(・・・・これは、長くはないかもしれん!)
シミュレーションでマユと戦う私、ロンド・ミナ・サハクだが?近い内に『抜かれる』・・・・そう考えるくらいにマユの能力は高い、睡眠学習の成果だとしてもな?『義手』を付けたばかりとは思えぬ。
ライフルとサーベルの標準装備に設定をしたゴールドフレーム同士の戦い。
近接戦闘に持ち込むまでにライフルを撃ちながら接近してサーベルを・・・・頭部ではなくて足に見舞われた?バランスを崩して落下する私だが、そう見せ掛けて突撃するマユ機にライフルを当てた。コックピット直撃で終了だ。
次はお互いライフルを破壊されたので、サーベル戦、背後を取られたが急上昇して回避しつつサーベルを投擲、振り向いたマユ機の頭部に命中したので?残ったサーベルでコックピットを斬る。
いかんな、搦め手を使わなければ上手く勝てない・・・・とした辺りで、訓練終了のブザーが鳴る。
「・・・・卑怯よ!姑息な事ばかりして、正々堂々やれないの!?」
「正々堂々だと?敵の裏を突いてこそ戦術であろう?あの程度に対応出来ないなら、お前は死ぬ・・・・そう、死ぬ=負ける。お前は負けてはならない戦いに負けたら、自分が死ぬだけで済まんと身を持って知っているのではないか?」
顔色を変えたな、宜しい。負ける事の意味を知れたから、それで良い。こういう手合いは模擬戦でもやりながらわからせるのが一番良い。
「次をやる前に『義手』の調整だ。いざと言う時に不備を起こしたら、やはり負ける。真面目にやるが良い」
そう言われて調整室に向かうのを見送ったのだが、好都合だったかな?片腕を失くしたお陰で、それを口実に徹底的に自分の見直しを図らせてやれるながら、入れ込み過ぎを控えさせられるのに丁度良い・・・・結構。
ミナの非情な指導だが、それと酷似したやり方が違う場で行われているとは知る術は無かった。
「くっ・・・・ここだっ!」
凄まじい速度と破壊力の斬撃、このパターンだと大振りな一撃が来る!
それを空振りさせた僅かな隙に身体を滑り込ませながらの一撃を左脇腹に見舞ったが、それは『鞘』に阻まれた?そのまま回し蹴りをこめかみに食らって吹っ飛ばされたが、痛みに堪えながら俺は模擬戦用の剣をシグナム副隊長の眉、いや左腕に『投擲』してやって、それが見事に刺さったが?そのままダウンしたところを左腕に剣が刺さったままの副隊長に見下ろされながら、首筋に『レヴァンティン』を当てられる形になっていた。
『また負けた』
そう思ったが、襟首掴まれて吊り上げられていた。
「アスカ、何だ今のは!?腕ではなく、私の眉間でも狙えばお前の勝ちだったかもしれんのだぞ!?」
「え、いや・・・・その?女の人にそれは・・・・」
「ふざけるな!言っただろ?私達は・・・・な、何だその目は?」
「いや、その?・・・・こういう場合?『君は、女の子なんだから・・・・』・・・・って、殺意を出さんで下さい!」
自分でも年上に何言ってんだ?って思うが、少し前に観たので、食堂のおばちゃんに声が似てるから真似してみなと言われた台詞出しちまったんだ。
「ハイハイ、そこまで?治療するから大人しくね?」
そう言って、シャマルさんが俺とシグナム副隊長の治療を初めてくれた。『非殺傷』で、即死さえしなけりゃとか・・・・細かい事はまだわからないけどな模擬戦を最近は毎日やっている。
「けど、凄い事やっちゃったわね?」
「はい・・・・顔を赤くして、殺されると思いましたよ」
「はあ~~っ」
何か溜め息ついてるけど、何なんだろな?戦うかはともかく、隊舎に攻め込まれたら非戦闘員守る為の戦力欲しいから?試しに俺を鍛えてみるとかで、訓練するのは受けたんだけど?俺の身体はまだマトモじゃないから、短時間だけなんだよなあ?
外では?
~~~~っ!
噂の『高町なのは』が、オーバーキルな訓練を俺と同年代二人と、それよりかなり下の年齢に施してる。聞くのが怖い音、何より内容が凄いから・・・・俺、強くならないと?とばっちりでどんな目に遭わされるかわからない・・・・真面目にやるか、さて?夕飯の準備だな、最近は半分はシグナム副隊長との訓練で半分は食堂の下働きだ。
「待て」
「シグナム副隊長?・・・・これ、栄養ドリンクですか?」
「飲んでおけ」
「はあ?あ、ありがとうございます」
渡されたものを飲んだが、既に副隊長の姿は無かった。何だろ?
「ああいう、姐さんは?ストレートに弱いんだよ?」
いつの間にか、隣にいた年上の男は?
『ヴァイス陸曹』
ヘリの操縦担当?してるらしいが、何かニヤニヤしてないか?どちらかと言うと・・・・いや、今は仕事に行く前に体力回復させなきゃな、もう一休みだ。
マイペースなノリだが、生来の資質に関して?『最適』に引き出されてるとは知る術はないシン・アスカは、やはり健全であるが?記憶が戻らない事に関しては、考える余裕が無い日々であった。
そして、戦闘訓練ばかりの地獄で実力を上げに上げる者達の一方?
「捨てる神あれば拾う神あり?って言うの?パイロットの道を妥協した割には上手くやってんじゃん?」
コンサートと言えないが、イベント感覚での御披露目で歌って休憩する私は癇に触る声の主を確認した。
『アグネス・ギーベンラート』
濃いピンク色の髪で、何故か妙に対抗意識を持ってしまう声、士官学校の成績が優秀ではあるが、それに有りがちな事で傲慢の一言に尽きる性格、実は能力が優秀な場合のメイリンがこうだったのではないか?と言うくらいな思考で男を選ぼうとするやり口が嫌悪感を抱いてしまうのだ。
例えば、あのアスラン・ザラが目の前にいたとして?婚約者がラクス・クラインと知りながらもちょっかいを・・・・と考えた辺りで思考を止めた。今こうだから、まあ良いけど?多分、私って?正にそれやるような女だった?人の振り見て我が振り直せってやつなの?まあ、この女は自分なら上手くやってみせるとかで、どや顔するだろうけど。
「下積み段階よ・・・・私はね、暇じゃないの」
吐き捨てるように言って、退散するルナマリアだが、アグネスの『憎悪』には気付かないでいた。
『下積み』
持ち掛けられたように、歌姫と言うより?アイドルとパイロットの半端な掛け持ちと言うには、ルナマリアの歌は将来性に満ちて、評価が爆上がりしている。唯一つの不運は?
『舞台がプラントだった』
そうで無ければ、今頃は大層持ち上げられていたであろう。
尤も、一度挫折したが故の強さを自覚しないまま持ったルナマリアには知ったとしても影響は無い、それがアグネスの口惜しさを更に煽っていた。
映画の結果、ルナマリアと対面させたキャラが出たお陰で、それっぽい皮肉言いに来るようなオリキャラ考える手間が省けてしまった。