砲艦外交の前に   作:休日

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21砲艦外交の前に 戦列艦 売りましょう!

 

 

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 

 

 パラディス城の最奥にくだらない、見栄しか張らない調度品を倉庫に片づけた、小ざっぱりとした執務室がある。

 

 そこで、公務に励むは肩下までの長さの銀髪の女性。彼女は普段からこの部屋にこもりきりで、処刑した前皇帝、ルディアスのやらかしの数々の処理に追われていた。とにかく苦情が多い。どれだけの国や人に我が国は恨みを持たれていたのか。この一年で良く分かった。

 

 長年の恐怖政治が産んだ負の遺産。あまりにも大きすぎる負の遺産。これはこの代で終わりにしなければならないと、と、日夜公務に励み続けたのだ。

 

 これは日本に居る従姉にして駐日大使であり、一外交官でもあるレミールも同じなのだ。彼女の下にも大日本帝国の辻卿を通して苦情の書類が大量に届いていた。

 

 彼女は愛する伴侶である朝田泰司大日本帝国外務省外交官と共に、この書類の、問題解決を一枚一枚、一つ一つこなしてきたという。

 

 それも、ようやく終わり。あの馬鹿ルディアスの残した負債もようやく終わりを迎え、ひと段落付き、のんびりとお茶を飲んでいた時。

 

「陛下ッ!!」

 

 バンッ!!

 

 ものすごい音を響かせて、髭面のむさい男が入ってきた。ルディアスの時代ならばこの行為だけで処刑である。

 

 ビクンッ!!

 

 と肩を震わせる美女、パーパルディア皇国皇帝セレミアは、皇帝の執務室にノックも無く入ってきた髭面の男、軍の最高司令官である、アルデを見遣る。ここは動揺を悟られないように、冷静に。

 

「如何したアルデ。そのように慌てふためいて」

 

「はッ、ご休憩のところを申し訳ありません」

 

「そう思うのならば、ご遠慮願いたいものだが。そういう訳にも行かぬ事柄なのであろうな」

 

 ああ、この一年でパーパルディア皇帝としての言葉遣いがすっかりと板についてしまった。前は年頃の少女らしい言葉遣いをしていたというのに、今では前皇帝ルディアスや、レミール姉様の様な言葉遣いに。皇帝とは斯くあらん。

 

 他国に舐められる様ではいかないのだと、自分なりに勉強してきた結果、行き着いたのが、威圧的な言葉遣いの中に優しさを混ぜ込んだ、良く分からない言葉遣い。

 

 セレミア皇帝陛下のお優しさが出ておりますと侍従には仰られたけれど。いいのかしら?

 

「陛下?」

 

「な、なんだ、どうした?!」

 

「はッ。予てより一時中断しておりましたる標的艦の処分についてですが」

 

「ああ、あれか」

 

 標的艦の処分。ルディアスの馬鹿が公称800艦。実際には1000艦を超える、馬鹿みたいな数を作っていた戦列艦艇の数々。

 

 この一年間で随分とその数を減らしていた。それもそのはず。新兵器の標的艦として爆破処理、破砕処理を行ってきたからだ。

 

 新兵器の力は物凄い。パールネウス型戦艦、これ満載排水量で76,800t、最大射程300㎞の46㎝超電磁砲を3基9門も搭載した頭のおかしい化け物なんだけど、これを4艦ただでもらったり。

 

 彼の列強第二位、私は最早北側諸国に触れてより、列強という肩書に意味はないと感じているけど。そのムー国の大戦艦ラ・カサミに匹敵する14,500tのパール型重巡洋艦4艦をただでもらい。

 

 16艦のミシュラ型駆逐艦もただでもらい。

 

 001式コルベット12艦をただで。

 

 軽斑鳩級浮遊航空艦デュロ1艦をただで、これ空飛ぶ戦艦なのよ……。

 

 さらにもう一種空飛ぶ戦艦カールレオン級浮遊航空艦パラディス級2艦ただで。

 

 001式戦車揚陸艦・ドック型輸送揚陸艦を4艦ただ。

 

 ヴェロニア級40,000t空母、満載排水量56,000t空母4艦ただ。

 

 60式主力戦車1000両ただ。

 

 零式艦上戦闘機52型300機ただ。

 

 零式陸上戦闘機52型300機ただ。

 

 時速900㎞以上出る怪物戦闘機、震電改500機ただ

 

 AEUから贈られたBF109改500機ただ。

 

 同じくAEUからP51マスタング500機ただ。

 

 大日本帝国および神聖ブリタニア帝国から旧式無頼500騎・旧式グラスゴー500騎、共にただ。

 

 90式VTOL輸送用500機ただ。

 

 

 

 

 21砲艦外交の前に 戦列艦 売りましょう!

