ようやっと出来た続き……
「」『』内は本編にて表記してるよー。
主人公の衛宮が聖杯戦争に巻き込まれ、セイバーを召喚してから数日が経過していた。俺はと言うとルート確認の為に新都で魔力集めをしていた事以外には特には目立った行動はしなかった。いや、正確には一つだけ原作と違う事をしてしまったっけか。
それは美綴の件だ。間桐慎二と違って俺は美綴とは目立った不和は起こしていない。まぁ、ここ数日は何かと口を出してくるクソジジィの件でイライラしていてそれを注意されたことはあるがその程度だ。故に美綴を巻き込まずに一般女生徒のみを流れの為に原作通りに学校で襲わせるのみにしようとしていた。
「間桐……?アンタ、こんな所で何してんの?それに側に居るその女性は一体?」
だがしかし、周囲の確認を怠った俺は新都の路地裏にてライダーと共に魔力集めをしている所を目撃されてしまったのだ。
「っ!ライダー、殺さない程度に吸え」
「分かりました」
そして焦った俺はライダーに美綴の生命力を奪う指示を出してしまった。結果、美綴は意識不明の重体となってしまったのだ。行方不明となっていないのは、俺なりの巻き込んでしまったことに対するせめてもの償いだ。が、殺さない程度と言ってしまったのもあって、原作のような意識の回復は少なくともこの聖杯戦争中は難しいかと思われる。
それがつい二日前の話だ。そして昨日は衛宮と遠坂が校内で争う様子を確認した後にライダーに女生徒と追ってきた衛宮を襲わせ、遠坂との接触機会を作った。
ここまでくればもうほぼほぼUBWへ進んだと考えても良いだろう。ということは今日、呪刻潰しが行われる訳で俺は衛宮に協力の話を持ち掛けないといけない訳だな。いや、その前に朝、美綴の件で衛宮に俺に対する不信感を募らせるのが先だったか?
そう考えた所で丁度良く衛宮が登校してきたので、俺は衛宮に美綴の話をふることにした。
「やぁ、衛宮。聞いたかい?」
「何をだ?」
「新都で美綴が大変な状態で見つかったって話。場所は路地裏で発見時、制服はボロボロで目も焦点が合ってなかったって話らしいよ?僕は何があったのかは知らないけれど、友人として興味が沸かないかい?」
「慎二……!」
明らかに知ってるだろうに知らぬ体で話し出す俺にカチンと来たのか、衛宮は俺の両肩を掴んで逃げられないようにする。ま、逃げられないようにする為に掴んでいるだけだからなのか、力は全く入ってないんだが。
「何だよ。あくまでも噂だっての。まぁ、昨日から一年の間じゃ、有名になってるみたいだけどもさぁ……」
「美綴と最後に会ったのはお前だろう?」
「僕はただ、世間話をしただけですけど?」
ま、本当は話すらしてない大嘘憑きなんだが。という本音は飲み込みながら俺は言葉を続ける。
「憶測で話すのは止めたほうが良いぞ、衛宮。思い付きで言い掛かりを付けるのは後で後悔することになるぜ」
といった所で授業開始のチャイムが鳴り始めた。俺は衛宮の手を払って席に向かう。
原作に比べて美綴との不和は少なかったにも関わらず、衛宮のあの発言は俺が犯人だと見込んでのものだった。信用できる情報は目撃情報くらいしかない筈にも関わらずだ。あー、怖い怖い。ここまで来ると物語通りの展開ってのは、少し気持ち悪さを感じるな。……そういうのを望んでいる俺も俺だが。
ーーーーーーー
「…………呪刻潰しが始まったな。勘付かれたか」
「攻撃しますか?」
「いい。お前は霊脈から魔力を巻き上げることに集中しろ」
放課後、俺は人目に付かぬ場所にて衛宮達による呪刻潰しの気配を感知した。仕掛けた本人であるライダーもそれを感知したようで衛宮達に攻撃するかと提案してくるが、その提案を却下する。
結界発動に必要な魔力は七割方集まっているし、今潰されている呪刻は囮の方が多い。下手に刺激して流れから逸れるのもまだ困るのでライダーにはこのまま魔力集めに集中してもらおう。
「すみません、マスター。私が昨日取り逃がしたばかりに……」
「そうだな。確かに昨日お前が衛宮を仕留め損なったから今、仕掛けた呪刻を潰されている。だがな、俺にとっては好都合なんだよ」
