蟲使いの間桐君   作:寝仔猫

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あれだけ数日中には投稿出来るかもって言っておきながら、結局目標期間内で更新出来なかったぜ……。計画性が無い奴はこれだからよぉ…(戒め)

書いてたらしれっと一万字超えてたんで、流石に分けました。これだけ書いてもまだ終わりは見えてないんだぜ?ヤバいだろ?

喧嘩って言ってますが、男同士の熱い殴り合いとかじゃなくて意見のぶつかり合いがメインって感じです。


喧嘩しようぜ(前編)

 

 アンリマユの介入によって、少々予定よりも時間がズレ込んだが、何とか士郎に『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』を渡す事が出来た。そして桜の事を士郎に頼んだ俺は、あるモノの制作に一晩中取り掛かっていた。因みにあるモノとは、士郎の身体の中から剣が生えてくる現象を解消させる薬の事で、症状を解消、もしくは緩和させる事を想定している。

 

 作ってる最中にこれの使い道を話すと『うわぁ……』と言う目で見られたのは誠に遺憾であった。あの言峰でさえ、ニヤニヤと愉悦顔を隠さずに居るクセに、何も言わなかったのだ。いや、それは寧ろ平常運転か。因みにランサーには八つ当たりでパシらせた。理不尽だとか知った事かよ。

 

 そんなこんなで時間はギリギリであったが、何とか目的のモノは完成にこぎつける事が出来た。もうすぐ聖杯戦争は終わる。生き残るという俺の当初の目的は達成出来るってもんだ。後はコレを士郎に使って、大聖杯はオベロンに宝具で呑ませたら万事解決。目標達成だ。

 

 そう思って大聖杯の元へと向かったのは良いのだが、どうやら俺は士郎にとんでもない勘違いをされていたらしい。アイツにとって俺は聖杯で叶えて欲しい願いがあるからこの聖杯戦争に参加していたのだと思われていたようだ。

 

「ハハッ!あはははははは!」

 

 とんだお笑い草の予想話に、俺は腹を抱えながら大笑いした。

 

「馬鹿だなぁ、士郎。俺はそんな動機で聖杯戦争には参加してねぇし、勝者の叶えたい願望を人を殺すという手段でしか叶えなくなった出来損ないの願望器には興味は無ぇよ」

 

 あんな歪んだ聖杯に俺の願いが叶えられるものかよ。そもそも願いを持ってないんだからな。まぁ、あえて言うのならば俺が望むのは自身の生存ってとこか。これをどうやって人を殺して叶えるっつう話だよ。

 

 そして肝心の俺が聖杯戦争に参加した動機だが、それは()()()()だ。他所の世界から来てしまったが故に知っている自身の死を回避する為に俺は参加した。しかし、その理由を知らぬ士郎はポカンとした間抜け面を浮かべていた。久々に見るその間抜け顔にクスクスと笑いが込み上げながらも俺は種明かしをする事にした。

 

「なぁ士郎。不思議に思わなかったか?」

 

「何をだ?」

 

「例えば……何故俺が柳洞寺でテメェの事情は理解していると言ったのか、とかな?後は治療薬の件とかも妙にタイミングが良かったと思わないか?」

 

「っ!」

 

 俺の言った事に心当たりがあったのか、士郎の目が分かりやすく見開かれた。

 

「何故だと思う?」

 

「それは……あの時みたいに使い魔で?」

 

「前者は確かにそれで説明はつくな。だが後者は?あの場に間に合う事は出来てもわざわざ適した治療薬までは持ってない筈だろ?怪我はまだしも、英霊を長時間現世に留める薬なんてそうそう作れない。それこそ()()()()()()()()()()必要があるだろ?」

 

「まさか……!」

 

 ここまで言えば流石に分かったようで、俺はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「俺はさ、士郎。最初からこの聖杯戦争で何が起きるか知っていたんだよ」

 

「なっ……!?さ、最初からって……」

 

「そのままの意味だ。俺は聖杯戦争が本格化する前から、お前がセイバーを召喚する事も、全てのマスターの情報も、何なら全サーヴァントの真名だって知っていたさ。ズルだと思うか?」

 

「……思わない。でも、そんなに知っているなら、犠牲者を出さない事だって……」

 

 あぁ、本当に筋金入りのお人好し野郎だな、士郎は。桜の味方になるって決めたクセにまたそれを考えるのかよ。少々落胆した気持ちに陥りながらも俺はそれをしなかった理由を話す。

 

