もうなんかダイジェストじゃ無くね?くらいに長くなった敵対IFルート後編です。全部で大体、一万六千字あります…。うーん、長いね(他人事)
Side:衛宮士郎
・食事の用意中に屋敷が突然暗くなる異常を検知→遠坂やイリヤを心配して中庭へ急ぐ衛宮
・中庭にて倒れている遠坂と黒聖杯として覚醒してしまった桜を見つける
・基本の流れは映画と同じ
・ライダーが出る場面が丸々カット&短縮化(イリヤがすぐに止めに入るなど)
・セイバー退去後、遠坂を抱えて教会に駆け込む
・イリヤ救出も流れは会話の多少の変化はあれども大体は同じ
〜衛宮士郎Side 終了〜
・泥の中でアンリマユに出会う(ただしその事を思い出すのは終盤)
・セイバー退去後、泥の満ちた蟲蔵にて目覚める慎二
・泥にどっぷり浸かったので、泥の汚染をもろに受けた黒聖杯容姿慎二君モドキ爆誕(色素の落ちた白髪、オッドアイ(左眼のみ赤)、頬にヒビ割れのような赤黒い線など)
桜に泥の海に突き落とされ、流石に死んだかと思った。だけれど、実際にはこうして起き上がれたし、妙な気怠さがあるだけでパッと見は特に何も起きてなさそうだ。
「っ゙……!!?」
と、思ったのだがどうやら現実はそう上手くはいかないらしい。立ち上がろうと床に手をつこうとした時、グジュリと音が鳴った。そしてそれと同時に腕を伝う痛みに、音の正体は泥であると悟り、急いで手を離した。
「起きたんですね、兄さん」
その時、背後からクスクスと笑う声が聞こえてきた。振り返るとそこには案の定、声の主である桜が居た。
「……桜」
「そんな怖い顔しないでください」
「分かってて言ってるだろお前」
「えぇ。ふふ……そうですね」
いつもの如く桜を睨みつけるのだが、当の本人はいつもの様にビクビクと怯える様子は一切無い。寧ろ俺がそうする事を喜んでいるかのようだった。……いや、態度ではなく俺の姿を見ている?
「ところで、桜。お前、一体俺の“何を見て”そんなに喜んでいる」
その疑問を解消する為、俺は桜に尋ねる。
「あはっ♪分かりました?私が兄さんの姿を見て喜んでいる事」
「当たり前だ。いつもはしないニヤケ面を浮かべておいて、俺が分からないとでも思ったか」
俺がそう言うと桜は笑みを更に深める。
「えぇ、えぇ!そうですよね。兄さんは私の事、いつも見てくれていますものね」
そして頬を赤く染めて恍惚な表情を浮かべながら衝撃的な事を言ってきた。
「だから私嬉しいんです。兄さんとこうして
「は?お揃い?間桐の色?桜、お前何言って……」
「ふふ♪コレを見てください」
俺の疑問を解消させる為か、桜はどこからか手鏡を取り出して俺に手渡して来た。
「な────!??」
俺はその手鏡に写る自分の姿に唖然とさせられた。そこに写る俺は、間桐家の人間によく見られる青藤色の髪が見る影も無く真っ白に染まり、左眼も血のような暗い赤に染まっているからだ。更に左頬には、これまた桜と同じ様にヒビ割れのような紅い線も現れていた。
「お前……俺に一体、何をしたんだ!」
これでは俺も黒聖杯となってしまったのと変わらないではないか!そんな思いで桜の元に近付くが、
「兄さんには私と同じ所にまで堕ちてもらいました。本当は、泥に染まってくれるだけでも良かったのですけれども……精神は壊れる事無くはっきりしてて、何よりお揃いになれただなんて嬉しい誤算ですね」
と言って、何も反省する様子は見られなかった。寧ろ、お揃いである事に有頂天となっているようだった。
「何でそこまで……」
「何でって……覚えてないんですか?私、言ったじゃないですか。同じ所にまで堕ちて欲しいって。兄さんは本当に優しい、素敵な人です。穢れてしまった私が兄さんに触れるのなんて恐れ多いと思ってしまうくらいに」
俺が優しい?桜が穢れてる?一体、何を言っているんだ?心当たりの無い評価に、俺の頭の中は疑問が絶えなかった。そんな俺を他所に、桜は話し続ける。
「だから兄さんは決して私のような人殺しにはならないと思ってた……。だけど兄さんはあの時、私を妹ではなく、ただの殺すべき悪として、私を切り捨てました。その時に思ったんです。兄さんにもこんな一面もあったんだって」
「・・・・・。」
桜がどんな思いでこのような行動に出たのかを分析する為、俺は黙り続けた。それに、どんな動機であれ、知らなければただの意見の押し付けでしかないという自分なりの考えからの行動だった。
