ホルスタン(乳牛人)という最近亜人として権利が認められた人工種族。
そんなホルスタンのヒューム(人間)嫌いな少女が冒険者として活躍することでホルスタンの権利向上に努めようとするも、しつこく一緒にパーティ組もうと言って来ていざ組んだら年下の自分に赤ちゃん甘えたしてくる男に内心キモがりながら甘えられるとつい母性を出してしまい、段々と元の目的を忘れてイチャイチャする話。




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ミルク搾り

私達、乳牛人(ホルスタン)は元々人工種族です。

なんでも昔、ワフー国の凄く賢い錬金術師である『陸奥鞭々』という人が趣味と実益を兼ねて牛人(タウレス)と乳牛を交雑させて品種改良した種だとかなんとか。

まだ亜人種の権利を認めるという考え方が薄かった時代だからこそまかり通った行動です。

まったくおぞましい....。

 

今では亜人種として人間(ヒューム)以外の種族も権利を認められています。

けれど、私達ホルスタンは最近になってようやく亜人としての権利を認められたばかりです。

なんでも人工種族だった私たちが広がったのは陸奥鞭々が死去後に管理が行き届かなくて脱走したりしたからだとかで、魔術師ギルドに所属する一部錬金術師達の中に反対派が居たとかなんとか。

 

私たちの種族はいつもヒュームに振り回されています。

だから私....ヒュームのことは嫌いです。

だからこそ、私はこうして冒険者になったのです。

 

ヒュームには『わからせ』が必要です。

魔物を倒したり依頼を達成したりと成果を出して、ホルスタンの私が冒険者として活躍することで更に権利を向上して未だに私達の種族を軽く見てくる人達にわからせてやるんです。

今日も依頼も終わったことだし、ギルドに報告に行くとしますか....。

 

「ママァ!マンマぁ~~~!!」

 

冒険者ギルドに向かおうとする私の胸元にずっと隣に居たヒュームの男の人が抱き着いてくる。

...はぁ~~~~。

知らない人ではありません。

寧ろ、私の唯一のパーティメンバーです。

...えぇ、嘆かわしいことにこんな人が。

 

名前はアダム・ティティスキー。

冒険者であり、職業は一応上位職である魔法騎士。

しつこく私に一緒にパーティを組まないかと誘って来て、仕方なしに組んだらこのザマというわけですよ。

最初はヒュームにしては殊勝な態度を取ってたのに悪い意味で慣れたのか、自分より一回り年下の女の子である私に態々縋りつくみたいに少し屈んでまでこんな赤ちゃんみたいな甘え方をし始めた気持ちの悪い人...ほんっとにさいっていです。

 

いつも発作みたいにこんなことして、恥ずかしくないんでしょうか?

人前ですよ?ココ。

道行く人にとんでもない物を見るような目で見られています。

やれやれ...ほんっとにヒュームは勝手で嫌いです。

今日こそはガツンと言ってやります。

 

「あ...こ、こらっ...!人前ですよ...?今はやめなさい...っ!」

 

「やっ!おっぱいぃ!おっぱいぃぃぃ!!!」

 

...余計に胸に顔を擦りつけてきますね。

どことなく声がちょっと嬉しそうです。

まったく...叱られてるのに何を嬉しがっているのでしょうか?

気持ち悪い....さっさと引き剝がしてやります!

引き剥がして....引き剥がして......。

 

「もぉぉ...よしよし、取り敢えず落ち着いてください。そんなに声を上げずとも既に胸に顔を埋めてるではないですか....はぁ...。」

 

「あぶっ....うん....。」

 

消え入りそうな声を出してまぁ....。

....別に、ここで引き剥がしたら余計に面倒な事になるのは目に見えていますし?

それにまずは落ち着かせるのが第一ですから、そうしたまでです。

断じて頭を撫でたくなったとかそんなわけではありません!