「あのさ。俺はお前みたいなヒーロー気質は持ってないワケ。いちいち他のヤツの事なんて気に掛けるワケ無いだろ」

 

 そもそも、俺は自分の事で精一杯だったんだ。そんな所にまで気を使える訳が無いだろ。そんな事してれば自滅するのは目に見えてる。

 

「それでも!助けられる命があったかもしれないだろ!」

 

 だがしかし、直前まで正義の味方になる狂った精神を掲げていた士郎にとっては理解出来ない考えだったようだ。この期に及んでまだ不特定多数の人間の心配をしている。やはり、士郎に根付いた正義の味方の考えは大嫌いだ。

 

「じゃあ、一つ聞く。お前はそうして得た知識を用いてその結果を変えたとして、その変えた責任を取れるのか?」

 

「え……?」

 

「バタフライエフェクト。簡単に言えば、僅かに変化を与えただけでその後の影響が大きくなってしまう現象の事だ」

 

「それとコレに一体何の関係が……?」

 

「お前の言う理想は元々死ぬ筈だった一を助けた結果、その代わりとして十が死ぬっつう最悪の結果が招かれるかもしれない、と言う理論だ。まぁ、これは本当に極端な例だが……あり得ない話では無いだろ?」

 

 そう言うと士郎は俯いて黙り込んでしまった。流石に言い過ぎたか。

 

「まっ、ちょっとした冗談だ。んな、重てぇ話じゃ無ぇよ」

 

「な!?からかったのか?!」

 

 シリアスな顔から一変してケロッと言うとすっかり雰囲気に呑まれていたのか士郎が驚いた顔をしてこっちを見てきた。

 

「バタフライエフェクト云々はな。というか、俺はそんな細かい事はいちいち考えたくねぇ質なんだよ。ンな事考える前に俺のやりたい様にやるのが俺の生き方だ」

 

 そうやった結果が今のこの状況だからな。まぁ、結局は本当に変えたかった所は変えられなかったがな。だからそれほどバタフライエフェクトは起きなかったとも考えられるか。

 

「さて、話が少し逸れたな。どうして生きる為に聖杯戦争に参加したのかっつう話だが……俺はな、俺の知る聖杯戦争の結末であればほぼ確実に死んでるんだよ。それを免れる為に参加した」

 

「は?!ど、どういうことだ?!アレは臓硯の企みが成されたら死ぬかもしれないって話だったんじゃないのか?!」

 

 あぁ、そういえばそんな事を桜や士郎の前で言ったっけか。まぁ、確かにその線もあったもしれない可能性だ。だが、俺が知っているのはその世界線ではない。

 

「そういえばそんな事も言ったな。確かにその可能性もあったが、俺が元々知っていたのは違う世界線の出来事だ。俺が知る世界線は三つ。一つ、お前とセイバーが主軸の全ての基盤となる世界線。二つ、お前と遠坂やアーチャーで脅威に立ち向かう世界線。三つ、お前が唯一人間らしくあれる世界線だ。その内二つで俺は死亡した事で物語から途中退場してる」

 

「ちょちょちょっ……!ま、待ってくれ!いきなり世界線だとか、物語だとか何を言っているんだ?!」

 

「全部を理解しろとは言わねぇよ。ただ、これだけはお前でも知っとく必要があるだろ?気付いたか?これらの物語の世界線は全て───」

 

────お前が主軸である事が前提の物語だ。

 

「──っ!!」

 

「分かるか?世界がお前に主人公であれ、と。そう望んでいるんだ。少なくとも前者二つにおいてお前は自分の理想を諦めはしなかった」

 

 未だ理想を諦めないで居るって言うのは士郎にとっては嬉しい事だろう。だが……

 

「だがな?俺はそんな未来は()()()()

 

 テメェがそんな自己犠牲を厭わない精神を持ってちゃ、いつか桜を泣かすだろうが。例えどの世界線を辿ろうとアーチャーにはならない事は分かっていても。俺は認めない。

 

「認めないって……だったら、一体どうするつもりなんだよ。俺は、桜の正義の味方になるとは誓ったけれど、理想を諦めるつもりは無いぞ?」

 

「ふーん……?そう。諦めるつもりは無いんだ?桜の味方になるって言っておいて?死ぬつもりでここに来たのか、お前」

 

 俺がそう言うと士郎の目が驚きに見開かれた。口には出していないが、何故分かったのだと言いたげであった。

 

「何だよその顔。さっきも言っただろ?俺は最初から知っているって」

 

 まぁ、普段の付き合いからも分かるが……。と言うのは堂々と口に出すのは何か嫌で心の中だけに留める。

 

