出来たばっかりだけど、日間ランキング一桁入りしてるなら今の内に投稿するよなぁ!とばかりのハイテンションで投稿します。
飛ばした内容の多さと物語の濃さの問題で過去一長くなっておりますが、どうぞよろしくです。
※戦闘シーンは映画や他動画を参照しております
Side:衛宮士郎
慎二の協力のお陰でイリヤの救出に成功した後、イリヤによってアインツベルンが知る本当の聖杯戦争の概要や歴史を知る事になった。彼女によると聖杯戦争は七人のサーヴァント同士で争わせて最後に残ったマスターとサーヴァントが願いを叶える権利を与えられるという事になっているが、それはあくまでも
但しコレが可能であったのは第二次聖杯戦争までの話で、第三次聖杯戦争にてアインツベルンは反則行為をしてしまったようだ。それはこの世全ての悪であるとされる悪神、アンリマユをアヴェンジャーのクラスで召喚したという事。もう少し詳しく話すと、アンリマユという存在ではあるが正確にはソレは役目を押し付けられた一般人であって、サーヴァントとしては最弱にも等しい性能での召喚であったらしい。故に僅か三日でソレは聖杯戦争を敗退し、一人目の生贄となった。
ここからが問題で、この時になんと聖杯が“この世全ての悪であれ”という願いを叶えてしまったのである。これによって聖杯はその機能を歪め、どのような高貴な願いであったとしても人を殺す、という手段で願いを叶えるようになってしまったと。これだけでもかなり問題なのだが、更に厄介な事に大聖杯の中にはアンリマユが取り込まれているようなのである。そしてソイツが聖杯の欠片を埋め込まれてしまった桜を通して、人々を殺し尽くす兵器として世界に生誕する事を目論んでいる。
何もかもが信じ難い事ではあった。だがしかし現に今、桜は聖杯と成ってアンリマユと手を組んでいる。だからこそ、桜を助ける為に俺達は立ち上がったのだ。
イリヤの説明を受けながら向かった先で、イリヤの引き継ぐ記憶と土地の記憶から俺は始まりの聖杯戦争を知った。その中で俺はキシュア・ゼルレッチが所持していた遠坂の家に伝わっていると言う宝石剣を投影した。実物を直接見れた訳ではないので、ランクとしてはかなり下がっているだろうが、遠坂はこれでも桜と戦えるだけの魔力は有している為、平気だと言って投影された宝石剣を何処かへしまい込んでいた。
その日の晩、アーチャーの腕を使った影響なのか、俺は初めてアーチャーの腕を使っての投影をした日と同じ夢を見た。果て無き荒野、無数の剣が辺りに無造作に突き刺さっている。そんな場所で俺はポツンと独り立っている。そして暫くした後に、バキンッと何かが割れるような音を聞いた瞬間、俺の身体から際限無く、とてつもない痛みを伴いながら剣が生えてくるのだ。そうして己の身が鉄の塊になるかのようなゾッとする感覚を味わうそんな夢。
しかし今日は違っていて、全身刀身まみれな俺の側に何者かの人影が現れて、
『─────────────』
何か言った後に俺の身体に何か液体のようなものを浴びせてきた。すると不思議な事に、皮膚を突き出ていた刀身がドロリと溶け出して更には身体は何とも無い姿に戻っていたのだ。その摩訶不思議な現象に驚いたが、とにかくお礼を言わなければと顔を上げたのだが、そこには誰も居なかった。一体誰で、浴びせられた液体は何だったのだと疑問に思った瞬間、目が覚めた。
起きたと同時に自身の身体を確認する。勿論、アレは夢なので身体は何とも無いのだが、あの日と違って身体を内側から貫かれたかのような痛みは全く感じなかった。何だったのだろうと再び疑問に思ったが、遠坂に呼ばれた事で中断せざるを得なかった。
そうして遠坂の案内の元、俺達は大聖杯が有るとされる場所に向かっていた。
「……なぁ、遠坂」
「何?士郎」
「慎二も一緒に来れないかな?妹を助ける為ならアイツも協力してくれると思うんだが……」
というと、遠坂は溜め息をついてきた。