確かにホルスタインは種族的な特徴で母性的であるなどと言う不埒なヒュームも居ますが、所詮はヒュームの戯言。

もしそうだとしてもこんな年上の癖に自分の胸に縋りついて赤子のように呻く男なんかに母性が出るはずがありませんからっ!!

 

周りを見れば、どうやらアダムに向けられていた白い眼は今度は私にも向けられていました。

どうにも彼らの目には変態が一方的に絡んでいるのでなく、受け入れている私も彼の同類であると思われたようです。

こんな人と同類と思われるなんて....心外です。

 

「すぅぅぅ.....すぅぅぅぅっ...!ふぅ~~~...もう大丈夫だよ、ありがとねハナちゃん。」

 

胸の中で深呼吸したかと満足した様子で爽やかな笑みを浮かべる彼。

何が大丈夫なんでしょうか?

あなたが大丈夫でも、私はたまったものじゃありません。

さっきまで年下に赤ちゃんみたいに甘えてた癖に、まるでまともみたいな振る舞いをして....なんだか見ていて腹が立ちます。

最初はフリーシアさん呼びだったのに、いつの間にかハナちゃん呼びだなんて馴れ馴れしい....。

ヒュームは生来から軽薄な種族なんですかね?

 

「何が大丈夫なのか分かりませんが....落ち着いたのならもう良いです。....ほら、行きますよ。」

 

「...!うんっ!!」

 

手を差し出したら、嬉しそうな顔しちゃってまぁ....。

このヒュームはどうにも勘違いしているようです。

私はただ年下の女の子に恥ずかしげもなく赤子のように甘える貴方相手では、私が主導権を握らないといつまで経ってもギルドに辿り着かないから手を繋いでるに過ぎません。

断じて、手を繋ぎたいなとか手を引いてあげなきゃなとか思ったわけではありません。

 

貴方は自分達ヒュームが作った人工種族、それも家畜みたいな目的で作った年下の女の子相手に手綱を握られていることを恥ずかしく思うべきです。

私としてはいい気味ですが。

ざまぁみろヒュームめ。

 

どうにも自覚の薄い貴方に私がホルスタンに腕引かれて家畜みたいにギルドに連れていかれていることを実感させてあげます。

お手々ニギニギ、胸を腕にぎゅー。

 

あっ、鼻の下が伸びていますね。

バカみたいな顔です。

ヒュームの中でも特に頭の悪い貴方にはよく似合う顔ですね。

バカ面晒して後ろ指刺されちゃえ、バーカ。

 

 

 

 

 

ギルドに報告を行なって、その帰路。

私たち冒険者が帰る先と言えば、宿屋に決まってます。

 

私たちが止まるのはこの街、ラクティアの東側。

ギルドがある西側から反対の場所。

正直、ギルド側の方が宿屋も安いし数も多いです。

 

けれどここラクティア、大きなギルドがあるという事は自ずと人が多く集まると言うこと。

つまりはそれを目当てにする者たちが集まるという事を意味してます。

だから西側は娼館だったりと、歓楽街が広がっていたりするのです。

 

要するに宿も連れ込み宿の意味合いがあったりするわけですね。

酒場と併合しているような宿だと、下の酒場部分から酔っ払いと女の出入りが上で激しくて、もし擦れ違った時のことを考えると気持ち悪いったらありません。

亜人か否かは問わず、色事艶事に浮かれるようなヒュームのオスの様子なんて誰が見たいのでしょう?

私はごめんですね。

 

なので宿代が少し高くなるとはいえ、西側の閑静な場所に立つ宿屋を利用しているというわけです。

 

「ハナコ・フリーシアさん...でよろしいですね?お部屋の方はどうなさいますか?」

 

今日は割と人が居たので並びました。

宿屋の女主人は並ぶ前に書いた名簿と私を交互に見て、口を開く。

なんだか心なしかその目には冷やかしの色が灯っているようにも見えます。

 

...十中八九、隣のこの男のせいでしょうけど。

アダムは何が楽しいのかニコニコとした笑顔を浮かべています。

手はしっかりと繋いだまま。

...時折、繋いだ手の親指で私の手の甲を撫でるの辞めて欲しいです。

くすぐったいし、不快ですから。

 

にしても目の前の女主人も女主人です。

私達はお客さんなわけで、それがどんな相手でもフラットな態度で応対するのがプロという物ではないでしょうか?