「だからな?士郎。今ここで一つ誓え」

 

「何を?」

 

「桜だけの正義の味方になる為に、その理想を諦めると宣言しろ。出来ないと言うのならば……」

 

「言うのならば、何だよ……」

 

「俺はこの歪んだ聖杯を用いてお前の理想を打ち砕く」

 

「な───!??」

 

 実際はあんな聖杯を用いる事は無い。その前にオベロンに呑ませるからだ。けれども、彼を、士郎を本気にさせるにはこれが手っ取り早い嘘だった。だから言うのだ。俺は聖杯を使うと。傍らに居る言峰の愉悦に歪む顔は見ないフリをしながら。

 

「な、何で?!慎二は、それがどういうモノか知っているんだろ?!」

 

「あぁ、知っているとも」

 

「じゃあ、どうしてだよ!興味も無かったんだろ?!犠牲が出るのをお前も良しとしないだろ?!何で……!!」

 

「一緒にするな半人前。俺は魔術師だ。魔術師というのはどういう手段を用いてでも根源へ至る事を目的とする存在だ。その為ならば身内でさえ切り捨てる。今更他人なんてどうでも良いんだよ」

 

「慎二!!!」

 

 士郎が怒りを露わにしてこちらを睨み付ける。瞳にはあの偽善めいた正義の色を宿していた。

 

 そうだ。それで良い。俺はお前のそれを打ち砕かんが為にわざわざ嘘をついたのだ。本気になって貰わねば困る。俺はここで、お前の理想を砕き、お前を人間にして、桜を安心させてもらわないといけないのだから。

 

「喧嘩しようぜ士郎。テメェが勝てば、俺はテメェがその理想を抱いて死ぬ事を認めてやる。但し俺が勝てば、テメェにはそのくだらねぇ自己犠牲の正義の味方を辞めて、生きてもらう。それが嫌ならば、テメェの理想を貫きたいならば、()()()()()()───掛かってきやがれ!士郎!!」

 

「慎二────!!!」

 

 地面を勢いよく踏み込んで、士郎が俺に殴りかかってきた。俺は手始めにそれを真正面から受け止め、後ろへ投げ飛ばす。こうして俺が多少有利な中、自らの信念と理想を賭けた最初で最後の大喧嘩の幕が上がったのだった。

 

 先手を取りに行ったのは体力に余裕がある俺の方だ。まず、倒れている士郎の元へと近付き、腹部へ蹴りを食らわせようとした。しかし寸の所で士郎はこれを咄嗟に横に転がる事で避ける。そして転がりながらも立ち上がると、こちらに殴りかかろうとする。

 

「どうしてアレを使うだなんて言うんだ!」

 

「そうでもしねぇとテメェは本気にならねぇだろう?」

 

 それを今度はその拳を避け、士郎の問いに答える。

 

「なぁ?!“正義の味方”さんよぉ……!」

 

「ゔっ……!!」

 

 そして、正義の味方をワザと強調した後に士郎の頬を右ストレートで一発殴る。まだ薬を渡してない為に衝撃を受けた士郎の身体から剣が生え、俺の手を傷付ける。だが、これを見据えて身体強化の魔術を施していた為、そこまで重傷にはならない。痛いのには変わりないけどな。

 

「どうした?テメェの正義はその程度か?そんなんじゃ、誰一人救えやしねぇぞ」

 

「うおぉぉ……!」

 

 よくよく聞けば何の煽りにもなってはいないが激昂し、意識も曖昧になりかけている士郎にはこのくらいの煽りが丁度良い。現に、もう立ち上がる余力も無いクセにこうして立ち上がって拳を俺に当てようと必死になっている。いや、途中で切り替えて無理矢理に投影を使ったな。その手に握られるのはアーチャーの腕の記憶から読み取ったであろう干将莫耶だった。

 

「これ以上、投影を使えば死ぬって分かってるクセに……」

 

 それを見て俺は()()に対しての信用を地に落とした。桜だけの正義の味方になると言っておきながら、またコイツは他人の為に自分を犠牲にしようとしているからである。

 

「はぁ…………щит()

 

「なっ───」

 

 溜め息を隠すこともせずに俺は半透明の盾を出して、衛宮の剣を軽々受け止める。万全の状態、及びアーチャーに使用されれば割れてしまうような耐久性しか持たせてないが、今の消耗しきった衛宮にはこの程度で十分なのである。現に、この程度の耐久性で衛宮が投影した干将莫耶は粉々になった。