「そして嬉しかったんです。兄さんも私と同じ人殺しになれるんだって。そう思ったらもう、我慢出来なくなっちゃいました。兄さんにもっと、私と同じ所に来て欲しいって、私だけの色で染め上げたいって」
そう言いながらドロリと執着が宿る暗い瞳でこちらを見る桜に、もしかしたら俺の今までの行動は過干渉が過ぎたのかもしれない、と後悔の念を抱いた。
「…………そうか」
そして、そうであるならば、その責任を負わねばならない。多分、それが俺がこの世界で好き勝手やってきたツケなのだ。
「───桜」
だから、その清算の為に俺は、この地獄の底で───
「はい、何ですか?兄さん」
「お前はこれからどうしたい」
自らの
・自らの信念を曲げ、間桐桜の兄、間桐慎二として妹に寄り添う事を決意する慎二
・泥に染められた事を逆利用して桜の負担を四分の一〜半分くらいは背負うようになる
・影or泥での移動が可能になる
・精神汚染度は中軽度。狂気による汚染は無いが、間桐慎二らしからぬ行動(前世の性格が出やすくなるとも言う)を多々するようになる(例)桜に対する態度の軟化
・桜が言峰綺礼の心臓を潰した後、取引を持ちかける
「駄目っ……!入って、来ないで……」
「───桜、それは駄目だ。バーサーカーは俺が呑む」
つい先程までバーサーカーと衛宮との闘いを遠目から観察していた俺は、最近身に付けた影による移動で桜の側に移動し、桜の中に入ろうとしたバーサーカーの
「にい、さ……ん」
青白い顔で苦しそうにする桜の頭を撫で、激励の言葉を掛ける。
「よくやった、桜。後は俺がやる。セイバーを呼んで、お前は休んでろ」
「は、ぃ……。兄さん」
俺がそう言うと桜は素直に頷き、言う通りにこの場から離れて行った。それを確認した所で、今度は心臓を潰されて倒れている言峰の元へ近付く。
「よう。クソジジィと妹が世話になったな。まだ生きてっか?」
「間桐……、慎二か……」
言峰がふらつきながら立ち上がり、俺を見る。そして俺の姿を見て、目を見開いて驚く様子を見せた。
「随分と変わったな。何があった」
「義理の妹を殺し損ねて、その妹に泥の海に落とされたのさ。んで、何の因果か発狂せずにこうして化け物化に片足突っ込んだ
「……なるほど。それで、君は一体私に何の用かね?」
その質問に、待ってましたとばかりに俺はニヤリと口角を上げる。
「俺と、取引しようぜ?言峰」
「取引だと?死にかけの私に君は何を望もうと言うのかね」
俺の言葉に言峰は訝しげな顔をして、こちらの疑う素振りを見せた。
「んな、大層なもんじゃねぇよ。ただ、泥とはまた別の方法で心臓を補ってやるからその代わりに、大聖杯の元に行こうとする衛宮を足止めして貰いたいってだけさ」
「私に利点が無いように思うが?」
「オイオイ!アンタが利点を気にするようなタマか?」
ケラケラと笑いながらそう言うと、言峰の眉間に皺が寄る。
「巫山戯ているのか」
「いいや?大真面目に話してるさ。ま、利点はしっかりあるからさ、聞けよ」
「なに……?」
「アンタ、長年抱いたその疑問に対する答えを見たくないか?具体的に言えばアンリマユ誕生の瞬間を……な?」
図星であったのか、それとも俺がソレを知っている事に驚いているのか、仏頂面から一変して再び目を見開いて驚く様子を見せた。
「さぁ、時間は有限だ。どうする?俺は、別にアンタがこの取引に応じなくともアテはあるけど?」
実際はそんなモノは無いのだが、この程度で諦めるのならばその程度の目的だったっつう事で別案に移行するだけだ。
「…………本当にその瞬間が見れるのかね?」
お、食い付いたな。
「絶対だ。とは言い切れねぇが、可能性は高いと思うぜ。なんせ、アンタには特等席で待ってもらうんだからな」
「そうか……。では、君の取引に応じるとしよう」
「オッケー。これにて交渉成立ってな」
こうして言峰と熱い握手を交わし、交渉成立による決戦への布石が整ったのだった。
・八人目ルートと同じく言峰の心臓を蟲で補う→原作と同じくラスボスは言峰が担う事に
・基本的には薬の開発の為に部屋に籠もるスタイルを取る慎二
・衛宮Sideは大まかな流れに変化無し
・泥を通して桜と繋がっている為、呼ばれたらすぐに駆け付ける
───兄さん、兄さん……何処ですか?
