海賊戦隊の世界で、天下御免の侍戦隊!   作:ウルトラマントリガー

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堕ちた正義と墜ちない翼

シグナルマン・ポリス・コバーン。かつて、地球に単身赴任し、激走戦隊カーレンジャーと共に、宇宙暴走族ボーゾックと戦った宇宙警察に所属する警察官であり、転生者でもある。

 

彼は今、宇宙警察本部の総裁室に続く廊下を早歩きで歩いていた。

 

「何故だ?何故だ!?いったい、何故なんだ!!??」

 

彼は混乱していた。いや、前々から疑問に思ってはいたのだ。ここ数年、宇宙全体を混乱に陥れている宇宙帝国ザンギャックによる侵略行為を一切取り締まらないどころか、事件の容疑者がザンギャックの関係者と判明した途端に、捜査を打ち切る今の宇宙警察の方針について、疑問には思っていたのだ。

 

しかしながら、彼は信じていた。いつか、そう【レジェンド大戦】の頃には、宇宙警察はザンギャックの取り締まりを開始すると。自分が【レジェンド大戦】に参戦する為に地球に派遣されるのは、その一環なのだと。

 

だからこそ、転生者仲間のファイブピンクから連絡が来た時には、今こそがその時だと、上司に進言した。しかしながら、自分のあまりの剣幕に根負けした上司が、上層部に問い合わせた結果、出された指示は現状維持。

 

その指示を聞いた瞬間、彼は総裁室に、宇宙警察総裁ウィーバルの元に向かうべく、飛び出した。

 

ウィーバルに今の宇宙警察の方針の真意を問う為に。

 

「本官はこの為に、ボーゾックとザンギャックと戦う為に転生したのだ!この戦いに、【レジェンド大戦】に参戦出来なければ、生まれ変わった意味はない!」

 

そんな誰にも聞かせてはいけないことを口走りながら、最早、駆け足になった足を進ませるシグナルマン。

 

すると、そんな彼の前にある男が立ちはだかった。

 

「よう!」

 

「なっ!?貴方は!?伝説の宇宙刑事ギャバンさん!?何故、あなたが!?」

 

そこにいたのは、かつて、スーパー戦隊達と同じく、地球を護る為に、宇宙犯罪組織マクーと戦った宇宙刑事ギャバンこと、一条寺烈であった。

 

「ん~、お前みたいなのをな」

 

「は?……っ!?」

 

烈はそんなことを言うと、シグナルマンの口を抑えて、近くの会議室に押し込んだ。

 

「単刀直入に言うぞ?今、宇宙警察はザンギャックの支配下にある」

 

「??????」

 

「おとなしく話を聞くなら、説明してやる。どうだ?」

 

その問いに、シグナルマンは首を上下に振ることで、答えを伝える。すると、烈はシグナルマンの口から手を離して、椅子に腰かけた。

 

「さて、まずはお前さんの名前を聞かせてもらおうか?」

 

「………本官はシグナルマン・ポリス・コバーンであります」

 

「シグナルマン・ポリス・コバーンか。シグナルマンで良いか?」

 

「はい。地球ではそう呼ばれておりました」

 

「ん?お前さん、ポリス星の出身だよな?なんか、発音があれじゃないか?ポリス星の奴らはだいたい【チーキュ】と発音するのに」

 

「いえ、地球で発音が変だと言われたものでして!」

 

「そうなのか?」

 

「それより、宇宙警察がザンギャックの支配下にあるというのは、どういうことでありますか?」

 

「あ、ああ。それについてだったな。まずは、これを見な」

 

そう言って、烈が机に広げたのは数十枚の指名手配書であった。シグナルマンはそれを見て、驚愕した。

 

「そ、そんなバカな!?デンジマンさん、バイオマンさん、チェンジマンさんに、フラッシュマンさん、ファイブマンさん、カーレンジャーに、ギンガマンの手配書だって!?いったい、何故なんだ!?」

 

「数々の惑星における大量殺人、大量破壊行為、さらに、その惑星の住人を扇動しての反政府活動が名目上の罪状になってはいるが………」

 

「それは、ザンギャックからその惑星を防衛する為の戦いによるものでしょう!?」

 

「わかってる、わかってる。俺に怒鳴るな」

 

「はっ!すみません。つい、カッとなってしまいまして………」

 

「まぁ、気持ちはわかるけどな」

 

取り乱すシグナルマンに苦笑いを浮かべる烈。さらに、烈はシグナルマンに宇宙警察の現状を語り始めた。

 

