失われた運命   作:くまたいよう

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 悪夢の内容は?な回。


魔宴の始まり

 どんな強固なものでも僅かな亀裂が入れば、そこから全てが崩壊する。

 

 建造物から玩具は勿論、社会の構成に人の繋がりや絆から心ですらそうだ。

 

 ならば、もしも『欲』と言うものが漏れたらどうなのだろう?

 

 そこにある手段を使って、少しでも自分の望みをとする類いの欲。

 

 まして、傍に。

 

『善意で自分の背を押してくれる者がいたとしたら?』

 

 

 

 

 -ーーーーーーーーー。

 

 

 

 

「何故だ?」

 

 鏡に映るのは、自分が導いた少年の顔だったのだ。

 

 意識を乗り移らせる手段は知っているが、それをやれば元の人格がどうなってしまうのか。

 

(何かしたいなら、やった方が良いですよ)

 

(違う、違うんだ・・・・)

 

 声が聞こえて来た。残酷なくらいの優しさが曇りなく伝わる。

 

 それに浸りたい欲すら出てしまった。これなら可能だ。

 

『最愛の主と大切な騎士達に合う事が』

 

 しかし、それを続けたらどうなるかも理解している。

 

「君は、私に身体を奪われて良いとでも言うのか・・・・『シン・アスカ』」

 

 導いた少年の身体をいつの間にか使う形でリインフォース・アインスは現世の地に足をつけて戻ってしまったが?

 

(ど、どうすれば良いんだ・・・・戻り方がわからない)

 

 アインスが真っ先に考えるのはそれだ。このまま事情を話して顔見知り達に相談に乗ってもらうのが良いのだろうが、それをしたら。

 

(戻れなくなってしまう・・・・)

 

 アインスは、ヴィータに負けない程にはやてを強く慕っていた。壊れてしまってからの悪夢の繰り返しにより荒んでいた心を癒してくれた救い。実質、自殺に等しい選択をしてまではやてに影響を与える事を忌避した身だ。もしも自分が借り物でも生身ではやてに顔を合わせたらと思った時、鏡に映るシンの身体に変化が起きた。

 

(か、髪の色が・・・・一瞬だが、一部本来の私のものに?)

 

『侵食が始まっている』

 

 何とかしなくてはと思った時に、ドアをノックする音が聞こえた。そう言えば、隊舎におけるシンはそこそこの立ち位置だ。訓練にも参加させられているから訪ねて来る者がいてもおかしくはない。

 

「だ、誰・・・・かな?」

 

『ティアナよ、スバルと一緒に訓練付き合う約束でしょ?』

 

「そ、そうか・・・・今行くぞ」

 

 シグナム達でなかった事に感謝して身支度を整えた。ひどい言い方であるが、訓練に付き合いながら今の状態を把握するには丁度良い、早くしないと。

 

『自分がシン・アスカを殺してしまう』

 

 それを防ぐ手立てを見つけなければならないのだ。

 

 

 

 

 

 -ーーーーーー。

 

 

 

 

 

「来たか・・・・どうしたマユ、何やら戦場にいる目付きだな?」

 

「断っておくけど、貴女に不満があるワケじゃないわ、何か・・・・『繋がりの中に入って来るものがある』」

 

 そう、訓練する度に何処かからか知らない知識や技術が頭に流れて来る事があったけど、嫌なものじゃなかった。今度は拒絶反応が起きている気がする。ミナさんは何か心当たりがあるようだけど、それとは違うと何となくわかる。

 

「そうか、では本題だ。ガルナハンの近くで拾った映像だが?」

 

「・・・・フリーダム」

 

「そうだ。近い内にこの辺りで暴れ出すつもりであろうな、どうするマユよ・・・・まだ早いかもしれんが?」

 

「考える迄もないわ・・・・先ずはこのフリーダムは私が倒す」

 

「ふむ、運命とやらだな」

 

