失われた運命   作:くまたいよう

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一昔前の二次創作を複数見て感じた事が元で書いてみました。


最悪で最良の分岐点

C.E.71年6月15日。

 

『オーブ解放作戦』

 

 ナチュラルとコーディネーターの戦争と言うには双方の過激派に牛耳られ、国家と言うには歪な陣営同士の戦いと成り果てた戦争の中、中立国であるオーブに連合側が攻め込んだ戦い。

 

『中立』

 

 既に、それを逸脱した行為を数多く行った国ではある。しかも代表の座を退いたハズのウズミ・ナラ・アスハが指揮を取る形になっていた国には軍事力がある程度整ってはいたが、それだけだった。ロマンチシズムに酔っていた事を始めとした非難を含め、真意を知る手段すらこの後に失われつつあるが、今襲い掛かる苦難が優先される。

 

 そして、戦いの後の一幕。

 

「『外』に行くのをお奨めします・・・・」

 

 非難先で保護した民間人達を国内に残す事は危険と判断した『トダカ一佐』はこれを選択した。この後にオーブ国民と言うより国内のコーディネーターにはブルーコスモスの魔の手が伸びかねない故だが、今にも押し寄せかねないとしている。

 

 実際には、目的であるマスドライバーの自爆によりムルタ・アズラエルが即座に次を狙ったから危険は逸れていたのが皮肉である。

 

 そして、トダカが目を離した隙に『惨劇』の幕があがった。

 

「どういう事だっ!?」

 

 艦内の一角、格納庫の広い空間には肉の焦げた嫌な匂いが漂っていた。避難民も見張りの兵も混乱しているが、中には白々しい光を目に宿しているのをトダカは見抜けなかった・・・・間違いなく善人に分類されると評されるトダカではあるが、立場上に必要な能力が実は無いと評されてもいる・・・・例えば『平和な時代に教師にでもなっていれば幸せだった』と言われる典型だ。

 

 そして、落ち着いた時にこう説明された。

 

『避難したナチュラルとコーディネーターを区分けした』

 

 中立国内とはいえ、確執が無いワケではないのは知られている。後に知ったが、あのフリーダムのパイロットも例外ではなく、学友達と埋められない溝が出来た故の悲劇に見舞われたのだ。

 

「そして、終わった辺りにナチュラル側を別場所に移そうとした辺りでコーディネーター側にどこからか爆弾が投げられて・・・・この有り様か」

 

「はい、見ての通りに大半が吹き飛び、焼けるかで人数すら確認が出来ません」

 

 後の副官『アマギ』の言葉に肩を落とすしかない。

 

『誰がそう指示したか』

 

『この中にブルーコスモスでも紛れ込んでいるのか』

 

 幾つか可能性を考えたが甘いのだ。これが、国内の陰謀であると考える事すら出来なかった。

 

 

 

 

 

『此方、オノゴロ地区・・・・『アスカ一家はほぼ予定通り』に処分に成功した』

 

『ご苦労、あの一家は我等にとって不要だ・・・・想定外の因子を持っていたからな・・・・今は我等の理想にとって都合が悪いのだよ』

 

 通信を交わすのは計画通りと舌なめずりをしているような表情と声色・・・・トダカが下手人をブルーコスモスと疑ったが、悪辣さは良い勝負だろう。だが、爆薬の都合上でこの二名の生死を確認出来なかった意味を考えられはしなかった。

 

 

 

 

『シン・アスカとマユ・アスカ』

 

 

 

 

 そして、前者がいなくなったのはこの世界においては大きな分岐点となる。『道化』と言われる役割を果たすハズの男が早まった行為を始めるキッカケが無くなってしまった。これにより、動くべき時に動くキッカケを無くして無意味な時間を伸ばす代償を払う事になる側の悲劇が始まったのだ。

 

 

 そして、1年後。

 

 

「用意出来ましたよ」

 

「はい、ご苦労さん・・・・相変わらず手際良いねえ、人数分があっと言う間よ」

 

「いや、何人か通常の何倍か食べるからでしょう?」

 

「確かに、私みたいなのからしたら良く太らないわって思うよ・・・・って、ごめんね」

 

「いえ、気になさらずに。食べられる量が減ってるだけなんですから」

 

 ある隊舎の食堂で働く少年・・・・仮に、元の世界で戦う事を選択した場合の世界での彼を見たら誰もが信じられないくらいに穏やかな目をしているとするだろう、何故か倒れていたところを救われたが、目覚めたら記憶喪失になっていた少年・・・・『シン・アスカ』と言う名前は私物に記されていた名前だ。今後の便宜を図る途中で料理関連が尋常で無い腕前なので丁度新設中の部隊の下働きとなったが、周囲からしたら外見を含めた世話焼きな気性で好意的に受け入れられているが、食事制限を始めとした弊害を多く抱えている。だが?

 

「アスカ、悪いが頼んだものを・・・・」

 

「用意してるけど、何個目です?」

 

「私ではない!『ヴィータ』のだっ!」

 

 怒鳴るようにして、用意した『アイス』を持ち去るピンク色のポニーテールの凛々しい美女『シグナム』は逃げるように立ち去って行った・・・・この辺りで最上位レベルの強さを誇るらしいが、本人が言うには『古いタイプの騎士』とかが理由で妙な仕事を細かくこなしている。

 

「シグナム副隊長、いやまだそうなる予定か・・・・相変わらずあんたにキツいよね?」

 

「そうですか?俺からしたら、何か違和感しかないですけど」

 

 

 乱暴に、他には見せられない顔でシグナムは自室に向かっていた。シンに力づくでも聞きたい事を堪える日々だからだ。

 

 

(駄目だ・・・・駄目だ駄目だ駄目だ!こんな事では主に顔向け出来ん!)

 

 ここは時空管理局の起動6課、と言っても設立準備中だが・・・・元から引っ張りだこな自分達には立ち会う暇すら削られるくらいに仕事の依頼が来る!その中で、時空転移して来た少年を保護した・・・・それだけなら良いのだが、発見した自分と『リイン』を目にした少年はリインを見て聞き捨てならないセリフを呟いた。直後に詰め寄ってしまったが、記憶を無くしていたから何もかも理解が出来てなかった。その日から自分は有り得ない可能性に賭けるようになってしまった。リインもそれは他言無用としているが、これでは他に気取られてしまう・・・・そう、あの少年は意識を取り戻した時、傍にいたリインを見てこう言った・・・・姿ではなく、元になっている部分を感じて言ったのだと理解したのだ。

 

『アインス』・・・・と。




 種世界側の最悪の展開って、正に途中で出した『道化』が早まらない事では?な産物でもある。
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