桜が、俺を呼んでいる。泥に汚染された事により、擬似的に繋がりを得た俺は、どこに居ても桜の呼び声が聞こえるようになっていた。それはつまり、桜からも俺の事が筒抜けという訳なのだが、兄として行動すると決めた今となってはもう、どうでもいい事だ。
「どうした?桜」
作業を中断して、桜の元へと向かう。
「聞いてください兄さん。私……この手でお爺さまとアサシンを殺しました。もう、私達を邪魔する人は居なくなったんです。私達、自由になれたんですよ?だから、だから……褒めてくれませんか?兄さん」
「…………そうか。よくやったな、桜」
人としての限界が近いのか、人間の体温としては低い桜の身体を腕の中に抱き寄せる。そして桜の言うように彼女の行動を褒め、頭を撫でながら、思考を巡らす。
もうすぐ、物語の終盤に入る。原作通りであれば、イリヤによって大聖杯が閉じられる事で聖杯戦争は終着するのだが、現実はそう上手い事行かないモノである。特に誤算だったのは───
「ねぇ……兄さん」
「何だ?」
「兄さんは、
「…………そうだな。俺はお前の味方だよ、桜」
────妹の、俺に対するこの依存だ。
・衛宮を迎え討つ為、セイバーが待つ場所へ向かう慎二
・その時に鍵を使って『
「────お前は、邪魔だ」
衛宮のその言葉を聞いてセイバーが魔力放出を行った時、俺はセイバーの背後から奇襲を仕掛けた。
「盛り上がってる所悪ぃが、セイバー。お前はここで退場してくれや」
「な゙……!?」
「セイバー!!!」
アーチャーの腕を移植したとて、人の身ではサーヴァントには敵わない。原作通り戦う事になれば、衛宮は助からないだろう。ならばどうするかと考えての結果がこの奇襲だ。『
「よう、衛宮。随分と久しぶりだな」
そうして倒れ込んだセイバーをバーサーカーと同じ要領で、一時的に器の中にしまい込みながら、なんてことないように衛宮に挨拶をする。
「慎二……なのか?」
「何だよ。数日会わなかっただけで、人の顔を忘れるような冷てぇ奴だったのか?お前」
「いや、だってお前……」
信じられないモノを見たとでも言うように、衛宮の目は驚きに見開かれていた。まぁ、そりゃそうか。ここ数日会ってなかった筈の人間がここに居るってのも驚きだろうし、何より姿が変わっちまっている。疑うのも道理って訳だ。
「なんてな。ちゃーんと分かってるよ。そりゃ、これだけ変われば疑いたくもなるわな」
「ソレ……何があったんだよ」
「ちょっと桜を殺し損ねるヘマをしてな。アインツベルンの森でお前らを襲った泥があっただろ。アレの池に突き落とされた結果、見事に染められちまったってワケ」
「染められちまったって、そんな軽く言えるモンじゃないだろ?!だってアレは……!それに、桜を殺し損ねたって……」
おーおー、見事に困惑してらぁ。ま、そりゃそうなるわな。一瞬とは言えども衛宮はあの泥に触れた事がある衛宮にとって、それが大量にある池に突き落とされた、だなんて言われれば困惑するってモンだ。それに加えて想い人の殺害未遂の報告。困惑するなと言うのは無理な話だろうさ。
「まぁ、確かにお前にとっては軽く言えるもんじゃ無いだろう。だが、俺にとってはもう過ぎた話だ。何の因果か俺はこうして染め上げられはしたが、正気を保ってる。桜の殺害未遂については、悪手だったっつう話だ」
「過ぎた話って……、全然過ぎた話じゃないぞ慎二……!だってその状態は桜と殆ど変わらないじゃないか!」
「まぁ、そうだな。俺は聖杯の欠片なんざ、取り込んでないから器になんかは成れやしねぇ。だが、桜はお揃いだって喜んでくれたよ。こんなモンでアイツが笑うってんなら安いモンだ」
「慎二……」
俺の言葉に何か変な事でも考えたのか、衛宮の目が何故か生暖かいモノに変わった気がした。大方、『慎二が桜の事を真摯に考えてる……!』だとかのくだらない感想だろう。
「さて……お喋りはこれで終いだ。この先に行きたきゃ、俺を殺してみろよ」
だから俺はとっとと話を切り上げる事にした。
「な……!?そんな!俺はお前とは戦いたくない!慎二、そこを退いてくれ!」
「馬鹿衛宮。俺が、ここに来たのは端からテメェと戦う為だっつうの。それに、俺は桜の味方だ。妹を守らない兄貴が何処に居るんだよ」
「っ……!慎二、やっぱりお前……」
そこまで言って、漸く衛宮の瞳が、先程セイバーに向けていたものと同じものに変化する。
「……フ、真意を知りたきゃ武器を取れ。衛宮」
俺は衛宮のその様子に満足し、口角を上げる。そして、泥によって汚染強化された使い魔を召喚し、武器を構えた衛宮と対峙したのだった。
・VS衛宮、基本は使い魔による中遠距離戦闘スタイルがメイン
・たまに近距離の殴る、蹴るなどの行動も取る