 

「ガフッ……!!?」

 

 現実を受け止めきれずに唖然としている所に俺はいつぞやのように強化の魔術を施した足を使って、ガラ空きとなった腹部へ蹴りを食らわせた。まともに食らった衛宮は、少々胃液を撒き散らしながら地面を転がっていった。

 

 そんなだらしない行動を見せる衛宮に失望の感情を胸に抱きながら地面に転がるヤツの元へと近付き、胸倉を掴んで持ち上げる。

 

「ぐ────、ぅ゙ぁ……」

 

「なぁ……お前さ、いくら憧れに近づく為だからっていつまでもそんな自己犠牲の精神で何かを救えると思ってんのか?」

 

「そ、れは……」

 

「答えはNOだ。自分を顧みねぇヤツに他人が救えるワケ無ぇ」

 

 そもそもテメェを犠牲にして救われたって、救われた側はちっとも良い気分になんてならねぇよ。

 

「分かったか?テメェのその憧れなんかで救えるモノなんざ、万に一つも無ぇんだよ」

 

「それは違う!!!」

 

「ガッ……!??テ、メ……」

 

 俺が衛宮の思想を否定した瞬間、衛宮の心に火がついたのか、衛宮は俺の腕を掴むと勢いよく頭突きをかましてきたのだ。あまりの衝撃に俺は掴んでいた手を離して、後ろに一歩下がる。頭突きの影響で俺の額から血が垂れてきた気がした。それを拭いながら俺は衛宮を睨み付ける。

 

「こんな俺でも、桜を救う事が出来たんだ!ならきっと他の人だって……!」

 

「自惚れんじゃねぇよ!!」

 

 分からず屋な衛宮の顔を思いっきり殴りつける。

 

「テメェに救えるのは精々その両手にも足るかどうかの限られた人間だけだ!それこそテメェの身内くらいだ!何故理解しない!テメェの抱くその理想は間違いでしかないと!!」

 

「それも違う!間違いなんかじゃない!!」

 

 しかし打撃の衝撃で身体中が刀身だらけになっても尚、衛宮は立ち上がって反撃の意思を見せてくる。

 

「誰かを救いたいという願いが……理想が!間違ってるだなんておかしい!」

 

「っ……щит()!」

 

 そうして繰り出された刀身まみれの拳を、咄嗟に盾を展開して受け止めようとする。

 

「なっ?!ぁ゙ぅ゙……!?」

 

 しかし、何処にそんな力が残っていたのか衛宮の拳は俺の盾を突き破って左頬にぶち当たる。二度の頭への衝撃に遂には脳震盪でも引き起こしたのか、視界が歪んで真っ直ぐ立っているのもキツくなる。だがしかし、俺はここで倒れる訳にはいかなかった。倒れてしまえば衛宮に理想を諦めない未来を歩ませる事を認めたという事になってしまうからだ。そんなのは認めない。

 

 そんなワガママにも近い思いの下、胸ポケットから取り出したカプセル状にした活性アンプルをバキリとひっそり抱いてしまった“敗北”という二文字と共に奥歯で噛み砕く。

 

「─────ハハッ。やってくれるじゃねぇか……」

 

 アンプルによる強制回復で少々気分がハイになる。ハイになる事で逆にクリアになった頭で、こうしよう(喧嘩を吹っ掛けよう)と思った経緯を振り返った。

 

 俺が聖杯戦争を生き残る為に好き勝手やった世界線。UBWを経てHFを辿った世界線。既存の世界線を混合したこの世界線では、ヤツの自己犠牲の精神を止める奴が居ないのだ。

 

 ではどうするか?それは、今の理想を諦めるきっかけを俺が作れば良いのではないだろうかと考えた。例えば、大聖杯を壊す直前での妨害。これは今の状況が当てはまり、HFルートでいけば言峰綺礼との対決の代替わりとも取れるだろう。しかし、これだけは不十分だ。アイツに今足りない物、それは家族だと俺は思う。

 

 衛宮の養父にあたる衛宮切嗣は、前回の聖杯戦争で泥を浴びた影響で第五次聖杯戦争が行われる五年前に亡くなっている。そしてその亡くなる前に衛宮としたあの誓いが今、ヤツを縛っているのだ。であればその呪縛を解けるのは誰か。惚れた女である桜だろうか?いや、それもあり得るだろうが、少し違う。では今対立している俺か?いいや、それも違う。俺はあくまでもきっかけを与えるだけ。真に呪縛から解き放つ事が出来るのはもっと別の奴だ。