「それ、結果が出た後の言葉にすべきね。例のプランはそもそも・・・・『絶対』とかじゃないんでしょう?」

 

「そうだ。プランの中では『安物』であるのに最上級なお前がそれを証明しているよ」

 

「はっ、だからこそ都合良いんでしょ」

 

 皮肉言いながら、私達の潜水母艦がガルナハン方向に進路を取ったのを確認した。見てなさいよ、敢えて『茶番劇』に付き合う姿を。

 

 

 

 

 

 -ーーーーーーーー。

 

 

 

 

「では、アスハ代表。今回のフリーダムの関連は全て貴女の預かり知らぬ所であった言葉を信じましょう」

 

「・・・・」

 

 何度目かの事情説明を終えて、カガリを気遣うデュランダルの言葉に黙って頷くしかないカガリの心中は悔しさで一杯であった。確かに、自分はオーブの地下でフリーダムが修復されていた事すら把握していなかった。だが、前大戦で父を『裏切り者』と散々に喚き散らした自分の姿が思い浮かんでは消えていた。

 

 隣に立つアレックス・ディノは論外と言える姿を晒していた事に気付いてもいない、自分を省みているようでそうではない事がカガリ以上である事にも姿を晒しているだけで周りは気付いていた事にも。

 

 二人は今後を考えているワケではない、オーブに戻っても国内外から厳しい追及を受けるだろう、オーブ内に残っているかどうかなラクス達に関してもどう考えるべきか?

 

 そもそも、オーブにフリーダムを持ち込んで修復するような芸当が出来るのはと考えた時。

 

「議長!」

 

「何事だね?」

 

「たった今、緊急連絡です!フリーダムが、フリーダムが・・・・ガルナハン付近の砂漠で撃破された模様です!」

 

「何だとっ!?・・・・っ!」

 

 沈黙を真っ先に破ったカガリに厳しい視線が集中した。これをどう取られてしまうのかを考える前にアレックスと名乗る男も信じがたい心境であった。前大戦で最強とされた機体が撃破される等と・・・・そうしている内に戦闘の様子が映し出された。

 

 その戦闘の光景に全員が沈黙した。

 

 全火器を斉射するが、全てを回避する金色の翼を持つ黒い機体。

 

 近距離に飛び込んでは、両手のサーベルで手足を切り裂く一撃離脱を繰り返している機動性はフリーダムよりも遥かに上だ。

 

 サーベルはブーメランになるようで投げつけて、弾いたが左腕しか残ってないフリーダムの背後に回って右の翼を吹き飛ばし、密着して空中でバックパックを踏みつけながら左の翼を握り潰しながら引っこ抜き、墜落したフリーダムのコックピットを抉り取る容赦の無さ。

 

 無惨極まる最期を遂げたフリーダムの残骸を見据えて飛び去る機体を『知っている』デュランダルですら畏怖を抱いていた。そして?

 

『他のフリーダムが同じ運命を辿る事も確信した』

 

 

 

 

 -ーーーーーーーー。

 

 

 

「ご、ぶぅっ」

 

「馬鹿者が、リミッターを外して良い時間を越えたな・・・・暫く出撃は出来ん、その間は自分の未熟さの悪影響を噛み締めるのだな」

 

 帰艦した私は口から血を溢れさせながらミナさんの皮肉を聞いていた。確かに、アレは私の敵の一つに過ぎない。デスティニーの過負荷で身体に悪影響出してる場合じゃないのに。

 

「治療を終えたら安静にしてろ。ステラの前で弱味を見せるなよ」

 

 回収品の処置は任せて私は言われた通りにするべく退散した。まだ一つ目なんだからね・・・・アレを使って戦争やる奴は、マユが皆殺しにしてあげるんだ・・・・っ!

 

 

 そう決意して数日後に身体が落ち着いて来た頃、地球各国で第二、第三のテロリストなフリーダムが暴れ出した。




 さあ、フリーダムな展開だ(汗)
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