やはり女であれどヒュームはヒューム...下世話な種族ですね。

この街の宿屋は全体的に外れかもしれません....。

 

そもそも、部屋など聞かずともどうすれば良いか分かるはずです。

男女の冒険者。

そりゃあ、部屋を分けるのが普通です。

いくら私達が手を繋いでいようと、カップルであるのなら一緒の部屋にするとそれこそ自分から言うはずです。

接客に精彩を欠いているのはきっとそのヒューム特有の下卑た邪推のせいで目が曇ったのでしょうね。

それともこのヒュームのメスの目から見れば私と隣の男がカップルにでも見えたとでも言うつもりでしょうか?

とっても心外です。

 

やれやれですよ....まったく。

 

「....ダブル、一部屋でお願いします。」

 

...違います。

私が言いたかったのはフラットな接客態度としての話です。

別に私と横の変態が別々の部屋にするから聞く必要ないなんてことは言った覚えがありませんが?

 

それに...これは私が隣の男と一緒の部屋に泊まりたいからといったわけではありません。

私の種族....ホルスタン特有の如何ともしがたい事情があるというわけです。

そう、それだけです。

私の予定では受付の女主人にはシングル二つを取るような動きを見せてもらって、私がまるでとっても仕方のない事情があると言わんばかりの態度を見せながらダブルでっと言うつもりだったのです。

これなら、受付の方も『あっ....この子、仕方ない事情があるんだな。』『望んでそこの男と一緒の部屋に泊まるんじゃないんだな』って感づいてくれるはずです。

 

私から言い出してしまった。

これじゃまるでカップルみたいじゃないですか。

頭に来ます。

名前は知りませんが受付のあなた、あなたのせいで私の予定は滅茶苦茶です。

 

「今日も一緒なんだね。最近ビュルビュルする頻度多くなった?通りでハナちゃんの隣歩いてるとミルクみたいな甘い匂いするなって思ったよ。」

 

「は?きっしょ。貴方はもう喋らないでください。口臭いです。」

 

「ひどい.....。」

 

ひどいのは貴方の発言です。

女の子にミルクみたいな甘い匂いするって言ったんですよ?

キモすぎます。

街の衛兵に引き渡されないだけまだマシと思ってほしいです。

私の寛容さに感謝こそすれ、そんな風に肩を落とすのはおかしな話です。

わきまえなさい、変態。

 

...お口の匂い、まともに嗅いだわけじゃないので臭くないかもしれません。

でも人の匂いに言及するってことはこういうことなんですよ?

わかりましたか?

...ヒュームに同意を求めたところで無駄ですね。

 

私がこのいやらしい言葉を吐く男と一緒に泊るのは他でもないホルスタンの習性、ミルクの過剰生成のせいなんです。

ある程度個人差があれど、ホルスタンは一定の年齢に達すると乳腺が発達して乳を生成します。

 

人によってはその乳が重く、こってりとした濃い物を出してしまいます。

けれどその分、人によっては乳腺が詰まって胸がとても張ってしまう場合があるのです。

...まぁ私はそれに該当しているわけですが。

詰まった時の胸はとても敏感で自分で触って搾るなんて出来るわけがありません。

 

...だからこの男に絞ってもらっているのです。

ホルスタンは元は乳牛と野牛人を交雑させて作った人工種族なので、他者に絞ってもらった方がすんなりと出るのです。

ヒュームの私達の種族を作った時の下卑た意図が透けて見えますが、それでも向き合わないといけない種族的な特質です。

 

この男は家を出て、各地を巡っている間にとある村でスペースを間借りする代わりに牧畜の手伝いをしたことがあるらしくて乳を搾るのが腹立たしいことに上手いのです。

....なんだか、家畜扱いされている気分。

違います、私達は家畜種族なんかじゃありませんっ!