・時間稼ぎが目的なので、本気でやり合う事はしない(衛宮の方は本気だが)
・衛宮呼びから士郎呼びに変わる
・途中、セイバーとバーサーカーの影を器ではないのに一時的にとはいえ取り込んだ影響で血を吐き始める→戦闘中断後、気絶
・気絶前にある言葉(後程記載)を残して最後の時間稼ぎをする
Side:衛宮士郎
・慎二気絶後、遠坂と桜の元へと向かう
・桜救出&言峰との殴り合いは基本的に原作と変化無し
・身体ボロボロ、記憶消えかけの状態で最後の投影をしようとする→イリヤ登場
・イリヤが大聖杯の元へと向かおうとした時、慎二が止めに入る
「お前が最後の、マスターだ。その責務を……果たすといい」
そう言って地面に倒れる言峰。そして俺は覚束無い足取りと霞む視界の中、大聖杯の元を目指した。
「これで、これで最後だ……投影を……」
そうして辿り着いた大聖杯の目の前で、俺は聖杯を破壊する為の最後の投影を行おうとした。
「っ……!!」
だがその瞬間、脳裏に夢で見た全身から刀身が生えてくるあの瞬間が過ぎった。今や記憶の殆どが欠落し、身体も限界が近い。この投影を最後に俺は、あの光景のように、物言わぬ鉄の塊のようになってしまうのだろう。その恐怖に身体が震え、投影を躊躇ってしまった。
「いい、のか……?それで……?」
文字通り最後の投影になるのだ。この投影を行えば、俺は確実に死ぬ。それはつまり───
『お前は生き延びて、桜を守れよ。士郎』
───
嗚呼、それは駄目だ。そんな事は出来やしない。でも、これをしなければ聖杯は壊せない。
「どう、すれば……」
やはり約束を破り、この身を犠牲にして投影するしかないのか……?でも、それはどうしても……
「大丈夫だよ、シロウ。この門を閉じるのは私だから。シロウは何も心配しなくて良いの」
どうするべきか悩んでいると、背後からカツン、とヒールの音と少女の声が聞こえてきた。振り返った先に居たのは、純白のドレスと王冠を身に纏うイリヤだった。
「ぁ……」
もう一人の、俺が守りたかった存在。その子が、今、この場に居る。擦り切れた記憶ではもう名前も思い出せないが、この聖杯戦争中に出逢った少女。あの日、手を取り、救い出した少女。そんな大切な存在が今、大聖杯の元へと向かおうとしている。
「だ、めだ……!戻って、来い!ソイツは、俺が、連れていく……、から!」
名前が一向に思い出せない。けれども、この子に門を閉じさせてはいけない。このまま先に進ませてはならない。と必死な思いで呼び止める。
「シロウは、生きていたい?どんな命になっても、どんな形になっても、生きていたい?」
けれども彼女は、そんな俺の呼びかけには答えず、俺に生きていたいのかを問う。
「そんな事!今は、どうだって良いだろ?!戻って来いよ!なぁ……!!」
俺はただひたすらに彼女へ戻って来るように呼び掛け、手を伸ばした。涙がポロポロと流れ落ち、視界が更に霞んでいく。名前を思い出せない事がこんなにも、もどかしく、無力に感じるだなんて、思いもしなかった。大切な存在な筈なんだ。だから、何としてでも思い出さねば。そう思うのに、焦れば焦る程、記憶が消えるかのような感覚に襲われた。
「ねぇ、シロウ。答えて?貴方は、生きていたい?」
「っ……、生きて、いたい!!」
もう半ばヤケクソに近い叫びだった。名前の呼べないこの少女が、思い留まってくれるのならばそれで良いと思ったからだ。
「そう。シロウは生きていたいのね」
俺の言葉を聞いて、この返答が嬉しいとでも言うかのように、彼女は微笑んだ。
「シロウ、言ってたよね。『兄貴は妹を守るもんなんだ』って。それなら、私はシロウのお姉ちゃんなんだもん。弟の願いは叶えてあげなくちゃいけないわよね?」
「それは、そうだが……!でも!俺の、願いは……今はどうだっていいよ!!それよりも!戻って来いよ!!」
確かにそんな事を言った覚えはある。けれども、それは彼女にお兄ちゃんと呼ばれたからであって、その理論を今、当て嵌めて欲しくはなかった。
「奇跡を見せてあげるね?今度のは凄いんだよ。だって、本当の魔法なんだから」
そう言って再び後ろに一歩踏み出す彼女に、必死に手を伸ばそうとした時、
「その必要は無ぇよ、イリヤスフィール」
聞き馴染みのある声、気絶していた筈の慎二の声が聞こえてきた。
〜衛宮士郎Side 終了〜
Side:間桐慎二
・イリヤが大聖杯を閉じる前に引き止める
・『
・同じく『
・衛宮の最後の投影で大聖杯を破壊する
「慎、二……?」
ここに居るのが信じられないとでも言うようにこちらを見る士郎と、宙に浮くように大聖杯の前に立つイリヤの姿に、何とか間に合って良かったぜ、と心の中でホッと一息つく。
「おう、何だ。士郎」
「身体は大丈夫なのか?だって、お前、血を吐いて……」
