失われた運命   作:くまたいよう

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 まあ、相手が相手なのでな回。


嗚咽

「な、何よ・・・・これ?」

 

 潜水母艦に着艦した時、私が見せられたのは労働に駆り出された現地住民が戦闘の混乱で逃げ出した時に射殺され尽くした映像・・・・こ、こんな事・・・・。

 

「ふむ、口惜しいが良くある事だ。『依頼』でお前を出撃させたが、迂闊だった」

 

「わ、私が気付いていれば・・・・」

 

「どうしていた?」

 

「そ、それは・・・・原住民を射殺される前に、私がデスティニーで助ける!そうすれば原住民は『助からん』・・・・えっ?」

 

「次が来て同じ事になる!いや、デスティニーの情報を聞き出そうとするだろうな、連合からしたら『お前に助けられた者達』になるのだからだ」

 

「そ、そんな・・・・じゃあ、戦った事自体が間違いじゃないのっ!」

 

「だろうな、戦場とはそういうものだ。意図せずとも武力を用いるのは、誰かを助けないで傷付けるともなる一例になった」

 

「じゃ、じゃあ・・・・どうしろって『戦え』・・・・ぬなっ!」

 

「戦え、自分で答えを出せ!犠牲が怖いのなら戦うなとも説明はしたろう?貴様はどの道、生きているのを知られたら殺される。例え私の手足となっているとしても、私ですら守ってやれない程の連中にだ」 

 

 わかる。けど、どうしても言ってやりたい事がある。

 

「じゃあ、仮に住民が殺されてる場面に居合わせられても『見殺しにしろ』って言うのっ?」

 

「そうだ」

 

 即答された。反論しようにも、その前の内容を焼き増しした内容を言われるだけ。ミナさんは、立場上でそれを何度もやっている。何より自分の過失で?

 

『知らない内にオーブを焼かれた』

 

 そんな経験して、私に真っ向から言い放つような性格だから、揺るがない。それに、どう考えても?

 

 

『デスティニーを用意してもらって、使わせてもらってる私には勝ち目は無い』

 

『加えて、今回の戦いはフリーダムに敢えて便乗しているような形とした作戦として戦わせてもらっている』

 

 

 そんな風に考えていた私に更に冷たい目が向けられた。

 

「まだ甘さが抜けておらなかったようだな?お前は既に敵を殺している。殺してなくても危険視されているだろうから、正しい事をやれば?それが弱点とされる。今回、民間人を助けたら弱者を見逃せないと見なされて、その類いの作戦を立てられてしまうだろう。強いから悪い側の域に入っているのだ・・・・その前に?自分で言っていたではないか?敵を討ち、立場上見殺しにして殺す前にお前は?」

 

「や、やめて・・・・」

 

「お前は(私は)・・・・もう、家族を殺している(もう、家族を殺している)」

 

 私は、それを聞いて何もわからなくなった。感覚も何も無く・・・・辺りが何も無くなったと感じた・・・・そう、私は家族を殺している。

 

『ただのワガママで』

 

 

 

 

ーーーーーーー。

 

 

 

 辺りが、真っ白に染まっていた。オーブに居住する前・・・・私がいたところは?

 

『兄妹、揃ってか・・・・』

 

『もう直ぐね・・・・頑張りなさい?』

 

 何を?

 

 私に、何を『頑張りなさい』って言うの?

 

『選ばれたからだ』

 

 何に?

 

 他とは違う感じがする声の聞こえた方を振り返った。

 

『本人の意思等は関係無い、相応しいとなれば選ばれるのだ』

 

 声が聞こえた・・・・力はあっても歪んでいたシステムに過ぎないもの、けど?手にした者は、最後に周りを滅ぼす火種となる・・・・わかっていても、止められはしない。その連鎖を断ち切る為に選んだ道は?

 

『お前には、あの娘がいる・・・・傍にいれば、お前が負けなければ守れる存在がな・・・・』

 

「違う・・・・『傍にいてやれる』存在・・・・そうなんでしょ?」

 

 困った顔をして、その人は消えた・・・・多分、本人が望んでないのに一番強い・・・・。

 

『赤い目をした女性』

 

 

 

ーーーーーー。

 

 

 

「マユ?」

 

「ああ、寝ちゃったのね」

 

「うぇ~い・・・・」

 

「お腹空いた・・・・何かある?」

 

 あたふたして、何か調達しに行ってくれたわね。多分、疲労してたとこにミナさんに言われた事のショックで倒れた?細かい事は後で良いけど、弱味は見せられない。

 

 そう・・・・私にはステラがいる。だから、贅沢は言えない!私には、まだ戦える力がある。

 

「マユ~?」

 

「ああ、ありがとうね・・・・?サンドイッチと牛乳、これ・・・・手作り?」

 

 何か目を輝かせてるわね、とにかく食べようか。

 

「~~~っ!?」

 

 パ、パンに挟んであるのは?納豆とわさび漬け・・・・納豆は念入りにかき混ぜてあるわ・・・・最初にそのまま混ぜて、固くなる度に少しずつ醤油加えたのは良いわ、この前に注意した事を覚えているのは嬉しい!

 

 けど、私はね?『わさびは駄目なの』・・・・早く大人になりたくて、昔から挑戦してたのが逆効果・・・・いや、これは単にわさび漬けを入れすぎね。けど注文したのは、私なんだから・・・・食べたるわ!