「呆れた……。あのね、士郎。いくらそっちに交友があろうとも間桐君と私とでは未だ敵対関係なのよ?それに、本当に貴方に協力する気ならもっと早くに休戦協定や協力関係を結ぶ為に何かしら行動を取っている筈よ?」
「あ……確かに」
「それを今までしていないって事は、まだ私達と対立する気か、何かしらの考えがあるという事。分かったらそんな甘ったれた考えは捨てなさい。命取りになるわよ」
遠坂の意見は尤もであった。
────『桜を頼んだ』
だが、あの日話した妹を心配するあの顔に偽りは無いと思ったのだ。だから俺は、慎二は俺達と対立するつもりは無くて、何かしらの考えがあってなのだろうと思う。まぁ、学校での騒動以降会っていない遠坂がそう考えるのは無理も無い事だと思う。けれども、慎二は助っ人を呼んでいる、とは言っていたのでこの事は伝えておくべきだろう。
「そういえば慎二が助っ人を呼んでいるって言ってたんだが、遠坂は誰なのか知ってるか?」
「助っ人?何それ、私初耳なんだけれど。どうして今になって言うの?」
「わ、悪い……。俺も聞いたのはつい昨日だったから……」
「だとしても早く言うのが筋ってものでしょうが!!朝すぐにとか、行く前にも言うべき時はあったでしょ?!」
「ちょっ、ごめんって!!痛っ……!ぃ゙だだだだだっ!」
俺の情報伝達が遅れた事に激昂した遠坂に俺は、足を思いっ切り踏んづけられ、更にはグリグリと地面に押し付けられた。
「ふんっ……!士郎が悪いんだからね!」
「おう……」
自業自得であるのは分かっているが、ここまでするか?と遠坂の行動に少々の不満を抱きながら、目的地へ進んで行くのだった。
暫く薄暗い洞窟のような道を進んでいると、大きく開けた場所に辿り着いた。柳洞寺の地下にこんな場所があったのか、と辺りを見回した時、奥に続くであろう道の前に佇むセイバーの姿が見えた。彼女もこちらに気が付いたのか伏せていた顔を上げ、こちらをまっすぐ見てきた。
「セイバー……」
「・・・・。」
「……リン」
遠坂が臨戦態勢を取り、隠し持っていた宝石剣を取り出そうとした時、セイバーが遠坂の名を呼んだ。そして、クイッと首を動かして先へ行くように指示してきたのだ。
「あぁ……そう。本気なんだ……桜」
遠坂の言葉に賛同するようにセイバーが首を縦に振った。それを見た遠坂は一度深呼吸をすると、
「悪いわね、先に行かせてもらうわ。桜を助けたいって言うんなら、遅くならないでね」
と言ってセイバーの様子を伺いながら奥へと駆けて行った。俺は返事こそしなかったが、桜を助ける意志はあるのだと示すようにセイバーと向き合った。
「セイバー。どうあっても引かないんだな?」
そして遠坂の姿が見えなくなったタイミングで、セイバーに対立の意志を問う。
「くどい。それが私の役割だ」
「そうか……」
それに対してセイバーは、あの日から変わらぬ冷たい眼差しで淡々と告げてきた。すっかり以前の面影が無くなってしまった彼女に心が痛くなる感覚に陥ったが、もうそんな事を言っていられる状況ではないのだと無理矢理気持ちを切り替える。
「……セイバー。ここでお前を消滅させる。桜を助ける為に、お前は───」
─────邪魔だ
俺のこの言葉にセイバーの口が小さく弧を描いた。そうして魔力の放出を開始する彼女に、俺はアーチャーの腕の封印を解いて、これに対立しようとした。その時、
「その戦い、俺も混ぜてくれよ」
後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「な、ランサー?!」
「よ!坊主。また会ったな」
声のした方向に振り向くと、そこには何とセイバーと一度刃を交えて以降消息が掴めないでいたランサーが居たのだ。驚きに目を見開く俺を他所にランサーは旧友にでも会ったかのような軽さで挨拶をしてきた。ランサーがこの場に来ている事に驚いたが、先程の遠坂との会話を思い出し、俺はもしかして彼が慎二の言っていた助っ人なのではないか?と思い当たる。