 

 

 

 

 単に羅列しただけだけれど、どれもこれもが、前年と少し前。

 

 ルディアス体制下の超軍拡をしていた時の戦力を遥かに上回る大戦力で、やろうと思えば、ムーもミリシアルも、たぶん打ち倒せる戦力。

 

 それを全てただでもらってしまって、この一年訓練に時間を費やしたおかげで、プロの職業軍人たちの吸収率は早く100%の力を発揮できるようになっていた。

 

 その為に馬鹿が馬鹿みたいに建艦した戦列艦を標的艦として使っているのだけれど、これが軍人の皆さんにとってはいい訓練となっていた様で。

 

 現に、エストシラント沖大海戦では、パールネウス型4艦による46㎝超電磁砲24門一斉射撃で、ほぼ一撃のもとロウリア艦隊を撃滅したという大戦果をもたらした。

 

 これは観戦武官もかねて上空より見ていたレミール姉様も確認していた。海を割ったのだそうで、どれほどの攻撃力があるのか想像もつかない。

 

 そんなものを、北側諸国。主に援助してくれた大日本帝国は『おもちゃ』だと言い切った。

 

 そうなんだ。こんな強力な、信じられない程に堅牢な大戦艦でさえ、北側諸国にとってはおもちゃだという。その証拠を私は見せられたレミール姉様、レミールに。

 

 パーパルディア皇国では今や一般的に普及しているノートPCや、スマートフォン。レミールが帰国中にそのノートPCに外付けHDDを取り付けて、何をするのかと思えば。

 

 大日本帝国が喫緊で戦った最大の戦争を見せられたの。

 

 そこに出てきたのは全長にして370mは到達していそうな信じられないほどに巨大な鋼鉄の船。

 

 大和型という日本が4艦保有する戦艦で、満載排水量は16万tを優に超えているという、パールネウスを倍にしてもまだ足りない戦艦が4艦。たぶん作る気ならもっと作れるのだろうけれど。

 

 そんな滅茶苦茶な戦艦が、同級クラス15万t級の戦艦と、射程1000㎞オーバーの60㎝三連装砲9門で撃ち合っている姿が写り込んでいた。

 

『え、これ、映画ですか?』

 

『……実写だ。世界大戦と呼ばれている巨大戦争の一幕らしい』

 

 私も勉強してきた南天、南側諸国と呼ばれる国々と。

 

 北側。北側諸国と呼ばれる国々の巨大戦争らしく。

 

 両勢力合わせて民間人も含め8000万人が亡くなったらしい。

 

 信じられない人数だ。パーパルディア皇国の総人口をまだ1000万人も凌駕した死者を出す戦争だなんて考えられない。

 

 私は直接参加したわけではないけれども、数々の映像からその恐ろしさは伝わってきた。正直言って怖い。こんな戦争を起こしてしまえる南側諸国も、これを迎え撃てる北側諸国も私には恐ろしかった。

 

 こんなの、我がパーパルディアだったら半日持たずに消え去るだろうと思う。ううん、半日持ったら奇跡だ。数時間で消し炭にされるだろう。

 

 そんな映像を私に見せてきたレミールの思惑は、パーパルディア・ロウリア戦争の決着について。

 

 こんな強力な国々ならば、ロウリアなんて一瞬だろうけれど、別に機密ではないからと明かしてくれた話に、ゲートなる雲の話があった。

 

 なんでも、日本の神根島近海に沸き立ってきた巨大な雲で、別世界と繋がっているという事らしく、雲の向こう側には荒廃した日本や、AEUの元となった諸王国を一度は追い出したという政治腐敗著しいユーロユニバースという国があるとの事。

 

 日本を荒廃させたのは信じられない事にブリタニアだった。向こうの世界のブリタニアは世界侵略をしていたらしい。

 

 それを止めさせたのが北側諸国の日本、ブリタニア、AEUなのだという。この星の主流である砲艦外交でもって強制的に外交の窓口を開いたんだって。

 

