「・・・・パパ、ママ、お兄ちゃん・・・・は?」
漸く、意識が戻ったマユは目にした私に問い掛けた。やはり家族が優先か・・・・ならば。
「ありのままのを言おう?お前の家族は死んだ・・・・」
聞いた途端に崩れ落ちたか・・・・多少は覚えていたと言う表情になっているが、私はマユを立たせて事実を突きつけた。
「お前の両親はオノゴロの近くの山中で遺体となっていた。兄は避難した先で死んだ」
「ひ、避難・・・・した先で?」
「そうだ。避難先でついでにとばかりに?他に避難していたコーディネーター達もろともに殺された。オーブが占領された後ではブルーコスモスが殺しに来るだろうから、巻き添えを恐れた側の仕業のようだな、その前にオーブの中ではな?コーディネーターが目障りな者も多かったのだよ、中には自分がコーディネーターと隠して生きていた者までいる。それが現実だ・・・・中立と言えど、内部はそんなものだ」
事実だ。自分達がカガリの暗殺まで持ち掛けた『エリカ・シモンズ』すら、そのせいなのか夫以外には自分がコーディネーターと明かしていない・・・・怒りの向け先がある程度定まってきたか、それではいかん。
「そして、お前に言わねばならぬ事がある!余の名は『ロンド・ミナ・サハク』・・・・『お前の家族の仇』だ!」
「あ、貴女がっ?何故?私の家族を殺させたって言うの?」
「聞かせよう」
そして、聞かせた。ヘリオポリスからオーブ解放作戦の間に『亡き弟』と共に裏から介入していた事実の数々・・・・『ジャンク屋』や『アフリカでのカガリ』の絡みも自分の責任を曖昧にする為と言われるだろうが、後で聞かれるよりは良いのだ。
「じゃ、じゃあ何でアスハは貴女達を倒したりしないの!?そもそも、おかしいわ!何で避難を最初から指示してなかったの」
「知らぬ、そして避難指示とは?」
「私、本で読んだわ!オーブは旧世紀の確か日本って国の流れを組む国、その国は戦争やる国の中で今も語られるくらいに悪い見本の一つでも?世界規模の戦争で、敗戦間近の状況で避難民の疎開くらいはやってたって・・・・けど、間近に迫られて、猶予与えられて、漸くなんておかしいわ!それくらい考えなかったの!?」
「ほう・・・・」
まだまだ足りてないが、決して不勉強ではないな?『怒りの向け先』が真っ先に現れたからにしても、オーブに対する『未練』が無くなりつつある?まあ、眠ってた間にシミュレーションで飽きる程に『敵』を殺し尽くしたから、違和感があるようだな。
後にこう記された。この場に現れたのがシンを一時退避させた『トダカ』のような者ならば悪い意味で違っていただろう、だがマユ・・・・或いはシンであっても最も相応しかったかもしれないのがミナだったと。
「ウズミが何故そうしたのか知らぬ・・・・宇宙に逃した身内や支持者達が上手くやるのを見越したのかもしれんな、それより思ったのではないか?『真の黒幕は余だとして討たせるのがわかりやすい』なのにしない、なぜだ?どうやら身内がアスハ支持派でいたか?その立ち位置で何かを知らぬか?身内に聞いてないか?」
ふむ、別に思い当たるところは無しだな?と言う事は『聞かされてないか知らなかったか』とすべきか?
「わ、私にこんな話して何をさせようと?許してくれとでも言うの?許すワケないでしょ!?私の家族や死んだ人達は、どうしてくれるってのよっ!?貴女達は好きに自分の思い通りにして満足で、何故か私を助けても・・・・元々は貴女達が余計な事をしたせいよ!それが無ければ、普通に暮らしてる人達はそれなりにやっていけるのよ!巻き添えになって死んでく私達はどうしてくれるの!?」
「許しだと?乞わぬ!余の歩む道はそれを言われて違えて良いものではない!何より、お前の言う事は何一つ間違っておらん!国とは民あってのものと途中で気付いたからな言い方だが、それが当たり前なのだよ」
気圧されてるか?こうも向き合うような相手には会った事が無いか?まあ、それもそうだろうな。この歳の一般人ではな、無力さに歯噛みするしかないか。
「力が欲しいか?」
「で、でも・・・・」
「一つ・・・・余は確信している事がある!貴様は鍛えれば短期間でものになる。信じられないなら好きにするが良い」
「じゃあ・・・・私がそれで強くなって、貴女を殺しに来たらどうするの?」
「それが余の望みよ!お前の正しさを信じるのならば、余に勝ってみせよ、愚かな指導者は自国の民にこそ倒されるべきだ。余には、それが最も相応しい!」
マユにはミナが巨大な壁に見えていた。これこそがミナがアスカ兄妹に最も相応しい存在に数えられた理由・・・・カガリとは違い、必要とあれば自分の被害者から罪と向き合ってくれる存在と真っ先に出会ってしまったのだ。
そして。
「「・・・・」」
「二人の言い分、うちは?良ぉわかった・・・・一般人をいきなり戦場に送る事になってまうような真似・・・・なのはちゃんの例があるにしても?悪い考えや思わんかったんか?」
隊舎において、正座で並ぶシグナムとシャマルは主である『八神はやて』に見下ろされていた。怒りより悲しみが宿る瞳に見据えられていて、シャマルは軽率だったにしても・・・・問題はシグナムであるし、はやての横であたふたしているだけのリインであった。二名の隠している事は特にはやてには迂闊に切り出せない。
「ほんなら、この命令書を見てみ?『地上』から送られたもんや」
普通の書類のようだが、それを見たシグナムは唖然とした。これはどういう皮肉だと言いたい・・・・要約すると?
『シン・アスカを君達の手で戦力として教育、でなければ『研究所送り』にしろ』
「『レジアス中将』・・・・地上の過激と言うか武闘派が、何故知っているか?どう考えとるかは知らんが、皮肉やな?結果的にシグナムが予めやってた事は間違ってはいなかった?と言うより、周りにどう判断されるかで一嵐あるで?」
はやては、自分の甘さを痛感していた。嘗ては『闇の書の主』として知らぬ内に過去から続く渦に巻き込まれたならではの思慮をしていたが、足りてなかった。自分の部隊を設立するにも組織の内外が問題だらけだったの事への考えが足りなかったのをこの後も延々と知る事になる。
大半のキャラが考える姿勢はあるが足りてない代償があります。