今どきそんなヘイトスピーチ、流行りませんよ。

...なんだか機嫌が悪くなってきました。

 

「それじゃ、2階の4号室で。これが鍵です。...ふふっ、同じフロアにも人が居りますので出来るだけ静かにお願い致します....。」

 

楽しそうに、それでいて揶揄うかのように女主人は言います。

...やっぱり私、ヒュームは嫌いです。

 

 

 

「...すぅぅぅ❤...はぁぁあ....❤」

 

前に依頼のついでに入った温泉はとても気持ちよかったです。

それに、ヒュームの目も...一人を除けばありませんでしたし。

こういう街の銭湯はいつもジロジロとヒュームが見て来るのであまりくつろげません。

そういう面でもヒュームは嫌いです。

 

部屋にお風呂が付いていれば楽なんですけど、そんな宿はほとんどないですからね。

シャワーだけでは、心が貧しくなってしまいます。

私には耐えられません。

ノーバスタイム・ノーライフです。

 

それだけ湯船に入ることが好きではありますが、正直今...私はそれどころじゃありません。

 

「ふぅぅぅぅう...❤ぐぎゅ...ぐぅぅぅぅっ❤」

 

胸が張ってムズムズと痛痒い。

湯船に入って温まったことで乳腺の活動が活発になったみたいです。

胸は熱っぽくて、布が擦れるだけで声が出そうになって歯を嚙み締めていないといけない程です。

余計に揺れないように、胸を腕組をするようにして支えて固定しています。

 

大好きなお風呂でくつろぐだけでこんな思いをしないといけないなんて...っ!

これも、全部私達種族にこんな性質を付けた奴のせい....っ!

ヒュームのせいです!

私は絶対にヒュームを許さない....っ、絶対わからせないと....っっ!

 

「っっっふぅぅ~っ❤はやく....はやぐっっっっ❤」

 

辛い...辛い....。

はやく....はやく...!

二階へと上がって、自分の部屋の前まで向かいます。

鍵が...鍵穴に入れづらい....っっ❤

ふざけた鍵してぇ...絶対クレーム入れてやります...っ!

このぉ..❤はやく...入っ...れぇっ!!

 

「うぉわ!ドアノブ凄いガチャガチャされるから何かと思ったら...なぁんだハナちゃんか。どうだった、この街の銭湯は?」

 

何かアダムが言っている。

けど私の耳に確かに声は入っているけど、何を言っているんだろうって感じ。

正直、もうほんとにそれどころじゃない。

 

こっちの気も知らないでニコニコと憎たらしい....。

この男の顔を見ると、胸の先がジンジンと疼きだします。

ぐっ...❤うぎゅ...❤

私はこんなヒュームの男嫌いなのに...❤

身体はこの男に懐いています...❤

脳味噌はいつも感じてるこの男の手の感触...温かくて男性らしく少しゴツッとした手の感触がヌボッーと頭を熱で浮かしてくる...っ!

 

これもきっとヒュームが私達ホルスタンを都合の良い奉仕種族とするべく付けた性質...!

ほんときらいっ❤ヒュームきらいっ❤

特にアダム、貴方がヒュームの中でいちばんきらいですっっ❤❤

 

「...って....。」

 

「ん、どうしたの?おわっ!?」

 

「もうむず痒くて痛痒くておかしくなりそうなんですっっ!そんなの良いからぁっ!さ”っ”さ”と”搾”っ”て”く”だ”さ”い”!搾”り”な”さ”い”!搾”っ”て”っ!!じぼれぇ!!!」

 

私の口から自分でもびっくりするほどに凄く大きくて、それでいて苛立ち交じりの甘い声が出ていました。

でもしょうがありません。

寧ろ、私にはなんら落ち度はないはずです。

 

そもそも一部屋にしたという事は搾ってもらうこと前提です。

それでいて、お風呂に入った後は血流が促進されて胸の方の張りも酷くなることは目の前の男も知っています。

そして、今自分で見ても分かる程に服の上からまるで邪魔な服を飛び出して乳を吹きだそうとするかのように...そのっ、ちく...びが隆起していることが見て取れるはずです。

 

この男...分かっててとぼけてるんでしょうか?