 もしも、向こうのブリタニアが交渉に応じない場合、戦略型潜水艦でブリタニア本土を消し飛ばして、通常戦力でブリタニアの各植民地軍を殲滅する予定だったらしい。

 

 億からの死者が出ていたというのに簡単にやろうというところが北側諸国の怖さだと思う。一度決断したら、後は遂行するのみ。それが出来てしまう中核こそが大日本帝国なのだとレミールは語っていた。

 

 幸いにもこの砲艦外交は上手く行き、向こう側のブリタニアとの正式な国交開設交渉と、各植民地に対する扱いをどうするのかといった、政治的な交渉に入りつつある中、今度はAEUがやらかした。

 

 なんでも腐りきっている向こうの世界のユーロユニバースという存在が許せなく、戦略型潜水艦数十隻を、日本の領海に向けて発進させたらしく、日本がこれに激怒して、大騒動になったとか。

 

 レミールに聞いたけれど、戦略型潜水艦は1艦でも大陸を吹き飛ばす力を持つという話。誇張が入っているかもしれないけれど、誇張を入れざるを得ない程強力なのでしょうね。

 

 これを神根島という、日本の聖地に向けて無許可で向かわせるというのは、大日本帝国への宣戦布告と同義であると枢木総理大臣が記者会見で述べたんって。

 

 レミールの話では枢木総理は表の顔であって、本当の顔は違う人たちだと仰っていたけれど、どうなっているのかしら。

 

 結局AEUは艦隊を各基地に戻して日本側に陳謝し事なきを得たようだけど、AEUの二大指導者の一人、ヒトラー宰相は謹慎処分を食らった。

 

 それはそうよね。何も無しで話を済ませたら日本が怒る。日本は北側諸国の№2の国力と戦力を持つ。

 

 しかし技術の上では№1で、他の追随を許さない。

 

 あの神聖ブリタニア帝国も技術の上では及ばないと認めているくらいに日本の技術力は凄い。

 

 彼の国々が元居た星では二つ名の超大国と呼ばれる、他の国とは一線を画した国々があった。

 

 一つは『力のブリタニア』その名の意味の通り、圧倒的国力と軍事力を持つ、世界第一位の巨大国家。

 

 一つは『数の南天』南側諸国の事らしいけれど、その思想的一体制から一つの国として見られていた。その名の通り恐ろしい数を誇る正規軍は『8000万人』世界最大の数を誇る世界第三位の巨大国家。

 

 そして最後の一つ『技術の日本』北側諸国に属し北側盟主国の一つらしく、その技術力は常に世界の3歩先を行く未来国家。あまりにも技術力がかけ離れすぎている為に未来見の能力者が存在しているのではないか? 未来人国家ではないか? 色々と言われ続けているらしい。戦車も飛行機もロケットも衛星も、世界を滅ぼすF号兵器も、全て日本が最初に作り上げたという。規格外の国家で、世界第二位の巨大国家。

 

 他の全ての国々は、この二つ名の超大国には付いていくことが出来ず。狙われたら最後。亡国と化してしまう事が確実であると言われている。

 

 とにかく、北側諸国はゲート向こうとの交渉に忙しいらしい。更には近く友好関係を築きかけていた二国がこの星に転移してくることまで計測器で割り出してしまい、その対応にも追われており、ロウリア如き弱小国の処分に手を割いている暇はないのだ。

 

 だから我が国にお鉢が回ってきているのだが、周辺国への被害や、陸上戦力の力がまだ未知数な為に、攻勢に踏み切ることに躊躇していた。

 

 そのうちの一つが解決するという。

 

「どういうことだアルデ」

 

「は、レミール様よりのお言葉ですが。残りの戦列艦を全てただ同然で下取りに出してしまえばよかろうと」

 

「むう。ただどうぜんって、あれらを作るのにも血税が」

 

「その血税を処分していっているではないですか。それに、防衛力ならば、数は少ないですが、以前よりも圧倒的に強力な防衛力が御座います」

 

 確かにそうだ。

 

 パールネウス型戦艦4艦。

 

 パール型重巡洋艦4艦。

 

 ミシュラ型駆逐艦16艦。

 

 ヴェロニア型大型航空母艦4艦。

 

 001式コルベット12艦

 

 正直これだけでお釣りがくるどころか元手よりも遥かに増えている。

 