「なぁ、もしかしてだが……慎二が言ってた助っ人って、ランサーの事だったのか?」
「お、
「え、あ……あぁ。それは……構わないんだが……」
サラリと告げられたランサーのある言葉に俺は引っ掛かりを覚えた。今、ランサーは慎二の事をマスターって言ってたよな?でも、慎二はルーラーのマスターの筈では?慎二も助っ人って言ってただけで、自分のサーヴァントとは言っていなかった筈。だけどこの場に来ているのはルーラーじゃなくてランサーだし、ランサーが言ったマスターが本来のマスターの事を指すのならば助っ人の話をランサーが知っている訳無いし……
そんな様々な疑問がこの一瞬で頭の中を過った。しかし、それに対する答えを導き出す前に、それらの疑問は頭の隅に追いやられる事になった。
「ランサー……」
それは、こちらと同じくランサーの存在を視認したセイバーが彼へと意識を向け、先程よりも深く戦闘態勢を取ってきたからだ。
「よう、セイバー。あの夜ぶりだな」
「・・・・。」
俺の時と同じく友人に挨拶を交わすが如く言葉を発するランサーにセイバーはただ黙ってこちらを見るだけだった。
「何だよ、黙ったままかよ。ちったぁ、さっきみてぇに言葉を交わしてくれても良いんじゃねぇの?」
「貴様の無駄話に付き合う義理は、こちらには無い。シロウと同じく先へ進みたいと言うのならば、貴様も排除するまでだ」
「ハッ!そうかよ。じゃ、あの夜の続きと行こうか、セイバー!今度こそテメェの心臓、貰い受ける……!!」
「来るがいい……!ランサー!!」
自慢の槍を構えながら挑発するランサーにセイバーは再び小さく笑うと、再び魔力の放出を始め、戦闘態勢を取った。
それを見たランサーは地面がヘコむ程の踏み込みをして目で捉えるのも難しい速さでセイバーとの距離を一気に詰める。そして、ガキンッと金属同士がぶつかり合う音を筆頭に、二人のサーヴァントによる壮絶な闘いが始まったのだった。
セイバーの魔力放出に呼応して剣に纏われる黒いビーム状の魔力が、彼女の振るう剣の軌道に合わせて周囲を薙ぎ払う。その威力は地面が大幅に隆起する程のもので、サーヴァントであっても掠るだけでも消滅の危機に瀕する危険な威力である。まして俺のような人間が食らえばひとたまりもない。それをランサーは軽い身のこなしで華麗に避け、時に霊体化したり時に槍の切っ先で魔力を切り裂いたりしながら距離を詰めていく。
攻撃の一振り一振りで周りの面影が消えて行くような激しい闘いに巻き込まれぬよう、それでいて自分にも何か出来る事は無いだろうかと探る為に高台の方角へ駆けて行く。そうして見つけた場所でジャケットを脱ぎ捨て、袖を捲り上げて赤い聖骸布に手を掛ける。その時、昨夜の慎二との会話が脳裏を過った。
「士郎。これをお前に渡しておく」
そう言って慎二は俺に短剣くらいの長さで、刀身が雷のように波打つモノを渡してきた。
「これは……剣か?それにしては刀身が随分と特徴的だな?」
「それはアーチャーに投影させたキャスターの宝具で、『
「ルールブレイカー?それにアーチャーに投影してもらったってどういう……?」
見知らぬ剣の情報や慎二の口からまさかアイツの名が出て来るとは思わなくて、俺は困惑と疑問で首を傾げる。
「詳しい事は全て終われば話してやる。今はそれを誰にも知られない様に大事に持っておけ。それと、ソイツを使うのはセイバーにじゃなくて桜にだからな」
「桜に?」
「あぁ、そうだ。ソイツの特性は“あらゆる魔術を初期化する”という事。ソイツを使って桜とアンリマユの契約を無効化させろ。そうすれば桜は聖杯としての機能を失うし、アンリマユが生まれ堕ちるという事にもならない」
「でも、元々は慎二がアイツに投影を頼んで持っていたんだろ?慎二が使えば良いんじゃ……」
「いいや、俺じゃ駄目だ」
言葉を言い切る前に慎二から俺の考えは否定された。