コッチは辛いって分かっているのでしょうか?

分からないなら死んだ方が良いって分かっているんですかね?

殺しますよ?

 

「あ...う、うん!ちょっと待ってね....。」

 

詰め寄って胸を張って押し付けたらいそいそと用意を始めました。

ふんっ、こんなことせずとも用意くらい手際よくしてほしい物ですっっ❤

やっぱりアダム、あたまわるいっ❤

魔法とかいっぱい勉強してるとかかんけーないですっ!

バーカ❤

さっさとしろっっ❤

 

胸ぎっづぅ....❤

あーもう、イライラする....っっ❤

 

そんな私の心中など知る由もないアダムは鞄からボウルを取り出して机に置いた。

幾重にも乳を受けてきたことが祟ったのか、いくら洗おうともほんのりと乳白色に染まってしまった金属製のボウル。

それをこちらに見せながら、アダムは微笑む。

 

「それじゃ、ブピュブピュピュッピュッ始めよっか!ほら、こっちおいで。」

 

「...乳搾りって言えば良いじゃないですか。いちいち気持ち悪いですね、貴方は。」

 

「アハハ...傷つくなぁ。それじゃ、今日はピュッピュッやめとく?」

 

「や”り”ま”す”!!ブピュブピュピュッピュッしますっっっ!は”い”っ!これで満足!!?」

 

「はははっ、ごめんごめん。揶揄い過ぎた。怒らないで?」

 

何が面白いのか笑みを見せてくるアダム。

やっぱりこっちがどれだけ辛いかわかっていませんねこの男....っ!

さっきまで外で赤ちゃんみたいに甘えて来たくせに、部屋に帰ってきたら年上面で茶化してきて....。

ほんっっっと、この男ムカつくぅぅっ....。

 

私は服のボタンに指を掛ける。

そして一つ一つ外しながら、ボウルの前に立った。

ボウルの前、背後にはあの男。

 

あの男の気配を背中で感じ、楽になる瞬間を待ちわびるように胸が疼く。

その疼きに耐えるように目を閉じると、そのまま前を開くとブラのホックに指を掛けた。

 

 

 

 

 

昼、時刻は丁度12時を回った頃。

私達は宿屋の前に立ち尽くしていました。

 

「...出禁になっちゃったね。そりゃ、あれだけ声出したらそうなるか....。」

 

「...私、悪くないですから。」

 

「それは...そうなんだけどね。仕方のないことなんだけど...はぁ。」

 

アダムは肩を落とす。

どうにも昨夜かなり声がうるさかったらしく、チェックアウトの際に厳重注意されて出禁にされてしまった。

...良い宿はこれがあるんですよね。

ホルスタンの習性的にも乳しぼりは避けては通れないので、泊るのであればそれこそ連れ込み宿となってるような声が響いても問題ない安宿が一番です。

...けど、私...そういう宿が嫌いなので。

世の中、儘ならないものですね。

 

肩を落としていたアダムは顔を上げると、私に笑いかける。

 

「...取り敢えず、ご飯...食べに行こうか。」

 

「...そうですね。」

 

お腹も空きましたし、過ぎたことはどうしようもないです。

それにこれが初めてというわけでもありませんから。

次、この街に来た時に昨日泊った宿には泊まれなくなった。

それだけです。

 

私はアダムの手を取って歩き出す。

少し驚いたようにアダムは繋がれた手を見ると、嬉しそうに笑みを見せます。

...まったく、単純な男ですねほんと。

 

隣のヒュームの男の単純さに呆れながらも、お腹を満たす為のご飯屋さん探しに向かいます。

繋がれた手をギュッと強く握りしめて。


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