 

────『私はシロウのお姉ちゃんだから』

 

 真に衛宮を縛り続けている呪縛から解き放つ事が出来る奴、それは衛宮切嗣の実の娘であり、衛宮の義理の姉にあたるイリヤなのではないかと俺は考えついたのだ。厳密にはイリヤが何かアクションを起こすという訳ではないのだが、“家族が居る”事に大きな意味があるのだ。その為にはイリヤには今後も衛宮と共に生きてもらわねばならない。

 

 だからこそ俺は、ここで倒れる訳にはいかないのだ。倒れれば衛宮は意地でも投影を使い、それを阻止する為にイリヤが犠牲となるのを許す事になってしまうから。せっかく過剰な投影をしないように『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』をアーチャーに投影させたというのに、それをアイツは無下にしやがったしな。

 

「やっぱりテメェはここでいっぺん(一回)死んどけ!!」

 

 やはり、衛宮の理想が生き続ける限り、いつかまたお前は桜を泣かす事になるだろう。そんなクソ野郎に妹を任せてられるかっつうの。

 

 俺は強化の魔術を施した足で跳ぶように衛宮の懐に突っ込んで行き、ヤツの腹部へ拳をブチ込む。それに対して衛宮は咄嗟に両腕で腹部を庇う動作を取る。

 

「っ゙……ぅぐっ!」

 

 しかし威力を全て殺す事は出来なかったのか、その勢いのまま後ろに飛ばされていた。

 

 手加減なんてしない。そんな情けを与えてしまえば、やられるのはこちらだと目に見えてるからだ。だからこそ、ここで一度殺すつもりでぶん殴るのだ。

 

「オイオイ、正義の味方になると言っていたクセにその程度か?テメェの理想が間違ってなんかいないって主張したいのならば、もっと根性見せてみろよ」

 

「っ、く……」

 

 もうかなり限界が近いのか随分とフラフラとしているが、俺を真っ直ぐ睨み付けるその瞳には諦めの色は一切見えなかった。寧ろ、決意の色が増しているようにも思う。その瞳を見て俺は、身体の芯からゾクリとするような感覚に陥った。この色はそう、ゲームでも人気が高かった“鉄心エンド”の衛宮が宿していた色。今の衛宮は万人の正義の味方として俺と対立しようとしているのだ。

 

「ハハ……!」

 

 やっとスイッチを入れやがったか。そう考えると俺の口は勝手に弧を描く。対して衛宮はピクとも笑わないのだから、どちらが悪役が分かったもんじゃないな。まぁ、どう足掻いても衛宮は悪役には成れはしないのだから、俺が悪である事には変わりはしないか。

 

「第二ラウンドと行こうじゃねぇか衛宮!今度こそテメェの理想、打ち砕いてやらぁ!!!」

 

「あぁ、来いよ!慎二!!!」

 

 俺達は同時に駆け出し、そして互いに互いの右ストレートを繰り出した。

 





前書きにも書いてますが、まだ後編は書ききれて無いんですよねぇ……今、絶賛喧嘩中です……(遅筆野郎)

言い訳臭いんですけれど、やっぱり最後に近いからって何か変なこだわりが出ちゃってるんですよね。プロットでは今話で理由話して治療薬渡して、宝具発動させてスパッと解決!次でエンディング!みたいな感じの予定だったのに、主人公達に喧嘩させよう!なんていう馬鹿な考えが出てきて下書き丸々何個か没にしちゃったんですよ。だからこんなに遅くなったんです、すみません……。

次回は流石にもっと早めに出せるように必死に書いてるんで、「仕方ねぇな。待ってやるよ。」みたいな緩い気持ちでお待ちください…m(_ _)m

最後に長い独白をば…。皆さんFGOの最新章プレイされましたか?私は三日掛けてクリアしたんですけれども、見事なストーリー展開に心がやられてボロ泣きしてました。いつぞやにパートナーサーヴァント候補に私の忖度で邪ンヌの名前を挙げていたくらいに大好きだったので、ダメージが……。あ、スキルの強化は有り難かったです。人の心無いんかとは思いましたけれどね((
他のアヴェンジャーの皆も大好きで、それ故に本当にあのストーリー展開は辛かった……。でもその代わり燃料投下はされたからこの作品の文字数は増えたというデタラメ現象ががが……。

そんな色んな思いで心がぐちゃぐちゃですが、気持ちを切り替えて、何度も言っておりますが、この小説の完結に向けて頑張りたいと思いますので応援よろしくお願いします。
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