バカのツレってのは1番疲れる   作:雲路

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夜の密会は疲れる

 

シドが騎士団に拘束されてから5日が経過した。

俺はこの期間の間に王国最強の魔剣士としての立場を使いアイリス王女や騎士団のお偉い方に聞き込みを行った。

以前のブシン祭でアイリス王女を負かしたことで騎士団への勧誘があり少しだが交流のあったことと、今回の事件に手を貸すことを条件に色々と情報を提供してもらうなど色々と俺なりに動いていた。

 

そしてシドが仮釈放される日となったが、表上俺たちは面識がない。なので俺が迎えに行く訳にもいかずパンイチのままボロ雑巾のように放り出されるシドを建物の屋上から見下ろしていた。

 

「やってる事はまるっきり山賊だな。ありゃ」

「騎士団といってもいまやそのほとんど教団の手先。知らないのは王女様と一部の部下くらいなものね。」

「そうか……ところでなんで制服着てるんだ?アルファ」

 

ボロボロになった我らがお飾りリーダーを見下ろす横で実質的なシャドウガーデンリーダーであるアルファが何故かいつものスライムスーツではなく白い学生服を着ている。

普段ゼータやイータはこういうおふざけを良くするがアルファがするのは珍しく流石に聞いてしまった。

 

「……男性はみんなこういうのが好きとベータが言っていたのだけど。気に入らなかった?」

「いやめちゃくちゃ良い。」

 

なるほどベータの入れ知恵か。正直ナイスである。

アルファの白い肌にスラッとした脚とミニスカートの制服の相性はとてもよかった。

 

「ふふふ。気に入ってくれなら良かったわ。今頃彼女もシャドウの部屋で制服を着て待っているみたいだし。」

「なるほど。そういう事か……王女様とランデブーしてる事に嫉妬したベータがシドの気を引こうとしたって所か?」

「ええ。そういう事よ。」

「……じゃあアルファも何かに嫉妬して俺に制服姿を見せに来てくれたのか?」

 

いつもの余裕そうな笑みを浮かべている彼女に対しちょっとした悪戯心でからかいたくなってしまった俺はアルファの腰に手を回し逃げられないようにしてこちらに引き寄せる。

すると思った通り顔を赤らめ目線をそらし口を開く。

 

「あ、あなたがアイリス王女によく騎士団に勧誘されてるしこないだは食事にも誘われてたから、盗られると思っちゃって……少し妬いたの……」

「へぇ……そういうことか」

 

まさか本当に嫉妬しているとは思わなかったが、嫉妬で盗られてしまうかもと思っている彼女に対し可愛いと思った俺はもう少しイタズラを続けることにし彼女の耳に口を近づける。

 

「大丈夫。俺はお前たちしか見えてないよ。」

「み……!そ、そこで囁かないで……!!」

「お前達を置いて他のところなんか行かないさ。」

「わ、分かった……からぁ……み、耳はやめてぇ……」

 

顔を真っ赤にしはぁ。はぁ。と色っぽい息遣いをしながら涙目で抗議をするアルファに少しやり過ぎたなと思いながらゆっくりと腰から手を離しごめんごめんと彼女の頭を撫でながら昔を少し思い出し頬が緩む。

 

「……子供扱いはやめて……」

「ごめんって。可愛くてついな?」

「……ッ!……それよりシャドウの所に行かなくていいの?」

「今はベータの時間だろ?俺は馬に蹴られて死にたくは無いし。それに今はアルファといる方が俺は楽しいな?」

「はぁ……降参よ……いつも貴方には勝てないわね……」

「ありがとう?」

「褒めてないわよ。それにあなたの場合馬に蹴られるより誰かに刺されて死ぬほうが有り得そうだわ。」

「?」

「そういうとこよ」

 

そう言い少し呆れながら彼女はミツゴシ商会の方向へと帰っていった。

 

それから数時間後シドからの呼び出しを受け隠しアジトへと向かっていた。

表向きの交流がない俺たちが会うために一軒家を借り密会のためのアジトして使っている。

そして部屋の前まで着くと、扉の前にベータが俺を出迎えるために待機していた。

 

「お待ちしておりました。ゼロ様。中で主様がお待ちです。」

「ああ。」

 

ベータが扉を開け部屋へと案内する。

 

「待っていたぞ。我が相棒よ。」

「なんだこの悪趣味な部屋……それよりベータから聞いただろ?こっちは準備できてるぞ。作戦は今夜だ。」

「ベータ……あれをゼロに」

 

ベータから一通の手紙を渡される。そこには場所と時間だけが書かれており差出人の名前などは何も書かれていなかった。

誰がどう見ても罠だとひと目でわかる。

 

「なるほどな。どうせお前を犯人にしたい騎士団からだろ。」

「処刑台への招待状だ。」

(また意味のわからんことを……いい加減こいつにも教団のこと教えとくか……?いや意味ないな。)

 

いつもの厨二病発言に頭を痛め、シドにディアボロス教団が実在している事を話そうかと考えるが、どうせ「お、ポールもいい感じに演技に磨きがかかったね!」とかいう未来しか見えないので諦めることにした。

 

「デルタには悪いが、前奏曲は僕が奏でる。」

「……はぁ。好きにしろ。」

「今宵!世界は我らを知る!」

 

椅子から立ち上がり、夜風が靡かせるカーテンをバックに堂々と宣言するシャドウにベータは目を輝かせ、ポールはこれから起こる惨事に目を濁らせる。

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