「ハッ。んなもん、平気に決まってんだろ。こちとら泥の海に落とされて生きてんだぜ?あの程度で俺がバテるかっての」
そもそも、テメェらが死ぬのを黙って見ていられる程、俺は傍観者に徹している訳じゃないしな。俺が桜の味方に付くと決めて辿り着いた結論。後味が悪い結末なんて御免だと考えた俺の身勝手な願いだ。
「何をしに来たの。マキリの血を継ぐ末子。貴方に出来る事は何も無いわ」
そんな俺の考えを知らぬイリヤが、人形じみた瞳でこちらを見る。どうやら俺が何も手段を講じずにここに来たと思っているようだ。
「それがあるんだなぁ〜これが。俺が何の手段を講じずにここに来たとでも?そんなワケ無ぇだろ。ちゃあんと、準備してるぜ」
ニヤリと挑発的な笑みを浮かべ、俺は背後に展開した『
「それは?」
「テメェの治療薬だよ、士郎」
「え?!い、いつの間に?!」
まさか自分のこの状況を打開する薬を俺が持っていると思っていなかったのか、士郎は目を見開いてこちらを見ていた。イリヤはと言うと、少し眉間に皺を寄せて訝しげな表情を向けている。
「テメェの行動なんざ、全部お見通しだっつうの。俺は使役魔術に長けた魔術師なんだぜ?この聖杯戦争のありとあらゆる情報を握ってる」
「そうだったのか……」
「あり得ないわ」
「イリヤ……?」
俺の理論に納得しかけた士郎だったが、イリヤはこれを即座に否定した。
「それにしたって、シロウがアーチャーの腕を移植したのはつい最近の事よ。いくら情報を素早く握れるからってシロウのこの症状にピンポイントで効果のある薬なんて用意出来る筈が無い。だって、それ以前に使用した時にはこんな症状なんて出てなかったもの」
流石、イリヤだな。俺を信じきってる士郎と違って、俺のこの理論の穴をすぐに見抜いたのだから。
「ねぇ……貴方には一体、
イリヤの的を射た質問に、俺は口角を釣り上げて挑発的な笑みを浮かべる。そして、ここらが潮時だな、と俺は種明かしをする事にした。
「見えてた……ねぇ?それについては目一杯話せる事があるが……。まず言えるのは俺はな、イリヤスフィール。この聖杯戦争の行く末ならば
「な!??」
士郎の顔が衝撃の色に染まり、イリヤでさえ瞳が元に戻り、目を丸くしていた。
「……未来視の魔眼を持っていたのね」
「いいや、違うな。俺は魔眼なんてモノは持ってないし、これは千里眼でもない」
「じゃあ、何だって言うの」
「知識だよ、知識。この際だから言うが、俺は別世界から転生して来た人間でな。この世界の事は何でも知ってんだ」
まぁ、何でもっつうのは少し言い過ぎたかもしれねぇが。だって、俺はゲームでの知識しか持ち得ていないしな。などと言う言葉は飲み込み、得意気に話すと今度は士郎の顔が訝しげなモノになった。
「ま。とは言ってみたが、どうせお前らは信じられねぇだろ?だからまぁ、未来視とか千里眼とでも思っとけ。それなら納得行くだろう?」
そう言うと渋々といった様子ではあるが、とりあえずは納得をする事にしてくれたようだ。その様子を見て、俺は持っていた薬を二つとも士郎の元へと投げつける。
「おわぁっ!?危ないだろ!落としたらどうすんだよ慎二!」
「ナメんな。多少落としても平気な位には強化の魔術を容器には施してあるっつうの」
「そう、なのか……。いや、でも!投げる必要は無くないか?!」
「うるせ。テメェの為だけに移動すんのはメンドかったんだよ。分かったらさっさと身体に薬をブッ掛けろ。あ、色が無い方が先な。もう一つは飲むヤツだ」
「えぇ……?」
ぶっきらぼうにそう言い放つ俺を見て士郎は呆れる様子を見せたが、大人しく指示した薬を身体に掛けた。イリヤの言う通り、症状が現れる前に憶測で作ったヤツなので、ちゃんと効果が現れるかは正直賭けにも等しい。だが、そんな心配は必要無いとでも言うように、薬はきちんと思っていた通りの効果を発揮してくれたようだ。
士郎の身体から痛々しく生えていた剣がドロドロと溶け始めたのだ。そしてその溶けた鉄が士郎の肌を焼くという事は無く、パラパラと煤のように酸化して空気中に霧散していった。
「さて、士郎。これでテメェの身体の状態はこれで一旦元に戻ったワケだ。やるべき事は分かってんな?」
「勿論だ、慎二」
真剣な表情で返事をし、アーチャーの腕を構える士郎。
「
「待ちなさい!!この聖杯を閉じるのは私の役目よ!シロウはその腕を二度と使っちゃ駄目!!」
そして投影を行おうとした所でイリヤから全力の静止の声があがる。おまけに、まかり間違っても士郎が大聖杯を攻撃しないように、両腕をめいいっぱい広げてその真正面に立つ始末だ。どうやらイリヤは、相当士郎にアーチャーの腕を使わせたくないようだ。