「どういう事ですか?」
「この呪刻潰しを含め、アイツらの行動は全て俺の予測の範囲内だからだ。寧ろ、お前が昨日アイツを仕留めていたら予定が狂っていた」
「……なるほど」
ライダーは俺の発言にどこか納得いかないとでも言うかのような反応を見せていた。まぁ正確には俺の予測ではないんだが、知らぬが仏ってやつだ。話しても分からないだろうし、その反応は妥当だ。それに────
────■■を■■のは■だ。
…………?それに?それにって、俺は今、何を考えた?俺はこの聖杯戦争で生き残る以外に別の事を望んでいるとでも言うのか?そんな事あり得るのか?だって俺は…………
「マスター?」
ライダーに声を掛けられハッとし、俺は逸れていた思考を元に戻す。何を変なことを考えているんだ、俺は。とにかく今は衛宮に断られる予定の共闘の申し出について考えないといけないってのに。
「……何でも無ぇ。こっちを気にせずさっさと魔力を集めろ」
俺の変化に気付いたライダーには悪いが、落ち着かない内心を知られる訳にはいかないので気にしない方向に強制シフトさせてもらう。
そうして集めた魔力が八割に到達した所で、衛宮達の呪刻潰しも終わりを迎えていた。最終的には仕掛けておいた囮の半分と発動中であった呪刻の二割が破壊されてしまったが、明日には残った分と今まで集めた魔力で結界を起動するので、特に問題は無いだろう。
遠坂が居なくなった事を確認し、俺は衛宮に協力を持ち掛けるべく、夕日が射し込む廊下にて待ち伏せをして話しかける。
「呪刻潰しなんて地味な事をして、こんな時間にお帰りか?」
俺の声掛けに反応して衛宮が驚いた表情をしてこちらを見た。
「何だと?慎二、お前学校中に仕掛けられた呪刻について知っているのか」
「フッ……勿論だ。だって、お前が虱潰しに消した呪刻は、俺が仕掛けた保険なんだからな」
「慎二……やっぱりお前……」
衛宮の顔つきが険しくなる。大方、遠坂に結界の効力を聞いた衛宮にとっては俺のコレは許せない所業だったのだろう。
「そう構えるなよ、衛宮。俺にだって都合があるんだからな」
そう言って俺は衛宮の元へ歩き出す。そうして彼の側を過ぎ去ろうとした辺りで衛宮から疑問が投げかけられた。
「都合?じゃあ、あの結界は何だ」
衛宮の疑問に、俺はさも当たり前かのように“保険”という言葉を強調する。
「だから言っただろ?保険だって」
「……昨日の女生徒を襲わせたのはお前か」
「あぁ、確かにそうだ。だがな?仕方がなかったんだよ。俺のサーヴァントが勝手にやったことだし?」
「なら、令呪を使ってでも抑えれば良いんじゃないのか」
確かに衛宮の疑問は尤もだが、俺は正式なマスターじゃない為に令呪を行使することは出来ない。偽臣の書だって万能じゃないからな。……ん?というかこんな会話あったか?まぁ、上手いことどうにか軌道修正すればいいか。
「衛宮……馬鹿言うなよ。アレはたったの三回しか使えないんだ。マスターとして最後までこの聖杯戦争に参加するならば最低でも一画は残す必要がある。となると二画までしか使えないだろ?だったら尚更、そんな貴重な物をこんな事には使えない」
しかしそんな事を衛宮に知られる訳にはいかない為、令呪についてはそれらしいことを言って誤魔化す。
「確かにそうだな。だけど、本当に無理だったのか?」
「オイオイ、俺の言葉が信じられねぇってか?酷えこと言うなよ。俺はマスターには成りはしたが、誰とも戦いたくないと考えてるんだぜ?」
少々逸れたが、何とか流れは戻せた。このまま衛宮が引き下がってくれるのならば協力の持ち掛けが出来るな。
「………………そうか」
随分と沈黙があったが、どうやら納得してくれたようで衛宮はそれだけ言うとこの場から立ち去ろうとしていた。
「ちょっと待てよ、衛宮」
俺はそんな衛宮に協力を持ち掛けるべく、彼を呼び止める。しかし、話すことはないとばかりに歩みを止めない衛宮。俺はさらに言葉を続けた。
「なぁ、俺と協力しないか?元々、間桐の家は魔術師の家系なんだ」