「確かに俺が直接桜に使いたかったが、俺は別の事で大聖杯の元に間に合うかが分からん。それなら確実にアイツの元に行けるであろうお前に頼むのがちょうどいいんだよ」
『だから士郎にしか頼めないんだ』と言った慎二の顔は、俺が弓道部を辞めると言ったあの時と似た、自分では何も出来ないのだと何処か諦めを含んだ悲しげな顔と暗い瞳は、きっと、もう二度と忘れる事は無いだろう。
「…………分かった。桜は絶対に俺が救ってみせる」
「あぁ、そうしてくれ」
だから俺はそれに真摯に答えるように、そんな顔や瞳をしなくても良いのだと教えるかのように『
「────!」
そんな初めて見る慎二の笑みを見て俺は、自分が恋に落ちたかのような胸の高鳴りを覚えた。その間に、用は済ませたとばかりに慎二は先の笑みが嘘のように素っ気無くこちらに背を向けて帰ろうとしていた。
「あ……!慎二、ちょっと待ってくれ!」
だが、セイバーに対する対処法を聞いていない事に気が付いた俺は、すぐに慎二を引き止めた。
「何だよ」
「コレ、セイバーには使えないんだろ?なら、サーヴァントであるセイバーを傷付ける事は、同じサーヴァントでないと難しいのか?」
引き止めた事に不満気な顔をしていた慎二は、俺のこの疑問に何か思う事があったのか、目線をわざとらしく逸らす。そうして、少しの沈黙の後に口を開いた。
「…………いや、一つだけ手段がある」
「それは?」
「遠坂から譲り受けたアゾット剣があるだろ?それならば受肉したセイバーを傷付けられるし、トドメも刺せる」
「そうなのか……。え、でも何で慎二はアゾット剣の事を知ってるんだ?」
俺の問いに慎二は不敵な笑みを浮かべて、一匹の蝶を召喚した。
「間桐の家系は使い魔の使役に特化しているんだ。だから、聖杯戦争に参加する奴の情報を得るのはお手の物ってワケ」
そう言って使い魔と戯れる慎二の姿は、月の光に蝶の鱗粉がキラキラと反射して、何処か少し幻想的に見えた。
「凄いな、慎二は」
それは心の底からの本心だった。本当に慎二は何でもやり遂げる力を持ってる。その事を羨ましくは思うが、妬ましいと思った事は無い。何故ならば───
「ハッ!当たり前だろ。俺は天才なんだからな。んじゃ、必要な事は粗方伝え終えた。頑張ってくれよ?桜だけの正義の味方さん?…………桜を頼んだ」
────妬ましいと感じる前に、彼は、俺にそれ以上の信頼を寄せてくれるから。
そんな回想の後に、俺は手を掛けた赤い聖骸布をほんの少し剥がす。
「ガハッ……!?」
するとアーチャーの腕に残る回路が起動し、それだけで身体に激痛が走った。全部剥がした前回程ではないにせよ、立ち眩みが引き起こされる。
「ぐぅ゙……!」
だが、ここで倒れる訳にはいかないと気を引き締め、巻き込まれぬよう二人の闘いを観察する。その瞬間、先程まで居た場所を闘いの余波で飛んできた魔力の光線が薙ぎ払った。
どうする……また場所を移動するべきか?と考えた時、セイバーが一瞬こちらを向いた。まさか俺を攻撃するつもりなのか?と警戒態勢を取ったが、
「オイオイ、何処見てやがる。闘いの最中に他所見とは、随分と余裕じゃねぇか」
「───っ!」
持ち前の駿足で一気にセイバーの背後に移動したランサーが声を掛けた事によってセイバーの意識はすぐに引き戻されていた。だがしかしそれでも一瞬の隙は生じるもので、ランサーの槍は正確にセイバーの心臓を捉えんとしていた。それを寸の所で手の鎧でガードし、ランサーの身体を裂かんとばかりに横に振るう。
「おっと……!随分と荒っぽい闘い方になったじゃねぇか。騎士道とやらはその辺にでも捨ててきたか?」
「戯言を……!」
ランサーはそれを難なく避けると、空中で回転しながら距離を取った後にセイバーを煽った。あまりの無謀さに加勢でもするべきかと思ったが、ランサーは一瞬こちらをチラリと見ると器用にもセイバーの猛攻を片手で捌きながら空いた手で制止してきた。どうやらまだ加勢してはいけないようだ。言葉にはされていないが、あれは確実に『手を出すな』と言われている。
