にこそ当て嵌まると思うのだが?
「あのね、マスター。いくら情報が漏れてるからって、普通はあんなあけすけに未来視紛いの事が出来てるだなんて言わない。それにマスターは隠しているつもりだろうけど、ランサーの最期を語る君の瞳には気遣いの色が見えたよ」
「マジか……」
俺も詰めが甘いな……。役を捨て始めたとは言え、全ての者が信頼出来る訳ではないのに。やはりまた被り直す必要が────
「それは違うよ、マスター」
お得意の妖精眼での読心術で、オベロンが俺の考えを否定してきた。
「マスターはもう、演じる必要は無いんだよ。それに、演じていたってマスターのその優しさは隠しきれない。本当に演じるのならば、それこそ感情を殺さないといけないくらいにはね?」
「そんなに分かりやすかったのか……?いや、確かに衛宮達は揃いも揃って優しいだなんて評価していたが……。ならどうしろってんだ」
「マスターはそのままで良いよ。ほら、口は災いの元ってよく言うだろう?あまり他の人に色々と話過ぎない事を心掛けてくれないかな?」
「分かった。努力はしよう」
「そこは断言して欲しかったなぁ?」
ハハッ!そりゃ、無理な話だな。と、オベロンの提案をやんわりと却下しながら、俺は衛宮の居る部屋へ向かった。
やっと本格的に出せた……言峰綺礼とクー・フーリン。びっくりするくらい主人公との絡みが無さ過ぎんよ……(((改変したからだろ
蟲爺は既に退場しているという事で、原作の言峰ポジを慎二君に置き換える事になりました。ポジションの置き換えではありますが、ちゃんとオリジナル(変更)要素も入れてますので、楽しんでいただけるかと思います。