「邪魔をするなイリヤスフィール。士郎が投影を行っても、先のような二の舞いにはなりゃしねぇよ。その為の二つ目の薬だ。コイツを飲めば、剣が全身から生えるだとか言う馬鹿な症状は全て無くなる。ついでに擦り切れた記憶も戻るかもな」
「そういう問題じゃないわ。この門を閉じるのは私の役目なの。それはシロウにだって、勿論貴方にも出来ない事よ」
「馬鹿言え。コイツを壊してしまえばそれは閉じたも同意だろ?」
「そんな事無いわ。壊すのと閉じるのは別の意味。私は、シロウを死なせたくないの」
「ほぅ……?そりゃあ、大層ご立派な姉弟愛だこと。だが、テメェの命を犠牲にして、この正義馬鹿が傷付かないとでも思ったか?」
「────!」
俺の責めるような言葉に、イリヤは分かりやすく顔を歪め、しかめっ面を曝している。それと、俺のイリヤの命を犠牲にするという発言に、士郎が反応を示した。
「せっかく俺が誰も犠牲にしねぇハッピーエンドを用意してやるんだから大人しく受け入れろ。あと、テメェが生きてねぇと士郎がいつまで経っても無茶しやがるしな」
「ちょ、慎二……!そんな事まで言う必要は無いだろ!?」
「身体ボロッボロのクセに投影を行って死ぬ気になりかけたテメェに言われたかねぇんだが?まぁ、その前に恐怖を感じてそこの姉とやらに助けられかけてたけどな」
「ぅ゙……」
図星を突かれ、士郎が罰の悪そうな顔をした。
「まぁ、とにかく俺が言いてぇのは、その
「無理よ。だって私はこの聖杯戦争の為だけに生まれたの。この役目を放棄したともしても私は人間じゃないの。長生きなんて出来る訳無い」
淡々と、けれども心の底から望んだ訳ではないと言いたげな表情で、イリヤは語る。それを聞いた士郎が、イリヤの覚悟と彼女を取り巻く環境に力及ばぬ事を悔いて、拳を密かに握り締めていた。
「聖杯戦争の為だけに生まれたぁ?なに馬鹿な事言ってんだよ。テメェはあくまでも先代の代わりを押し付けられただけで、愛の下に生まれてきてただろうがよ」
「貴方、一体何を知っているのよ」
「だから言ったろ?何でも知ってるって。だからこそ、この聖杯戦争を誰もが羨むハッピーエンドにしに来たのさ」
「ハッピーエンドですって……?そんな都合の良いものがあるわけ無いじゃない。幸せは、取捨選択の上に成り立つものよ。そして私はそこには含まれない捨てられる側よ」
「おいおい、随分自分を過小評価し過ぎなんじゃねぇの?血の繋がりも、過ごした時間も短いクセに、なーんでそういう所は似てるんだよ」
変な奴らだなぁ、と笑うと士郎達は打ち合わせでもしたかのように揃えてムスッとした顔を浮かべていた。その様子にまた笑いそうになりながら俺は、士郎達が切り捨てざるを得なかったモノの名を挙げていく。
「切り捨てざるを得なかっただろう?イリヤスフィール、テメェは父親も同然だったバーサーカーを。士郎は家族も同然だったセイバーを。遠坂は相棒だったアーチャーを。桜は普通の女の子として生きる道を。とかな?」
「
「ん?」
「貴方はこの状況の為に何を切り捨てたの?」
「・・・・。」
まさかの返しに一瞬ペースを乱されてしまった。俺は、このハッピーエンドの為に何を切り捨てただろうか?まぁ、厳密には違うだろうが、強いて言うのならば……
「…………
「え?それは一体どういう……」
「さて、無駄話はここで終わりだ。そろそろアンリマユのヤツもしびれを切らして足掻き始めるぜ」
士郎の疑問の声を断ち切り、大聖杯を指差す。するとそれに反応するかのように地揺れが酷くなった。そして、影が次なる器を求めて、イリヤを捕らえようとこちらに牙を向いた。
「っ……!イリヤ!」
「あ、おい!馬鹿っ!その服には触れるな!っ、
その時、士郎が後先を何も考えず助ける為にイリヤの元へと突っ込むものだから、少し対応が遅れた。俺は使い魔を召喚し、二人の間に道と、影が触れぬように障壁を創り出す。それでも何とか間に合ったようで、士郎が天の衣に触れる事は無く、落下もしていなかった。
「この馬鹿士郎!!無闇矢鱈に手を伸ばしてんじゃねぇよ!俺が間に入らなきゃ、テメェは今頃黄金に変えられてたんだぞ?!俺の行動をテメェの身勝手で無駄にすんじゃねぇよ!」
「わ、悪い……。つい、いつもの癖で……」
そう怒鳴り散らせば、士郎は思ってもいないクセに罰が悪そうに目を逸らして頭を掻いた。
「ケッ……良いよ。どうせテメェのソレは死んだって治りゃしねんだろうしな。まぁ、それでも?反省する気があるならとっととイリヤスフィールとそこから離れな」
「あぁ、分かった。行こう、イリヤ」
「…………うん」
俺が舌打ちしながらも離れろと言うと、士郎は素直に頷いてイリヤと大聖杯から距離を取った。そうしてある程度の距離が取れた所で俺は大聖杯に眠る奴、アンリマユに語りかける。
「アンリマユ!!