 売ってしまうか。どうせ使わないし海没処分するだけ。戦列艦処分による漂流物に付いての苦情も来ているし。レミールに意見を求めたのも私で、そのレミールが下取りに出した方が良いと言っているのなら。

 

「わかった。残り230艦の戦列艦は全てただ同然でくれてやれ。1艦辺り100パソくらいで良いのではないか」

 

「子供のお小遣いですな」

 

 丁度そんな話をしている時だった。

 

「しつれいします皇帝陛下」

 

「またしつれいか。しつれいだと思うなら入ってくるな」

 

「では、しつれいではなく入ろう」

 

 こう、上から目線と言おうか、偉そうな物言いで入ってきたのは。

 

 黒と茶を基調とした、宮廷服飾職人が仕立てた豪奢なドレスを纏い、昔の様な腰までのくるくる巻いた巻き髪ではなく、膝下にまで流れる真っ直ぐな長い銀色の髪の頭の上に金色のサークレットを戴いている、歳の頃二十代後半の女性。

 

 と、その女性と共に、黒いスーツを着た七三訳にした黒髪が清潔感を感じさせる、黒ぶち眼鏡の、日本人の男性、セレミア皇帝も良く知る朝田泰司。女性の方はパーパルディア皇国皇族レミール皇女。

 

「レミール姉様、ああいや、レミール。別に久方ぶりではないが、泰司殿とはよろしくやっているのか」

 

 レミール皇女と朝田泰司。この二人、仲が良すぎてあちこちで伽をしている、愛し合っているらしいところをみられているのだ。見たという確実な話は聞かない。

 

 伽は二人きりでするものであって、誰かのいる場所で行う行為ではない。だがそれでも噂になって居るのは、恐らくレミール専用の浮遊航空艦デュロで、二人の伽の声を聴いた者がいるからだろう。

 

「う、うむ、泰司?」

 

「わ、私に振らないでくださいよレミール皇女、皇帝陛下に問われたのは貴女なのですから」

 

 ああ、もうわかった。

 

 ここに来る前までに一度愛し合ったなと。

 

 浮遊航空艦デュロでここまで来たのだろうけれど。デュロには二人の専用の部屋がある。そこでたーっぷり愛し合ったんだろうなあ、と気づかされた。

 

 レミール姉様──レミール皇女と朝田泰司は婚約者扱いながらまだ恋人。それであって夫婦関係だ。どこで愛し合おうと自由だが、人に聞かれない場所で行ってほしい。パーパルディア皇国の品格が疑われてしまうではないか。

 

「失礼致します」

 

 今度はとても丁寧な失礼致しますだった。こういう失礼なら私もいら立ちを持たないで済むのだけどね。

 

 入室してきたのは、耳の尖った、年若く見えるエルフの青年。大東洋諸国に謝罪巡りをしているとき、一度お会いした事がある。

 

「おお、これは久方ぶりだなカナタ首相」

 

「お久しぶりですセレミア皇帝陛下。こう、貫禄が出て参りましたね」

 

「そ、そうですか、えへへ」

 

 私たちは久しぶりとなる挨拶を交わす。この人は優しい方だから良く覚えていたのよね。

 

 イケメンだからこちらの表情も緩んじゃうよ。

 

「しかし、何故、カナタ首相がこちらへ? 御用向きがあるのならばお電話でもよろしいのでは?」

 

 携帯やノートPCは大東洋諸国圏の間では凡その国や地域でも流通している。フィルアデス大陸ではまだそれほど流通していないけれども。精々がパーパルディア皇国と数国だけ。リーム王国みたいな大東洋への敵対侵略意思を持つ国家には触れさせない。

 

 アルタラス王国はおろか、フェン王国やアワン王国、最近では外輪山に封鎖されて外世界と交流のなかったカルミアーク王国とも、ネット経由や、浮遊航空艦で繋がり。世界は広がりを見せている。

 

 そんな中、態々直接お越しになるとはなんだろう。

 

「お電話では失礼に当たりますし、外交文書も交わさなければなりません。外務卿が風邪を引かれておりましてね。それで私が参ったのです。まあ掻い摘んで申し上げますと、貴国パーパルディアの戦列艦処分に付きましてお話が」

 

 なんだそのことですか。それならばこちらも丁度よかった。手間が省けました。

 

「100パソ」

 

「は?」

 

「1艦100パソでお譲りいたしましょう。処分艦の下取りですからね。どうせ潰すのですからただ同然で良いだろうと思い至り」

 