「間桐が?」
衛宮が俺の言葉に反応し、立ち止まる。そして、信じられないとでも言うような顔をしてこちらを見てきた。
「あぁ。まぁ、正式な魔術師じゃないお前が知らないのも無理はない。もし疑うなら遠坂に聞いてみろよ」
「慎二、お前の事を桜は知っているのか?」
「魔術師の家系は長男にしか秘技を教えない。一子相伝なんだよ。魔術師界隈では当たり前の事だ。それに…………あんなトロイ妹に間桐の魔術を引き継げやしない」
正確には今の間桐は一子相伝ではなく俺と桜の二人体制で桜もガッツリ関わっているのだが、俺が陽動として活躍する以上はこの情報は衛宮には必要無いだろう。そういった意味合いを込めて桜には間桐の魔術を継げないと吐き捨てる。そんな俺の様子に衛宮は何かを読み取ったのか、それとも真偽を測りかねているのかは分からないが、黙ったままだった。
「それで?どうすんだよ」
「別に、お前が何もしないのなら協力は必要無いだろ。それに、誰とも戦いたくないんだろ?」
そう言うと衛宮はもう用はないとばかりに再び立ち去ろうとする。
「ふーん……?」
分かってはいたが、こうも露骨に眼中にないという態度を取られると、少々癪に障るな。
「協力しねぇってのか。別に俺はお前が単独で居ようが、誰と組もうが気にはしねぇが、これでお前とは対立関係になったってワケだ。……なら、桜はお前の所には置いておけねぇよな?」
「何だと?」
俺の言葉に衛宮の歩みが止まった。
「だってそうだろう?認めるのは癪に障るが、俺とアイツは兄妹なんだ。敵地に妹を置いておくだなんて愚行を俺がするわけねぇだろ。お前が敵だと分かっておいてアイツにお前ん家に通わせ続けたらいつ、人質にされるか分かったもんじゃねぇからなぁ」
「…………分かった。桜には俺から来なくて良いと言っておく」
「サンキュ、衛宮。物わかりが良くて助かるぜ。あぁ、そうそう。ここで話した事は他言無用でよろしくな?こっちはお前を友人と見込んで秘密を打ち明けたんだからな」
「あぁ……黙ってる」
衛宮はこちらに振り向くこと無く了承の言葉を口にして、階段を降りて行ったのだった。衛宮が居なくなったのを確認し、俺は結界の起点にて待機させていたライダーを呼び出す。
「…………ライダー」
「はい、マスター」
俺の呼び出しにライダーはすぐさま応じ、俺の側に返事をしながら現れた。勘付かれにくくする為にこう何度も離れた場所から呼び出すのは少し申し訳なく思うが、仕方ないものとして飲み込んでもらおう。
「ライダー。集まった魔力はどのくらいだ」
「予定通り集まっています。明日の昼過ぎには発動出来る筈でしょう」
集まり具合からどうかと不安になっていたが、どうやらUBWと同じ日に作戦が決行出来そうで安心した。
「そうか。なら明日の昼過ぎに決行する。桜にも伝えておけ」
「・・・・。」
「オイ、ライダー?」
桜に伝えておけと言ったにも関わらず、未だにこの場に留まり続けるライダーを不審に思い、俺は強く呼び掛けた。
「……本当によろしいのですか」
「は?」
俺はライダーに問われた意味が分からなかった。なので疑問をそのまま口に出す。
「よろしいって何がだ。お前は俺の言葉に従っていれば良いんだから何も心配は無ぇだろうが」
「確かにマスターの方針には何も異論は無いです。ですが、いくらマスターといえども学友と対立するというのは難しいものなのでは……と」
ライダーの発言に俺は頭にカチンと来るのを感じた。
「ァ゙?ライダー、お前俺をなめてんのか?たかが学友だった程度で、この俺がアイツに手を抜くとでも?それとも何か?俺がアイツより劣っているとでも言うのか?」
「いえ、そうではありません」
「なら何故そう推察した。くだらん戯言なんて言うんじゃねぇぞ」
正直この流れで碌な事を言われる事は無いだろうが、こちらから聞いた手前引き下がることは出来なかった。
「マスターは
「は…………?」
ライダーの発言に驚き、身体が分かりやすく硬直してしまう。やっぱり碌な事じゃなかった。俺が優しいだと……??一体、どこを見て言ってんだ?