「ザンギャックが全宇宙の侵略を開始した際、宇宙警察の上層部はその侵略行為を静観した。いつでも鎮圧出来るとタカを括ってな。おそらく、この時点から、ザンギャックの干渉を受けていたんだ。それが続いた結果、宇宙警察はザンギャックの言いなりになっちまった。今じゃ、ザンギャックに手を出せないどころか、ザンギャックにとって都合の悪い連中を捕まえなきゃならんところまで来ている」

 

「そんな!?そんなことが許されるんでありますか!?」

 

「許されるわけないだろうが」

 

シグナルマンは、烈のその言葉と雰囲気から、彼の激しい怒りを感じた。

 

「こんなことが許されるわけがない。しかし、確たる証拠も無しに、感情のままに動いたら、それこそ、ザンギャックに与している連中の思うつぼだ」

 

「では………!」

 

「今、シャリバン、シャイダー、あとは、信頼出来る連中に声をかけて、極秘に捜査をしている。ザンギャックに与している奴、そいつとザンギャックが確かに繋がっている証拠。それらが全て明らかになる時が、宇宙警察に正義が戻る時だ」

 

「ギャバンさん!」

 

「だから、今は耐えてくれ」

 

烈の言葉に希望を感じるシグナルマン。しかし、烈の願いに応えるということは、自分は【レジェンド大戦】に参戦出来ないということになってしまう。いったい、どうすれば?

 

「あ!そうだ!」

 

「ん?」

 

「有給休暇が残ってたんだった!」

 

「は?」

 

「そうと決まれば、善は急げだ!ギャバンさん、今日は重要なお話しをありがとうございました!」

 

「お、おう」

 

脱兎のごとく駆け出すシグナルマンを、半ば呆然と見送る烈。

 

この後、シグナルマンは上司に有給休暇の届けを出して、サイレンダーに乗り込むと、地球へと出発するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある森の中、岩塊の上で座禅を組み、瞑想に耽る黒衣の男がいた。彼はかつて、邪悪な獣拳、臨獣拳アクガタの当主として、己の強さのみを追い求めた結果、罪の無い人々を傷付け、苦しめてきた。

 

しかし、それらの自分の行動が、ある邪悪な幻獣による誘導によるものと気付いた彼は、宿命のライバルにして、友人となった漢の言葉に従い、自分だけの自分の道を歩むことを決意する。

 

その歩みの果て、邪悪な幻獣を道連れに散った男の名は理央。

 

臨獣ライオン拳の使い手、理央である。

 

そんな理央を物陰から見つめるのは、チャイナドレス風の緑色の衣服を着た女性、臨獣カメレオン拳のメレであった。

 

「や~ん。死んだ後も、己を鍛え続けるなんて、素敵ですわ、理央様~」

 

「まったく、死んだっていうのに、何やってんのかね~」

 

「なっ!?」

 

突然、背後から聞こえた声に驚くメレ。振り向くと、そこには茶色いジャケット、柄入りのシャツ、黒いパンツの男がいた。

 

「何なの、あんた!?」

 

「俺に興味があるのかい、お嬢さん?」

 

「質問してんのはあたしよ!」

 

喰えない男の態度に苛立つメレ。だが、そんな彼女の様子を気にすることなく、男は話し始めた。

 

「いつもなら、男に用はないんだがな。今回は緊急事態なんだよ」

 

「何なのよ、緊急事態って?」

 

「別々に話すのは面倒だからな。いっぺんに話させてもらおうか、理央くん?」

 

「理央様!?」

 

男とメレが会話していると、理央がいつの間にか近付いてきていた。

 

「この場所にいるということは、貴様も死人か?」

 

「ご名答。ちなみに、戦隊の赤とバチバチだった黒ってのも一緒だぜ?」

 

そんな男の言葉に、眉間に皺を寄せる理央。その様子に笑みを浮かべながら、男は話しを続けた。

 

「実は、ちょっと下界でヤバい戦いが始まりそうなんだよ。俺達も手を貸さないとヤバい戦いがな」

 

「はぁ!?何言ってんのよ、あんた!?私達は死んでるのよ!?どうやって、手を貸すっていうのよ!?」

 

「また禁呪でも使うのか?」

 

2人の問いに答えながら、男は煙草を取り出した。

 

「いや、今回は何人かの神様の力を借りて、命の精霊に頼むつもりさ。だから、お前さんには、神様の一人を探してもらいたい」

 

「神を探すだと?」

 

「そう。獣を心に感じて、獣の力を手にするのが、あんたらが使う獣拳なんだろ?だったら、見つけられるはずさ。百獣の神、ガオゴッドをな」

 

そう語りつつ、煙草に火を点けた男にメレが問いかけた。

 

「ガオゴッドだかなんだか知らないけど、それよりも何よりも、あんたは誰なのよ!?」

 

「俺か?俺の名前は凱。結城凱だ」

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