「し、しかし、あなた、子供のおもちゃを購入するのではないのですよ?! 100パソって」

 

「要らないならいいですよ? 他の国に」

 

「買います」

 

 結局買うんじゃないですか。

 

「しかし今財布の中にあるお金で全艦買えてしまいますね。1艦100パソだと」

 

 そこでレミールねぇ──レミール皇女が割って入ってきた。

 

「カナタ首相。貴国クワ・トイネは最も危険であると私は考えている」

 

 朝田さんも入ってきた。

 

「何もせず、雑草のように穀物が生えてくる夢のような土地。ロウリアが欲しがらない筈はありません」

 

 私だって思う。パーパルディアで手入れもせずに放置しておけば生えてくるのはただの雑草。そんなのどこの国でもそうだろう。

 

 でもクワ・トイネだけは違う。この国だけは穀物が雑草のように生えてくる。

 

 話ではロウリア王国が建造していた艦船は6600艦。我が国が吹き飛ばしたのは6000余隻。多く見積もればロウリアはまだ500艦の艦船を保有している。

 

 ワイバーンも同じ。侵攻に全部使うだろうか。日本から頂いた情報では1000騎のワイバーンがいたという。我が国は1000騎も撃墜しただろうか?

 

 空なら増援は早く到着する。なにせ我が国の震電改は900㎞を超える速度を出せるのだから。ヴェロニア型空母に搭載して、航続距離の半径に捉えて出撃させればワイバーン如き簡単に喰える。

 

 もしくは浮遊航空艦に先行してもらい、ある程度ワイバーンを喰って貰うか。そして海。もしもこちらの想定よりも早くロウリアが動き出した場合。

 

「80艦」

 

「え?」

 

「カナタ首相。貴国の現状を鑑み最大80艦までの戦列艦をお譲り──」

 

「買いましょう! 80艦全てッ!!」

 

 おおう、即答ですか。それほどに切羽詰まっているということですね。いいでしょう。その男気に応えて私もお売りいたしましょう80艦。

 

 ここでまたレミールが話に入ってきた。

 

「まずはおめでとうと言うべきなのかな? しかしカナタ首相。我がパーパルディア皇国は一律で100パソで売却する事となろうが。一口に戦列艦と申しても100門級もあれば150門級もある。用途に応じて見極めていただきたい。他の国との兼ね合いもあるしな」

 

「そうですね。欲張って強いのばかりを選んでは、貴国の戦列艦を欲しがっている他国との余計な遺恨を残しましょう。しかし150門艦は是非とも1艦頂きたいですね……しかし、まさか我がクワ・トイネが戦列艦を持てる日がこようとは」

 

「ふふッ、いまは、な」

 

 レミールが含みを持たせて言った。

 

「いまは、とは?」

 

「いえ、申し上げた通り。我々第三文明圏を含めた大東洋諸国はまだまだ強力になるという事だ」

 

 朝田さんがこくんと頷いている。そうその言葉の意味の通り。

 

 我がパーパルディア皇国と同等か、それに近いまでの戦力を何れ貴国も持てるようになるという意味ですよ。

 

 大日本帝国の倉崎重工、スメラギコンツェルン。

 

 神聖ブリタニア帝国のランペルージグループは規格が同じ。

 

 AEUも、北側諸国すべてが。

 

 その北側諸国に加盟している我が国は、これらの企業の援助を受けて工業都市デュロなど、各地の工業都市に、次々に震電改やゼロ戦など、そしてパールネウス型に近い戦艦の製造工場を作っている。

 

 これらはもう稼働を始めている。恐るべきは北側の国力だけど、我が国も独自に戦艦、巡洋艦、駆逐艦、等々を建造し始めているのだ。

 

 西や南、まだ見ぬ国の脅威から大東洋諸国を守るために。そこに皆さんも加わる日。その日も近いのだ。

 

 レミール皇女と朝田外交官の反応にはその意味が含まれている。

 

 その第一歩としての戦列艦の売却。我が国だけではない共同安全保障。いずれ順次大東洋諸国は北側諸国へ加盟していくのかもしれない。

 

 

 

(どんな傾向かを知りたいのもありまして

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  • ミリシアル嫌い
  • グラ・バルカス好き
  • グラ・バルカス嫌い
  • ロウリアは徹底的にやっちまうべき
  • ロウリアにも救いを
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