 

 

 

 

 ーーーーーー。

 

 

 

「駄目なら駄目って、言ってくれりゃ良いのに」

 

「わ、私も意地はあるの・・・・」

 

『わさびの茎と葉の醤油漬けを添えたお粥』

 

 予定表によると、時々に消化に良い物と書いてあったから、丁度良いと思ったんだよ。高町隊長の夕食・・・・けど、わさびが駄目だったか?好き嫌い無いとか言ってたのにな。

 

「アスカ君、子供扱いされるのは本来逆なの」

 

 あ~、割と意地っぱりだよなあ・・・・それに、何か力押し一辺倒に誤解される人・・・・とにかく冷たいお茶類でも持って来てやるかとした時?

 

「なのはを・・・・いじめてるって本当?」

 

 何だか過保護過ぎないか?甘過ぎなせいで将来は駄目親になりそうなフェイトさんが色を無くした瞳になってる!何か、エリオとキャロが割としっかりしてるのが凄いって気分だ。事情説明したら、しおらしくなるし。

 

 

 その夜、自室にて?

 

 

「俺、此処にいて良いのかな?」

 

『な、何故そう思うんだい?』

 

 時々、現れるアインスさんが何か慌ててる。いや、大した理由なのか?って事なんだが、俺みたいな得体が知れない記憶無しって、都合良く今みたいな環境得られるものなんか?って。

 

『シン、ならば逆なら良かったのか?』

 

 そうしたら、怜悧で厳しいけど・・・・何か泣きそうな顔をしていた。俺は、視線を反らす事が出来なかった。

 

『君は、厄介払いされた場所で指針も理解者もなく、死ぬまで・・・・いや、死んだ方がマシな形で、傍目には洗脳や何かの裏取引でもされたように映る形で戦うのが良かったか?』

 

「い、いえ・・・・けど?まるで、そういうの知ってるような言い分ですね」

 

『知ってる』

 

「じゃあ、周りや俺に教えてもらえれば・・・・」

 

『駄目なんだ!理不尽だが、君を戦闘人形にでもしてた方がマシだった結果を出しかねない、上手く言えないが・・・・今は自分を大事にしてくれ!』

 

 そう言って消えてしまったアインスさんは、少なくとも本気で向き合ってくれていると感じたけど・・・・何だか?

 

『怖がっているように見えた』

 

 怖い?

 

 そう言えば、何か最近は訓練とかで知らない動きや技術をやれるようになって、怖がられてる気がする。

 

 

 

 

 ーーーーーその数日後。

 

 

 

 

「ガードマンって、とこですかね?」

 

 隊長達が、何かおめかしをして。ホテル内の展示会みたいのに行く事になったんだ。

 

 見とれてるって、言われたけど?何か隊長達の化粧、特に『唇』辺り・・・・羨ましいって感じるのは何故かな?

 

 けど、何でわざわざ俺が同行すんだろ?

 

「お前さんは、何か買われてるようだけど?嬉しくないんか?年上美人三名を守る立場なんだぜ?」

 

「馬子にも衣裳じゃないですか」

 

 俺は、髪をヘアピンで止めて?何かの執事みたいな服まで着せられた。声が高ければ食堂でバイトしてる可愛い娘ちゃんなんて言われた身としてどうなんだよ?俺をからかってるヴァイスさんの方が見栄えするよ・・・・て言うか、俺の身長は伸びないんだよなあ?未だに160に届かない。

 

 

 

 

 そんな経緯で展示会に続く一室に繋がる廊下のガードしてたら?何か、前から誰か来たぞ?

 

「此方は立ち入り禁止になってますが?」

 

「~~っ!」

 

「何をするんです!?」

 

 何か、物騒なナイフみたいの出したぞ?避けられない程じゃないが速い!けど?

 

「~~っ、ぐギャああああ」

 

 ナイフを持ってた右手の手首を掴んで、そのまま思い切り力を入れた!骨が折れる音がして、ナイフを落とした男の鳩尾に左の掌底アッパー入れて昏倒させた。シグナム副隊長に比べたらどうって事は無いしな。

 

『そのまま触れるな!』

 

 アインスさんの声がしたから、俺は駆け付けた人達に任せた。そうしたら、何か?

 

『危険な爆弾が見つかった』

 

 爆弾?・・・・人が持ち歩けるのにしては規格外なものらしいけど、何だか気に掛かるな。それにしても、あの男の人・・・・魔法世界とか言う割にはアナログな気がした。デバイス持ち込み不可な場所だからじゃない何かがあるのか?

 

 

 

 

 

―-―-―-―-―。

 

 

 

 

 

 暗い空間でアインスは震えていた。

 

 爆弾で思い出したのだ。

 

『旅立った先で見た少年を救ったのは決して間違いではないとしている』

 

 だが、シンから感じた『闇』と『呪い』には震えてしまった。それを纏わせた何物かが自身をも破滅させる域のを見たような感覚がした事で、嘗ての自分を思い出した。

 

 そして、アインスは朧気な意識の中で決断したのだ。

 

『シンを元の世界に帰してはならない』

 

 もしも、シンが存在したら。彼は歪みそのものとなると本能で察した時、自分も目覚めていたのだ。

 

『シンにしか認識出来ない形で』

 

 だが?

 

(我が主・・・・申し訳ありません)

 

 アインスが自覚してなかっただけで、暗躍に近い立ち位置は嫌であったのだ。出来れば自分は?

 

『今出来る手段を使ってでも、はやてに再会して泣き縋りたい』

 

 先日にシンのいた世界が気になったので調べ、そこで見たものはあまりにひどかったが、こうも思っていた。

 

『シンが残っているよりは良かった』

 

 自分を出自上で、どう卑下をしても、心は誰よりも正しい域に入っていたアインスの嗚咽が何もない空間に響いた。




 環境と言うより、相手が相手なマユと、解放された故に弱味が増えてたアインスな回。
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