接近戦を好む闘い方をしていたランサーだったが、俺が動かない事を確認すると、天井を縦横無尽に駆け回る。その際に氷柱のようになっている岩や天井の岩を切り落として、セイバーの動きをある程度抑制させていた。だがしかしセイバーもただやられるだけとはいかず、地形を変形させる事も躊躇わずに高出力の魔力放出を行い、反撃をする。
「ッ゙……!」
その時、セイバーの攻撃が少し掠れたのか、左肩の軽鎧は欠け、その下の肌も少し青紫に変色し、ランサーの顔は痛みに歪んでいた。それでも尚ランサーは槍を構え直し、的確に、それでいて荒々しさも感じさせる槍捌きで小さいながらもセイバーにダメージを与えていく。
そうして続いた地平線上の闘いだったが、ランサーによって与えられた傷が多くなってきたセイバーが、地面丸ごと隆起させる攻撃にシフトチェンジした事によって半空中戦に移行した。ガツン!と互いの刃を交えながら、足場を転々として行く二人。俺はそんな二人の対決を目で追うので精一杯だった。
「ちょこまかと……」
セイバー以上に足場を転々として縦横無尽に駆け回るランサーに対してセイバーは吐き捨てるようにそう言うと、宝具であると言われても何ら違和感ない出力の魔力を剣に纏わせ、横一線に振るう。地面を大幅に隆起&削る形で放たれた魔力を、ランサーは上に飛ぶ事で避ける。
「芸が無いな。そんな遅い攻撃じゃ、さっきみたいな傷は与えられねぇぜ?」
「フ……。これはそれが目的ではない」
華麗に宙を舞いながら煽るランサーにセイバーは表情を変えること無く目的は別にあるのだと述べる。
「なに?───ガハッ……!?」
セイバーの目的は攻撃によってランサーと同じく宙に舞った地面で逃げ道を塞ぎ、油断したランサーへ攻撃する事だった。見事にその作戦に嵌ってしまったランサーはセイバーに勢いよく斬りつけられ、その勢いのまま地面に叩きつけられた。
「ランサー……!!」
立ち込める土煙の中、彼の安否を心配した俺は彼を呼ぶが、反応は帰って来なかった。そんな中、セイバーはゆっくりとランサーが居るであろう場所へ歩いて行く。そうしてセイバーが土煙に近づいた所で、土煙を切り裂くかのように中からセイバーの顔目掛けて赤い槍の切っ先が現れた。セイバーはこれを持ち前の直感で咄嗟に後ろに身体を反らす事で槍によるダメージは防いだが、中から現れたランサーの蹴りが腹部に命中した事で後ろに突き飛ばされたのだった。
そうして突き飛ばしたセイバーの元へランサーは何か文字が描かれた赤い石のようなものを投げ込む。その石はセイバーを中心とした四方の位置にまで来ると、より赤く光り出した。その後、セイバーの足下に魔法陣が現れると、セイバーを囲む結界が形成され始めた。
「宝具────」
それを見たランサーは、あの夜見た、自身の宝具を出す構えを取る。その様子に俺は、出るのならばこのタイミングしか無いと直感し、聖骸布を解きながら二人の元へ駆け出した。
「っ!そちらがその気ならば……!」
ランサーの宝具の構えを見たセイバーも遅れ気味ではあったが、宝具を発動する構えを取った。結界内で魔力の高まりによって吹き荒れる暴風によって、結界に少しずつヒビが入る。
「───!!」
「投影───開始……!」
「坊主!?」
その所で何とか俺は二人の間に割り込む事が成功し、投影を開始させる。
「検索……選出……解析!」
思い浮かべるのは、アーチャーが出した七枚の花弁が盾のように広がるあの宝具。それを記憶から読み取り、青空の元、無限に広がる荒野で左手から射出するのだ。
「I am the bone of my sword.『
「『
「「
互いの宝具が放たれたのはほぼ同時であった。ただし、俺の方はそれは不完全であったと言えよう。何故ならば、アーチャーが発動させていた時には七つの花弁が開いていたが、俺の方は四つしか花弁が開いていないからだ。