「慎二?!一体、何を───」
「俺が何をしようがテメェにゃ、関係無ぇ!黙ってそこで投影に集中してろ!」
「っ……」
付き放つような言い方で悪いが、下手に話すと士郎がこちらを気にして投影を躊躇うと困るので、この対応を取らせてもらった。士郎が怯んだ後に、イリヤを捕らえようとしていた影の矛先が自分に向く。そしてソレらは俺の胸の辺りから侵入してきた。
「ぐ……!」
「慎二!逃げろ!!」
士郎がこちらに来ようとするのを手で制止して、『
「ぅ゙……!?ァガッ……!!?」
「慎二───!!」
想定していたとは言え、契約解除に伴う激痛に気を失いそうになった。だが、これでゴリ押しではあるがアンリマユをこちらに
「今、だ……っ!士郎!!大聖杯を、破壊しろ───!!」
「っ!
士郎の最後の投影によって大聖杯は破壊され、俺の生き残りを賭けた聖杯戦争は、こうして幕を閉じたのだった。
・大聖杯破壊後、体調を崩す慎二→衛宮、遠坂、イリヤなどの聖杯戦争関係者が見舞いに訪れる
・大聖杯という核は失ったが、新たに慎二の影法師的なサーヴァントとして現界するアンリマユ(姿は影法師なので慎二君そっくりである)
・ただし契約主は桜。理由は桜は一度向こう側と繋がった為、魔力の貯め過ぎの解消をしないといけないから
・イリヤの寿命問題は、封印指定の人形師に依頼して身体を作ってもらう事で解決済み(回路数が減るのでちょっとした弱体化はする)
・一応まだ『
・エピローグ最後は八人目のマスタールートと同じく花見の場面(季節は何回か巡っている)で終了
聖杯戦争が終わり、後始末に追われながらも幾回か季節は巡り、今年も春がやって来た。いつも通りに今年の春も過ぎ行くかと思われたが、今年は少しだけ違ったようだ。
「慎二〜!準備出来てるか?」
誰が言い出したのか、皆の予定が開いてる日があったから今年は皆で集まって花見をしよう!となったらしく、今年の春は大人数で花見をするらしい。
「……あぁ、出来てるよ」
いつもはこの時期は妙にクソ忙しくて花見なんぞしてる暇は無いのだが、流石に家にまで来られて持たれたら行くしかあるまい。正直、面倒臭い事この上ないし、めちゃくちゃ眠いのだが。
「なぁ、そんな不機嫌な顔するなよ。こうして集まれるのだって珍しいんだし、楽しまなきゃ損だぞ?」
「……あのさぁ。俺のこの隈を見てよく言えたな?俺はこの時期は花見よりも睡眠を優先したいくらいに寝不足なんだが?」
ジロリと士郎を睨みつけるのだが、奴はどこ吹く風で『悪い悪い』と軽く謝るだけで何も気にする様子を見せなかった。……ケ。そういう所だけ図太くなりやがって。
そんな風に久々に士郎と言い合いながら、目的地に辿り着いた。目的地には既に人が集まっており、高校時代の知り合いの美綴や一成、ロンドンに居る筈の遠坂、新しい身体を得て年齢相応に成長したイリヤなど顔見知りの面子が多く居た。
「あ、こっちこっち〜!士郎〜!」
場所取りは先に来ていた藤村先生らがやっていてくれたらしく、場所はここらでも一等綺麗に咲き誇る桜を見る事が出来る所だった。そこへ向かう俺達を藤村先生はいち早く見つけて、大声をあげて手を振りながらアピールしていた。相変わらず元気いっぱいな人だな。それがまぁ、士郎にとってのある種の支えになってるのかもしれねぇが。
「おわっ?!慎二、スッゴイ隈じゃん。アンタ、何日寝てないの?」
美綴が俺の隈に気が付いて、驚きの声をあげた。
「いや、寝てはいるんだが……この時期は妙に忙しくてな。睡眠時間がショートスリーパー並に短くなる。だからそのツケが回って来てんだよ」
「大変ねぇ、アンタも。なら、流石に今日は寝てた方が良かったんじゃないの?」
「俺的にはそうしたかったんだがな。士郎が家まで押しかけてくるから仕方なく、だ。だから帰ったら即寝る」
「アッハハ!衛宮の諦めの悪さに負けたのか。アンタも存外、衛宮に甘いよね」
「なわけ……」
腹を抱えて士郎に俺は甘いと笑う美綴に、俺は『そんなワケあるか』と言いたくなったが、こうして来ている事実があるので、あながち間違いでもないかもなと、はっきりと否定し切れずに顔を反らすだけしか出来なかった。
「そろそろ素直になりなよ〜、慎二」
「うるせぇ。余計なお世話だっつうの」
おちゃらけた様子で肘でこちらを小突いてくる美綴を冷たくあしらい、少し離れた近場の椅子に腰を下ろす。そして、心地良い春風を感じながらこれまでを振り返る。
桜に初めて会った時に何らかの原因で俺は一度死に、間桐慎二に成っている事に気が付いて、もう十年以上。当初の目標であった『聖杯戦争を生き延びる』というモノも無事に達成し、こうして忙しいながらもそれなりの日々を過ごしている。命が関わる出来事なんてそれこそアレ以来経験していない。まぁ、好き好んで遭遇したいとも思わないが。