「……優しいだなんて評価は俺からは到底掛け離れたモンだろうが。馬鹿な事を言ってんじゃねぇぞ」
「いいえ、マスター。貴方自身が気付いてないだけなのです。現に貴方は桜を────」
「それ以上巫山戯た口を利くな!ライダー!!」
ライダーの口から紡がれる言葉の先を聞きたくなくて、俺は声を張り上げて静止させる。らしくもなく声を張り上げたことで少々息が荒くなってしまったが、変なことを言われるよりかはマシだろう。
「っ……、すみません」
「良いか……次、その巫山戯た事を吐かせばただじゃおかねぇからな。分かったら返事をしろ」
「・・・・。」
「おい、返事!」
「……はい、マスター」
書を使う程ではないが、半ば令呪での命令に近い形でライダーに了承させ、霊体化させた後に桜の元へ向かわせた。
「は……ハハッ。俺が……優しいだって……?」
その後、ライダーから放たれた言葉を処理し切れずに乾いた笑いと独り言を漏らす。随分とまぁ巫山戯た事を口にされたもんだ。「優しい」だなんて評価、俺からは掛け離れてる。俺はただ、死にたくないから間桐慎二というキャラクターの皮を被っているだけだってのに。
対応が違うのは前世の道徳的感情が残っていたからだ。だから桜にはああいった対応になったのだ。情なんて無い。あったらとっくに自分で首を絞めて破滅している。下手に接すれば後々で死ぬから、同じ家で暮らすから下手な刺激をしないようになっただけだ。全部自分の為。
衛宮だってそうだ。都合良く扱われていずれは潰されてしまうであろう彼を俺が勝手に憐れんで、物語でも関わりがあったから。だからこれまで付き合って来たんだ。結局、これも桜と同じで物語を知っていて、変えられるはずだったのに死にたくないからと変えなかった。どう見ても自己中な行動を取っているだろ?
こんな風に自己中で、全ての人間を騙して自分が生き残るのに必死な人間が優しいだなんてありえない。生き残る為ならなんだってしてやると覚悟しているってのに。
───ほら、俺はどこまで行っても『冷たい』人間だろう?
グルグルと吐き気がしそうなくらいに駆け巡る否定の思考の中、漸く捻り出した自己分析結果に何故か俺は胸が締め付けられるような感じがした。
流石に一週間丸々ハイテンション&一日書き上げは異常だったんだ……
ハイテンションが切れた瞬間、やる気が一気に切れちゃった…。まあ、それでも続きはマイペースに書くんですけれどもネ☆
というか、流石fate界隈ですわ…皆さん凄いッスね。王様の性格に関する文然り、賢さの見られる指摘感想然り、凄く勉強になりますわぁ。あと誤字報告もありがとうございます。
実は裏目標として慎二君の成り代わったことで生まれてしまった自身に対する認識の違いの改善とかも出来たらいいなーって思ってます。あくまでも裏目標なんで出来るかどうかは別……
話は変わりますけど、ボックス周回、万年素材不足がヒドイからそろそろ百箱くらいは開けてみたいけどすぐに飽きちゃうんだよなぁ…なんかいいモチベの保ち方とかってありますかね?((