しかし、そんな事は構いやしないと言わんばかりにセイバーの放つ宝具が結界を破壊して不完全な『
「ぅ゙────ぁ、あぁあ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ!!??」
しかし、ついには俺の身体が急激な魔力放出に耐えれなくなり、左腕からあの夢でも見た剣がバキンッ、バキンと音を立てながら身体の内側より生えて来た。魔術回路が繋がる激痛と腕から剣が生えてくるショックで宝具の維持が難しくなった時、
「良くやった、坊主。後は俺に任せな」
「なっ……!?」
「───『
背後に居たランサーが俺の身体を無理矢理掴むと、自らの後ろに投げ込んだ。その衝撃と驚きで投影が途切れ、盾が無くなるが、その瞬間に彼は宝具を発動させた。ランサーが放った槍は真っ直ぐセイバーの放つ魔力と激突し、拮抗しながらも少しずつ魔力を切り裂いて進んで行く。そして、セイバーの元まであと少しという所で彼女は宝具の射出を止め、槍から距離を取った。
「っ!?」
真っ直ぐに放たれていた槍は標的が居なくなった事で不発に終わるかに思われたが、なんと急激に角度を変えてセイバーの所へ飛んできたのだった。セイバーはこれを真正面から剣で受け止め、何とか受け流そうとする。
「無駄な抵抗は諦めな。ソイツは一度標的と決めたヤツに当たるまで追い続ける」
重傷を負いながらも不敵な笑みを浮かべたランサーは勝ちを確信したかのように言う。
「ならば打ち砕くまで」
それに対してセイバーはこれを打ち砕くと宣言し、宝具とまではいかないが、魔力を剣に溜め始めた。そしてセイバーが剣を振るおうとした時────
「悪いけど、君の活躍はこれにて終着だよ。夜のとばり、朝のひばり───『
「っ!!きさ……ま、は……」
何と予想もしていなかった伏兵、ルーラーがセイバーの背後に現れて宝具を使用したのだった。すると彼女は身体のバランスを崩して、好機と言わんばかりに、追尾していたランサーの槍が彼女の右脇付近を貫いた。
「ガッ……!?!」
「っ!セイバー!!」
俺は一目散にセイバーの元に駆け寄る。
「……僕の宝具は相手の肉体や霊基を夢の世界の精神体に変えるモノだ。現実世界での行動力を失う代わりにその身体は無敵になる。そうなる前に君が方を付けてあげて」
ルーラーはアゾット剣がある場所を指差しながらそう言うと、霊体化して姿を眩ました。その後、俺は夢から覚めようと足掻くセイバーの元に近づく。そしてもうこれ以上桜に囚われたり、永遠に覚めない夢を彷徨わないように彼女の
「……ぁ、シロウ……?」
「────っ!!」
────剣を、突き刺した。
「っ、ありがとう。お前に、何度も助けられた。おやすみ、セイバー」
込み上げる涙を堪えながら、俺は精一杯の感謝の言葉を口にする。そんな俺の言葉に対して、もう意識も曖昧であろうにセイバーは『私もです』とでも言うかのように微笑んでくれたのだった。
マジでモチベーションって大事だなーと実感し直した今日この頃であります。この小説もほぼ一日で仕上げましたわ(隙自語)
ただし誤字脱字の確認は疎かになりがち……。まぁ、動画とか映画の映像を参考にすれば流石にね……?変更点はあれども下書きはすでにあるって話ですし…
映画を参考にしてるとはいえども、結構今回のセイバーとランサーの戦闘シーンは頑張ったんじゃない?と勝手に思っております。前みたいな圧倒的な力で完封は無いと思います、多分。そうは言ってもオベロンが美味しい所を持っていったのは秘密で……(あと無敵付与についても……)
それはそれとして、ランキング入りありがとうございます!!まさかまた一桁に入れるとは思ってませんでしたのでとても嬉しいです!(*´ω`*)物語も終盤に入って来ましたし、今後も頑張りたいと思います。
次回も士郎君Sideとなります。予定としては桜ちゃん救出までをまた映画を参考にして、その後の会話からがほぼオリジナル展開になると思います。