そんな事を考えながら、チラリと皆が集まる方を見ようとした時、
「混ざらなくて良いんですか〜?オニィサマ?」
ニヤニヤと俺がしないであろう顔を浮かべてこちらに歩み寄る
「おい、アンリ……。お前……説明が面倒臭くなるから外では出てくるなって言ったよな?あと、その俺そっくりな顔でニヤニヤすんな」
ただアンリマユ自身の姿は無い上で取り込み主が俺である為、俺の影法師的な存在となった彼の姿は俺そっくりとなっている。その事について士郎や遠坂等から問い詰められたのは懐かしい記憶だ。
「え〜?まぁ、良いじゃんかよ〜、オニィサマ。生き別れの双子とでも言えば。そっくりな顔については我慢してちょ?」
「嫌だね」
「うへー、酷いなぁ……オニィサマは」
「酷いも何もごく普通の対応をしたまでだが。と言うかお前は────」
「「慎二/兄さん」」
俺の顔であざとウザい表情をしやがるアンリマユをいつものようにあしらい、文句を言おうとした時、士郎と桜の二人に声を掛けられた。
「……何だ」
「そろそろお昼時だろ?俺が行った時には何も食べてなさそうだったし、お腹空いてんじゃないかなって」
いや、何でそんな事が分かるんだよ。そんな思いで士郎を睨むと、アンリマユも同じ事を思っていたのか『うへぇ……』と嫌悪感丸出しの顔で士郎を見ていた。
「確かに食べては無いが……わざわざ呼びに来なくて良いだろうがよ」
「ごめんなさい、兄さん。私が兄さんとも一緒に食べたくて先輩にも誘って貰おうと言い出したんです」
なるほど。桜が言いだしっぺなら俺が邪険に扱う事はないと思っての声を掛けたワケね。よくまぁ、わかってらっしゃる事で。
「はぁ…………。まぁ、桜がそう言うなら別に一緒に食べてやっても良いけどもさ」
渋々、本当に渋々了承してやると横に来たアンリマユが俺の頬を突きながら、
「だからぁ、素直になれよ〜。オニィサマ?」
「黙れアンリマユ」
「あい゙たたただだだ?!!ちょ……!いひゃいんでふけど?!
「テメェは大人しく俺の影に引っ込んでろボケ」
ニヤニヤとウザったく言ってきたので、頬を抓り返して影の中に無理矢理押し戻した。
「あの……良いんですか?そんな事をアンリマユさんにしてしまって……」
「良いんだよ、コイツは。寧ろ、こうでもしないとすぐに調子に乗りやがるからな。ほら、さっさと行くぞ」
その様子を見た桜が心配する様子を見せたが、俺はこれくらいが良いと思っているので、桜の心配を跳ね除けた。
「慎二って、結構アイツには塩対応だよな。自分そっくりだからか?」
「まさか!アイツが本当に俺そっくりなら、対応はもっと甘くなってるだろうよ。なんせ俺は自分には甘ぇ男だからな」
じゃないと自分の命が惜しいからって英雄王に啖呵を切ったり、あの状況で桜の兄で居られる訳が無いのだから。そんな考えの下で自分に甘いと自称するのだが、二人は何処か不満気だ。
「……何だよ。何か文句でもあんのか?事実しか言ってねぇだろ」
「あー、いや。なんでもないよ、慎二。慎二はそのままで居てくれ」
「そうですね、先輩。兄さんはそのままで大丈夫だと思います」
「はぁ?」
不満気な顔をしていたクセに、今度はクスクスと笑い出した二人に一体何なんだと疑問を抱いた。だが、二人は俺には教えるつもりは無いのか、露骨に昼飯の話に話題を戻した後に、俺の手を引っ張る。
そんな二人に結局俺は折れ、仕方ないなと思いながら二人の後に続く。その後ろに続きながら俺は、ふと、そう言えばあの時は“間桐慎二の人生を切り捨てた”と言ったが、こうして間桐慎二として過ごす第二の人生もまぁ悪くは無いかな、と密かに思った。
さてさて、これにて一応敵対IFルートを書き終える事が出来ましたが、どうですかね?皆様に喜んで貰えるような物は書けてましたでしょうか?もしよろしければコメント、ここすき等で教えて下さい。肯定的なコメントなら作者が飛び跳ねるくらいに喜び、否定or改善点等のコメントなら全力で対応を目指しますので……。
因みに慎二君の容姿を厨二感満載にしたのは作者のちょっとした趣味と桜ちゃんとおそろいにしてみたいな〜なんて言う邪な思いから来てます。反省はしてますが、後悔はあんまりしてません(((
残りは共闘IFルートを残すのみとはなりましたが、未だ構想が練れてないのでまた暫くの間は番外編の投稿かお休みとなると思います。もし、こんな展開とか見てみたい!とかありましたらコメント下さい。(展開に行き詰まったら、活動報告辺りでその内募集するかもなので、もしくはその時にでもくれたら嬉しい…)